2018/04/23 のログ
■ザール > 存外短気な相手。
短気な相手と分かってからかう男も男。
「おチビちゃんもな。 俺がウドの大木ならさしずめお嬢ちゃんは、雑草っていう所か?」
はっはっはっと豪快に笑う男しゃくりとリンゴをひとかじり。
鋭い目つきで相手を見降ろす。体つきは出るところは出て、締まる所は締まっているようで。
■ヴィルヘルミーナ > 「…お前、俺とケンカでもしてえのか?」
雑草まで言われてしまうと、蛮族は生来の血の気の多さが顔を出す。
だが市場で武器を抜くのは流石に気が引ける。
「場所を移すぞ。 どこか目立たん場所でやる。」
鉄兜の蛮族は忌々しげに睨みあげていた。
相手は手練れのようだが、ここまで言われて黙っては居られない。
■ザール > 「喧嘩ならいつでも売り出し中だ。」
退屈しのぎには良いかもしれない。
相手が場所を移してやろうと言えば、口角を上げにぃっと凶暴な笑みを浮かべる。
「雑草よりは少しまともだったようで一安心だ。
じゃぁ 路地裏にでも行くか。 それなりの広場があったはずだ。 ついてこい。」
場所を移そうといわれれば男は笑みを浮かべ、しっかりと軽口をたたき込みながら芯だけになったリンゴ、屑籠に放り込んでから、相手に背を向け歩きはじめる。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からザールさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からヴィルヘルミーナさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2・奴隷市場」にブレイドさんが現れました。
■ブレイド > 「……くそったれ…」
不機嫌なオーラを纏い、奴隷市場を歩く少年の姿。
本来ならば近づくのだって嫌な場所なはずなのだが、今日はなぜかここにいる。
それは簡単な理由。仕事だ。
不当な商売を行っている奴隷商人の調査…だそうだ。
はっきり言えば、ここいらにいる商人も客も片っ端から地獄に落ちろとは思っているのだが。
だが、これしか仕事がなかったのだから仕方ない。
金はいくらあっても足りない。だから、嫌な仕事も今はやるしかないわけで。
■ブレイド > かと言って、適当な仕事をするわけにも行かない。
件の奴隷商人はまだ現れていないのか、見当たらない。
時間を潰すため、見落としがないか。
そのために市場をウロウロしているわけなのだが。
どこもかしこも胸糞悪い光景ばかり…反吐が出る。
きらびやかな服を着た下衆共が、死んだ目をした少年、少女に鎖をかけて連れて行く姿が散見される。
そんなものを見るたびにフードの下で舌打ちをする。
「やっぱダメだな…次は受けねぇ、こんな仕事…」
こういうものをどうにかできる権力やら財産やらあるなら…とは思うものの
この国がこの国である以上、無くなりはしない光景だろう。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2・奴隷市場」にレナーテさんが現れました。
■レナーテ > 奴隷市場に響く荷馬車の足音、しかし、グラっと僅かに足元が揺れるような感覚すら覚える重量が奏でていた。
彼の傍を通り過ぎ、傍らに止まった馬車は鉄と難燃性の木材を合わせた黒塗りの馬車であり、さながら砦の一部でも切り出したかのような厳つさがある。
開く扉の音も重たく、中央の外開きのドアが金属の擦れる音をわずかに響かせると、年頃の少女が数名降り立つ。
ハイウェストスカートとブラウス、上半身を覆うようなポンチョの様なロングケープ。
そして小銃を携えた少女達は、耳や尻尾を持ったミレーの少女だけ。
最後に降りた自身は、帽子とスカートの中にその象徴を隠したまま姿を現すと、軽く辺りを一瞥する。
「……確かこの辺だったはずです、取引に行ってきますので、ここで待っててくださいね?」
少女達に振り返り、落ち着いた表情のまま指示を伝えていく。
少女達は一様に言葉は違うも、奴隷市場の真ん中にいるにしては怖がる様子のない高い声が帰ってくる。
苦笑いを浮かべると、それではと告げて向かったのは彼が張り込んでいる商人が経営する奴隷の店。
少女達も多いが、剣闘士やらに使われる戦いに秀でたミレーも多くいるそこへと近づいていけば、手帳を取り出す。
パラパラとページを捲り、何かを確かめながら檻の中の人々を確かめていた。
