2018/02/04 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にマリーさんが現れました。
■マリー > 「んー……」
いいお店、と言うか鍛冶屋?と言うか?を探してうろついているバウンティハンターの少女。
お目当ては、上質なものがあまり出回っている様子のない磁石のボールである。
「んー、どーしても消耗品だからなぁ」
平民地区を練り歩くも、まあ中々見当たらない。そういうのを含めて手広く商いをしている相手でも見つかれば、かなり資材の面で楽が出来るのだが。
■マリー > 「『霹靂一声』、我ながら強いとは思うんだけど、どーしても弾だけがネックなんだよなぁ」
磁石のボールなんぞ何に使うのか、と問われれば、武器である。
マリーは電気使いだ。その電気で磁力を操作することも出来る。
それでもって磁力のトンネルを発生させ、リニアの原理で磁石のボールを超高速で打ち出す、いわばレールガンを再現した魔術をマリーは使うことが出来る。それが『霹靂一声』と彼女が呼んでいるものである。
……が、その為には『射出時の高熱に耐えることが出来る』『弾丸として放った際に空気抵抗で素っ頓狂な方向に飛んでいかない形状』の磁石のボールが必要になる。
そして、撃てば流石にボールはぶっ壊れる。ぶっちゃけもう残弾ロクに残ってないのである。
「ボクの技の中でも、使いやすいのはいいんだけどー……誰か卸してくれないかなあ」
そもそも弾丸に出来るサイズの磁石を取り扱ってる店自体がロクに存在せず、そこから加工、量産となるとまあ見つからない。
途方に暮れながら、いい店ないかー、いい卸しいないかー、とブラついているのである。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にノーチェさんが現れました。
■ノーチェ > 「はい、いらっしゃい。 いらっしゃ~~い。
珍しい物たくさん置いてるよ~~。」
寒空の中、声を張り上げる。
今日の俺は粗末な屋台の上に商品を並べ露店の主だ。
ギルドなどに所属していない者は遺跡などで良さそうな品を手に入れても買いたたかれる場合がままある。
そんなことを何度か経験した俺の結論は自分で冒険者相手に売りつけることだ。
今日も借り物のオンボロな屋台の上に遺跡や戦場で手に入れた品々を並べている。
見ただけで価値のありそうな武器や防具にならんでよく分からない雑貨だかアイテムだかも並んでいた。
「そこのお嬢ちゃん。 何かお探しかい?
うちは良いのが揃ってるよ。」
俺は視界に入ったゴーグルのお嬢ちゃんに声をかけた。
独り言の内容までは聞こえなかったが、こんな所をうろついているだけあって何かを探しているのだろう。
こういうタイプの人間はお眼鏡にかなえばいい値で買ってくれる気がする。
■マリー > 「うん?お嬢ちゃんってボクのこと?」
町中に数多響く客寄せの声。
その中で、こちらに向けて飛んできたらしき声を聴き咎め、そちらに目を向ける。
すると、粗末な屋台に雑多な商品の露店があった。
「(んー、期待薄かなあ)」
そんな事を思いつつ、こういう店が物凄い掘り出し物を持っている可能性は決して低くない。
バウンティハンター仲間の中でも、ボロい店の中にこそ『穴場』があるというのは常識だ。いい店ほど『安定した供給』しかしないものだが、ボロい店は自力で見つけ出してきた逸品を、場合によっては相場未満の値段で並べていることだってあるのである。
そっち狙いにシフトかな、と思いつつも一応注文を告げる。
「んーとね、手のひらサイズの磁石のボールを探してるんだけど。出来れば綺麗な球形で、丈夫な奴」
自分の魔術に関してはいきなりは口にしない。
バウンティハンターにとって、自分の技は飯のタネ。下手に開帳して模倣されてはたまったものではない。バウンティハンター同士で戦うこともあるのだから、余計大っぴらには出来ない。
