2019/10/27 のログ
ユウ > 比較的治安の良いこの街にある酒場のカウンターに、背の高いスツールに座って足をプラプラさせている女が一人。
てんこ盛りの飯と生姜焼きをもっしゃもっしゃ食べていたのはさっきのことで、今はウキウキとメニューを眺めながらパンケーキのページをめくっているのを横目で見ている酒場の主が呆れたように『おまえ、さっきまであんなに飯たんまり食ってたのにまさかそれも食う気か』と言われてもどこ吹く風。

「デザートは別腹や別腹~。おっ!何やこれめっちゃうんまそーやんか!おっちゃんおっちゃん、俺これにメープルシロップたっぷりなたっぷり!」

ユウ > ためだこりゃ、と店主が呆れた顔を隠しもせずに、はいよ、と出したパンケーキはふっかふかで生クリームとシロップたっぷりのパンケーキに目をキラッキラに輝かせながら徐ににかぶりつく。
酒場で酒も飲まずにパンケーキを幸せそうにほおばっているのだった。

ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からユウさんが去りました。
ご案内:「輝く白狼亭」にゼナさんが現れました。
ゼナ > 「お待たせしましたっ、こちら、新鮮地鶏の香草焼きと、ホクホクポテトのバター乗せ、エールの大ジョッキ3つですっ。あ、いらっしゃいませー! すぐにご注文伺いますので、空いているお席でお待ち下さーいっ!」

夕日が消えて間もない時刻、ちょっぴり変わった美人店主ロベリアの経営する"輝く白狼亭"は、今日も今日とて大繁盛のピークタイムを迎えていた。
冒険者や人足といった肉体労働者を主客としてごった返す店内、クラシックな長袖タイプでありながらも丈の短いエプロンドレスのスカートを翻し、太腿をコケティッシュに飾るキャットガーターだけでなく、時に純白のレースショーツの端まで覗かせながら、くるくると踊る様な足取りで料理を運ぶ娘が一人。
並の娘では到底持ちきれぬだろう大皿と無数のジョッキを両手に抱え、隙を見つけては死角から伸びてくる尻撫で乳揉みの魔手を見事に躱し、驚くほどの手際の良さで注文された料理を届けて空皿を回収し、新たに入店した客には輝かんばかりの笑顔で空いている席への案内と注文をこなす。

シフト的にはこの修羅場を乗り切れば本日のお仕事は終了という最後の山場。

ゼナ > 仕事帰りの肉体労働者で賑わう店内は彼らの身体から発散させる雄臭い人いきれで蒸している。日頃は過酷な冒険者仕事をこなす戦士娘とて、そんな店内で獅子奮迅の働きを続けていれば汗だくとなるのは避けられない。
黄金の前髪を張り付かせる額や紅潮した頬に浮かぶ珠汗は当然として、クラシックタイプのメイド服の胸元を窮屈に張り詰めさせた爆乳の谷間や腋下などには恥ずかしいくらいの汗染みが広がってしまっている事だろう。
それでもすれ違いの最中にふわりと男達の鼻孔を擽るのは、若い娘に特有の柑橘香。雄の体臭とは一線を画す食べごろ娘の甘酸っぱさが、酒精に酔った男達からの執拗なちょっかいを誘発するも、冒険者として培ってきた危険感知能力と身ごなしの軽さはそれらのほとんどを見事にいなす。

「―――ひゃぁぁあんっ!? も、もうこのお店はそういうお店じゃないんですから、店員へのお触りは厳禁ですよっ!」

とはいえ、すべてを完全に回避しきるというのは不可能で、1日に2,3度くらいはこうして卑猥なお触りを受けてしまう。そんな無数のセクハラ攻撃を踏みつけ押しのけ掻き分けて、厨房から出された料理を再び両手に満載して戦場に戻る働き者。幸いにして店主の気前が非常に良いため、ウェイトレスの時給は高く、働きがいはあるのだけれども。

「あぁ、もうっ。この時間は本当に忙しいです。人手がまったく足りてませんっ。新しい子が何人か入ったって聞いてますけど今日は姿が見えませんし、わたしも挨拶したり先輩面したりしてみたいのにぃっ!」

