2020/03/20 のログ
エレイ > 「ほむ……特にこれといったものが何もなく俺は深い悲しみに包まれた」

興味を引くような依頼が発見できなければカクリと肩を落とし。
とりあえず腹ごしらえでもするか、などと言いつつギルド併設の酒場の方へと足を向けて──

ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からエレイさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区/ミルクバー」にビョルンさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区/ミルクバー」にアカサギさんが現れました。
ビョルン > カウンターの端。
今しがた店に入りスツールに着いた青年の姿がある。

「ジャージー種の、脂肪多めのものを冷やのストレートで」

カウンター向こうの店主に告げる。
シュガーシロップはどうしますか、と聞かれれば少し考えて「つけといて」と言い添えた。

『乳牛獣人の生搾り』などというショーをやる店もあるがここはまっとうなミルクバー。
ただし、客は少ないかもしれない。

アカサギ > 「あー、いたいた!」

この前アニキから頼まれたお仕事が終わったので。
その報告のためにアニキを探してたらどこにもいない。
なんとか情報を集めてたどり着いたのは、アニキがたまに行くミルクバーで。

「アニキ、出かけるなら行き先教えてよ~。
 すっごく探しちゃったじゃん」

ぶーぶーと文句を言いつつ、アニキに近づいて。
するっ、と。アニキに向かって紙を差し出す。

「頼まれてたお仕事、終わりましたよ~。
 まったく、とんでもない目に遭ったんだから」

文句を言い続けながらも、お仕事はお仕事なので。
っていうか、ヘタにアニキが交渉に出かけなくてよかったよ。
アタシが痛い目見ただけですんだなら、安いもんです。

ビョルン > よく聞いた声が店の戸口から聞こえるとそちらへ視線を流し見る。
首尾はどうか聞くまでもなく。
相手が己の前に顔を出せたということは、己の希望は叶ったのだろう。
そう思えば、自然と口の端が上がる──2ミリメートル程。

「やだよ、今日はオフの日だもの」

差し出された文書、受け取っては確認する。
不備はない。
手書きのサインに目が留まれば。

「──ネメシス、と、謂うのかあの女騎士」

へぇ、と軽い感慨で呟いてから義妹の獣耳の間にぽん、と片手を置こう。
そうして頭を撫でながら、

「よくやった、偉いぞ。
 何か、欲しいものはないか──?
 なあ、俺はどうやってお前の忠義に恩すりゃいいんだい?」

甘く見えるだろうような笑顔を作って問いかける。
己はまだ女騎士だと思っている、ネメシスと遭遇したことを契機に血盟家とネメシスが所属するバルバロ騎士団の相互不可侵の約束を取り交わした。
いかなる手段や人材を使おうと、手柄はするりと己のものだ。
それを思えば義妹へ向ける笑顔など安い。

アカサギ > 「う、そりゃあ失礼。
 でもブツがブツなだけにね。
 早めにお渡ししないとと思ったわけで」

しまった、そういえば今日アニキはオフだった。
……って言っても、重要な書類をアタシなんかが持ち続けてるわけにもいかない。
なんで、アニキの憩いの時をジャマしちゃって申し訳ないけど、書類をパスである。

「そうみたいね~……」

あれ、アニキは名前までは知らなかったんだ。
……いやぁ、あの人のことは、思い出すだけでちょっと……。
いやいや、これからリベンジすればいいんだし。
って、頭なでなでキマシター!!!

「えへへ、ありがとうアニキ。
 ん~……欲しいもの、ってのは今のところはかな。
 この間抱いてもらったし。
 あぁでも……」

アニキに頭をなでられるとか、いつぶりだろうなぁ。
うんうん、嬉しいね! やっぱりこういう風に優しくしてもらえるからがんばれるんだよね!
……だけど、一つだけ。アニキにお願いしたいことがあった。

「一つ、お願いいいかな?
 アニキ、絶対立ち止まらないで。
 血盟家をアニキが支配して、そんで……。
 貧民地区の貧しい子たちが飢えなくてすむようにしてほしい、かな」