なので、最初は取り敢えず情報は隠すものなのである。
■ノーチェ > 「そうだよ~、君しかいないよ。
可愛いお嬢ちゃん。」
お嬢ちゃんが呼び声に反応して視線を向ける。
俺はこくこくと首を縦に振ってからお嬢ちゃんの視線の動きをそれとなく見ていた。
…どうも、感触が悪いようだ。
個人的には結構強そうな武器も並べたと思ってはいたのだがお嬢ちゃんが使う武器とは違うのだろうか。
「そりゃまた随分と珍しい物を探しているねえ。
…例えば、こんな奴でいいのかい?」
俺は屋台の下にある引き出しを開け、要望された物に近そうな球状の道具をいくつか取り出すと屋台の真ん中に並べた。
どれも磁力を帯びていたり、磁力の代わりに魔力を帯びている物で大きさこそバラつきがあるものの傷のない球状でそれなりに堅い金属で出来ていた。
「知り合いのとこの余り物なんだけど、あまり買ってくれる人もいなくてねえ。
お嬢ちゃんの気に入る様なモノがあればいいんだけど。」
■マリー > 「お世辞を言っても財布は緩まないよー?」
へへっと笑う。
商売人の口から出る褒め言葉は、大抵が購買意欲を煽るための御世辞だ。
でもまあ、言われて悪い気がしないのは自分でもチョロいなあ、と思うマリーであるが、それはそれとして、並べられた品に目を見張る。
「お、おおー……これは、へぇ……」
一つ一つを手に取って確認する。
――どれも上質。大きさのバラツキは仕方ないとして、傷のない球状で尚且つ堅く、魔力や磁力を帯びている。
これは、全買いだ。
オーギュストと言う軍人から貰った『第二級竜鱗勲章』――今も身に着けている――のおかげで、飲み屋なんかでも向こうから安くしてくれることが多く、かなり資金面でも余裕が出来ている。
少々お高くても即全買いしていいレベルの品であるが……。
「ふーむ。悪くはないけど、じゃあおいくら?」
それはそれとして、値切らない理由はない。
そもそも金なんてある時はあるが、少し機会があればすぐなくなるシロモノだ。
なら、ケチるのは当然の事。普段からの節約が長生きのコツなのである。
■ノーチェ > 「いやいや、本当だって。」
俺の方も楽しげに話していた。
お世辞の部分もないわけではないが、やはり可愛い女の子と話すのは気分が弾む。
「どうだ? お嬢ちゃんみたいに分かる人にとっては良い物なんじゃないか?」
先程と違って食いつきが良くなってきた。
おまけに品もお眼鏡にかなうレベルのようだ。
これならばそこそこいい値で買ってくれるかもしれない。
服からぶら下げている勲章の意味はさっぱり知らないが、お城に関係のある人物なら予算もありそうだ。
「そうだねえ、これ位でどうだい?」
オンボロの屋台にしては珍しく、この店はマジックアイテムを使っている。
その中の一つ、何度でも書き込みできる板とペンに金額を書き入れ、提示する。
これは口頭だとどうしてもズレが生じたりするからだ。
しかし、明らかに欲しそうに見えたのに悪くないとは。
なかなか食わせ物のお嬢ちゃんの様だ。
■マリー > 「どうだかー?」
クスクス笑いつつも、気は緩めない。
楽しく話すことと、商売の交渉は切り離さないとしてやられるのだ。
「うん、例えばこれとこれはいい感じなんだけどー……ほら、こっちは魔力だから運用ちょっと変わるし、こっちはサイズが大きすぎかな。だから悩んじゃう所だよね」
半分出まかせだ、いくらでも何とでもなる。
だが、軽くイチャモンをつけることで向こうから妥協を引き出す狙いである。
「んー……そーだねぇ。ボクとしても拘りたいし、出来ればこれとこれとこれの分に関してはもーちょいお安くならない?」
いいのは買うけど、それ以外はなしにして他の店を探すのでもいいんだぞ。と暗にチラつかせる。
値段的には『アリ』な買い物だが、ここでいかにもう一声を引き出すかが、こういう『交渉の出来る取引』での腕の見せ所である。
■ノーチェ > 「おいおい、随分と疑うじゃねえの。」
