2020/04/09 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にネメシスさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からネメシスさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にネメシスさんが現れました。
ネメシス > 聖バルバロ騎士団の活動は王都の中でも行われる。

「「おい、そこのお前。 ちょっとこっちに来い。」」

突如として通りの一つを閉鎖するように展開される団員達。

賊が街の中に侵入したと理由でつけての言いがかり的な取り締まりである。

男であれば金を渡すことで嫌疑が晴れるが、見目麗しい女が相手の場合は通りにあるごろつき宿へ連れ込まれるか、最悪通りで皆が見ている目の前で凌辱されるだろう。

彼らを率いている副団長のネメシスは奴隷たちの上に座り込んでは退屈そうにお茶を飲んでいる。

ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からネメシスさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にネメシスさんが現れました。
ネメシス > その日、ネメシスは珍しく静かな時を過ごしていた。

目に見える位置では護衛を連れておらず、一人でカフェのテラスでお茶を飲んでいる。

テラスに居るのは何かあったときに直ぐに店から飛び出せるようにする為。
実の所、はっきりとは見えにくい位置で親衛隊の誰かがひっそりと警護をしている。

ネメシスは実際の所、敵が多い。
それは街に居ようと、街の外だろうと関係がないだろう。

そして、ネメシスが非番の時でも騎士団は活動をしている。

今もカフェから数十メートル先では騎士団による”取り調べ”が行われており、
時折、甲高い悲鳴や、下卑た笑いがここまで届くのであった。

「はぁ、煩いわね。」

ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にリューノさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からリューノさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からネメシスさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 裏路地」にティエンファさんが現れました。
ティエンファ > 王都には色々な顔がある。
華やかな富裕街、荷馬車行きかう職人街、活気あふれる平民街。
……そして、ここの様に空気が淀んだ裏町。

普段であればそうどうでもない限り賑やかな活気などはない裏町ではあるが、その日は違った。
入り組んだ裏町の道の先、袋小路の広場は熱気が満ちていた。
汗染みた男達の酒臭い輪の中で、二人の男が殴り合っていた。
1人は筋肉で膨れ上がった髭面の男、対するのは……

「おっ、危ねェっ」

髭面の男と比べると細身に見える、異国の少年だった。

ティエンファ > 丸太のような腕の下を掻い潜る。剛腕の風圧で長い髪が揺れる。
くぐる勢いのまま片脚を軸に回転し、その流れのまま真下から天を払う様な回し蹴りを放つ。
しかし髭の男も猛者であるのか、岩を削りだしたような肩でしっかりと受け止める。

ばしぃ!と肉が爆ぜるような音に観客が興奮のどよめきを上げる。
その声が消えるまでの間に、少年は脚を引き、バックステップ。
しかし、大男はそれに追いすがるように飛び掛かる。少年の頭よりも大きな拳が放たれ、
少年の腹を強かに打ち付ける!!
観客は賭けをしているのだろうか、少年を見ていた男達から野次が飛ぶ。
大男はにやりと口ひげを歪ませ、哀れな挑戦者をそのまま殴り飛ばそうとした。

ティエンファ > ばぎん、と固い物が砕けるような音。誰もが少年のあばらが粉々になったのだと考えた。

しかし、次の瞬間大男の表情が歪む。
少年の腹を殴りつけた姿勢のまま凍り付き、そして、苦悶の声をあげたのだ。

腕を引いた男の前、一撃を受けても揺るがぬ少年は奇妙な構えをしていた。
どっしりと腰を落とし、右肘を立てた帝国の武芸の型。砕けたのは、男の拳だ。

「剛腕の力を一点集中。効いたろ?呵々!」

少年は、まだ幼さを残す顔に笑みを浮かべる。しかしそれは顔に見合った無邪気な物ではない。
脚を軽く蹴りだす様な奇妙な一歩。髭面の男と少年の目が合う。ぶる、と大男の震えは、観客にも見て取れた。

