2018/10/27 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にボブさんが現れました。
ボブ > (歓楽街の中の酒場が多く集まる通りを歩いている褐色肌の男。
すでに酒が入っているのか、褐色の肌の中にもうっすらと酒の酔いの朱が頬に差していて)

「いやぁ~~、さっきは危なかったよな。 まさかこの平民地区の酒場に貴族のバカボンが顔を出すとはな。
気位が高いから富裕地区から出ないと思ってたが、まさかこんな所でニアミスしかけるとはな」

(この男に嫉妬混じりの殺意を持っているはずの騎士たちの団体から何とか逃げてきた男は
さすがに酒場に入ったばっかりのヤツらがすぐさま通りに出てくる事はないと思い、ゆったりとした足取りで歩いていて)

ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にぼたんさんが現れました。
ぼたん > (ちょっと、遅くなっちまった…)
富裕地区での仕事が終わって、空っぽの容器をまとめた大きな風呂敷を抱えて速足で歩いている。目的地はこの先、抜けたところのはずれにある自分の店だ。

良い頃合いの時間帯で、急がない足取りの人が多い。それを縫うように歩を進めようとしたところで、見知ったような後ろ姿を見かけ
「おや…木こりのにィさん?」
呟くように、言葉が漏れる。

ボブ > (追跡者の存在に気づき、逃げ出した逃亡者とは見えないくらいに堂々とゆったりとした足取りで通りを歩いていた男。
そんな歩みをしていた男の後ろから何となく聞き覚えのある声がし、
振り返っていけばそこに居たのは最近よく会う居酒屋の女将で)

「おや、ぼたんの姐さん、またどっかへの出前ですか?
以前は貧民地区の孤児院にお弁当を届けにいってたみたいですけど…今回はちょっと趣が違うような感じが…」

(振り返り、軽く挨拶をしつつ、女性の方へと歩み寄っていく男)

ぼたん > 見知った顔にやっぱり、と気だるげに微笑って
「うん、今日はちょいと、おぼっちゃんの誕生日ってェので出張してきたとこ…にィさんは?」
飲んでるね?と首を傾げる

ボブ > 「まぁ、こっちは一軒目の店で軽く飲んで、次の店を探してぶら~り散歩中といったところ」

(人に追われる身とはバラさず、差しさわりのない理由を付けて今の状態を説明していって)

「それにしても出張って事は今日は店の方は臨時休業かい? 姐さんが外に出張ってたって事は」

(女性の言葉を聞き、ふと気になった事を質問してみせていって)

ぼたん > ふうん、と頷いてから
「あァ…うン、どうしようかと思ってねえ。もう遅くなっちまったし、客が店の外に行列でもしてたら開けようかなってえとこ」
あはは、と笑って荷物を持ち直せば、カラカラと音がする。
「まだ決めて無いンだったら、ウチで飲んでいくかい?今日は、大したモン出ないけど…」
そういえば昔、料理には自信があるとか言ってしまった覚えがある…

ボブ > 「ははっ、店主の帰宅を待つ客がいる店…それは大口を叩いたものだ」

(女性が言った言葉に笑い声を上げつつ、来店の誘いを受ければ)

「それじゃあお邪魔にならない程度お邪魔して、適度な時間になったらお暇する…って感じでお世話になりますかね」

(大したモノは出来ないと告げる女性に対し、長尻はしない事を明言した上でお店についていく事を受け入れる)

ぼたん > 妙な言い回しになんだいそれ、と笑って
「相変わらずだね…まァ、好きなだけ飲んでっていいよ。多分、にィさんが今日は最初で最後の客になるだろし」
笑い含みに言うと気だるげに笑って、自分の店へと先導するように歩き出す。
「そういや、にィさんがお酒飲んでンの見るのは初めてだね…はしごするくらいは飲むンだね?」

