2019/06/22 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区/雑貨店」にピングさんが現れました。
ピング > 昼も過ぎ、賑わいを見せる大通りから一本外れた場所にある古びた雑貨屋。
”本日、本が特価”という貼り紙が入り口にあった。

店内では相変わらず雑多な様子ではあるものの、奥まった部分にある棚に”お勧め”と言うポップが飾られており。
急ぎ本だけを固めたのだろうその棚は、内容は専門書から娯楽物まで順不同で並べられており。
けれども開いてみれば判るが、その本の3冊に1冊は官能本だった。
性質の悪いことに表紙と内容を入れ替えている物もあり、さながら本を探す客を陥れるトラップ。

今日は何度か、恥ずかしそうに本を閉じる客や、逆に周囲を気にしながらも読み耽る客を見て楽しんでいたものだった。

「さぁー、いらはいいらはい。今日は本がお勧めだよー」

客なんて殆ど居ない店内に向け、それでも一応店主らしくカウンターから声出しをするのだった。

ご案内:「王都マグメール 平民地区/雑貨店」にミュゼさんが現れました。
ミュゼ > 夏の初めの頃となれば、昼下がりもじっとりと汗ばむ程度に暑くなる。
どんよりとした曇り空は、通り雨が降るか振らないかという塩梅だ。

「んー、ここまで全部不発かぁ……」

そんな中、少女は何かを探すようにきょろきょろしながら路地を歩いていた。
その手元には買い物用の小さな鞄。それから街路の案内を兼ねた羊皮紙の地図。
いくつか丸がついているのは、その全てが雑貨屋、あるいは道具屋の類。
何やら探し物をしているらしい少女は、空模様を鑑みて足早に路地を抜ける。
革靴が石畳を叩く音が、こつこつと道に響いて小気味よい。

やがて、足音が止まる頃、少女の目の前には一見の古びた雑貨店があった。
ここもなければ、どうしたものか――などと考えながら、そっと扉に手をかけて。

「ごめんくださーい……」

挨拶と共に扉を開き、そのまま体を滑り込ませる。
中の様子は雑多としていて、何がどこにあるのか、といった具合。
こういう店は店主に聞くのが早いだろうか――とまずはカウンターへ。

「すみません、こちらと同じ品物はありますか?」

想定通り、というべきか。店主の男に声をかけ、探している品を見せる。
それは、マントなどを止めるための金属のピン。随分と古いもので。
あれば僥倖、無ければまた別の店を探すか、或いは帰るかーーなどとぼんやり考えながら。

ピング > 程なくして、客足はぱたりと途絶えた。
そんな暇を持て余していた昼下がりに、新しい客がやってきた。

「はいはい、いらっさい。なぁにかお探しかね?」

冒険者と言った風情の少女の姿を見やり、首を傾げ。
差し出されたのは金属製のピン。
ふむ、と一つ頷くと、記憶を探る様にこめかみを撫で。

「似たようなモンならあるがまったく同じってぇと―――」

代替品としてなら、多分ある。
奥に引っ込み在庫を漁り、程なくして戻ってくると差し出したのは似たような代物。
さてさて、相手にご満足頂けるどうかは判らぬが。
幾つかの候補を提示して。

こうして今日も雑貨屋の日常が過ぎていくのだった―――。

ご案内:「王都マグメール 平民地区/雑貨店」からピングさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区/雑貨店」からミュゼさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にテリスさんが現れました。
テリス > 「おっちゃん、帰るぜー。」

そう言って酒場の勝手口から出てくる少年。
ふー、と今日もひと仕事終えた、とばかりに息を吐き、メインストリートへ。
飯も食ったし、あとは帰るだけだな…と考えながら歩いて行く。向かう先は貧民区。