次の瞬間、だすん、と踏み出す重い重い音。少年の姿がゆるりと尾を引くように揺らぎ、
そして、気付けば男の広い懐の内。

「死ぬ気で当てるが、死ぬんじゃ、ねェぜ?」

かか、と笑う声は衝撃音に隠れる。

大男の身体が浮く。 飛ぶ。 まるで子供の癇癪に人形が跳ね飛ばされるように。

ティエンファ > 大男はそのまま人の輪にぶつかり、人垣の一部を崩しながら倒れ込む。
ピクリとも動かない男を見る少年。腰だめから真っ直ぐ大男の胸板を突き上げた拳はまるで槍の如くに微動だにせず。
しかし、その手を広げて構えを解けば、へらりと口元を緩めて、無邪気に笑うのだ。

「筋肉の鎧も馬鹿に出来んなァ、心の臓は止まって無い様だ。おっさんやるゥ」

またやろうぜ、と声をかけるが、昏倒した大男が答えるはずもなく。
少年の声に一拍後れて、裏町にまた歓声が上がった。悲喜交々の声の中、賭けの胴元をしていた小男が、少年に金の詰まった袋を渡す。

「へへ、こりゃどうも、だ」

ティエンファ > 賭け試合。腕自慢の男達の稼ぎ扶持の一つ。
久々にこの国に来た少年は、自分の腕一つでその日の糧を稼いでいる。
連戦するかと胴元に尋ねられるが、金の入った袋の中身を検めれば、少年は首を振って次の試合を辞退する。

「命あっての物種ってね、か弱い俺にァ連戦なんて怖くて無理無理」

大袈裟に肩を竦める少年に、呆れたように笑う胴元。
また頼むぜ、と声をかけて胴元の肩を叩けば、少年は気絶したままの大男の手に銀貨を一枚握らせて人の輪を外れる。

袋小路の試合場を一歩抜ければ、春の涼しい夜風に頬が冷える。少年は赤色の目を細めて微笑む。

「一戦の後の風は良い気分だな」

ご案内:「王都マグメール 平民地区 裏路地」にヴェルソートさんが現れました。
ヴェルソート > 夜風に乗って、路地裏に少々似つかわしくない、複数の楽器めいた音と共に、伸びやかな歌声が響いてくる。
低いとも、高いとも言えない声色がリズムに乗って軽やかに、思わず気分が浮つくようなその歌は…風にのって進む先から。

『…~♪』
少し進むと、木箱に腰掛けて、七色に艶めく指揮棒を振り歌い上げる小柄な隻腕の男。
姿が見えるほど近づけば…ふわりと、鼻を掠める香りはどこか誘うような甘やかさを伴って……。
時折、通り過ぎる人がたまに聞き入り…小銭を落としていくが…何故かそれは男が多く。

ティエンファ > 「帰りがけにちょっと良い酒でも買って、飯は宿で済ますかなあ……うん?」

金袋の重さを楽しみながら歩く少年はふと聞こえた音に耳を澄ます。否、不思議と『歌の方に意識を持っていかれた』。
冒険や武者修行の経験が深い少年は、この感覚に覚えがあった。これは……

「魔法をかけられた時と似てる……でも、悪い物ってかんじはしねェな」

好奇心である。少年はその声に導かれるまま路地を歩く。
音を運ぶ風邪をさかのぼってみれば、そこには不精髭の青年の姿。
立ち止まり見れば、成程、上手い。通り過ぎ行く客からのおひねりも少なくないのも頷けるが。

「なんで男ばっかなんだ?」

その歌が終わるまでのんびりと聞き、その歌が途切れたのを聞き届けてから、
歌い手の前の箱に、今稼いだばかりの金袋から銀貨を入れた。

「いい声だな、兄さん。聞きほれたぜ」

に、とヴェルソートにやんちゃな笑みを浮かべたのは、異国の風情を持った少年だ。

ヴェルソート > 「~♪…ふぅ、やぁどうもどうも。……っと、ありがとうな。」
小柄な男がおひねりをもらうと愛想よく手を振りながら…その愛想は当然銀貨を入れた少年にも与えられる。
ただ、歌が終わると聴衆の一部の視線がねっとりとしたそれに変わるが、今は置いておこう。

