2020/06/29 のログ
エル > 「そうね、さっき依頼を終えたばっかり。
ちょっと小腹が空いちゃったから、軽く何か食べようかなって。
貴方も……うん、どう見ても一人よね」

男性の前まで寄れば、あちらから声を掛けてくれる。
反応を確かめようとしてる手前、そうしてくれるのはありがたくて。
自分の現状を説明して、同じく一人なのを確かめようとしたのだけど、どう見ても一人なので止めておいた。
その答えは、次の男性の言葉で出たのだから。

「あ、それは助かるわ。
これだけ人が多いんだもの、諦めようかなって、そう思ってたところなのよ。
それにしても、本当に凄い量ね」

相席を勧めてくれれば、こちらとしては助かるもので。
ポンッと両手を打ってから、改めてテーブルの上をぐるっと見渡す。
退かさないと自分のスペースもないテーブル席、その量に感心しているのか呆れているのか。
そんな感じに呟くのだった。

「あ、ありがと。
席を空けてくれてるのに、名前も知らないなんて失礼よね。
私はエル、槍使いよ。貴方は?」

スペースを作っている男性に向けて、席に座る前に名乗りつつも相手の名前も聞いてみる。

エレイ > 「どう見てもとはどういう意味かなキミィ。──いやまあわかってんだけどさぁ」

完全に一人と決めつけた言い回しにぬぅん、と顰めっ面したり。
それからブーブーと唇3の字に尖らせブー垂れたりと表情をコロコロ変え。

「ン、それなら遠慮なく座りたまへ。俺も一人はヒマだからよ、話し相手がそろそろ
欲しかったところなのでちょうどよかったべ。
──ン? そうだな俺としてはコレぐらいは普通なのだが一般人にとってはかなりの量だろうな」

色好い返事にこちらも嬉々として応えつつ、料理の量について指摘されれば無駄にドヤ顔で
そんな返答を寄越し。

「おっとと先に名乗らせてしまった感。俺は謙虚な旅人で冒険者のエレイというのだが
呼ぶ時は気軽にさん付けで良い。
キミのことは最近よく活躍してると小耳には挟んでるが、こうして話すのは初めてですな。
よろしくだぜ、エルちゃん」

彼女の名乗りに、どうにも謙虚ではなさそうな変な名乗りで返し。
男自身も冒険者としての少女のことを多少認識していることも告げながら、やがてテーブルの上を
開け終えると椅子を引き、ささどうぞ、なんて言って彼女に腰掛けるよう促して。

エル > 「え、だってどう見ても……あ、自覚はあったのね」

しかめっ面を浮かべる男性の言葉だが、そうとしか見えない状況に言葉を偽る事は出来ずに。
でもそんな言葉が言い切られる前に、それを肯定する男性に、ついポロリと言葉を零す。

「うーん……お話し相手って言っても、期待はしちゃ駄目よ?
私だって、そんなに得意って訳じゃないもの。
体が大きいと、やっぱり食べる量も多いのね」

話し相手を期待しているような相手に、困り顔でそう答えつつ。
改めて男性を見て、もう一度積み上がった皿の量を見て、その思いを口にするのだった。

「エレイさんね、まだまだ冒険者始めて長くはないもの、覚える名前が多くて困るわ。
そんな大層な事をしている訳じゃないんだけど、知っているなら話が早いわね。
とりあえず、よろしくね?」

謙虚って何だっけ?男性の言葉や仕草にそんなちょっと失礼な事を考えながらも。
ちゃんと覚えたわ、と伝えるように大きく頷いてみせて。
そんな遣り取りをしていれば、自分の席と示すように椅子が引かれ、その側に。
席を準備した相手より先に座るのは気が引けるので、男性が座ったのを確かめてから、その席に腰を下ろすのだ。

エレイ > 「エルちゃんはなんちゅうか正直者ですなあ……」

その口ぶりから考えたことを誤魔化すことなく口にしているのを察すれば、眉下げた笑みを浮かべてそんな事を呟き。

「──何、極端なこといえば一緒の席に女の子がいてくれるってだけで充分華やかになるからよ、
喋りが得意でなくても俺としては何も問題はないべ。
ウム、それにココの飯は美味いのでついついおかわりしてしまうというあるさま。
ちなみにキミは、どのぐらい食べる方なのかな?」

困り顔を向けられればハッハッハ、と笑いながら片手をひらひらさせつつそんな事をのたまう。
要は気にするな、ということなのだろう。
それから、少女の食べる量はどんなものなのだろう、なんて思って問いかけ。

「有象無象の冒険者も多い中で名前が耳に入ってくるんだから充分大したものだと思うけど? まあ一般論でね。
うむ、ヨロシクだぜ。こうして相席になったのもなにかの縁なので、今日は俺がおごってやろう」

