2019/08/17 のログ
カイン > 「ま、たまには少し遠回りになるのも悪くはないか」

そう急ぐような話でもないと気を取り直すように漏らして、
繁華街とは逆の方へとゆっくりと歩いていくのだった。

ご案内:「王都マグメール 平民地区2/路地」からカインさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にジラさんが現れました。
ジラ > 『ペットお断り』の料理屋の前。
木の柵のひとつに首輪から伸びる鎖が巻きつけられ、奴隷のジラは地べたに座って待たされていた。
『主人』が取引相手の誰かと入ってから一時間このまま放置されている。
道行く者が犬のようにつながれて座り込むジラを指差しては通り過ぎていった。

「…………」

『主人』はこういう悪趣味な放置でジラを苛むのが好きだった。
おとなしく座るのにも飽きて、自力で鎖を柵から外そうとして……
うまく行かない。
ジラの非力ではギリギリ外せないように固く巻きつけてあるのだ。

ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にブレイドさんが現れました。
ブレイド > 今日の依頼を終え、硬貨の詰まった袋を懐にしまいつつギルドを出る。
いつものような小間使いのような仕事ではあるが
なにもないよりかはましだ。おかげで少し豪勢な晩飯にもありつけるのだし。
周囲になにかいい店でもないかと見回してみれば、小さな長い赤毛のなにかが鎖に繋がれている。

「なんだありゃ…」

すこし視点をあげてみれば、ペットお断りの店の看板。
なるほど。
この街に来てから少しは慣れたが、こういう光景はいつ見ても胸糞悪くなる。
ため息一つ、そのペットとやらに歩み寄って、声をかけてみる。

「おい」

ジラ > 鎖をいじくるのにも飽き、誰かがつっついてくるわけでもないので
そのへんに座り込んでいると、少年がひとり近づいてきて不機嫌そうに声をかけてくる。

「……わんわん! くぅ~ん」

ドブのように淀んだ黒い瞳で見上げて膝立ちになり、舌を出して犬の鳴き真似をする。
むろんこういうふうにしろと言われているだけで、別に楽しくてやっているわけではない。
どういうつもりで近づいてきたのかわからないが、こうやって適当に芸をしていれば満足してもらえるだろう。
そんなふうに考えている。

ブレイド > ため息をもう一つ。
奴隷として教育されているのか、それとも生まれてから言葉も教えてもらってないのか。
なんにしても、犬のマネをする彼女の姿を見て眉をしかめる。
こうしている以上…誰かのペットなのだろう、それはわかる。
そういうものに関われば面倒だということも。
しかし、腰の大型ナイフに手をかけ、魔力を込める。
両断のイメージ。強く、強く。

「邪魔だ」

犬の芸をする彼女を退けるように歩み、鎖を両断せんと大型ナイフを振り下ろす

ジラ > 「うわ」

躊躇なく剣を手にし、抜いて振りかぶる様子に顔をひきつらせる。
どうやら彼は随分と気が短いらしい。
暴力の気配に思わず目をつむっていると、甲高い音を立てて鎖が断たれる。

「………………」

言葉を発さないまま、一体なんのつもりなのか、と
そう言いたげな視線をフードの彼に向ける。
どうやら自分に興味があるようだし、逃げるのは無理だろう。

店の中に入っているジラの『主人』が出てくる気配はない。
これに気づいていないのか、あえて無視しているのか。

ブレイド > 鎖を断ち切って、ナイフを再びしまう。
見上げる彼女に視線を落とすと、また不機嫌そうな目つき。
何も言わず、動きもしない。

「なんだよ。鎖、はずしたかったんじゃねーのかよ」

彼女がそうしようとしているのを見たからこそだ。
この街で奴隷が逃げられるわけでもない。それはわかっている。
でも、彼女が自身が繋がれていた鎖を外そうとしているのはわかったから断ち切ったまでだ。
派手な音もたてた。この奴隷の主人が出てくるかもしれないが…まぁ、何をしようというわけでもない。

「で、喋れるのか?しゃべれねーのか?言葉わかんねーと不便だろーによ」