今日の所は客もおらず、暇は敵だとばかりに日雇いの荷運びをやっていた。
たまには身体を動かすといい感じの疲労感があるなぁおい、そんな事を思っている表情は上機嫌だ。

通りを歩いていれば、
…そういえばあいつにもらったチケットの店ってこの辺だっけ。
そんな事を思い出すが…ふるふると首を振る。
その店は娼館だ。ヤりたいだけの男みたいじゃないか、と考え直して足を速める。
少し前に女性に餌食にされて以降、たまーに思い出してしまう思春期の少年なのであった。

考え事をしていて早足では誰かにぶつかってしまう事もあるかもしれないが。

ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にパンドラさんが現れました。
パンドラ > 「Ra...ra...ra ra ra...ra......ra ra...ra ra ra ra...」

考え事をしていた少年であれば気づくのが遅れたかもしれない。
どこからともかく、裏通りには縁の無さそうなソプラノの歌声が響いている。

「暁の──遥か彼方に輝くあの大地──光以て世の幸満たす──恵みし実り──♪」

どこから?上から。
塀の上に、背に半透明の翼を携えたドレス姿の少女が、鈴を転がしたような声で歌っていた。

テリス > なんだかんだ、考え事をしながら歩いていっていた。
と、何か聞こえてくる。

「ぁん?」

と脇の路地を少しの間眺め……。
普段なら気にする事もないが、妙に気になって路地に入っていく。
メインストリートから一本通りを外れれば裏通り。
人通りもまばら。その中で何やら綺麗な歌声が響いている。
詩人の歌かな、と思ったがどうやら違うようだ。

音の源を探せば塀の上。
屋敷の奥にでも箱入りになっていそうな少女が歌を歌っていた。

「何やってんだ…?」

少年は小さく呟いて近づいていく。
近づけば、頭の上に光る輪や、背にある翅が見えてきて。
浮世離れした光景。人でない者の歌う歌に、少しの間魅入ってしまっていた。

パンドラ > 「雲の明け行く──あの空の如く──妙なる調べは──明日の扉開き──照らし出す──♪」

誰に捧げられるものでもない歌声は、冷たい夜の闇に消えていく。
しかし、それを耳にする者の心に、松明のような輝きを焼き付けるか。

「母なる大地──私は願う──嗚呼──陽は黄金の光で木々を飾る──永久に踊り続けよう──喜びを永遠に捧げよ──♪」

そこまで歌ったところで、ぴたりと歌声が止まった。
じっと、青い目が少年を見下ろし──ふわふわと舞い散る雪のように、重量を感じさせない動きで塀から降り立ち、少年の前に立った。

「……。こんばんは。」

テリス > 近づいてきたのに気づいたのか、少女は歌を止めて見下ろしてきた。
ふんわりとした動きで飛び降りて自分の前に立つ。

「お、おう。こんばんは。」

なんだか自然に挨拶されて、思わずと言った様子で挨拶を返す。
調子狂うな、という印象が抜けないが、目の前の不思議少女を何者だろうかと眺める。

「…なんか邪魔しちまったかな。悪ぃな。」

とりあえず歌を止めた事を邪魔したかと思い、謝る。
世間話のような雰囲気を出そうとしているが、若干ぎこちないか。

パンドラ > 「……。名前。……。あなたの名前は?」

反射的に返されたのであろう挨拶に対し、じぃ、とジト目気味の目で少年の顔を見つめながら、問いを投げかけた。

「……。わたしは、パンドラ。……。問題ない。わたしも。手持無沙汰だったから。……。…………。わたしの歌、気に入った?」

くり、くり、と首を左右に交互に傾け、数度翅をはためかせながら。
どうやらぎこちなさを肌で感じ取ったらしく、自分から話題を提供しようとした様子だ。
その内にある極端なマイペースさは、既に隠し切れなくなっているが。

テリス > 「ん? あー……テリス。テリスだよ。」

じぃ、という目つきは責めているわけではなかろうがあまり機嫌よさげには見えない。
怒らせたかな?と思うものの…次の言葉に、それが平時なのか、と思い直す。

「パンドラ、ね。あー…そうだなぁ。気に入った、のか?
まぁ、気になった、って感じ…かな?