ご案内:「輝く白狼亭」にルーミスさんが現れました。
ルーミス > 「―――うーん。流石にこの時間帯、一人で回すには無理があったか…」

少し後悔したように呟きを落としながら、出来上がった料理の皿をカウンターに置いていく女が一人。
今日は厨房の担当となったわけだが、この状況を見るにこっちへ移った方が店が回るのでは…?と、そんなことを考えるのも致し方無い風。
制服の構造が構造ゆえ、迫るセクハラをあんな風に避けられる自信が無い、とばかり、華麗に仕事をこなしていく同僚の姿を安全地帯から見守る。

「にしたって、もう少しくらいは人手も欲しいところだけどな」

同僚である彼女とは、開店前に軽く挨拶した程度でちゃんと話も出来ていない。
当然忙しいからなのだが――ぼちぼち、酔っ払った男共が席を立ち、満足げに店を出ていく様も見えるから。
隙を見つけてどこかで話が出来れば良いな、と漠然考えていた。
そんなことをしているとまた新しい料理が出来上がってきた為、皿をカウンターへ並べてホールの彼女を呼ぶ。

ゼナ > 「はいはーいっ、すぐにお料理運びますのでもう少しだけお待ちくださいねーっ」

料理が出来るまで俺達の相手をして退屈を紛らわせてよと迫る男性客を鉄壁の営業スマイルでさらりと切り抜け、厨房カウンターに並べられた料理を皿をクラシックタイプの長袖に覆われた腕で回収していく。

「今日もそろそろお客様が捌けて来ましたし、どうやらピークも乗り切れそうです。お料理作るのも大変だと思いますますけど、残り少し二人で一緒にがんばりましょうっ」

あまりの忙しさ故に軽い挨拶くらいしか交わすことの出来ていなかった調理係にカウンター越しの声掛けを向けて、パートタイムのウェイトレスは再び戦場へと駆けて行く。
調理を受け持つ彼女がその声に目を向ける頃には、小走りの後ろ姿がひらんっと捲りあげた黒色スカートから覗くむっちりと肉付いた小麦色の太腿と、そこに食い込む純白のレースショーツが大柄な男性客の合間に消えて行く様子だけが確認出来ようか。

そこから更に半刻程、いつもよりも早めに出勤してくれた夜勤務のウェイトレスの加勢もあり、落ち着きを取り戻したホールから戻ってきた戦士娘が

「はうぅぅぅ……疲れましたぁ……」

先程までのテキパキとした姿が嘘の様に、エプロンドレスに包まれた豊乳を歪ませながら厨房カウンターに突っ伏していた。黄金の短髪の頭頂を飾るヘッドドレスまでもが、心なしかくってりへにょんとして見える。

ルーミス > 鉄壁の営業スマイルでセクハラを躱す様はすっかり慣れたもの。安定感漂わせる風に、端から見ていて思わず笑みが零れる。
カウンターの皿が綺麗に回収されていく様を見ながら、しかし料理のペースは崩さない。
腹を空かせた客を待たせるわけにもいかないので。――と腕を休みなく動かしていると、カウンター越しに声が掛かった。

「ん、あぁ。そうだな、よろしく」

手先に集中していたせいでやや生返事っぽくなってしまったが、健康的に肉付いた太腿、それに食い込むレースショーツを何となく眺めつつ、さてピークを乗り切る為にまた手を動かし始める。

やがて加勢してくれたウェイトレス達と、厨房担当も増えたことで此方の手が空いてきた頃合。
同じく手が空いたらしい同僚がカウンターに突っ伏してぐだっ、としている姿を見てつい、笑ってしまった。
「お疲れ様。……いやぁ、よく頑張ったな。お互い」
手を伸ばして、嫌がられなければぽん、と軽く彼女の肩を叩こうとする。労いの意味こめて。

ゼナ > 「はいぃ……ほんっとぉぉおによくがんばりましたよね、わたし達ぃ」

溶けたチーズみたいな有様を晒したまま、厨房スペースから掛けられた声に疲れ切った笑顔を向けた。ぽふんっと肩を叩くスキンシップが、胸郭とカウンターに挟まれた爆乳を軽くたわませる中、彼女を見上げる上目遣いの蒼瞳が改めて本日の戦友の容姿を確認する。
どこか男性的な台詞回しなれど、その声音からまだ若い女性であることくらいは分かっていた。それでも、正面からきちんと互いの姿を見て挨拶を交わす時間も無かったというのだから、本日の修羅場ぶりも察せられようと言うものだ。