なかなか強敵の匂いが漂ってきた。
年下の様だがそれなりに場数を踏んでいるのだろう。
「お互い初めて会うからな。
次はお嬢ちゃんが望む形状の物を集めておくよ。」
お嬢ちゃんが値下げ交渉に入ろうとしているようだ。
アレコレ言って値段を引き下げたいのだろう。
俺としても別にそれほど暴利を取りたいわけでもない。
多少の値引きは応じるとしよう。
「そうだねえ、俺の方はあまりくぐり合いみたいなしたくないしこれ位でいいかい?」
屋台の引き出しにいつまでも居座られても困る品もあったので、
最初からお嬢ちゃんの希望に応えることにした。
ボードを手に取ると、数字を書き換える。
お嬢ちゃんの要望から外れたタイプを最初の金額から半額にした。
「これでどうだ? 言っとくが、これ以上は止めてくれよ。
他所を探してもそうそう見つかるものでもないんだしよ。」
■マリー > 「ま、女だてらにバウンティハンターなんてやってるとどーしてもね」
実際、マリーは今でこそある程度名が売れたおかげで侮られることも減ったが、駆け出しのころは『適当に褒めそやかして手籠めにしよう』なんて輩も少なくなかった。褒め言葉への抵抗は中々強いのである。
「へぇ、こういうのが比較的安定して手に入るってこと?」
寧ろそこに食いつく。
『霹靂一声』は、性質上弾は完全に使い切りだ。
一度使えば当然弾は壊れて使い物にならない。故に、弾の安定供給がないと思い切って使えないのである。
安定供給してくれるというのならば、今後贔屓にしてもいい……と言うより、是非贔屓にさせてもらいたい相手だ。
「おっと、これは……うん、おっけー!」
どうやら、初手からギリギリまで妥協してくれたようだ。
これ以上は悪手。寧ろ店側が品を出し渋ってくる領域だし、加えて店の横のつながりで悪評を広められかねない。そうなっては、困るのはこっちの方だ。
だから、ここでは即座にOKを出す。こういう見切りもまた買い物では大事なところである。
「これ、全部頂くよ。ほいっと」
どさっと金貨を置く。チェックして、値段ぴったりなのも確認済みである。
■ノーチェ > 「賞金稼ぎか。 随分と格好いい仕事してるんだな。」
最初の印象通り、荒事を仕事にしているようだ。
となると、今後も定期的に武器の類が必要になるだろう。
城に出入りする程なら金払いも問題なさそうだ。
俺は思いがけない販路が出来、心の中で喜んでいた。
「まあ、俺の知り合いにそういうの作ってる奴が居てね。
他に買い取り手も居ないことだし、お嬢ちゃんが良ければ定期的に配達しようか?」
どうやら利害が一致したようだ。
得意先が増えればこうして寒空の下でボロ屋台を出す回数も減るだろう。
「価値の分かるお嬢ちゃんで良かったよ。
それじゃ、先に金貨を頂いて。
ほい、重いから気を付けて持って帰りなよ。」
積まれた金貨を引き出しに入れてから、屋台の上に陳列してあった空き箱に
今し方売れた球体を詰める。
積め終えた後、蓋をしてからお嬢さんの前に置く。
この取引はこれで終わりだが、お嬢ちゃんはこの後どうするか。
俺としては、定期購入をしてくれると非常に嬉しいのだが。
■マリー > 「ま、お金が欲しくってさ」
実際は、他にも理由があるのだがそれは口にしない。する必要も無い事だ。
やっぱり、それ以上に重要なのはこの定期的な調達である。
「これが定期的に入るって言うんなら、是非ともお願いしたいかな。正直な事を言うと、ボクはこれを消耗品として使うからね」
バウンティハンターと言う職を伝えた時点でまあ大体バレることだから、ここは素直に口にしてしまう。
短期的な取引なら情報は隠し、刹那的な利益を模索するものであるが、長い付き合いになりそうならば話は別だ。
一定の信頼を示し、その上で納得のいく関係を構築する必要がある。
「んっと、ありがと。で、これを定期的に入れてくれるなら、ボクは買うよ。仕事の関係上安定して持っておきたいからね」
