2018/09/09 のログ
ご案内:「王都マグメール平民地区 商店街」にスイさんが現れました。
■スイ > 主のお使いに出てくる、と言えば、姫君は大層心配げな顔をして、
手ずから、美しい絹のストールを掛けて下さった。
『日焼けをしないように』と仰っていたが、恐らくは己の、
帝国の出身であることを思わせる外見を気にしてくれたものだろう。
有難く拝領した其れで頭から肩を覆い、お使い物の書状を携えて、
訪れたのは賑わう街の中心部、立ち並ぶ商店のひとつ。
精緻な装飾品を扱う店で主からの書状を渡し、心得た様子の店主が『少しお待ちを』と言い残して、
店の奥へ引っ込んで行ってから―――――暫し。
遅い、ような気がする。
忙しく立ち働く数人の店員も、彼らが対応している客たちも、
先程からちらちらと此方を見ているような気がして、何とも落ち着かない。
勿論、己の考え過ぎである可能性も高いだろうが―――――
時節柄、警戒はしておくに越したことは無い。
頭巾のように被ったストールを胸元で掻き合わせる手に、無意識に力が籠った。
ご案内:「王都マグメール平民地区 商店街」にルフェリアさんが現れました。
■ルフェリア > ドタドタ、と。
荒い足音とともに、入ってくる警備兵達。
その警備兵の後ろから顔を覗かせる貴族が一人。
「あ、そいつ?」
スイの方を見ながら店主に尋ねる。
コクコクと頷く店主の返事とともに、警備兵が貴女をゆっくりと囲むだろう。
ルフェリアはその警備兵達の前に立つ。
「――キミさ、そのストールを取ってくれる?
それ、どう見ても超高級品の絹でしょ。店主がさぁ、平民地区で見るにしては高価すぎるものだって通報してくれたんだよね」
ちなみにこの男は、ぶらぶら馬車で散策してた所を警備兵の動きを見て勝手についてきただけである。
取調べの権限など持ってはいない。
■スイ > 荒々しい靴音を響かせて、数人の男たちが店先に現れた。
最近は王都の何処に居ても、良く見るようになった警備兵の制服だ。
一瞬、背筋が粟立つのを感じつつも――――兵たちの前に立つ身形の良い少女に、
僅かばかり、訝しむように首を傾げて。
通報、という単語は穏やかならぬものであるが、其の原因を明らかにされると、
表情からも双肩からも、緊張は解ける。
深々と一度、彼らに対して頭を下げてから。
「王都を守護する御役目、誠に御疲れ様で御座います。
……此方のストールは、わたくしのお仕えする姫様が、
わたくしに御貸し下さったもので御座います……、
御疑いでしたら、どうぞ、姫様に御確認下さいませ」
そうして、己が主である王族の名と、其の姫君の名を告げよう。
主の名をはっきり記した書状を持ち込んでいて、何故こんな事態になったのかは知れぬが、
疑念の在り処が己の出自では無く、被っているストールにあるのならば―――――
容易く、其の疑念は解くことが出来よう。
或いは此の場から城へ、引き立てられるぐらいはあるかも知れないが―――――
娘の立ち居振る舞いは落ち着いていて、其れ以上の事態は招きそうになかった。
ご案内:「王都マグメール平民地区 商店街」からスイさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール平民地区 商店街」からルフェリアさんが去りました。