大きく頷く彼女に改めてサムズアップしてみせつつ、引いた椅子にすぐには腰を下ろそうと
しない様子に、礼儀正しいなあ、なんて思いながら自分の席に戻って腰掛け。
彼女も座るのを確認すれば、改めて視線を合わせ。

「──で、エルちゃんは槍使いと言っていたがそいつがその槍かい?」

彼女の傍らにある布に包まれた棒状のものにちら、と視線をやりながら笑みのまま問いかけ。

エル > 「ううん、私は正直者って程、正直じゃないわ?
ただ、ちょっとね?偶にポロッと出ちゃうだけで…」

フルフルと首を振りながら、それを否定しようとするのだけど。
やはり男性の思っている通りなのか、余計な一言が後に入る。

「そんなものなのかしら?
私としては、私の席が空いてくれるのだから助かるんだけどね?
ああ、うん、そうよね、ここの料理って結構美味しいのよ。
あんまり沢山食べれないのが残念に思えるくらい」

唇に指を当てて考えるような仕草をしながら、顔を上げればこちらはこちらで問題がないと伝え。
料理に関しては、何度か食べた事があり味も知っているから同意を示す。
そのついでに、どちらかと言えば小職である事を答えるのだ。
特に今日は小腹が空いて来ただけだから、より食べる量は少ないだろう。

「似た様な年の子って多くないみたいだし、だからじゃないかしら?
物珍しさ、みたいな?
それは、さすがにちょっと悪いかなって思っちゃうんだけど。
一応は初対面だし、報酬貰ったばっかりだし」

ただの冒険者の一人として居るつもりだからか、名が知られている事に対してはどうしても肯定はし切れずに。
言葉の通りで、物珍しさで広まっているのだろうとの予想を。
そして、奢ろうとの厚意を見せられれば、パタパタと両手を振ってそう答えてしまう。
見て分かる通りに、さすがに何もして無いのにそれは、と思ってしまっているのだ。

「ええ、そうよ。
こうしておかないと、何かの弾みで傷付けちゃいそうだもの」

予想する以前に誰でも分かるものだしと、そう思えば。
傍らに置いた布包み、それに触れながら素直に答える。

エレイ > 「………」

ポツリと付け足された一言に、眉下げた笑みのままで男はツッコむことはしなかった。
彼女ぐらいの年の娘なら、これぐらいハキハキ物を言うぐらいで丁度いいよな、なんて一人納得しつつ。

「そういうものですよ、男は結構単純だからな。
──なるほどエルちゃんは少食であるか。いやよかった、俺はさっきも言ったが旅人でもあって
その中でいろんな奴と会ってきたんだが、中にはエルちゃんぐらいの背丈で
俺とタメ張る食事量を誇る女の子なんてのもいたからよ、エルちゃんがそうだったら
テーブル足らなくなるなあ……とかって要らん心配をちょっとしてしまったわい」

同意する彼女が少食であると伝えられれば、ケタケタと笑いながら旅人としての経験談を交えた
冗談などを口にしてみたりして。

「エルちゃんぐらいの歳だとまだまだ未熟モンが多いからな、いても目立たないだけで
実際はそこそこいるぞよ? まああ珍しいのは確かなんだが、多少は自信を持ってもエエんじゃないかな。
別に遠慮することはないのだが……俺のテーブルに華を添えてくれた礼ってことで、一品だけでエエからよ。
今日は何の依頼をしてきたのかな?」

謙遜する様子に小さく笑いながら、もっと自信を持っていい、なんて告げる。
とはいえ割と堂々としている彼女には少し余計だろうか、などと思いつつ。
おごりを遠慮されれば、ぴ、と人差し指を立てて一品だけでも、と食い下がる。それでも遠慮されれば流石に引き下がるつもりで。
報酬をもらった、と聞くと依頼の内容など問うてみて。

「なるほどなという顔になる。……なんか、見えなくてもちょっと不思議な雰囲気がオーラとなって見えそうになってるな。
なんか特別な武器とかだったりする?」

彼女が触れるその包みを少しじ、と見つめてから、首を傾げて更に問いかけ。

エル > 何か思うところのありそうな男性ではあるものの。
特に何か言う事も無ければ、それに気付ける訳もなかった。

「ああ、話には聞いた事があるわ。
大きいけど食べない人とか、小さいけど食べる人とか。
でも、もしそうだったら確かに心配だったわね。
エレイさんのお皿だけでテーブルをこれだけ占領してたんだもの」

そうした話は確かに聞いた事があって。
実際に目にした事はないけれど、そうした人を目にした事があるのならその心配は分からなくもない。
空けて貰ったテーブルの自分の場所へと手で触れながら、小さく笑いそう答えるのだ。