「はわぁぁぁ………」

そうして改めて観察した彼女の容姿は、ゼナが着用するエプロンドレスと同デザインのメイド服が妙にいやらしく思えるグラマラスな体躯と、翡翠色の艶髪が目を惹く美貌を有する、店主ロベリアが尻尾を振って喜びそうな美少女だった。
思わずゼナの口からも感嘆の声音が漏れる。

ルーミス > 酔客も大分捌けてきている為、その溶けたチーズの如き彼女の様相に下卑た視線を向けてくる輩も今はあまり居ないのだが。
しかし、自身もまた視線を惹きつけられる程の威力は十分に有していた。
肩を叩くと微かに弛む、その様子もまた魅力的なもので。

「………ん?」

彼女が此方を観察してくるお陰で、此方も彼女のことを正面からよく見ることが出来た。
冒険者を生業としているだけあって、快活さが垣間見える顔立ち。顔のパーツも程よく整っていて、特にぱっちりと大きな蒼眼は普通にしているだけでも興味を誘起するものだ。
そうして彼女から向けられる視線と、感嘆の声。その意図するところを何となく察すれば、意地悪げに微笑む。

「何。……もしかして、私に見惚れてる?」

こういうことをあっさり言ってのけるのも、自分への自信の表れか。
さても問いに対する答えを、興味深々で待つ娘だ。

ゼナ > 「――――ひぇっ!? い、いえっ、そのっ、あのっ、ええっと、ですね……その、ぉ……………」

艶やかな唇端が持ち上がり、人形めいた顔立ちが意地の悪い笑みを形作ると共に投げかけた問いに、戦士娘は一溜りもなく狼狽する。鋭い指摘に喚起された羞恥に頬を染めたウェイトレスが、わたわたと両手を振りつつ気の効いた言葉を返そうとするのだけれど、剣の腕前は一流でも頭の出来は然程でもない純朴娘に器用なアドリブを熟す事は出来ず

「―――――はい、ちょっとだけ見惚れてました……」

赤みを増す頬を隠すように俯いた顔が、困った様な笑みと共に正直に告白した。

ルーミス > 「―――――へぇ」

様子を見るに、このような揶揄いは得意ではないのか。
頰を染め、俯きがちに正直に告白する。純朴さが垣間見える姿に、少し意外そうに瞬く。
とはいえ、ますます興味を惹かれた。

肘をつき、カウンター越しに正面から見つめ合う――彼女が俯いている為、少し下から覗き込むような体勢となったが。
口元に浮かべた微笑はそのままに、そっと声を潜めて…

「…奇遇だな。私も、ちょっと気になってたんだ。……同僚の誼み、ということで。…少し、上で休憩してくる?…二人でさ」

そんな、ちょっとした誘い文句を投げかけ――どう?と、小首を傾いで様子を見守った。

ゼナ > 「そ、そうでしたかっ、そうですよねっ。確かにええと、わたし達、同じウェイトレス仲間……ですし……ですよね……?」

彼女の服装はどこからどう見ても自分と同デザインのメイド服。
しかし、働いていた場所は厨房。となれば、ウェイトレスではなくてコックだったりするのかも知れない。そんな迷いが戦士娘の台詞を惑わせるも、それは然程重要な事ではないとも気付いたのだろう。

「と、とにかく、わたし達が同じお店で働く仲間である事は確かですし、友誼を深めるのはいい事だと思いますっ」

こくこくと頷く顔はやけに近しい距離と睦言でも囁くかの声音の雰囲気に押されて赤みを消せずにいるものの、それでも色事に疎い純朴娘は彼女の台詞の裏を読むこと無く素直に受け取った。
仕事終わりの帰宅前に、上の空き部屋で雑談などしてちょっぴり休憩していこう。そうした誘いであると受け止めたのである。
となればそれを断る理由も無く、こちらとしても新しく入ったと思しき同僚に興味を抱かぬはずもなし、厨房カウンターにへばりついていた身体を起こして彼女と共に二階に向かう事になるだろうか。

