2019/06/18 のログ
エレイ > 男が視線を向けた先にいたのは、尻もちを突いて座り込んでいる小さな少年だった。
男にとっては些細な衝撃だったが、少年にとってはそうでなかったらしく、結構痛そうにしている。
見かねて手を差し伸べたが、それを少年は辞退しまだ痛そうにしながらも自ら立ち上がると、
強がった表情で笑ってみせた。男だからこれぐらい平気だ、と。

「──ほう。見事な根性だと感心するがどこもおかしくはないな。男ってのはそーでなきゃあなッ」

そんな少年に、男は垣間目を丸めた後ニィ、と相好を崩した。
わしわしと頭を撫で付けてやった後、どちらからともなく拳同士を突き合わせる。
男同士の小さな友情が突如としてここに生まれた。
その直後、母親らしき女性の声に呼ばれて少年は元気に去ってゆく。
それを微笑ましげに見送った後、男も再び歩き出し。

「……さて、ちと小腹が空いたな。なんか食うかな?」

気づけば、食べ物の屋台の並ぶエリアに差し掛かっており、食欲をそそる匂いも
漂ってきている。改めて周囲を見渡しながら、男はふむむと悩ましげに唸った。

エレイ > やがて男の姿は、喧騒の中へと紛れていって──。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からエレイさんが去りました。