2018/08/15 のログ
■シュル > ある程度眺め終わったので、満足げに空を見上げると
再び地響きを立てて広場から去っていく
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からシュルさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にエンデさんが現れました。
■エンデ > 王都の平民地区の外縁部。
貧民地区との境目にあるような場所だった。
周囲にはそんなに民家などのないそんな場所にあったのは古びた空き家。
元は教会の施設として使われていただろう建物。
それなりに大きく、外装も内装の破損もそれほど大きくはない。
周辺の治安は悪いが、目を瞑っても差し支えないだろう。
――診療所とするには、手ごろな場所だ。
「―――悪くはないな。」
そんな建物の扉を開けて、黒い姿の男は出て来た。
この辺り、と目をつけてから、この家を管理していた貴族に話を通し
近くの教会にも許可を取って、中を見ることができたのは今日だった。
神餐節で貴族や教会の依頼を受けていたことも役に立った。
赤い十字のスリットが刻まれた仮面。
石造りの壁を観察するようにゆっくり周囲を歩き回る。
■エンデ > ――ふと、まるで確かめるように石壁に指先を伸ばす。
そこにあるのは風雨で消えかかった黒い染み。
黒革に包まれた指が、まるで愛でるように滑らかにそこに触れて撫でよう。
そこから何が読み取れて、読み取れないのか。黒い仮面から伺うことはできない。
「本当に、悪くない場所だ――。」
こうなる前のこの建物はなんだったのだろう?
教会施設としか聞いていないし、それ以上詮索するつもりもない。
必要なのは人があまり大勢通らない場所。静謐が保てる場所。
あとは、多少なりとも、こういう薄黒い何かがあれば言うことはない。
■エンデ > やがて程なく――指先をそっと石壁から離す。
黒い仮面の下の表情は見えない侭だろう。
喜んでいるのか、いないのか、何も感じていないのか。
「さて、次の仕事だ」
無機質な声が、言葉を紡ぎ出した。
まずはこの建物に関する契約手続きを済ませよう。
薬の素材を集めにいかなければ――そんな予定。
そう思えば、そのまま足音の少ない落ち着いた足取りが歩き出す。
――いつの間にか、指が触れていた壁の薄い染みは消えてなくなっていた。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からエンデさんが去りました。