ルーミス > 「おいおい、私はちゃんとウェイトレスだよ。……まぁ、今日に限っては厨房に人手が足りなかったから、こっちに居たけどさ」

それ故、ピーク時のホールを相手一人にお任せしてしまう羽目となったが…それはさておき。
仄かな赤みを維持しつつも、言葉を言葉通り素直に受け取ったらしき彼女に微笑を深める。
カウンターから起き上がった彼女の手を自然な仕草で取り、ついでに指を絡める繋ぎ方などして。
「ちょっと休んでくる」と他のウェイトレスに声かけてから、共に二階へと向かう。

貸し宿と居住スペースがある上階の内、適当な寝室に身体を滑り込ませると、扉に鍵を掛ける。これで、此処は二人きりの空間となった。
備え付けられたベッドに彼女を促して、座るならば自身はその隣に腰を下ろそう。

「さて。……じゃ、改めて自己紹介でもしとく? 私はルーミス。…呼び捨てでいいよ」

ゼナ > 確かに厨房の方もベテランの方が風邪でお休みしていて大変な事になっていたらしいし、急遽彼女がヘルプに回ってくれたおかげで先程の修羅場をくぐり抜けられたのだろう。
ホールの方も大変ではあったが、ゼナ一人でもどうにか回せる事の出来る負荷ではあったし、結果的には見事な差配であったと言えた。

「――――ひゃっ!? ………え、ええっとぉ……あ、わ、わたしも少し上で休んでから帰りますね。お疲れ様でしたっ」

初対面の相手にするには親密に過ぎる手つなぎに、思わず頓狂な声音が漏れた。丸くした蒼瞳を瞬かせつつ、相手の意図を読み取るべく向けた視線は、ホールに残った同僚への挨拶に断ち切られる事となった。
この後も仕事が残っているらしい彼女とは違い、こちらは引き継ぎも済ませて後は家に帰るだけなので、時間的な余裕はある。店の忙しさもここからしばらくは落ち着きを見せるはずなので、厨房から彼女が居なくなっても営業に差し支えはないだろう。

そうしてたどり付く二階の貸し部屋。
ガチャリと妙に重々しい音を伴う施錠音に、肉付きの良い体躯を訳も分からずビクリとさせるも『他のお客様が間違って入ってきたら困るし、それで鍵を掛けただけですよね』と善良な解釈をして、促されるまま寝台脇に腰をおろした。
そのすぐ隣へと腰を下ろす彼女に、何やら男性的な雰囲気を感じつつも

「――――へぁっ!? あっ、は、はいっ、そうですね。わたしはゼナと言います。こちらも呼び捨てで構いませんので、ええと、よろしくお願いします、ルーミス、さん」

基本的には誰が相手でも敬語を使うゼナにとって、出会ったばかりの相手に対する呼び捨ては少々ハードルが高かったらしい。相手の望み事は異なる呼び名に少しだけ申し訳無さそうな笑みを浮かべつつ、こちらも彼女に名乗りを返した。

ルーミス > 着々と店員も増えているだけに、この先この忙しさももう少しマシになるのではないか…という淡い期待も抱いていたりする。
今日は良い学びの機会になったと捉えておくべきか。
手を繋ぐだけで過剰に反応してしまう彼女を、どこか楽しそうに横目で眺める少女。

一応、この後も仕事が残ってはいるが…精々、厨房の掃除・洗い物といった類。
何なら一人でも出来る範囲なので――ちょっと長めの休憩を挟んでも、誰にも文句は言われない程だ。
そうして辿り着いた貸し部屋で、鍵を掛け、あまつさえ二人でベッドに腰掛けても、特別危機感もなさそうな彼女の様子に思わず漏れる笑み。
簡単な自己紹介を済ませた後、小首を傾いで…

「――ゼナ、か。よろしくね。…………うぅん、なんだかなぁ」

ぼそりと呟くと、そっと腕を伸ばして……避けられなければ、彼女の肩に回して距離を詰める。

「…私に何かされるかも、とか。全く思わなかったのか?…こんなこととか」

そう囁くと、そっ、と此方から顔を寄せて――彼女のぽってりと厚い唇に、自身の唇を押し付けようとする。

ゼナ > 「…………………?」

自己紹介を終えた後、不意に漏らされた彼女の呟き。何か決断しかねているようなその響きに子供めいて無垢な表情が小首を傾げた。
そしておもむろに持ち上がる彼女の細腕が、キシ…とベッドを軋ませながら二人の距離を一気に狭めて絡みつくなら