ボブ > (女性の店で軽く飲む事を告げれば、その奇妙な言い回しに女性に笑われてしまい、
先導する女性の後を頭の後ろで両手を組みながらついていき)

「ん? まぁ、あんまり一つの酒場で飲み続ける事はしないな。
その酒場ごとにその酒場なりの味があるから、それを味わいを肴に飲み歩いているっていうのが正解かもな」

(これまた嘘、あまり常連の店を作ると追跡者の情報網に引っ掛かってしまう為、
気に入った行きつけの店と言っても月一くらいしか行かずに、それ以外は適当な店を渡り歩いているだけなのだが、
そこはぼかして話していくが……それだけ飲めるという事はかなりの酒豪ともいえるだろうか)

ぼたん > ふうん、と少し首を傾げて「こっちからすると、さしずめ浮気モン、てえとこだね…」ふふふ、と声を漏らす。

「まァ…アタシの店はほんと、小さいから、にィさんは今日だけで飽きちまうかもねえ…」
自嘲ぎみでもなく、淡々と。それは逆にある種の自信にも聞こえる。次に思いついたように言葉を続けて
「いつも、一人で来るのかい?」

ボブ > 「まぁ違げぇないな、腰の落ち着かない浮気もんさ」

(酒場の女主人としてもっともな事を告げるのに対し、同意の言葉を返していって)

「まぁ、それはいって見ないと分からないから、今の返答は避けるわ。
8割方一人飲みだな、1割は材木を取引してる問屋との交流を兼ねた飲み……残りの1割は数少ない知人との旧交深めといった感じだな」

(飲みの場に来る時の男の状況に関して、男は軽く中空を見上げ、考えているような感じで思いついた事を口にしていくか)

ぼたん > 話しながら歩いているうち、店が途切れ途切れになり、賑やかさもまた少しずつ、途切れていく。

更に街はずれへと歩みながら
「そう…アタシ、一人で飲めないから…にィさんのお酒の楽しみ方に、沿う店だと良いけどねえ…」

気だるげな笑みを漏らし、殆ど人通りがなくなったところ、ある建物の前で足を止める。店らしきドアの傍らには灯りの灯っていない提灯が釣るしてある。
ここだよ、と言いながらポケットを探って

ボブ > 「まぁ、そこら辺は飲んでから体感してみるさ、今の状況であれが良い、あれが悪い…なんて口にするのも的外れだしさ」

(ちょっとした雑談を交わしながら、女性の案内で一つの建物の前へとつけば、女性に合わせて男も足を止めて)

「何度か店前までは来た事はあったが、店に入るのは初めてだな。
そしてその初めてが貸し切りとは贅沢の一言と言っていいんじゃないかな」

(数度、女性を店まで送る事はあった為、外観くらいまでは知っていたが、内装…そして料理に関しては知らず、
それを楽しみにしているかの様子を言葉の端々には浮かび上がらせてはいるか)

ぼたん > 「あれ…初めてだったかねえ?」
何度か送ってもらったりしていた。すっかり一度くらいは招いたつもりでいた…

ドアを開ければ、カウンター席がいくつかだけの狭い店内。慣れた様子で暗闇の中荷物を置いて、灯りを点けてから連れを手招きをする。木と漆喰の壁が照らされて、店のメニューが所々並んでいるのが解る。

「適当に座っとくれよ…今、用意するから」
席を指し示すと、カウンターの向こう側へと回り込んでいく。はたと顔を向けて
「…お酒、暖かいのがいいかい?」それとも?と首を傾げて問いかける。

ボブ > 「ああ、何回か入って飲んでいかないかい?と誘ってもらっては貰っていたが、こっちの都合で断ってたからな。」

(女性が覚え違いをする位、送り届けてはいたが、男がその度、遠慮したため、今回が初来店となったわけで)

「ああ、適当に座らせてもらうよ。 それから客は俺ひとりしか居ないから、手間が掛かるものや量はいらないぜ。
下手に調理したものを残すっていうにはとんでもなく重罪だからよ」