にしても、暇で歌ってたんだな。結構上手いんじゃねぇか?
詩人かと思ったよ。」

どうやら話を聞く聞かないというか、マイペース過ぎるきらいがある様子。
少年としてはいまいちペースが掴みづらいので距離感がつかみにくい。
しかし、歌を下手とは思わなかったので、とりあえずちょっと笑顔を浮かべてそう言ってみる。

パンドラ > 「……。テリス。テリス。テリス。……。覚えた。」

無表情という程ではないが、感情の起伏はあまり強くない様子。
距離感の掴みづらさに拍車をかけているかもしれない。

「……。気に入った。気になった。……。違いが良く、わからないけれど。……。ありがとう。わたしは、歌うのが好き。踊るのも好き。悪戯も好き。……あなたたち人間が、妖精、精霊、小さな神、その他諸々の名前で呼ぶ、存在だから。」

相変わらず表情の変化に乏しい、と見せかけて。
『悪戯も好き』の発言の部分だけ、露骨にニヤリと笑った。

テリス > 無表情でぼそぼそと喋るような。
うーん、やりづらいなー、と少年は内心で思う。
別に敵対心を向けてくるわけではないので、害があるわけではないと思う。のだが。

「なんてーか、気に入るって程じっくり聞いたわけじゃないけど。
綺麗だな、って思って見に来たくらいには気になった、って感じだな。

へぇ。妖精。初めて会ったよ。」

踊り、歌、悪戯。
あまり興味が無かったので詳しくは知らない。が。
一応、話の通りに言われてるモンが好きなんだな、と再認識。
しかし、妙にそこだけ感情の見える露骨な笑みに、やられる方はきっとたまんねーんだろな、と思った。

パンドラ > 「……。そう。それなら、良かった。……。妖精に会うのは初めて?驚いた?…ねぇ、驚いた?」

明らかにワクワクしている声色で尋ねて。

「……。わたしの特に好きな悪戯は、寝ている人や馬の髪型を勝手に三つ編みにしたり、頭の上から声をかけたり、こうやって──人気のない場所で歌って、妖精を初めて見る人を驚かせたりすること。」

先ほどまでとは打って変わって、ニコニコと笑みを湛えながら、実に嬉しそうに語る。

「……。つまり、テミスが驚いてくれたのなら、わたしの悪戯は大成功ということ。」

どうやら、無表情で感情が読めないのも『悪戯』の一環だったらしい。
悪戯と言っても、他愛のない悪戯ばかり好む様子で。

テリス > 「あ?あぁ、初めてだよ。あー、そうだな。それなりには驚いたかな。」

妖精の存在、というよりは王都のこんな所に妖精がいるという事に、だが。
喜んでいる様子は、悪戯が成功した子供、という印象。まさにその通りなのだろう。

「そっか。まぁ、可愛いもんじゃないか?
別に怪我させたり殺したりってわけでもなし。」

ニコニコとしている様子。
あぁ、さっきまでのローテンションはむしろ演技だったのか、と察する。
多分これが素の彼女なのだろう。

「パンドラは、ずっと王都にいるのか?
いや、俺帰り道だからよ。また会ったらそん時ゃよろしく頼むよって事なんだが。」

パンドラ > 「……。やった。」

ぐ、と両手を胸の前にやって、握り拳を作る。
悪戯が成功した子供のよう、という形容は正に言い得て妙だろう。

「……。そういうのは悪戯とは言わないの。された方も笑えて、初めて悪戯と呼べるものだから。」

どうやら、悪戯にも矜持があるらしく。
悪戯と聞いて真っ先に怪我や殺しという意見が出てくることに、ちょっと頬を膨らませた。

「……。うん、この街は好きだから。何だか、この街の中にいると元気になるの。……。…………?
 よろしく……って、テリスは何をしているの? わたしがお客様になれるようなお仕事?」

