2020/05/20 のログ
ご案内:「聖バルバロ騎士団 拠点前 平民地区2」にネメシスさんが現れました。
ネメシス > 聖バルバロ騎士団の拠点は王国内各地で設けられている。
街の中でも外でもそれは変わりがない。

街の中でも外でも、最低限立て籠れるような広い建物を中心に部隊が展開されているのが特徴である。

今はそんな建物の前で退屈そうにお茶を楽しんでいるネメシス。

果たして、今日はどのような人物が現れるだろうか?

団員達に連れてこられた哀れな犠牲者。
ネメシスの知り合い。
はては、騎士団に恨みを持つもの。
または義憤に駆られた正義の味方。

はてさて…。

ご案内:「聖バルバロ騎士団 拠点前 平民地区2」にシュティレさんが現れました。
シュティレ > 手口としては、二回目、と言わざるを得ないのでしょう、よもや、山奥でやっていた検問を、この周囲でしているとは、と思います。
嗅いだことのある血のにおいを纏った男性に、今は戒厳令中だからと職務質問……というやつでしたか、それをされた上で、連れてこられました。
見たことのない建物ですが、何となくの認識があります、どこかで見たことがあるような場所。
とりあえず、待て、と言われた場所は―――どこなのでしょう、応接室というよりも寝室に近い場所であり、私は、既視感を覚えるのです。
ベッドの付近に焚かれている香は―――ええ、女性に性的欲求を深めるような、薬物が使われていることがわかります。
流石に、血族の私には効果がないもの、ではありますが、罠、という言葉が正しいのでしょう。

もう少しすれば、たぶん、と思える人物がやってくるのでしょう、だから私は、あわてずに腰を下ろして、待つことにしました。
ベッドはそれなりにふかふかであるので、きっと自分も寝るために使うのでしょう、そう思います。
とは言っても、これは、文句を言うべきなのでしょうか、はふ、とため息を零し、部屋の中を見回しておくことにします。
逃げようと思えば逃げることはできますが。

さて、どうしたものでしょうか。
私はベッドに座り、足を組んだ状態で、扉を眺めるのです。

ネメシス > あの時とは異なり、聖バルバロ騎士団は陣容が厚みを増してきていた。
賊の集団めいた素行の悪さは相変わらずだが、シュティレの危険性をある程度であるが察知できる者も勤務するなど、
団員の質が高くなってきている。そして、そんな団員の一人が拠点の外で退屈そうにしていたネメシスの元へと駆け寄った。

「あら、それはまた凄い幸運ね。」

ネメシスは特徴から以前心行くまで可愛がった"吸血鬼"であると推測し、供も連れず単身彼女を待たせている部屋へ。

既に重い鎧は脱ぎ捨て、身軽な服装へと着替えていた。
部屋に居るのがあの彼女ならば、団員を連れた所でたいした意味はないだろうと判断したのである。

「やっぱりシュティレじゃない。
久しぶりね、元気にしてた?」

ネメシスはベッドで足を組んでいるシュティレの元に近づくと、再開を懐かしむように両手を伸ばして抱きしめる。
拒まれなければ、そのまま親愛のキスをするだろう。
但し、口元へではなく、その白い首筋へと。

ちなみに二人がいる部屋は取り調べ室の一つ。
窓は採光用の小さい窓が幾つかあり、ベッドと、机とソファと、後は箪笥が多数並んでいる。

シュティレ > 近寄ってくる彼女は、しかして、今回は前回と違い鎧を身に纏ってはいませんでした、彼女の警戒が緩んでいるというのか、それとも私を、どう考えているのか、私には把握できないことではありますが―――ただ。
私は、彼女の首筋へのキスを人差し指で抑えてしまいましょう、柔らかな唇を、その肌に受け入れるのを拒絶するのです。

「ええ、お久しぶりですね、ネメシス。
 私には、文句が一つ以上あります。」

彼女は、女性ながらも男性の性器を持ち、だからこそ、貪欲なのでしょう、前回は彼女のスキンシップに対して不覚を取り、女性を思い出させてもらいました。
それ自体は、私にとっては一つの経験であり、厭うモノでもありません。
彼女の体液がいくら注がれようとも、種の違いは、彼女の子を宿すことができるモノでも在りませんので。
それこそ、ヒトの言い方であれば、犬にかまれたと思って忘れることもできましょう。