(せっかくの貸しきりな訳だし、カウンター席の真ん中に陣取るように席に座り、
料理の手数が掛かるものや品数などは必要ないと話しながら、カウンターの中の女性の様子を伺うか)

ぼたん > 気をつかってくれるね、と気だるげに笑って、慣れた手つきで火を起こして小堤の徳利ひとつ、燗につける。
他の棚を探って、まな板をコトコトと音立てながら、カウンターの真ん中の男に向かって

「何か、にィさん言葉遣いはそンな感じしないのに、遠慮ぶかいよねえ…」手元に視線を落としたまま、呟くように

ボブ > (カウンターの板に片肘を付き、頬杖をしながら、カウンター内の女性を眺めていって)

「ああ、短い人生の間でも人にたくさん迷惑を掛けたっていう実感はあるからな。
残りの人生くらいはあまり人に迷惑を掛けずに生きたいと思ってる訳よ。
好意は受け取るが、無理強いはしたくないと一歩引いちまうようになったんだよな……」

(頬杖をしながら、まるで己の過去でも回想するかのようにどこを見ている訳でもない虚ろな視線をしながら言葉を紡ぐ)

ぼたん > 「…ふうん?」
意味ありげな言葉に曖昧に頷いて、すこし顔を上げて目線を投げかける。男のうつろな視線を認めると、再び手元に目線を落として
「迷惑ねえ…アタシ割と、にィさんにかけっぱなしの自信あるよ…」ふふふ、と笑って、燗の様子を見る。
まな板の上のものを小皿に空けて、そのまま全てを混ぜ合わせる。そうしてからはっとして
「…にィさん、ちょっとくらい酸っぱいの、平気?」

ボブ > 「いやぁ~、姐さんの迷惑とは桁が違うんですよ、桁が……」

(女性の笑い声混じりの言葉に虚ろだった視線を女性に向けながら、苦笑いめいた表情を浮かべ、言葉を返していって)

「ああ、全然大丈夫っすよ。  苦味のあるモノを肴にして酒と合わせる事もするくらいの飲んべぇですから」

(あんまり味付けに好き嫌いはない事を伝えながら、ここら辺でやっと店内を見渡すように視線を巡らせて)

「改めて見ていけば、味わいのある店ですね。
こう言っちゃあ問題発言ですが、大勢で賑わうより、少人数で静かに過ごすのにうってつけの店といった感じだ」

ぼたん > 桁ねえ…と言いながら燗を引き上げる。

時折、彼が何となく頑なに見えるのはそのせいだろうか…

思いながら、小皿に少し、ごま油を垂らして
「よかったよ…たまに酸っぱいのがてんでダメ、ってひともいるから…」と言いながら、男の前に小皿に盛った梅水晶と、お猪口を置いていく。
「アタシひとりでしか相手できないからね…大人数の場合は、外に机出して、勝手にやってもらう事にしてンの」ふふふ、と笑いながら、徳利を持って
「中辛の日本酒…口にあうといいけど」
お猪口を持つように、目線で促す

ボブ > (軽く首を巡らせ、店内の様子を確かめ、男が思った店の印象を口から洩らしていけば、
小鉢と空のお猪口がカウンターの上に置かれていって、そちらに視線を戻していけば)

「まぁ、舌が馴れていないと極端な味付けを嫌う輩もいるからな。
塩っ辛いものじゃないと受け付けないとか、だだ甘い物を好むとか味覚的嗜好は舌の経験値が浅いとそうなるわな」

(料理の味付けのNG話を聞き、甘っちょろい味覚のヤツラを嘲笑するような言い回しをしていき)

「それだけ賑わう…いい店ということか…」

(大人数の時の対応話を聞き、軽く笑みを顔に浮かべ、空のお猪口を手に取り、酌を受けていって)