■ブレイド > 「なんだ…ありゃ」
そりゃ、貴族やら何やら、金持ち連中がこのような場所に来るならば馬車を使うのが常であろう。
しかし、あんな厳つい…それこそ戦場のほうが似合いそうなもので、市場のど真ん中に乗り入れるようなものはいない。
客も奴隷も騒然とするし、自身もまた目を丸くして呆然と立ち尽くす。
そんな馬車から降り立った少女たちは何やら制服のような揃いの衣装、ミレー族のようであるが…
「なにもんだよ…って…」
彼女たちが向かうは件の奴隷商の店。
一体何が起きているのかわけがわからない。
人波がひいていく中、ただ一人そばにいる少女に視線を送る。
■レナーテ > 回りから集まる視線にも臆する様子もない少女達は、お互いがなるべく視野に入りやすい位置取りを考えながら小銃の銃口をしたへ傾ける。
銃の割に火薬の匂いが全くしないのは、魔法を放つ銃という違いによるもの。
人波が割けるように引いていく中、店の前で何かを確かめていると、店の男が冷やかしかというような視線を向けてくる。
それも慣れたものなのだが、何やらずっと背中に感じる視線のほうが気になる。
怪訝そうなといえばそうなのだけど、それとも違うような気もする視線。
パタンと手帳を閉じると、視線を感じた方へと振り返り、フードを被った少年を見つける。
周りの他の輩とは違う雰囲気、そして何かを察したように僅かに口角を上げると、彼の方へと近づいていった。
「……怪しいのはいましたか?」
近づくと同時に、淡い微笑みを浮かべたまま顔を近づけ、耳元に囁く。
彼がここに居る理由を知っているかのような口振りだが、笑みを浮かべているのと繋がれば、依頼主と関わりあるのだと察し付くかも知れない。
■ブレイド > 武装している…集団?
その動きから、よく訓練されていることは明らか。
着衣や武装から、おそらくは貴族王族…そういったものが関わっているのだと推察できるが…
それがいったいなにを…?
と、思考を巡らせていると、三つ編みの…おそらくこの集団の指揮官であろう少女が歩み寄ってくる。
キョトンとしたまま立ち尽くしていると、耳元に囁き。
少しゾクリと震えてしまったが、それはそれとして。
「…あんたら、あの店の…」
おそらくは、この仕事の依頼主の手のもの…もしくは依頼主そのものか。
少女の言葉には小さく首を振る。まだ、しっぽはつかめていないのだから。
■レナーテ > 「今はお客さん……ですね。でも、最後のお客さんかも知れませんよ。貴方次第です」
静かに囁く声は、周囲の雑踏に消えてしまいそうなほど小さく、それでいて二人の間に留まるように響く。
それを囁くと、少し大きい声で人違いでしたね、失礼しましたと嘘を紡ぎながら苦笑いを浮かべ、店の方へと戻っていた。
「今この店にある奴隷、全て買い取ります。枷は全て外しておいてください、私達の流儀に反しますので」
明らかに体に戦いの爪痕が見れるもの、大分弱ってしまった幼女など、極端に偏ったラインナップの全て買い占める。
その言葉に周囲がどよめいたかはさておき、売り手の男に小切手を差し出す。
切手の差出人を見るや、苦虫を噛み潰したような顔をして、檻の鍵が開けられていく。
手枷や足かせ、そして首輪と外されていく中、怪訝そうな視線を浴びつつベレー帽を脱いだ。
焦げ茶色が混じり合う猫のような耳を晒せば、同族だと誰もがわかるもの。
「民間軍事組合のチェーンブレイカーから来ました。私は秘書のレナーテです、本当は組合長直々に伺いたいということでしたが……多忙なので私でお許しください」
奴隷たちに深々と頭を下げれば、奴隷達の中でも何やら騒がしくなるだろう。
九頭竜山脈に集落を築き、今や流通の心臓を担う商業の交差点、ドラゴンフィート。
それを運営するティルヒア戦争後から活発化した、一種の傭兵組織であるチェーンブレイカー。
ミレー族の駆け込み寺の一つと言われるその名が指し示すのは、隷従を強いる買い取りではなく、解法を示すもの。
荷馬車の方へと振り返ると、ハンドサインを送り、他の少女達がにこやかに先導へと向かう。
「後は任せますね?」
移送と手続きを任せると、仕事を終えたというように肩の力を抜きながらその場を離れていく。
一瞬だけ彼に目配せして、店から少し離れた路地裏へと向かう。
人も来ない、時折強姦も発生するようなところだが、秘密裏に話すにはちょうどいいと、見失われない様、ゆっくりと向かっていった。
■ブレイド > 「最後のって……なにを…」