「うーん……その人達に会う事があったら、そう思う事にするわ?
それまでは、多分、聞いてもきっと実感が湧かないもの。
華って程じゃない気がするんだけど、どうしてもって言うなら。
それじゃあ、パンとスープで小さく盛って貰えるなら、それでお願い出来る?
あ、後、今日の依頼は薬草積みだったわ。
魔物が出るから行けなくなってたって言ってたけど、ついでに倒しておいたからもう安心だと思うけどね」

性格的なものだろう、自分を思う彼の言葉だがやんわりと受け流すように答えてゆく。
ただ、奢りたいと言う事に関しては妥協をしたらしい。
仕方ないな、って感じに注文を口にする。
そのまま、依頼の事も教えるのだった。

「さあ?実は細かい事は知らないのよ。
ただ、作ってくれた人に、私が使うに適した槍だから、って言われただけで。
でも、考えてみれば、特別な武器って事には違いないわね。
私の為に作ってくれた武器だもの」

優しくそれを撫でながら、それだけを伝え。
自分の方へと寄せる様に立て掛けてから手を離す。

エレイ > 「ちなみに実は太ってるヤツほど、一度に食べる量で言えばそんなに多くない系の話があるらしいぞ。
ワハハハ、その時は俺がさっさと食ってテーブルを辞するしかなかっただろうな」

些末な豆知識なども付け足したりしながら、止めていた食事を再開しつつ彼女の浮かべた笑顔を楽しげに眺めていて。

「まああそうだなエルちゃんの思うようにするべきだろうな。俺の言うことは頭の片隅にでも
留めておいといてくれればそれでOKです。
了解だぜ。おーい、こっちのテーブルにパンとスープを少しヨロシクッ。
──ほう薬草採取か、アスピダのなんやらのせいか最近多いよな。どんな魔物だったか
知らんが、ついでで討伐してこれるならやっぱキミ大したヤツだべ」

受け流すような答えに眉下げて笑い、先輩の小言などその程度の扱いで良い、なんて告げて。
お願いできるか、と聞かれれば嬉々として頷き、店員を呼び止め彼女の分の注文をして。
依頼の内容と、魔物を討伐したという話を聞くと、ほほー、なんて感心したような声を漏らし。

「ふうん? そうか……まああいつか一緒に依頼とかすることとかあったらそん時はキミの槍捌きと一緒にそいつの姿も見せておくれよ」

彼女のその動きから、大事にしているのはよく伝わって目を細めつつ、興味があります、なんて笑顔で言って。

エル > 「もう中に溜めてるから、それ以上摂る必要がないとか、そんな感じなのかしら?
その時は、無理にテーブルを空けてようなんて考えない事じゃないかしら?
元々貴方が居たテーブルよ?」

教えられた豆知識に、何やら真面目に考えながらそう呟いて。
後に続くテーブルの話には、また困ったような表情を浮かべてそう答えるのだった。

「ええ、そうしておくわね?
頼んでおいてアレなんだけど、やっぱり悪いなって気がして仕方無いってのは拭えないみたい。
もう頼んじゃったから、逆に食べないと悪いんだけど。
最近は色々とあるから……あ、えっと、ただのオークだったから、私じゃなくても倒せてたんじゃないかしら?」

注文を受けた店員が奥へと消え、その姿を眺めながら。
改めて自分の胸の内を伝え、小さな溜息を零す。
彼の質問に答えていきながら、店員が料理を持って戻って来るのを待って。

「良いけど、あんまり期待しては、ね?
それでも、その時が来たらちゃんと見せてあげるわ」

こうして、料理が来て、それを平らげ、帰路に着くまで彼の相手をしてゆく事だろう。
それで彼が一時でも楽しめたと言うのなら、良かったのだと思う。
次はどこで、どの様な形で出会うのかを、想像しながら。

エレイ > 「一度に食べる量ってのはつまるところ胃の大きさの問題だからよ。腹回りに脂肪ついてると胃が広がらんのよ。
悪いけど女の子に席譲らないとか男がすたるので」

真面目に考察する彼女に、こちらも割とまともな回答を寄越しつつ。
困ったような彼女には、そこは譲らないとばかりの言い口。

「なに、そういうふてぶてしさもこれから身につけていけばいいのよ。いやふてぶてしくなりすぎてもアレだけどな?
──オークねえ、確かに雑魚だが油断してやられちゃう奴もたまにいるからなゴブリンとかでもそうだけども」

ため息する彼女にくっくと笑いながらそんな事を言って。
少量であったためか、彼女のぶんの注文は程なく届いた。

「おう、その時はヨロシク頼むます──」

そうして彼女とのんびり食事しながら過ごし、やがて帰途につく彼女を見送るのだろう。
次また会えることを、ささやかに期待しつつ──。

ご案内:「王都マグメール 平民地区 冒険者ギルド」からエルさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 冒険者ギルド」からエレイさんが去りました。