2018/10/10 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にミンティさんが現れました。
■ミンティ > 知人の家にお邪魔して、夕食までご馳走になったあとの帰り道。夜はなるべく明るいところを通って帰ろうと考えて、宿屋や酒場も多いあたりを早足で歩いていた。それでも結局絡まれてしまったから、自衛の意識が正しかったのか、わからなくなってくる。
しつこくつきまとってくるのは酔っ払いの男性。ときどき掴みかかってくる手を遠慮がちに払いながら、早く諦めてくれるのを祈りながら先を急いでいた。
「あ、あの…ごめんなさい、…わたし。もう、帰るところ、なので」
お酒くさい息を吐きかけられながら、すこしだけ付き合ってくれないかという誘いを断り続ける。男性としては痩せ型に見えるけれど、非力な自分と比べると、やっぱり力が強い。伸びてくる手を何度も振り払っていると、こちらの方が息があがってきてしまう。
相手はほろ酔いで足がふらついているようだから、走って逃げようかとも考えた。しかし早足になってみても、背後にぴったりとくっついてこられて、駆け出すタイミングがつかめない。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にリルさんが現れました。
■リル > (あ。 あのお姉さん変なのに絡まれてるな。見捨てたって別にいいわけだけど
個人的な倫理観として、言い訳はないので。するするするーっと近寄っていく)
「お姉さん。目をつよく閉じて」
(手のひらには、明かりなどに使う初歩魔法の光源。
それに過剰に魔力を注ぎ込んで、暴走させる。男の目の前に、莫大な光量が出現する。
少年は使用者への守りとして、何も効果はない)
■ミンティ > どこまでついてくるつもりだろう。家の近くまで一緒に歩いていくような事態は避けたいけれど、追い払うための手段もない。誰かに助けを求めるのも、その人に迷惑をかけてしまうかと思うと躊躇する。
できる事といえば、もう一度駆け出そうと試みるくらい。息を整えてタイミングを慎重にはかる。しかし走り出そうとしたところで、こちらに近寄ってくる少年の姿が目について。
「……へ?」
この状況から逃げ出す事ばかり考えていたから、急な忠告をうまく飲み込めず、対応が遅れてしまう。少年の手の中の光が強さを増す直前には目を細めていたけど、それでもすこし眩しかった。
まともに光を受けた酔っ払いの男性の方は、眩しいでは済まないのだろう。怒気と驚きを感じさせる声が近くから聞こえて、びくっと身をすくめた。
■リル > 「ごめんお姉さん。ちょっと眩しかったよね、今の
……仕上げ、と」
(少年は少女の手首をつかもうとする。もしそれがゆるされたなら、10mほどは男から離れることとなるか。
「仕上げ」に、小さな火球を地面に転がした。
「火と音で驚かす」という、これも初歩魔法。
だが、少年が手のひらの上で置いていた時間は長い。
男の周囲に、バカでかいとしか言えない音が響く。
だが街の路地であるために、壁で反響して外にでない。
目と、耳を潰す。用心をしていないなら、人間なら、これでまともには動けないだろう)
「ごめんなさい、お姉さん。なんか、勝手をして」
■ミンティ >
「え、えと…」
なにが起こっているのかわからず戸惑っている間に手首をつかまれた。まだ目の奥に眩しさが残っていて、足をふらつかせながら、手をひかれるまま酔っ払いの男性から距離を取る。
目に焼きついた光が薄れるのを待って、おそるおそる瞼を開ける。とたん、先ほどまで立っていた場所から大きな音が聞こえて全身をビクつかせた。
振り返ってみれば、あの男性がすっかり尻餅をついてしまっている。近くの酒場から何事かと顔を出した人たちが数人いるけれど、大きな騒ぎにならないところを見ると、怪我をさせるようなものでもなかったのだろう。
ようやく自分がこの少年に助けてもらったのだと理解すると、ほっと息を吐いて。
「ううん……、え、と、いえ……あ、ありがとう…ございます」
助けてくれたにも関わらず、こちらに謝罪してくる少年。あわてて首を横に振り、頭を下げて感謝を伝える。
■リル > 「目も耳も使えないって、すごくダメダメになっちゃうんだよねー……」
(動けなくなっている様をみて、ぽつりと。
本当に「動けなくさせた」だけである。
荒事で満ちている部分もあるこの街の住人なら、色々な材料から解るだろう。
街中で殺しなんてしたくもないし)
「ん……。勝手に、勝手をしただけ。頭上げて、お姉さん」
(自分はただ、自分の思うがままのことをしただけ。
それが、婦女に乱暴をしようとするか、それを止めようとするか
それだけの違い。
この町の住人として、間違っていない)
「えと……。近くまで、送る? どうしよっか……」
■ミンティ >
少年の呟きを聞き、しばらくは立ち上がれそうにない男性の様子を眺める。眩しいのと、うるさいのと、本当にそれだけだったのだろう。絡まれて困らされた相手だったけれど、怪我をした様子がないのは、なんとなく胸を撫で下ろす。
あの様子なら、このまま追ってこれないところまで距離を取るための時間もありそうだったから安心して。
「勝手に…勝手を……」
自分よりも背だって低いのに、勝手をできるだけの力を持っているのだろう。少年の口ぶりからそう判断して、すこし羨ましくなる。自分に、その半分くらいの力でもあれば、逃げ出す事だってできたはずなのにと。
そんな事ばかり考えていたら、せっかく助けてもらったのに暗い顔をしそうになったから、もう一度軽く首を振って思考を切り替える。
「……ん、と。ええと…じゃあ、向こうの角の方……まで」
遠慮するのも不躾に思えたから、より細い路地に進むための曲がり角を指差して、お願いしますと頭を下げた。別れ際には、少年にも遅くならないようにと心配そうに声をかけ、暗い夜道を急いで帰った事だろう…。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からミンティさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からリルさんが去りました。