アタシも、アニキも。拾われ子。
アタシたちみたいな目に遭うような子供が一人でも減るように。
……もちろん、血盟家がそんなきれいな組織じゃないことは知ってる。
だけど、少しくらい。夢を見たって、いいじゃあないか……。

ビョルン > 書類は念のため持ち歩いていた紙筒に丸めて入れてポッケに大事に仕舞っておく。

「まぁいいさ、なんか飲めよ」

各種牛乳と、そこに種類様々のシロップを入れるかブランデーを入れるかラムを入れるかのバリエーション無限である。
あと、牛乳プディングくらいはあるだろう。

「いや、まぁちょっといい女になりそうだったけど。
 ──今回、盟約はできたわけだけど……ほかに何か得られた情報はないか?」

不可侵という繋がりのない繋がりを得ただけで終わらせる気はない。
組織としてはちょっかいを出さぬが、相手の知識は多い方がいい。

(そんなにチョロくて大丈夫か?)

義妹撫でながら浮かぶ言葉がコレである。
俺より上手くコイツを撫でられる奴が居たら、謀反されないか、なんて。

そうして続けられる言葉には、表情筋が笑顔で固まったまま深い吐息が口をつく。

「──なるべく、そう計らいたい。
 ……けれど血盟家<ウチ>は義賊でも何でもない。
 必ずと、うわべだけ口にするのは簡単が約束をする気は俺にはないよ」

天辺立てるなら、それが何時かもわからないから。
もう一回吐息ついて、乾いた空笑いが口から出かけてそれを牛乳で飲み込む。

アカサギ > 「飲めよ、って言っても。
 ここミルクバーでしょ?
 ん~……じゃあ、ビター・キリア・ミルク」

何を飲もうか、と考えたけど。
とりあえず、豆茶のリキュールのカクテルを頼む。
普通のものと違い、挽いた豆茶の粉末を入れる、ちょっとビターなやつだ。

「……あの人、女性だけど。
 はにわりだよ。あぁ、はにわりっていうのはこっちの言い方だと。
 フタナリさん」

一応どうでもいいかもしれないけれども報告しておく。
……問題はそれにアタシが翻弄されちゃったことだけど。
そこは、言わなくていいかなぁ……。

「わかってる。でも、アニキは優しいって知ってるもん。
 だから、アタシが勝手に信じてるだけ。
 それに、アニキがトップになれば、少なくとも今よりは良くなるでしょ」

正直、アタシとしては今の血盟家は好きではない。
……いや、昔も好きじゃあなかったけどさ。
ただ、今のやり方はアタシには合わない。
だからこそ、アタシとしては血盟家に所属していない、っていう立ち位置の状況は逆に気楽だ。
アタシはあくまでもアニキの下で働いてるだけ、なのであ~る。

ビョルン > こんなのも入ったよ、と甘いチョコレートリキュール”アマデウス”の瓶を掲げていた店主が応えてカクテルを作り始める。
しばらくすると相手の前にグラスが置かれるはず。

「はに? はにわり?
 ──って、ええ……そうなのか」

単純に意外性だけで一声唸って。

「会ってみてわかったのか、凄いな」

己に観察眼も知識も足りなかったと、内心歯がみ。
感心するような言葉を続けるが、裏のなさげな言い方になるだろう。

「まぁ、今でも少しは支援している施設がなくはない。
 けれど、それだって俺個人としてのものだし──…」

言いかけて、そうそうと掌差し出す。

「指輪。
 一旦戻しておいて貰おうか──女がこんなものつけてちゃ、中の人間からも外の人間からも難癖つけられるだけだろ」

今日は休日。
己の指に代紋はなくただ婚約指輪だけである。

アカサギ > 「あ、チョコリキュールかぁ。
 それも後でいただこうかなぁ」

甘いの大好きなんだよねぇ。
でもまぁ、まずは一杯目はビター気味なやつで。
……ん、美味しい。美味しい美味しい……。

「ビックリだよねぇ……。
 おかげさまで、ヒドい目に遭ったよ……」

驚くのも納得である。パッと見はただの美女だもん。
で、アニキに追求じみたことを言われたので。
そこは素直に告白しておく。まぁ、隠してもバレると思うしね。

「うん、知ってる。
 ……大丈夫。アタシが、アニキを助けるから」

アニキ個人の支援だっていうなら、余計サポートしないと。
アタシに出来ることなんて、金稼ぎか殺しくらいなんだから。
とか考えていれば、手を差し出されたので。

「あぁ、そうだね。アタシがこれ着けてるとうるさいヤツらもいるし……。
 はい。ありがとうございました。
 ……あ、難癖で思い出した! アニキ、アタシ、人雇った!」

