2018/08/13 のログ
■ミンティ > 見慣れた商店街に差し掛かるころには、すこしの遠回りも終わって、いつもどおりの帰り道を静かに歩く。その間も観劇の余韻は残ったままだから、今日は気持ちよく眠れそうだと控えめに笑みを浮かべて…。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からミンティさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にミンティさんが現れました。
■ミンティ > 不用品の買い取りをしているというチラシを冒険者ギルドに掲示させてもらった帰り道。宿を探す人や食事に出る人たちの人波が賑やかで、気をつけていないと誰かとぶつかりそうになってしまう。こんな状況だと背が低い自分は特に見落とされやすいだろうと考えて道の端っこに寄っていたけれど、今度は店から出てくる人とぶつかりそうになって、そのたびにぺこぺこと頭を下げていた。
今日の夕食はどうしようか。どこかに立ち寄って食べてから帰ってもいいし、急いで帰って家でのんびりするのもいいかもしれない。
そうやって考え事をしているから、また誰かとぶつかりそうになって、びくんと震えて足を止める。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にボルフライさんが現れました。
■ボルフライ > 先日調教した奴隷たちが貴族連中に高く売れ、こうして王都の歓楽街に繰り出したのはつい先ほど。
部下たちに分け前を与えても懐から溢れるほど持っていた有り金は、酒と女、そして腹を膨らませるのに全て使い込んだ。
金が無くなったなら、また稼げばいい…ここにはそんなカモがいたるところにいるのだから。
人ごみの中でも一際目立つ大男が今日の寝床へと向かっていると、小柄な女にぶつかりかける。
下を見ていないと視界に入らないような体格差では仕方が無いが、男は悪びれた様子すらなかった。
「危ねぇな、女」
大柄で強面な男の冷たい視線で見下ろして、そんな冷たい言葉を投げかければ足が竦んでしまっても仕方が無いか。
そしてそういう女こそ、いいカモなんだろうか。
■ミンティ > 自分から見れば通行人のほとんどが長身に見えたりするけれど、ぶつかりそうになった相手はその範疇をこえていた。首を反らせて仰ぎ見るようにしないと顔を確認できなくて、そんな高い場所から冷たい視線で見据えられると全身に緊張が走った。震えたままの姿勢で肩をすくめて、見るからに臆病そうな雰囲気で様子をうかがう。
「すっ…みま……、せん……っ。
すこし…考え事を……していて……」
危ないという忠告が苦言なのか忠告なのか判断はつかない。後者なら威圧感のある見た目に反して優しい人なのかもしれないけれど、臆病な自分は声を聞いただけで冷や水を浴びたような気分にさせられた。
あまりおどおどしていると苛立つ人もいるのはわかっているけれど、この癖はどうしようもなくて、謝罪も聞き取りづらい小さな声になってしまう。
■ボルフライ > 見下ろした視線の先にいる女は、その小柄な見た目に反することもない、いかにも小心者といった所作。
こちらの風貌を考えれば怖れるなというほうが無理かもしれないが、目の前の女は完全に…萎縮している。
…カモを見つけた。
「…ああ、いや…こちらこそよく見ていなかったようだ…
すまないな」
カモと見ればあとはやり込めるだけだと、冷たい表情を少しだけ崩し、威圧感があるだけでそんなに悪い人間ではないかもしれないと思わせようとしてくる。
まるで別人だ、などと思われない程度の僅かな印象の変化だが、相手にはどう感じるか。
「ふむ、侘びというほどでもないが、食事か酒でも奢らせてくれ」
そう言って女にゆっくりと手を差し伸べて、知っている店にでも案内していく風を装い、人気の無いところへ連れ込んでいこうと。
もし彼女が違和感に気づくことができれば、無事に逃げ出すこともできようが、果たして…
■ミンティ > 続けて恫喝か罵倒が聞こえてくるような気がして見上げていた視線がすこしずつ下がる。しかし大柄な相手の横をすり抜けていく勇気も出せずに立ちすくんだまま、何事もないように祈るしかできない。
完全に萎縮していたせいで急な雰囲気の変化に対応できず、謝罪が聞こえてから数秒経って、きょとんとした表情で顔をあげる。
「ぇ……、いえ、…だいじょうぶ、です。
ほんとに、わたしの方が…。よく、ぼーっとして…しまうので」
目の前の男性が謝る必要はないと首を振る。まんまと雰囲気に惑わされていると相手の目にわかるくらい、怯えて硬くなっていた身体から力が抜けていって。
ほっと息を吐いて、もう一度だけちゃんと謝ってから立ち去ろうと思った。そう考えていたところへの提案に、きょとんとさせられる。
逞しい手をじっと見つめたあと、表情を崩した相手の顔を遠慮がちに見上げる。
「いえ、そんな…、でも……」
食事まで奢られるなんて申し訳ないけれど、こちらの萎縮を察して表情を崩してくれた相手の好意をはねのけるのも悪い気がする。それが相手の企みだとは気がつけない。
迷った末に、こくんと小さく頷いて了承した。人通りが多いところで異性の手を取るのは恥ずかしかったけれど、ついていく意思は見せて。
■ボルフライ > 女の印象から察するに、あまり押しに強いタイプでもない。
こちらが柔和な態度を取ればわかり易く安堵した様子も見せた。
少々考えるところはあるが、疑い深くはない…あまりにも無防備な女。
「遠慮することはない」
そんな女はこちらの手を取った、こうなればもう逃げ場は無くなったも同然。
あとは多少強引でも、引っ張っていけば付いてくるだろう。
出会って僅かな時間で、巨漢と少女は裏通りの方へと消えていった。
その後少女がどうなったかは定かではない…