少女の言葉は意味深で、少し訝しむような表情をしてしまう。
だが彼女の店での発言、行いをみれば、再び目を丸くしてしまうのだった。
奴隷の買い占めに始まり、奴隷の枷を取り払う、民間軍事企業の者と名乗る彼女。
チェーンブレイカー。うさわ程度に聞いたような聞かないような。
詳しいことは知らない。だが、彼女の耳を見ればどういう組織なのか、見当がつく。
テキパキと作業をこなす少女たち、それに指示を出す三つ編みの少女。
その手続を見ていることしかできなかった…・が、一瞬三つ編みの少女がこちらを見る。
先程の話から言って…おそらくは用事があるのだろう。
周囲を警戒し、怪しまれないように。
彼女の後を追う。
■レナーテ > 路地裏は入り組んでいき、人を惑わせる道筋が描かれる。
後ろ姿が僅かに見える程度に速度を落としながら歩くも、仮令見失ってもシトラスの香りが僅かに残っていく。
奥へ奥へと向かうと、袋小路になった一角で、彼へと振り返った。
「お疲れ様です。思っていたより予定が早まってしまったので……そのお伝えです」
そう告げると、彼の方へと歩み寄り、肩提げ鞄からマニラ封筒を取り出し、止め紐を問いて羊皮紙を引っ張り出す。
どうぞとそれを差し出せば、あの店の商品の流れと予測が事細かに記されていた。
明々後日、買い手がなければ奴隷達は二束三文でバフートの買取業者に払い下げられ、剣闘士として殺されるか、娼館の性奴として、病で潰れるまで犯されるかの二択と、未来は定まっていたのがわかるはず。
「大事を取って今日の時点で買い取りました。とはいえ、お金がああいう人に流れば、また別の奴隷を取りに行くだけです。黒い噂は多く聞いてますから……次に動くまでに、証拠を何か掴んでもらえますか?」
これが店じまいの商売となるか、更に店を繁盛させる足がかりにされてしまうか。
その舵を彼が握っている。
急かす結果となり、申し訳無さが眉尻を提げた表情に出ていく。
よろしくお願いします、と改めて彼に頭を下げていき、仕事の継続を依頼する。
■ブレイド > 誘われるように進む路地裏。
シトラスの香りは彼女の香水か、この場に似つかわしくない爽やかさを残している。
それをおってたどり着いた袋小路。
「やっぱあんたらが依頼主ってことか…。で、早まったってどういうこった?」
少女の言葉に疑問を投げかけるよりも先に取り出された封筒。
その中身を渡されれば…ざっと目を通しただけでもろくなことは書かれていなかった。
見ているだけで胸が悪くなるような…まさしく外道の行いだ。
「…クソみてーな話だな…まったくやんなるぜ。次に動くまでってなると、あんま時間はねーな。
むしろ、あんたらが大きく動いちまったから、高飛びの可能性だってあるしよ。ま、こういうことならしかたねーけどさ」
ひらひらと羊皮紙を振ってから彼女へ返却する。
とはいったものの、どう動くか。
そのまま乗り込んでもいい結果にはならないだろうが……。
■レナーテ > 「えぇ、私達の集落から直接依頼してしまうと警戒されてしまうので……」
小さく頷き、書類を見せていく。
まるで使い潰しの道具程度にか考えられていない内容に、彼の言葉に怒りが混じっていくのがわかる。
揺らされた羊皮紙を受け取ると、丁寧に封筒へ戻していった。
「そうですね……傭兵を雇って、馬車と情報を揃えてですが、運が悪ければ数日で揃うケースもあります。こちらに警戒して高飛びしてくれるなら、組合長さんから直接動いてもらえば事は済むんですが……」
大金を得たと同時に即逃げ出せば、国家に関わる危険な行動をとった可能性があると言いがかりをつけられる。
王族の私兵軍隊に捕まれば、あとは吐かせるのも容易いが、浅はかな輩ほど次の欲に目がくらみ、連鎖を引き起こしかねない。
指先を顎に添えて考え込むと、暫くの無音の間を置いて唇を開く。
「……薬屋を張ってみるのもいいかもしれません、奴隷に薬物投与を行っているケースは多々みています。ただ、どれも危険で違法なモノが多かったですから……その足がつかめれば、取り潰せるかもしれません」
こうした回収を行う関係上、そんな壊れかけの奴隷は幾度も見てきた。
足がかりとなりそうな提案を告げると、どうだろうかと言うように彼の瞳を覗き込む。
■ブレイド > 「薬屋…ね。張るべき場所がわかってんなら話ははええ。
むしろやつが懇意にしてる薬屋を洗ってみりゃ素直にゲロしてくれるかもしれねーな。
そういうやべー薬の取引するってーなら、信用してる場所ってことになるだろ?