ぼたん > 「おや…にィさんの誉め言葉っぽいの、初めて聞いたね?」
笑みこぼしながら、ぎりぎりまで酒を注ぐ。
「まァ、わりとお酒の種類が珍しいからね…怖いもの見たさ、とかそンな感じだと思うよ…」
いつもの気だるげな笑みを浮かべると、首を傾げて相手の様子を伺うように「…どお?」

ボブ > 「悪口・秘肉を平気で言いあえるって言うのも酒飲みの場らしいと思わないか?
褒め言葉なんてシラフの内に言っとけって言うんだ、本音と建前を頭の中で築き上げられる内に」

(威勢良く啖呵を切るように悪口も親愛の情の証と言い切るように告げていけば、
お猪口に注がれた澄み切った水のような透明な酒精をクイッと喉へと流し込んで)

「………  くぅ~~っ!! 舌の上に広がる豊かな味わい、鼻に抜ける時の微かな芳香が堪らないな」

(酒の味わいをしっかりと堪能し、梅水晶にも手を付け、酸味がまず際立ち、そして歯触りに独特なものがあるのを楽しんでみせる男)

ぼたん > 気に入った様子にほっとした笑みをこぼす。続く意外にも豊かな語彙の感想のことばにくすくすと笑って
「…ほんと、変なにィさん…」
茄子の浅漬けも切って出しながら
「まァ、軽口もそうだけど…その内そンな遠慮しなくなってもらえたら、アタシは嬉しいね…」
こっちも迷惑かけやすいし、と続けてわらう。

ボブ > 「変で結構っ! 酒飲みの場で理路整然としてるヤツなんて気持ち悪いとしか言い様がないぜ」

(女性がくすくすと笑い、洩らした言葉に対し、それを正面から受け止めるように変人扱いを受け入れていって)

「まぁ、ある程度は砕けていくさ、その内に。 でもある程度の遠慮はするぜ。
そっちが気分良く飲ませてくれるんだ、こっちだって気分良く働けるように気は回さないとな」

(新たに出された茄子にも手を付け、徳利から手酌で燗酒を注ぎ、クイッと杯を上げながら、
酒場と客の間柄に関して、釈迦に説法とも言っていい事をいけしゃあしゃあと話していく男)

ぼたん > 男が酒と肴を平らげていく様子に目を細める。キッチンの中でスツールに腰掛ければ、少しだけカウンター側よりも目線が高い。
言葉遣いとは裏腹に、頑なに折り目正しい返答にまたくすりと笑う。
「大丈夫…気分わるい客は遠慮なく、ご退場いただくことになってるから…」
ふふふ、と人の悪い笑みを浮かべて頬杖をつく。
「…お腹、空いてるなら、何かごはんモノつくるけど…」
どうする?と首を傾げる

ボブ > (梅水晶…茄子の浅漬け…燗酒…と肴の味わいを楽しみ、その後味と次に食べるものの為に舌を清めるために酒を味わっていって)

「ほぉ~、女の細腕で大層な事を。 姐さんのいい男(ひと)が悪い客を追い出してくれるのかね?」

(悪い笑みを浮かべる女性を見ながら、男も悪い笑みを浮かべながら軽く揶揄してみせていって)

「いや、姐さんも出張料理でお疲れだろ?
この皿も空きそうだし、そのタイミングでお暇させてもらうよ。
あんまりここで食べ過ぎて次の酒場で飲み食いが出来なくなっても困るしね」

(追加の料理を作ろうかと話を持ち出してくる女性に対し、次のはしご酒に差しさわりが出るからと遠慮していく男。
真相は話の冒頭に出した女性の疲れを気にしての事だが、男がはしご酒を続けたいからという勝手を受け入れてもらおうと後付けしていくか)