「一番最初で、最大の文句は―――ええ、貴女の所の部下の躾をちゃんとしてくださいな。無法者、盗賊と何ら変わりありませんではありませんか。」

ええ、ええ。私が言いたいのはそれが一番最初で最後です、見つけるたびに、うっとおしく、そして結果、ここに連れてくる。
此方の意見や状況などお構いなし。
それは、夜盗と変わりは在りませんではないですか、憤慨を叩きつけるために、私は今、ここにいます。

ネメシス > 「あら?」

あの時、あんなに盛り上がったじゃないの。
人差し指で制されてしまったネメシスはそんな顔をしていることだろう。

「何かしら?」

今日は二人きりで楽しもうと思っていただけに、部屋に誰も入れていない。
ネメシスは憤慨そうなシュティレに耳を傾け乍らも、机からティーカップなどを取り出し、紅茶の準備を始める。
ポットに蓋をし、飲み頃になるまで待つとして…。

「まあ、うちはそれで大きくなってきたからね。
一応身内とかは通達を送ってるから手を出したりはしないのだけど、
貴女のことはまだそれほど詳しく知らないからね。
毎回迷惑してるのなら、今度からは声を掛けない様に伝えるわね。」

椅子に腰かけ、シュティレの顔をじっと眺めている。
怒られている最中だと言うのに、あの時の顔を思い出しては、今の顔との違いに
胸が熱くなる。

そして、シュティレから抗議が来たことで団に通知は行くだろうが。
それでもこの急成長している組織の末端まで躾が行き届くのは難しいだろう。

「で、他にも何かご不満が?
ああ、そうそう。 紅茶とか飲む?
貴女ならお酒も用意しても良いのだけど。」

シュティレ > 「声に出して言うべき、貴女への不満はそれだけです。」

驚いている様子の彼女に対して、私はそれだけを言いきります、何故ならば、先ほど彼女が言ったとおりに、相手が私を知らなければ私もまた、彼女を知りません。
そもそも、ヒトの世界に生きている彼女、闇の世界に生きる私では、何もかもが違い、思考の重きを置くところもまた、違いましょう。
ならば、不干渉が一番の関係というべきなのです、今回は、彼女の部下に不満があり、それの是正を突き付ける、本来はそれさえも、過ぎた事でしょう。
しかしながら、私は言葉にして伝えるという行為を行いました。
理由は簡単であり、知性ある存在であれば、言えば理解してくれるという願いがあるから、です。
ヒトも、血族も、同じく知性のある存在です、故に、言葉として伝えればそこに意味が生まれ、結果が発生します。
私にも勤めというものがあるので、邪魔をされたくはないのです。故に、それが深刻化する前に、話をしに来ました。

「不躾なお話をするだけでは、貴女の気をささくれ立たせるだけに成りましょう。
お詫びの意味も込めて、お茶会の雑談は、お受けいたしますわ。」

話してわかるなら、それ以上の言葉もありません、知己というには少しばかり違う気もしますが。
ここで、彼女の歓迎の意志をくじくのも、今後を考えれば、あまりよろしくはないでしょう、で、あればと、私はお茶の席を共にすることに同意を見せます。
彼女の出す紅茶に、興味がないとは言いません。
紅茶のほうに関しては、むしろ私は、喜び―期待を胸に秘めるのです。

ネメシス > 「まあ、貴女が口で言ってくれる相手で助かったかもね。」

ポットの蓋を外し、カップにお茶を淹れる。
アップルティーの香りが漂い、ネメシスはそれだけで機嫌が良くなる。
二人分のカップを手にベッドへ向かえば、カップの一つを手渡して。
自らは口を付ける前に念入りに息を吹きかけ、冷ましていた。

彼女のような存在がその気になれば、団員の中に殉職者が出たことだろう。
こういう仕事柄、それは仕方がない事であるが、それでも無用な犠牲は出さない方が望ましい。

「お詫びねえ…本当はこっちも何かしないといけないわよね。
何か欲しい物とかある?
叶うかどうかは分からないけど、言ってくれたら助かるわ。」

彼女が無茶な要求をしてくるとは思っていなかったこと。
また、お叱りを頂いたとしてもネメシスは彼女の事を酷く気に入っているため、
機嫌を損ねるなどはなく。
寧ろ、思わぬところでの再会に全身から喜びのオーラを漂わせていた。