箱を受け取りつつ、話を詰めていく。
ここでこのルートを確立できるのとできないのでは大きく違う。
『霹靂一声』が安定して使えるかどうかの岐路なのである。
■ノーチェ > 「俺も金が欲しくってさあ。
だからこんな寒い日にも店出してんだよね。
割のいい仕事が欲しいもんだ。」
今日はお嬢ちゃんのおかげで十分に売り上げた。
なので屋台の片づけを始める。
「それなら、定期的に配達させてもらおうか。
どこに持ち込めばいいかを後で教えてくれるかな。
そうだな、先に俺の紹介もしておこう。
俺はノーチェ。 この辺りで店出したりしてる何でも屋だ。」
己のことを話はじめたお嬢ちゃんに対し、俺も自己紹介をした。
俺自身は闇に潜んで暮らしているわけでもなければ、特段目立つ活躍をしているつもりもない。
興味があれば城などで調べたら簡単に素性も割れるだろう。
「後はどのタイプが特に欲しいかだな。
要望をくれれば次からはそれに合わせた物を入れるからな。」
お嬢ちゃんが球をどのように使うかは見当もつかないし聴くつもりもない。
なので要望だけを教えてもらおう。
■マリー > 「ま、こういう日に露店出してるのはやる気ある証拠だよね」
商売人がやる気を見せるということは、稼ぎに飢えているということだ。
事情があるのか、金銭欲なのか。それはマリーにとってはどうでもいい。
それこそ、重要なのはしっかり品を卸してくれるかなのだから。
「ん、ボクの拠点はココ。
そうだね、ボクも自己紹介しとかないと。ボクはマリー。バウンティハンター『雷光のマリー』だ。よろしく」
拠点を記したメモを渡しつつ、簡単な自己紹介。
少し調べれば、雷使いのバウンティハンターでそこそこのやり手であること。
そして、しっかり調べればとある吸血姫に雷撃を喰らわせたことがある中々の凄腕だということは分かるかもしれない。
「そうだね、サイズとしては手のひらサイズ。重さはあまりこだわらないけど、とにかく熱に耐えられて尚且つそれなりに堅いものかな」
そして条件を伝える。
重さは、正直良し悪しなのでどっちでもいい。
だが、硬さと耐熱性は最重要だ。これがダメだと、弾丸として機能しない。
■ノーチェ > 「やる気じゃなくて単純に飯が食えてねえんだよな。
今日だけはお嬢ちゃんのおかげでだいぶ潤ったけどな。」
いつもならもう少しここで店を続けるのだが、今日は早じまいだ。
そして要望されたサイズの球を生産するように手配しなければならない。
「へ~、結構いいとこに住んでんだな。
あんたが雷光のか。 随分と若いんだな。
これから宜しくな。」
実際に戦っている所は見たことが無いが、評判は聴いたことがあった。
なるほど、城から勲章を貰っているのも頷ける。
こんな所で接点が出来たことは本当に幸運に思えた。
「なるほどね。 承ったよ。
あとは他に必要な物が出てきたら事前に言ってくれたら用意するぞ。
雷光クラスならヤバイ相手ともやりあうんだろ?」
■マリー > 「あー、なるほどねえ」
苦笑する。思えば、自分も昔は全然食べれてなかった。
今となっては安定してきたものの、それで初心をちょっと忘れていたかもしれない。
「へぇ、ボクを知ってたんだね。ようやっと名前も売れてきたってところかな。
……うーん、それじゃあ『吸血鬼対策』になるようなの、何かあったら買うよ」
ちょっと笑顔になったが、その後は真面目な表情で。
結構な時間が経過したが、あの吸血鬼にはやっぱり一泡吹かせたい。
そうでなくとも、上位吸血鬼には自分の術じゃ通用しないのは痛感してる。そういう相手の対策はしておきたかった。
■ノーチェ > 「手頃な仕事あったら紹介してくれよ。
こう見えて荒事もやるんだぜ。」
俺は腰に差しているサーベルを示してアピールした。
城に出入りしているお嬢ちゃんならあるいは期待できるかもしれない。
「そりゃあ、あんだけ派手に暴れてたらな。
逆にあんたを狙う賞金稼ぎも居るんじゃないか?