「――――えっ? え……と、え、えぇ……っ?」

まるで状況を把握していないといった顔が肉付きの良い体躯を竦ませ、どこまでも近づいてくる美貌に唇を奪われた。

「―――――ん、んんぅう……っ!?」

まん丸に蒼眼を見開いたまま、唇に感じる同性の柔らかさと鼻腔を擽る上品な香りでようやく現状を把握した。
ふたなりという特徴こそ持ちつつも、見た目も匂いも同性以外の何物にも見えない相手の嫁となり、彼女との爛れた関係を毎日の様に繰り返すようになったゼナである。
流石に自分が同性愛という歪んだ性癖の持ち主なのだと理解していた。
それでも、出会ったばかりの、まともに言葉を交わしたのさえつい先程の相手にいきなり唇を奪われた事には困惑ばかりが際立って、それに対する反応もまた遠慮がちで曖昧な物になってしまう。
今しも唇を奪われたまま、それでも控えめに、相手の意思を尊重するような力加減が彼女の肩を押してゼロとなった距離を一旦離そうと試みる。そのまま強引に事を成そうとするのなら、どこまでも行けてしまえそうな程に弱々しい抵抗。
しかし、彼女がそれを良しとしてしまうのならば、今後の二人の関係はぎくしゃくした物になるかも知れない。

ルーミス > 特に避けられるでもなく、あっさりと唇は奪えた。
が、唐突な行動ゆえに困惑を隠さない相手から、軽く肩を片手で押される。そのひどく弱々しい抵抗に応じて、重ねた唇を一旦離す。
間近に、揶揄うような悪戯っぽさ滲む瞳が彼女へと向けられた。

「―――ご馳走様。……なんてね」

そう言葉を囁くと、肩に回していた腕を引き、元通りの距離に落ち着く。
何事もなかったかのように足を組み、何事もなかったかのような表情を隣に向けて。

「…というわけで。私みたいな奴にほいほいついていくと、こんなことになるかもよ…っていう。忠告みたいなもの?」

言いながら自分でもよくわからなくなったのか、瞳瞬いて首を傾ぐ。

ゼナ > 幸いにして力ない抵抗にもあっさりと彼女はその身を離してくれた。
ほっと小さく安堵の吐息を零し、唇に消え残る彼女の余韻に改めて困惑しつつも

「――――え、ぁ………と、その……お、おそまつさま、でした……?」

ごちそうさまの言葉に半ば反射的に返してしまう珍妙な返事。
色々な事をどの様に受け止めれば良いのかと迷ううち、二人の身体が重なる前と同じ距離感へと戻ったならば

「――――あっ、あぁっ、なるほど。そういう事だったんですね!」

ぱっと輝いた表情が、ここに来てようやく合点がいったとばかりに幾度も頷きを返した。対する彼女、ゼナに納得を与えた台詞を口にした本人自身が疑問符を浮かべる様に小首を傾げているのがなんともちぐはぐではあったけれど、それでも戦士娘の困惑はここに来て一応の解決を果たしたのである。
しかし、男性から同様の忠告を受けた事は何度かあったか、よもや同性からも同じ様な事を言われるとは思ってもいなかったため

「はぁぁ……わたしって、本当に無防備なんですね……。もっと気をつけるべきだとは思うんですけど、なんだかそういうのって難しくって……」

しょぼんと肩を落としつつ、困り笑いを彼女に向けた。
似たような状況に流されて、結局最後まで行ってしまうなんてことも多々あった。彼女とそうした流れにならなかったのは、忠告を目的とした戯れにそうした"雰囲気"を感じられなかったからなのかも知れない。
理不尽で突拍子の無い強引なアプローチに弱く、流されやすいゼナではあっても、彼女自身の魅力や、ドギマギとさせられる雰囲気などを与えてもらってからでなければ流石に落ちる事は無いという事なのかも知れないけれど。