シュティレ > 「ヒトは、賢い存在だと思っております。ただ、同時に欲に溺れやすく、自制の利き難い存在とも。
よく言えば、生命力にあふれ、悪く言えば、欲望に忠実、というモノでしょう。
武力に訴えるのは最後にしております―――ヒトは私のような血族を葬る術を、得ているのでしょう?」

ヒトに対する私の見解はこういう形になります、血族はどちらかと言えば、欲望が薄くなりがちな存在でもあります、それは年を経るたびに、知るたびに、興味というものが薄れてしまうのでしょうから。
長く生きるという事は、長く無聊を得るという事にもなりますので、そういう意味では、ヒトは輝かしいとも思えるのです。
手渡されたカップ、紅茶の香りなども、ヒトのほうが旨く立てることができます、それは、ヒトが短い命で、【技術】を磨き、それを伝えるからなのでしょう。
紅茶の技術然り、血族をはじめとした、ヒト以外の種族を殺す技術然り。
……私は、話題を変えるようにリンゴの香りがほのかに零れるそれを、軽く私は傾けます、口の中に広がる上品な甘さに、ほぅ、と一つ、感嘆のため息を。

「いい、紅茶ですね。」

紅茶の味を堪能した、それを私は彼女に伝えることにするのです。
それから、次の言葉に対して、私は、視線を動かします、顔は動かさずに、視線だけで彼女を見やるのです。
不思議に思いました、なぜ、彼女が私に何かをしようとするのでしょう?

「何故?何かする、というのは。
 先ほど、団員に私に対する行為を辞めさせる、それでもう、終わりではないですか。」

彼女は、解決策を提示しました、ならばそれ以上私から言うことは在りませんし、それ以上を求めてはいません。
彼女の思考が理解できませんので、お茶を静かに傾けながら、目を瞬いて問うのです。

ネメシス > 「まあ、賢い人も居るには居るんだけど。
どっちかと言うと、ウチには賢い人は少ないかなあ。
最近は人も増えて、賢い人も増えたんだけどね。
貴女の言う欲望に忠実なタイプがほとんどよ。

まあ、貴女のような種族を葬る術は確かにあるんだけど。
それが出来るのはこの拠点にはあまりいないかなあ。」

彼女のヒトへの理解は、彼女が別種であることを再認識させる。
ヒト全体をひとくくりで見るのであれば、彼女の言葉通りなのだが。
ネメシス率いる聖バルバロ騎士団はその中でもだいぶ偏った集まりで。
彼女の認識がそのまま当てはまるわけではなかった。

漸く飲み頃になった紅茶を口に付け、シュティレに笑みを見せる。

「でしょう? 私の好きな味なの。」

こうして顔を合わせる時間は短いのだが、彼女は割と表情が顔に出るタイプ。
次に言わんとすることが概ね見当がついたのだが。

「そう? 私なら手をあげずに済ませてあげた見返りを要求するけどね。
じゃ、折角だし聞きたいことを聞いていくわね。
やっぱり貴女も血とか飲みたくなると気とかあるの?」

魔族の団員は多少いても、吸血鬼の知り合いは居ないネメシス。
そんな彼女が横に座っているのだからと、日頃から思っていた疑問を口にする。
首筋は駄目だが、手首位なら飲んで貰ってもいいかな、位の好奇心と共に。

シュティレ > 「そこは教育なさい、貴女は責任者なのでしょう。」

私の言葉は、切って捨てるように聞こえるでしょう、しかし、上に立つものとして、騎士を封ずるものとして、自分の部下の行動が、自分に返ってくるものと知るため、私は言いましょう、彼女は上に立つ存在なのでしょうから。
少ないというのは現状、しかし、それを減らす努力は必要だと、私は思うのです、現に、私は領地の皆を無知で済ませることを良しとせず。
最低限でも、教育は施しておりますからこその言葉でした。
おせっかいとか、要らないお世話な言葉ではありましょうとも、言わずにはいられなかったのです、私もまだ、青いのでしょう。