ぼたん > 相手の軽口にあはは、と笑って
「そンな色っぽいのだったら良かったけどね…まァ、内緒」

男の発言にそう…と笑って、ありがと、と付け足す。ホント浮気者、と怒るふりだけして、手元のまな板を洗い場の方へ持っていく
「まァ…また気が向いたらおいでよ」

ボブ > 「う~ん?内緒か……その内緒も何度か顔を出すうちにその現場に遭遇かもしれないからその時を期待しておくさ」

(女性の言動からいい男(ひと)という線は薄いらしいとは感じられたが、気になる言い回しだったので
その内、目撃させてもらうという…常連見習いになってみようか…そんな宣言をしつつ、お猪口を空にしていって)

「ああ、浮気ものさ……、でもこの店も浮気相手の候補にはこれで上がったし、また浮気しに来るよ」

(カウンターの上に代金を置いていけば、ははっと堂々と浮気宣言をした上で、 
ごちそうさま、おやすみなさい と挨拶をした上で男は店を辞していった)

ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からボブさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からぼたんさんが去りました。
ご案内:「平民地区の食堂」にキルシュナさんが現れました。
キルシュナ > 「おぉ、寒い寒い……最近急に冷えてきよったなぁ。」

日が落ちたばかりの平民地区の、気取った所のない労働者向け食堂。
西国訛りの独り言と共にスイングドアを開いたのは、黒の短髪に一対の猫耳を尖らせたミレー族の娘。
客の多くがそちらに目を向け、驚愕に目を見開いた。
金の双瞳も印象的な娘の容姿が整っていたというのもあろう。
しかし、その最たる理由は娘の格好。

たわわに実った双乳と、キュッと締まった腰の括れ、そして肉付きの良いお尻が形作る肉感的な肢体が、露出の高い扇情的な軽鎧に締め付けられて、褐色肌の大部分を晒しているのだ。
驚愕の後、下卑た笑みと共に向けられる舐め回すかにねっとりとした視姦の凝視。
しかし娘は、そんな状況など一顧だにせず店内奥へと歩を進め、空いたテーブルにむき出しの尻肉を落としてパールピンクの唇を開く。

「―――あぁ、姉さん姉さん、なんや温まるモン出してくれる? 肉がっつりなンがええなぁ。」

傍らで固まっていた給仕娘に注文告げる軽妙な声は、年相応のソプラノボイス。

ご案内:「平民地区の食堂」にレイン・レジネスさんが現れました。
レイン・レジネス > スイングドアを膝で押すようにして、また新たな客が一人。

――シェンヤン風の衣服を着てはいる。髪の色は黒だ。
カーテンのように目に掛かる前髪が顔立ちを隠すが、肌の色を見る限りは王国人のように見える。
痩躯。背丈は高い。そして、その手脚の白が、衣服の隙間からはっきりと見えている。
……即ち下着の類いどころか、一切の重ね着をしていないという証拠だ。

「――――――――」

その女はしばらく、玄関口で店内を見渡した後、最も目を引く華の前へと足を進めた。
さも顔見知りのような風情といおうか、貴族階級の傲慢さと言おうか。
兎に角その女は、ミレーの娘の対面の椅子へ、無遠慮に腰を下ろしてから。

「彼女には暖かいお酒を。私は――なんでもいいや、強ければいい」

ただでさえ動きの取れない給仕娘へ注文を重ねて、

「お嬢さん、一杯、いかが?」

順番を逆しまに問うた。

キルシュナ > 痴女めいた格好で場末の食堂に入ってきているのだし、股っぴらきの少々変わった客引きなのだろう。そんな考えの元、ガタリと席をたった身幅の厚い赤ら顔の労働者が、数歩ミレーの娘に近付いたところで再び開くスイングドア。
新たな客も、この店においてはひどく珍しい女客。
先の猫娘に比べて肉付きこそ薄い物の、薄暗い店内に浮き上がる様な四肢の白は男達の目を惹くに十分な魅力を備えていた。
そんな女の挙措に目を奪われた巨漢の酔客はタイミングを逸して立ち尽くし、細身の娘の着座を許す事となる。