とは言えこれは、状況的には酷い話だ。
忠告を目的とした戯れめいた行動であったとは言え、ぐっと距離を狭めてくれた彼女の好意を無下に断った形なのだから。

「――――え、っと、その……ご忠告ありがとうございます。それと、その……ごめんなさい。ルーミスさんはとっても綺麗だし、えっと、あの……ぉ……おっぱいとか、とっても魅力的、だと思うんですけど……」

同性の胸部をそういった視線で見てしまっているという性癖の暴露には、流石のゼナも赤面を堪えられなかったが、それでも彼女には出来るだけの誠意を返したいと思って言葉を紡ぐ。
彼女がそうした自分の武器の威力を十全に活用して迫って来ていたのなら、今頃はベッドに押し倒されて喘ぎ泣かされていたかも知れないと。

ルーミス > 「うーん。……まぁ、初対面の私が少し心配になる程度には」

無防備、という単語に一切の否定をせず、一度、小さく頷く。
まぁ勿論、彼女の魅力的な身体に少なからず欲を感じていたのも事実だが。こればかりはそういう"雰囲気"にならなければ仕様がない。
とか言っていれば、赤面を湛えながら訥々と紡がれる彼女の言葉が耳に入って、また視線がその瞳へ、そして首筋を辿り、自然胸元へと。

「―――そう?それはどうも。私も、ゼナのおっぱいはすごく魅力的だと思うよ。…顔も、可愛いしね。つい悪戯したくなってしまうくらいには」

ベッドに片手をつき、身体を少し傾けるようにして彼女を見つめる。口元には微笑。
つ、ともう片方の腕を伸ばし、人差し指を立てて、その唇を淡く撫でようとする"戯れ"をもう一つ。

「まぁ。いつか仕事と関係なく、どこか一緒に遊びに行ければいいな、と思うよ。私はね。仕事でしか繋がりを持てないのは寂しいし」

ゼナ > 「――――あっ、ありがとう、ございます……」

つぅぅ…っと降りて行く視線を追いかけて見れば、エプロンドレスを大きく膨らませる胸元にてその双眸が動きを止めて、自意識過剰と言われても仕方のない事ではあるけれど、それでも彼女本心からの何ら隠し立てしていないような褒め言葉を耳にして、こちらもまた思わず頬を赤らめたはにかみ笑いでお礼の言葉を口にしていた。
先程までの一連の流れではあまり感じ取れなかった彼女の本気が、今の一言には含まれていた様に思えたのだ。

とは言え、続く行動にはまたしても芝居じみた表層的な物を感じてしまって、唇に触れる指先を避ける事はせずとも少しだけ困った様な表情を浮かべてしまった。
自分でもはっきりと理解出来ていないこの感覚は、簡単な言葉にするなら相性の良し悪しと言う単純な物になるのかも知れないけれど、それさえ実のところはどうなのか分かっていない。

「――――ん、そう、ですね。確かにお仕事中はあまりおしゃべりしている余裕もありませんしね。 ……でも、こうやって仕事の後の時間とかで、もう少し仲良くなってからが嬉しいかもです」

どこかに一緒に遊びに行きたいという言葉には再び彼女の本気が感じられた。
だからこそこちらも、拙いながらも本心の感じるままに、もう少し互いの相性の様なものを確かめてからにしたいという気持ちを彼女に伝えた。
そうして改めて彼女を見つめる蒼瞳は、元々の眼力の強さで彼女を縛り付けるかの凝視を見せて

「―――――ん、やっぱり素敵です。ルーミスさんの顔も、え、っと、その……か、身体、も……わたし、好き、です♡」

改めて彼女の外見が自分の好みに当てはまる物である事を伝えた。
後はそうした魅力をもっと、それこそゼナを魅了する程に見せつけて、芝居めいた演技ではなく、本気の感じられる言動で付き合ってもらえたならば、仲良くなれるかも知れないとも。

ルーミス > 「―――――……」

わかりやすくもあるその表情の変遷を見、何となく掴めてきたところはある。
しかし如何せん"本気"の出し方を図りかねているのは、やはり今までそう言葉を交わした経験が無い相手だからか。
唇を撫でた指をそっと引き、此方も少し困ったような表情を見せるのも束の間。

「――まぁ、それでいいさな。こうして話せる機会があるだけでも、それはそれで貴重だし」

今の段階では、相性はとてもではないが判断することが難しい。
だからこそ、提案については自分も賛成の意を表し、頷いた。
そうして、蒼眼の強い眼力で此方を凝視されると、ついたじたじとなってしまう。