あと。もう一つ、彼女の団員の細かい差別化ができてません、ヒトでいえば、沢山犬がいるのが見えます、その犬をすべて見分けることが難しいというのと同じ。
はっきりとした違いがあれば、ああ、とわかる程度なのです。彼ら、団員に関しては。
興味を持つ個体であれば、顔などは覚えますが。

「良い、趣味ですね。」

酒も嫌いではないですが、酒はヒトを選びます。
酒に飲まれてしまう人も多くあり、故に、そういう風に飲まれてしまう人と飲むと疲れるのです。
だから、酒よりも紅茶のほうが、私は好きだ、と思いますし、好きな味というのには、同意の意を見せるのでした。

「そんなことで見返りを求めていたら、蛮族との違いがまったくなくなります。騎士団を名乗るからには、もう少し高尚にありなさいな。
騎士という位は―――……もしかして、騎士団を名乗りつつ、騎士が、いないとか言いませんよね?」

野蛮なことを是とするのは、騎士としては悲しいことである。ヒトの騎士と血族の騎士、違うモノなのだろうかと、思い始め……騎士団というのに、騎士がいないとか……血族の国ではありえないものが此処にあるからこそ、その可能性に、私はたどり着くのです。

「血。そうですね、血族―――貴方方でいえば吸血鬼ですが、氏族や、種族、個体によって違いはあるでしょう。
ただ、私の氏族でいうのであれば、血は必須ではありません。
ヒトと同じ食事でも構いませんし、花や草木の生気でも。

 むしろ、血を求むというのは、貴女方でいうセックス―――生殖行為という形になりましょう。
 相手との愛の証を、子を成す―――相手を、我が子とする、神聖な儀式です。」

ネメシス > 「う~~ん、今日の貴女は随分とズケズケ言ってくるわね。」

今日はとんだ厄日である。 ネメシスの顔はそう言っていた。
あの日、あれだけ乱れた彼女がまさかこれ程、お説教をしてくるとは。
そういえば、彼女は最初から真面目だったなあなんてことを思い出したり。

残念なことに、何一つ間違ったことを言っていないので、
ネメシスは微妙な表情を浮かべつつ、大人しく聞くしかなかった。

「ありがと。 私、お酒とか駄目だから。」

う~~ん、褒められた。
今度は声色が少し高くなる。
次に会うのはいつか分からないが、また会う日が来れば今度はアップルジュースもご馳走しようかなんて思ってみたり。

「高尚さばかり求めていても、この状況下では何もできないわよ?
少なくとも私の騎士団は国の脅威の一つを跳ね除けたし、今に限っては英雄の一人よ?

…失礼ねえ、目の前にちゃんといるじゃない。
私、産まれながらの聖騎士だし、今やこの国での身分は侯爵よ。」

空になったカップをサイドテーブルに置けば、腰に手を当て、堂々と胸を張るネメシス。
ちなみに侯爵に叙任されても、特に何か振る舞いが変わることは無い。
本来は変わる必要があるのだろうが。


「そうなんだ。 貴女が飲むところちょっと見たかったんだけどね。

まあ、神聖な儀式には違いないわね。
私なんてしょっちゅうやってるし、しょっちゅう子供を産ませてるわよ。
貴女はどう? 最近、誰かとやってる?」

シュティレ > 「言うべき人、事があれば、私は言いましょう。本来、ヒトにこのように言うのは、お門違いですけれども。」

すごく、すごく―――嫌そうな顔をしているのがわかります、あまり褒められたことではないのですが、しかし、言って置くべきだと思うのです。
説教をする程度には、彼女に対しての信愛を持っている、そういう事なのだ、と。
どうでもいいのであれば、わざわざ会いに来ることも、言葉をかける必要もないのだ、と私は、思っているのですから。

「そうなのですね。お酒、ダメなのですか。その代わりでの、この紅茶であれば、とてもいい趣味だと思います。」

なるほど、と私は思います、私の勝手なイメージでは、お酒は好きそうに思いましたが、違うみたいです。お酒を好むのが多いヒトたちでは、珍しい方なのですねという印象を。
それの代わりに紅茶であれば、それは素敵な趣味だと、私は思うのです。
だからそれをちゃんと伝えてあげます、良いことは、良いことだ思うので。