「ははっ、これくらいしか取り柄が無くてねぇ。そう言ってもらえると嬉しいなぁ。…そういうあんちゃんは出稼ぎかい?」
ケラケラと笑って礼を返す男が指揮棒をしまうと、どこからか響いていた楽器の音も遠のいていき…路地裏の賑やかさがなりを潜める。
外国の衣装に身を包んだ少年とも青年ともつかぬ風貌の彼に首を傾げる男からただよう気配は、呪いに似たそれ…といっても、周囲を呪っているのではなく、男が呪われているのだが…甘やかな呪いの香りが、男ばっかりの理由に他ならない。
近づけば…「こいつになら何しても大丈夫だな」なぞという気分が、ふつふつと芽生えてくるもので。

ティエンファ > 「なァに、一芸秀でりゃそれは十分胸を張って良い物さ
 音楽の善し悪しが分からん俺が足を止めて金も払ってるんだ。腕の高低は分からんが、俺は好きだぜ、兄さんの歌」

ねっとりとした男達の雰囲気の中、からっと笑う少年。
出稼ぎ、には軽く頷く。

「武者修行中の旅人さ、縁あってこの町には何度か留まってる。
 それなりに長いつもりだったが、兄さんとは初めてだな。ティエンファ。用心棒が必要な時には声をかけてくれ」

年若いやんちゃそうな笑顔だが、物腰は落ち着いたもの。
消えていく演奏と、代わりにより強く感じる甘い香りと、自分の下半身に溜る熱の感覚。
成程、と眉を上げてから、まだ離れない数人の男を眺めまわし、最後に青年の前にしゃがむ。

「兄さん、『何か唄に込めた』ね? 俺は魔法はからきしだけど、前に媚薬を盛られた時と似てるんだ」

企業秘密かも知れないからと、自分の唇に人差し指を立てて、小声で尋ねる。
歌をじっくり聞いたが、それをねじ伏せるのは少年の克己心のなせる業か、それとも何か、慣れているのか。

ヴェルソート > 「ふふ、そりゃあ歌唄い冥利につきるってもんだねぇ。ありがとう。」
気風よく、からっと笑う少年にこちらの気持ちも少し浮かれたように目を細め、笑みを浮かべ。

「武者修行か…俺も一回出たんだけどなぁ、挫折しちまったい。…おう、俺はヴェルソート、だ。 そちらのお国じゃ発音難しいらしいから、ベルとでも呼んでおくれ。」
旅先でとっ捕まってこのザマだ、とどこかへいった片腕もそうしているかのように肩をすくめる仕草をする。 己の歌を聞いて何かを考えてから、こちらに距離を縮めた彼の囁きに…苦笑い。

「ははっ、まあ唄や声に自信があるのは確かだが…ただの唄だよ。単にそれは…俺の体の問題さね。」
奴隷として刻まれた呪い…苗床にして、使い魔や子を孕ませるために周囲の雄を誘うための、どこぞの魔族のお遊びで刻まれた呪いである。まあ流石に、それを初対面におおっぴらに話す度胸はないが。

ティエンファ > 「どういたしまして、俺も良い物を聞かせて貰った。有難う」

そう言ってから、べりゅ、べるそ、と何とか努力を口に出すが、愛称を提示されれば諦めてそれに乗る。

「ベル、よろしく頼むぜ。 ま、殴る蹴る、切った張ったは向き不向きがあらァな
 命があって喉が残った。それだけでも相当な運と強さがあるって事さ
 お蔭で今日俺は良い歌声を楽しめた」

そう言って目を細める。慰めるのではなく素直にそう思っているのだと分かるだろう。
相手が片輪だろうが男だろうが女だろうが、スタンスは変わらないのだろう。

「身体の問題?」

そう言って無遠慮に顔を近づけ、ベルの匂いを嗅ぐ。すんすんと鼻を慣らせば、成程な、と顔を離す。

「難儀な身体だな、道理で観客の目が胡乱な訳だ
 ……幸か不幸か、俺はこう言うのにはある程度耐性があるんで、と言うのを言った上でなんだが」

に、と歯を見せて笑う。

「どうだい、ベルの泊ってる宿まで俺が送ってやろうか
 一人で帰るってなるとそのー……なんだ、危なそうだぜ?」