「………そ、そう。……それは、嬉しい。――私も、ゼナの顔も、身体も好き」

正面切って褒められるとやや照れ臭く、自分に絶対の自信を持っているとはいえ少々たじろいでしまう。
そっと視線を逸らして、唇を尖らせながら呟いた。

「……さ、てと。折角の二人きりの機会だし。もう少しゼナのことを聞かせてくれよ」

場を仕切り直すように言葉を一度切り、再度紡ぐのはちょっとした雑談の提案。
応じてくれるならば暫し、二人きりの個室で何気ない時間を楽しみつつ。
互いの日々や、プライベートな時間について、緩やかに女子トークを繰り広げていったことだろう。
次にこうした機会がいつ訪れるのかは、まだわからないままに―――

ゼナ > 「………………………」

またしても本気の言葉。それはどこか子供めいた物なれど、表層だけを取り繕った芝居じみた物よりは余程に心に響く。じっと見つめる彼女の肢体と整った顔立ちが、ゼナにとっては魅力的に映る物である事も相まって、気付けば

「―――――……その、ぉ……ぉためし、してみます、か……?」

なんて言葉を紡いでいた。
現状、会話の相性はあまり良くない様な気はするものの、もしかしたら身体の相性は良いかも知れない。最近では特に淫乱さを増しつつある戦士娘は、先程の彼女の忠告そのものが無意味になるような尻軽な提案を口にして、それと重なる様に発せられた彼女のリクエストにハッとして

「そ、そうですねっ。わ、わたしの事ですねっ。ええっと、わたしはですね、元々南方の国々で冒険者として……」

自分自身が口にしかけた余りにはしたない提案に小麦の頬を真っ赤に染めつつ「この部屋は少し熱いですよねっ」なんて言葉でそれを誤魔化しながら、請われるままに自分の過去を話し始める。
彼女の口付けを拒む形となったこちらを攻めるでも無く、こうして水を向けてくれた相手の好意を無碍にするつもりは流石にない。
元々それほど口の立つ方ではないゼナなので、その会話がどれほど弾む物になったかは分からぬ物の、再び忙しくなり始めた厨房からの呼び出しで彼女が階下に降りるまで二人の語らいは続けられる事となるのだった。

ご案内:「輝く白狼亭」からゼナさんが去りました。
ご案内:「輝く白狼亭」からルーミスさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2 屋台通り」にシロナさんが現れました。
シロナ > 通りの右に、屋台がずらりと並び、通りの左側に屋台がずらりと並ぶ。
 マグメールの平民地区の一角、屋台通り。
 自分の店を持てない商人や、自分の手に入れた物を売りたい冒険者などが、商人ギルドに申請をして一時的なお店―――屋台を出している通りなのである。
 ここは、日ごとに店が変わったりして結構面白い、そしてたまーに掘り出し物とかも有るのだ。
 そんな屋台通りに女の子が一人、その両手には、串。

「にく、おいしー!」

 程よく焼かれ、甘辛なたれをつけた焼肉の串。
 それを、美味しそうにもしゃもしゃ食べながら歩く少女は。
 ただいま買い食いの真っ最中であった。

シロナ > 「もぐもぐもぐもぐ。」

 串を両手に、右に左に、お肉を食べているものの、そのうちお腹がお肉塗れになってくる。
 そうなると、ちょっと違う味が欲しくなる、メインが終わったら次は口直しである。
 さて、口直しには何がいいだろうか、串を近くのごみ捨て場にポイっと投げて、屋台を見て回る。
 飲み物がいいかな、食べ物がいいかな、果物とか、ジュースとか。
 色々考えながら、とことこ歩く少女は、並ぶ屋台の売り物を眺めて通り過ぎる。
 今は、思考が食!なので、それ以外のものに目は向けない。

「んー。ねーちゃんなら、何を食べるのかな。」

 本人が居ないところだと、ざっくばらんに姉の事を呼ぶ妹。
 本人が目の前に居ると、お姉様と呼べー、的に怒られるので、居る時はお姉様と言うのだけど。
 性格が性格なので、居ないときは、ねーちゃんとか、姉貴とか。
 そんな妹なのである、体育会系。