「立場には、立場にあった立ち居―――そうですね―――
 そうですね。私は、この国のヒトでも、人間でもない、これ以上言うのはそれこそ無粋ですわね。

それと。――初めて知りましたが、貴女が聖騎士だというのは?」

以前に出会ったときには、彼女の身分を聞いた記憶がありません、今、初めて彼女が聖騎士だという事実を知ったのです。
騎士だというなら、なおさらに、貴族となるのだから、立ち居振る舞いに気を払う必要ありましょう。
それが、騎士としての役割のうち一つなのですが、思い直しました、この国には、この国の礼儀作法がありましょう、なれば、外国の私が言う事でもありません。
彼女の不況を買う必要は、ありませんね。

「欲しいと思う相手がいませんので。存在を変えて、手元において愛したい―――血婚したいと思うような、ヒトは。
 それに、ネメシス様の言うような交尾は、意味がないのであれば。

 ―――してると、思います、か?」

 ね?と首を傾いで私は問いかけましょう。
 彼女に思い出させられたのであり、久しぶりの行為でありました。
 求めるべき相手がいなければ。増えるはずもありません。

ネメシス > 「いいのよ、ちゃんと分かっているから。」

詰まる所、気にかけてくれているから口に出しているわけで。
更に言うと、ここに留まっているのも互いに面識があるからと言うことも分かっていた。

「そうなのよ。 あ、でもこの間飲んだ林檎酒ってのはイケタけどね。
それでもあまり飲むと多分具合が悪くなるかも。」

彼女の推測通り、騎士団のメンバーも酒好きが多い。
宴の席となれば浴びるように酒を飲むメンバーだらけの中、一人で紅茶を飲む日々。
シュティレに褒められると、それも良かったかと笑みが零れ。

「今のこの国って、結局のところ力が強い方が勝ちって感じだからね。
今後は分からないけど、今の所は振る舞いよりも力よ。

私ね、貴方達が信奉してるのとは別の神様の力を授かって産まれているの。
だからこの世を導いていく使命があるし、今もそれをやっている最中よ。」

立ち振る舞いもそうだが、力を維持し、強化することの方が大事。
そう思っているネメシスは得意そうに彼女の顔を見つめている。

そして、ネメシスは自らの産まれについて少しばかりシュティレに語る。
彼女がそれについてどう思うか、多少気になる所で。

「あ~、貴方達の場合は吸血鬼にしちゃうわけね。
それが貴方達の生殖行為…。」

数を増やすと言う観点でいえば、まさしくその通り。
人間との違いを今更ながら納得し、少しばかり驚く。

「してないわよね。
どう? たまには気持ちいい事するのも大事よ。」

彼女が拒まなければ、顎に手を伸ばすだろう。
受け入れられたのならば、そのまま唇の一つでも奪おうとするか。
拒まれたのなら、大人しく引っ込む。
何にせよ、欲しいのならば多少無理にでも求めようとする。
立場が変わっても、ネメシスの振る舞いは変わらない。

シュティレ > 「なればこれ以上言うことは在りません。」

判っているのであれば、それを言うのはおせっかいを通り越して、失礼というモノです、私は、それなりに情を持っている積りですが、はき違えたくは在りませんので、判っている相手にくどくどいうのは嫌です。
それともう一つ。

「少しずつ慣らすのはいいと思います、嗜むのも。後は、紅茶に少し、垂らす程度であれば、風味がよくなるのでお試しいただければと。」

お酒を飲むこと自体は悪いことではありません、飲んでみて、興味がわくならそれもよし、でしょう。ただし、深酒はいけない、たしなむ程度が一番だと私は思っております。
そして、それに合わせたお酒の飲み方、飲まないの見方も、一つだけそっと贈りましょう。

「この国は、蛮族の国なのですか、力こそとは。―――それが真なら、そろそろ国を出ることも考えないといけませんね。

――何かを信奉するのは、それこそ、その人それぞれにあります。私の血族は、王を崇め奉っております。
誰を信仰するか、ではなく、その信仰をどのようにするか、ではないでしょうか。
別に、その神を押し付けるつもりは、無いのであれば、良いと思いますが。」