難癖をつけてくる相手というと、血盟家の、アニキを良く思ってないやつらが思い浮かぶんだけど。
そこで思い出したので、人を雇ったことを報告する。
あの人は、アタシのこといろいろ知っても遠慮しなかったなぁ……。
ホント、いい人なんだよね。

ビョルン > (ふたなりのおかげで酷い目、ときたか)

先代の声が耳に蘇る。
『どうして血盟家<ウチ>に女がいないかって?
 男は女の為には、強くも脆くもなるからだよ──』

ならば、聞かなかったことにしてそこへ向ける自分の感情へも名前をつけないでおく。どこかにある何かの棚に義妹の言葉を置いて。

そうして、将来へと繋がる義妹の希望もまた保留だ。
こんな腐った王国で、全ての子供が幸せにという絵が描けるかどうか。現状無理、と結果は明白な訳だけど。

受け取った指輪は一旦ダイヤモンドと並べ小指に嵌めておき。
そうして牛乳をお代わり、チェリーシロップでの味付けを所望し。

「──ん?
 ああ、お前が雇ったのか。ヒットマンか? それとも護衛?」

どんな奴よ、と軽く聞きながら2杯目の牛乳に口をつける。

アカサギ > 「……」

アニキの思案する様子に、思わずアタシも黙り込んでしまう。
まぁ、アニキのことだから。
アタシのそういうところなんて気にしないだろうけど。
あんまり気に病まれても困るしね……。

「ん~とね、可愛い人。
 で、一応役目は、用心棒とスパイ、かな?」

今後どんな仕事をしてもらうかはまだ決めかねてるんだけれども。
けっこう多芸な人っぽいから。きっととてもお役立ちなハズなのである。

ビョルン > 飲み込んで貯め込んで、上手くこなせず先に爆発するのはどっちだろう。
牛乳の入ったロックグラスの中で揺れた氷が立てる音が、妙に大きく響いて聞こえた。

そうして、聞く義妹の雇う手下の話。
うん、と頷いて。

「まぁ、お前が言うんなら確かだろ。

 ──そうそう、じゃあ2人でついでに頼みたい仕事がある。
 俺が行ってもいいんだが、場所がダイラスでな」

己は本家の膝元である王都を離れがたい。

「急ぎの仕事でもないし、ただの潜入視察だ。
 どうする?」

空いた2杯目グラスをカウンターの奥へ差し出しながら、義妹へ視線を交して。

アカサギ > 良く考えると、アニキとこういう場所で話すのってはじめてかも。
……むふふ、そう考えるとデートみたいで楽しいかも。

「うん。実力は明らかにアタシより上だよ。
 ……ん、お仕事?
 アニキの命令なら、いくらでも」

ダイラス、ってことは。ウチのカジノ絡みのお仕事かぁ。
まぁそういう危険性の低そうなお仕事なら。
楽だろうし、あの人の実力チェックに丁度いいかもしれない。

「もちろん、やらせていただきます。
 って、断らないの知ってるくせに」

アタシにとって、アニキの命令は絶対だ。
アニキが命じるなら、どんな仕事だってやってみせる。
……っていっても、アタシ自身の実力でなんとかなる範囲だけだけど。
アタシもグラスを差し出して、お代わりを求めたり。