人差し指を唇に当てて、コテンと首を傾げた。

テリス > 嬉しそうな様子は満足した!という感じ。
少年とて悪人ではない。
ちょっと年下っぽい子が嬉しそうにしていればそんなに悪感情が沸くわけでもなく。

「あぁ、そうなのか? 悪ぃな、そーいうの疎くて。」

一転、不満を見せれば素直に悪いと言った。
疎いというか考えた事もなかったのだが。
ともあれそんなに悪い事はしていない様子。
だったら可愛げがあるくらいじゃねーの?というものだ。

「そか。あー、俺? 俺は一応情報屋かな? 暇な時は荷運びとかしてるけど。
パンドラがお客様…はちょっと難しいかもな。大体冒険者とか傭兵とか相手だし。」

たまに金払いのいい貴族が来てくれれば嬉しんだけどなぁ、と呟く。
可愛らしい仕草にはちょっと罪悪感。
ただまぁ、こんな子に売りつけるような話もストックはないのだ。

パンドラ > 「……。えへへ。悪戯で、お互いに笑顔になった時が、一番嬉しくて楽しいの。」

そう言って、今度ははにかんだような笑みを見せた。
こちらも、少年に対して悪い感情は持っていない様子だ。

「……。悪戯って聞くと、洒落にならないことを想像する人が思っていたより多いの。そんなことがしたいわけじゃないのに。
 ……。でも、テミスはわかってくれたから、もう大丈夫なの。」

少なくとも、他人は他人、目の前の少年は目の前の少年で、割り切って考えている模様。
これ以上、目の前にいない存在に対する不平不満を口にするつもりはなさそうだ。

「……。情報屋。知りたいことを、お金と引き換えに教えてくれる人。
 ……。テリスの言う通り、わたしはお金は持っていない。
 あ、でも。……。この街は、女の子の『コレ』が、お金の代わりになるって聞いてるの。」

そう言って、トントンと自分の股関節の辺りを人差し指で叩いた。
既に童貞ではない少年なら、その意味するところもわかるだろう。
少しばかり、その笑みも淫靡なそれのように見えるかもしれない。

「……。今日は、欲しい情報がないけれど、その時の支払いは『コレ』で、お願いできる?」

テリス > 「そか。どんどんやってくれ、って言えねーけど。
そういうのが成功するといいな。」

はにかむような表情は可愛らしいものだ。
少女なりに悩みはあるようだが、些細な事で終わればいいな、とも思う。

が、股間の辺りをつつかれると、うぇ、という変な声が漏れてしまう。

「や。まぁ、それが代わりにならないとは言わねーけど…。
あー…う、うん。まぁ、わかったよ。」

と生返事になってしまう。
童貞ではないし、言っている事もわかるのだが…。
なんぞ少女好みの話とかあんのか?とも自問自答する。

「ま、まぁいいや。そん時ゃそん時な。
じゃあ、俺そろそろ帰るからよ。暗いトコには希ぃつけろよ。」

ちょっと照れ隠しも含め、そう言ってじゃあなと手を振る。
そのままくるりと背を向け、平民区のメインストリートへと足を向けるだろう。

パンドラ > 「……。うん!」

今日の会話で一番、力強い返事。
妖精とは言え、見た目相応に可愛げはあると感じられるか。

「……。約束。わたし、人間のことは知りたいことがたくさんあるから。」

生返事をOKの意味に捉えてしまった。
ぺろ、と人差し指を舐める仕草まで見せている。
どうやらこの少女も、処女ではなさそうだ。

「……。うん、それじゃあまたね、テリス。ふふっ……。」

手を振って、照れるのを隠すように振り向いて歩きだした少年を、何とも言えない笑みと共に見送って。
そして、ふわりと宙に舞い、鱗粉のように光の軌跡を中空に残しながら、妖精も月影の中へと消えていった。

ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からテリスさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からパンドラさんが去りました。