力を優先し、それが是とされるなら、この国にもう、我が国の逃亡者は居ないでしょう、それならば、私もお役が御免となりましょう。
ここにいる理由というのが亡くなり、それならば、自分の国に帰るだけです。
逃亡者は、この国で、堕落した生活を望むのであれ、闘争を求めているものは、私はすでに誅罰を終え、国に送り返しているのですから。

「この間は不覚を取りましたが、今回はその積りは在りません。」

あと、生殖行為に関しては、私ははっきりと断りを入れましょう。そして、じ、と彼女の茶色の眼を見ましょう。
そして、首を横に一つ振ります。

「私を求めたいのであれば。心も求めてください。
―――わかりやすく言うなら、愛する相手としてください、多数のうち一人ではなく、唯一として。
それが無理であるならば、そうですね、私の考えを変えさせるような何かを、示してくださいまし。」

私は、安く体を開く女ではありません。
それを変えさせるならば、それ相応の対応をお願いします。
そういって、立ち上がりましょう、もう、話は終わりですから。

ネメシス > 「そうよねえ…。 多少は慣れていった方がいいわよね。
この間もお城の人に言われたわ。」

あまり酒には興味がないのだが、社交界の先輩達はシュティレのように慣れることを提案してくれる。
こればかりは流石のネメシスも聞き入れるしかないだろう。

「元々は違ったのかも知れないけど、今は荒れているわ。
特に九頭竜山脈の方は酷い状況だから気を付けてね。

別に私は自分の信仰を人に押しつけたりはしてないわよ。
最終的に皆が私を頼り、私の示す道を進んでくれればいいだけ。
だからミレー族も魔族も受け入れているし。」

彼女が今後どのように振舞うかは分からないが、現状の危険要素である
城塞都市のことは軽く伝えて。

信仰についても自らのスタンスを述べ、更には魔族も含めて向か入れていることも。

「なんとなく分かっていたけど、身持ちが硬いのね。」

赤い瞳は、力を行使せずとも吸い込まれるような何かを感じさせる。

「う~ん、それは望むところなんだけど。
私は貴方の血族には成れないけど、大丈夫?
まあ、何を示すべきかはおいおい考えるわ。
思いついたら、今度会った時にでも言うわね。」

シュティレが立ち上がると、団員を呼びつけ、出口まで案内させる。
その間、ネメシスはベッドの上で手を振って見送ったことだろう。

「あ~ぁ、なんともままならないわね。」

なんだかとんでもない宿題を貰ってしまった。
扉が閉まった所で、大きく伸びをし、深くため息をつくのであった。

シュティレ > 「本当に必要なのは、乾杯の一杯程度。挨拶の一杯程度……多くは在りません。」

グラスを開けなければ良いだけの話なので、少しだけ飲んで休むとか、そういう事をすればいいのですと、私は彼女に助言をしておきましょう。
とはいえ、小食な血族の貴族の話では、参考にはならないかもしれませんけれど。

「ああ、ヒト同士の諍いに関与するつもりは在りませんのでご安心を。
その道が、安らかでありますように。
真剣に、そちらの事を我が主に祈ると、ヒトから言えば、不吉になりましょうからこの程度で。」

私は、彼女に言葉を放ちます、言祝ぐのですが、しかし、私の属性は闇、彼女らとは逆の存在です、故に、闇の祝福などと思い、言葉を短く言うことにしておきましょう。
祝福としての力はなくても、言葉として、意志として伝えることだけはできますから。
あと、ヒト同士の戦いは、ヒト同士でつけるモノであり、私は関与しません、そんなことをしている暇はないのですから。
混じったら混じったで、間違えて襲われそうですし。

「今でいうなら、血族になる気もなく私を抱けるとは思わないでくださいまし。
それこそ、先ほど言いました、私の心を変える何かを示してくださいましね。それが出来るなら、出来たときに。」

大丈夫かという問いには、ダメです。ちゃんと言いましょう。
そして、私は扉を開き、彼女の部下を見ます、案内をお願いします、と言葉を放ち、手を振る彼女を背に、この拠点を去るのでした。

ご案内:「聖バルバロ騎士団 拠点前 平民地区2」からシュティレさんが去りました。
ご案内:「聖バルバロ騎士団 拠点前 平民地区2」からネメシスさんが去りました。