ビョルン > 牛乳3杯目。
今度はキャラメルソースを垂らしたホットミルクだ。はふはふあち。

「まぁ、弱い奴とはつるまない。
 そんなことするくらいなら、一人でいるって性質なのは知ってる」

拒否権はないと言った覚えは一度もないが、二つ返事の快諾にはいつも拍子抜けする。
ダイラスも賭博も自分個人の縄張りでもシノギでもないが。

「──ダイラスのあるカジノ、とその系列からのアガリがおかしいんじゃないかと、疑ってる叔父貴がいてな──…。
 男の臨時雇いは取らないカジノで、潜入できる女を雇いたいが信用しづらいと相談されてね」

要は、中でカジノの収益を着服している者がいないか。
様子のおかしな者がいないかだけでも調べたいと──そういうことだった。
湯気立つマグカップを手にさらりと一通り説明する。店主は奥へ行ってくれているようだ。

アカサギ > ミルクを飲むアニキの姿を見て、ちょっと疑問が浮かぶ。

「あれ、アニキって下戸だったっけ?」

さっきからずっとミルクだねぇ……。
いや、そもそも一緒にすごしてた時期はお互い子供だったわけなので。
お酒が飲めるのかどうかもよく分からないんだけど。

「その言い方だと、アタシが打算的過ぎない?
 まぁ、足手まといはいらない、っては思ってますけど」

アタシはクノイチとしての修行は完璧に終わらせてますけど。
そもそも真っ向からの斬りあいとかはそこまで得意じゃないですし。
足手まといがいると、自分の身が危険に晒されちゃうからね~。

「……ちょろまかしてるのか、あるいは何か外部からされてるのか……。
 そういうことなら、やってみましょう」

荒事の気配は感じない仕事だし。
これなら、上手くこなせるかもしれない。
それに、二人で仕事をこなせば、あの人にもお給料が支払えますので。

ビョルン > 「牛乳が好きすぎて」

義妹からの疑問を先手で封じることは構わないが疑問符を聞き終わる前に食い気味に返す。
どちらかといえば飲んだとて具合が悪くなる訳ではないが美味いとは感じないタイプの下戸だ。
任侠らしくはないので普段はおくびにも出していないが。

「打算的、とは──…、
 ひとえに俺たちの生まれ育ちのせいじゃないか」

特に己は。
教育の名目で本家で暮らしたこともあるが、その場所の特殊さは諸々と己を捻じ曲げたと思っている。

(被害者面するの楽だしね)

今の年齢までは、そんな風に思って許されるだろう。

そうして任務の話は続けて。
「──ちょろまかされているのか、ただ単に客入りが悪いのか……だとすればその原因は何か。
 都にまで上がってくる数字の報告だけでは、わかりづらくてな。
 ──カジノの給仕係、とかショウ・ダンサー……女の方が潜り込める場所が多いらしい」

給料については必要があれば支度金としての前金、報酬は後日計上してくれ──なんて告げ。

アカサギ > 「……え~? 嘘っぽーい」

アニキの言葉には、アタシはそう笑うけど。
あんまり追求して、怒らせてもアレかなー、なんて思いつつ。
どちらにしろ、酒で身を持ち崩す人間よりは大人だなぁ、とも思う。

「……ん。まぁ、そうかもね……」

よくよく考えれば、家に拾われてそれで喰っていけて。
文句言いつつも家に関しての仕事もしている。
これはまぁ、ずいぶんと打算的といえるかもしれない。

「ほいほい。了解了解。
 まぁ、そんなに時間はかからないと思うよ。
 ちゃちゃっと終わらせるから安心してて」

アニキから説明を聞きつつ、一応メモを取る。
なんでもそうだけど、メモっていうのは大事。
何かあったとき、パッと見ればすぐに思い出すことができるもんね。

ビョルン > 「嘘じゃないさ」

酒よりは好きだ、甘いならより好きだと心中で言葉を足す。
なんだか納得したようなしていないような返事にそうだろう、って首肯で後押しする。

「──お勘定を」

そうして牛乳でだいぶ腹が膨れたから席を立って紙幣をテーブルに置く。
書類と、指輪。義妹から受け取った物を確認してミルクバーを出る。
ヤサに戻るまで、当然のように相手を護衛につけて気まぐれに抱いて眠ったやも知れず。

ご案内:「王都マグメール 平民地区/ミルクバー」からアカサギさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区/ミルクバー」からビョルンさんが去りました。