2019/06/06 のログ
グライド > 「そうかい、そう言って貰えりゃ安心だ。」

(くつくつと、笑いながらに竦める肩。
親近感、なぞと口に出した時点で、強がりか誇張か
或いは――想像出来る事は幾らでも在る。)

「そうかい? ま、図体がでかいのは仕方ねぇな。
だがよ、完全に死角の積りだったが、其れでも気付く嬢ちゃんの方がやると思うぜ。」

(やるじゃねぇか、と、相手を褒める様な声音は
逆に言えば、娘が人間を多少なりと下に見ているのなら
皮肉めいた響きに聞こえて仕舞うやも知れないが――他意は、ない。
ふと、娘が道を開ける様子を見せるなら、道を通る様に再び歩みを進めるが。

その、傍を通り抜け様かと言う所で、ふと、足を止め。)

「――――王都は快適かい?」

(まるで、思い当たったように、興味本位で聞いてみよう)。

ルビィ・ガレット > 「………」

小さな違和感が残るようなことをこちらは言ったはずなのに。
相手は指摘しない。……ニコニコ、笑顔を浮かべたまま思った。
――こいつ、嫌なやつだ、と。ただ、女はひねくれているのだ。

この場合、「嫌なやつ」は褒め言葉に当たる。

「……私が気づかないままだったら。どうしていたの?
 ――後ろからいきなり声をかけて、『わっ』……って。脅かしたとか?」

自然な会話の流れを装って、相手の褒め言葉を受け流す。
本心だろうが社交辞令だろうが、褒め言葉の類いは得意ではない。
理由はよくわからない。

脇に逸れて。そのまま彼が通り過ぎるのを見送るはずだったが。

「――カモが多くてそれなりには」

問われ、女から返ってきた言葉がそれだ。
路地通路の壁のすぐそばに立ったまま、彼に薄く笑いかけた。

グライド > (こんな世の中で、こんな国だ。
街の中でどんな連中に出くわしても、今更驚きはしない。
無論、身を守る術が無ければ、其れが致命的になる事も在るのだが。)

「其れでも悪かねぇな。 じっと、ただ見てるよりは健全だろうさ。
だが、野郎相手ならまだしも、嬢ちゃん相手にやるほど若くもねぇなぁ。」

(娘の隣、少しばかり相手の問いに考え込んでから
ガキの悪戯じゃねぇか、と、可笑しそうに言うのだ。
そうして、通り過ぎようとしていた姿から、再び相手へと向き直っては
口端を吊り上げ、ゆるく首を横に振り。)

「―――生き辛い世の中だろうさ。
だが、精々楽しみな。 御前さんが誰かは知らねぇが…
イイ女は、応援する主義でな。」

ルビィ・ガレット > 「……私は、後ろを取られるのも。背後から驚かされるのも嫌だな」

自分で言ってみて、想像して。気まずさだとか、不快感しか思い浮かばず。
彼は「ガキの悪戯だ」と言うけれど、軽薄な男なら女相手にやりそうな気がした。
こうやって彼と間近で、他愛のない話をしているわけだが……。

面白くないほど、彼の印象というか、輪郭が固定されない。
何かを隠されている気はしない。かといって、彼が正直だとはなぜか思えない。

「はぁ……」

会話の合間、こっそりとため息を吐いた。
その数秒後、彼と向き合う形に。笑い方が自分に似ている気がした。

「――逝きやすいのに反して、なぜか……ね。そうね。
 私が誰って。ユーデ……いえ、ルビィ・ガレット。冒険者」

危うく本名を言いかけて、首を横に振った。
名乗り直せば、相手に笑いかけて。

「そっちは?」

悪いが、「いい女」の部分がまるで聞こえなかったかのように振る舞う。
彼の名前や正体を確認する。……褒め言葉に耐性がないのだ。

彼が名乗ろうが伏せようが、少ししてから女は雑踏へ戻っていき――。

ご案内:「平民地区・街中」からルビィ・ガレットさんが去りました。
ご案内:「平民地区・街中」からグライドさんが去りました。