「――――んニャ?」

さも当たり前といった顔で対面に腰を下ろした異装の娘に、ぴくくっと猫耳揺らした金瞳が向く。誰だっけ……? 見覚えは無い……と思う。
そんな思考を巡らせながらもまるで気負わぬ猫の目が、獲物を値踏みするかに眼前の細身を撫で回す。
長い黒髪に両目が隠されているせいで、その顔立ちははっきりと確認出来ぬものの、鼻筋、口元、頬に顎先、それらのパーツが美貌を期待させる。
シミ一つ見られぬ肌の白磁の美しさから、富裕層、もしくは貴族の類なのだろう。
何より目を惹いたのは、薄衣に浮くフラットな稜線。
下着などの無骨な膨らみを見事に廃したそのラインが、真白な裸身を想像させる。
大きな口がにんまりと弧を描き、八重歯の白をちらりと見せる。

「んふ、ちょーどヒマしとったとこやし、えぇよ。ごちそうになろっか。」

レイン・レジネス > 席に着き、注文を終えて、またも周囲を見渡す。
幾人かの酔客が向けている目は、呆然としたものもあるにはあるが、先んじられたことへの嫉妬が大きいか。
そういう目に対して女は、虫を払うように手を振って見せる。
対面の彼女とは違い、男への愛を持たぬ生き物であった。

さて――細身の女は、自らの身体を撫で回す視線に、こちらからも身を乗り出して応じた。
黒髪の向こう側にある二つの碧眼は、些か眠たげに細められて――いや、これは酔っているのだろう。
この酒場を訪れる前にも飲んでいる。それが目の濡れ方と、吐気に混ざる香りから分かる。

「それは良かった。人を待っているのだとしたら、あんまりにも寂しすぎるところだ」

其処に留まる許可を得ると、片肘をテーブルの上へ。貴族と言えど、マナーを気にする類いの生き物では無いらしかった。

食事よりは酒の方が、よほど早く出て来るだろう。
だが、それを待つ僅かの間に、碧眼もまた対面の娘と同じように、相手の身体を――これは値踏みというより〝観察〟だろうか。
広く曝け出された褐色の肌、瑞々しく張り詰めたその内側にどんな肉が収まっているのか。
それを想像するかのように、視線が辿るのは胸、腹部。それより下へ進もうとして、テーブルに妨げられる、
残念そうに溜息を一つ――と、そのタイミングでグラスが届いた。
その片方を掴んで掲げ、

「乾杯……と行きたいけれど。〝何に〟と言うべきかな、これは」

キルシュナ > 女の白手が見せる雑な所作に酔客の幾人かはチッと舌打ちを鳴らす物の、酔っていたとて見るからに貴族と思える相手に喧嘩を売る気概は無いらしい。傍らで呆然と立ち尽くしていた大男も、太唇をむすっと引き結びつつ己の席へと戻っていった。

「―――んふっ。ウチの身体にきょーみあるん?」

不躾なこちらの視線に負けぬ、黒の前髪の合間より向けられる、どこか茫洋とした碧眼。
キルシュナはそれに気を悪くするでもなく、頬杖を付く所作に紛らせ豊乳をふにゅんと潰して歪ませるというサービスを見せた。
そんな中、給仕娘がそれぞれの酒盃をテーブルに置いていく。

「せやねぇ、女客同士の偶然の出会いに―――なんちゅうンが無難なトコやろけど……………あかん、気の利いたン思い浮かばへん。」

中空に金瞳を向け、しばらく考え込んでいた猫娘も早々に諦めたのかホットワインの注がれたグラスを手に取り彼女のグラスに軽く打ち合わせた。
無論、労働者向けの雑な酒場なので、繊細なガラスグラスなどではなく、安物の木杯であるため、響く音はコォンなんて抜けた音なのだけど。