んでもって、その薬屋がどこかっつーとこか…」
彼女の言葉にうなずく。
お互いの金色の瞳が合えば、彼女の提案に応えるように一度目を伏せる。
「こういう、金にきたねー下衆は金の動きはきちっと書類に残してるはずだけどな。
さすがに忍び込むのはリスクがたけぇか…」
ようは、件の商人がもっていると予想される領収書。
それさえ手に入ってしまえば解決ということ。
ただし、あくまで予測に過ぎないことと、忍び込んだところで気づかれれば無事では済まないということ。
忍び込んだ上で成果なし、そのうえ見つかってしまえばもうどうしようもない。
「地道に聞き込みしてる時間はあまりねーかもしんねーしな…」
時間を掛けることができない。多少のリスクはやむを得ないか。
悩みどころではある。
■レナーテ > 「一緒に牢獄に放り込まれるか、裏切って地道な生活に逃げるか…ですね」
とは言え、彼が続けたとおり危険な取引をする相手は慎重に選ぶもの。
そう安々と逃げ出すような腰抜けを相手にする店も少ない。
瞳を伏せた彼の提案は、物証を得るというもの。
それなら問答無用で引っ張れると納得したように小さく頷いたが、リスクの大きさに心配そうに彼を見つめる。
時間もない、それなら多少のリスクは厭わない。
だが……一つの案が浮かぶと、何故か微笑みを拵えながら彼へ視線を戻す。
「それなら……使いたい相手を準備すればいいです。例えば、都度都度商品を買い漁って、その後不穏な結果を齎す憎き商売敵とか…ですね」
遠回しな言い方ではあるが、先程の光景からすれば、目の前にいる自身を指し示しているのと何ら変わりない。
囮として危険に踏み込もうという提案の割に、何故か緊張の色はなかった。
「そちらが路地裏で私を掴まえたと突き出せば最適ですね、ただ……悪い人を演じないといけないので、気分は良くないかもですが」
■ブレイド > さてどうするか。
忍び込むにしても大金を得た直後、警戒しないはずがない…などと思考を巡らせていた矢先
眼前の少女からまさかの提案が飛び出したのだった。
「………は?」
思わず変な声が出た。
何いってんだこいつ?というような表情にもなろう。
「いや、アンタ…そんなことしてどうなるかわかってんのか?
そりゃ中に入り込むにゃいいかもしれねーが、突き出された直後にヤク漬けか、さんざ嬲るかされるに決まってんだろ!
んなことさせられるか!」
当然反対する。
ああいう手合が好ましくない相手が自分の懐に飛び込んできた際に真っ先にすることと言えば…なによりもまず
『受けた屈辱を倍で返す』だ。
彼女は見た目も悪くないし。
■レナーテ > さもありなんといった様子で提案してみたものの、呆気にとられた表情と声に苦笑いを浮かべる。
流石にそれは嫌かと思いきや、彼の並べる心配の言葉に今度はこちらが無言のまま、何度か瞳を瞬かせていく。
何故こうなったやら、そう考えながら言葉を整理していくと、少しの間をおいて少し俯きながらクスクスと、沸き立つような笑い声を溢し、薄っすらと涙を浮かべた顔を上げた。
「――ごめんなさい…っ、ちょっとすれ違ったのがおかしくて。私を突き出して帰れってわけでも、その間に探せというわけでもないです。突き出す時、目の前で私を危ない代物で薬漬けにするのを見せてくれって、言ってほしいんです。向こうが出してきたら、やっぱ辞めたって取り下げてください。理由は……そちらが自分の為に使うとか、それらしい感じに嘘をついてもらえればと」
自ら死ぬつもりで囮をするつもりはなく、あくまでカマをかけるためのもの。
彼が自分を突き出して、壊れてしまうところまで案じる様子で、意図した事とのすれ違いに気づいたのだろう。
可笑しそうに笑っていたものの、涙を指先で拭いながら今度は嬉しそうに目を細めた。
「そういう人だから、囮役を出来るんですよ。貴方が悪そうな人なら、いいませんから」
奴隷商の動向に悪態をついた様子から、彼なら大丈夫だろうと気を許す。
数少ない自分立ち寄りの存在だと思ったからだ。