…吸血鬼ねえ。 真面目な話、この国ではそう言った類を集めるのはなかなか難しいかもな。
今度北方の品でそう言った物が無いか探してみようか?」
真剣な表情のお嬢ちゃんに対し、俺は肩を竦めていた。
体勢批判をするつもりはないが、この国ではあまり聖の力を感じることがない。
当然、上位クラスの魔の者に対抗できるような品も多くはないだろう。
寧ろ北の帝国の方がよほど対策が出来ているように思えた。
■マリー > 「へぇ。でも、そういう仕事はボクがやっちゃうからなあ」
あまりものになるよ?と笑う。
いい仕事を余所にホイホイ回すバウンティハンターなんて存在しない。簡単なのでも、割が良ければ自分でやってしまう。仕事自体が取り合いの稼業なんてそんなものだ。
「――いるかもね。だから、狩られないためにもこいつが必要なんだけどさ」
こん、と先ほどの品を入れた箱を叩く。
『霹靂一声』は、結局のところ高威力の物理技。
その効果は、相手が普通の人間である方が期待値が高いのである。
「だよ、ねぇ。正直、魔族に対抗するための力が随分弱いように感じる。
だからこそボクらみたいなヤツの仕事が増えるんだけど、ちょっと不安はあるね。
そっちが良ければ、北の品も探してみてよ。ボク、北は行ったことがなくてさ」
実はマリーはまだ北に足を延ばしたことがない。
こっちの方で生活の基盤づくりにいそしんでいたからだが、それ故に色んな意味で北には興味があった。
■ノーチェ > 「困ったお嬢ちゃんだなあ。
そこは俺に恩を売って置いてくれるとか配慮が欲しいんだけど。」
すぐさま期待を打ち砕かれ、俺は大げさに肩を竦めてみせた。
元々被っている気はしていたので驚きはないのだが。
「雷光は剛速球投手だったんだな。
相手が棒で打ち返してこないといいけどな。」
恐らく、普通に投げるわけではないと分かってはいるが。
俺はボールを棒で打ち返すスポーツを思い浮かべていた。
同時に、体は何も持たない状態で虚空に向かって大ぶりのスイングを。
「教会とか行ってもどちらかと言うと禍々しい感じがしたりするんだよな。
既に城の中にも入り込んでるんじゃないの?
オーケー。 俺も興味あるし、色々探してみるわ。
とりあえず、吸血鬼に効きそうなのを見つけたら持っていくよ。」
城に所属しているわけではない身分なので北でもどこでも入るだけなら入ることは出来る。
目ぼしい物が手に入るかどうかはわからないが。
■マリー > 「んー、そーいうことならまあ、考えなくもないけどねー」
笑いつつ。実際、バウンティハンターとしてはマリーは余裕がある立場だ。
それこそ、今後長く関係を構築する相手なら、そう言う恩の売り方をしても損はないだろうと考える。
「その棒ごとブチ抜くからだいじょーぶだいじょーぶ。
……正直、それはボクも感じてるし、バウンティハンター仲間の間でもちょくちょく噂になってるよ。
この国、実は相当ヤバい……って言うか手遅れなんじゃないかってね。あんまり言いふらせない話だけどさ」
スポーツの例えには笑って返すが、その後真剣な表情になるマリー。
――実際、冒険者やバウンティハンターのような、現地で実際に戦う人々の感想や噂はバカにならない。
それをわかっているからこそ、現状への不安は強く抱いているマリーであった。
「そう言う事情もあるから、出来ればお願いね。無理は言わないけど」
せっかくいい品を卸してくれる相手が見つかったのだ。無理して死なれでもしたら困る。
そういう意味でも、無理はしないでほしかった。
■ノーチェ > 「10回仕事をくれたら、一回の購入分タダとかどうだ?
なんなら、ポイントカードも作ろうか。」
お嬢ちゃんと共に笑みを浮かべるが、俺の方は観察を続けていた。
お嬢ちゃんは仕事の数も多そうだし縋るのもアリだろう。
「いやいや、相手も猛打者かもしれねえじゃねえか。
やっぱ、噂にはなってんだな。
ま、俺はお嬢ちゃんと違って上位の魔族ってのとまともに対峙したことねえからな。
向こうの怖さもまだあまり分かってないんだよな。」
お嬢ちゃんは真剣だが、俺は気軽に考えていた。
人間でも危ないのは幾らでも見たことがあるだけに、実際にどちらが良いか悪いかは判断がつかなかった。
「まあ、任せなよ。 俺もちょうどサーベル一本だけだと寂しいと思ってた所だしな。
それに多少の無理はしないとお嬢ちゃんも高値で買ってくれないだろう?」
つい先ほどのシビアなお嬢ちゃんを思い出し、肩を肘で突いて見せる。
■マリー > 「なにそれ、面白いけど結構時間かかりそうだね?」
10回となると、まあそれなりの量だ。それだけ流すのは中々に時間がかかりそうである。
が、一方でそれだけの価値を持っていそうな相手でもある。
現状の余裕も鑑み、たまに流す程度はやっていいかもしれない、とは考えていた。
「ボクは、最上位の吸血姫と戦ったことがあるからね。
――強かったよ。一度目は手も足も出なかった。二度目も退散はさせたけど、勝ったかで言うと微妙。だから、結構悲観的かな」
その吸血姫……ロザリーは、強烈な強さを誇っていた。
そもそも切り札を切った上で倒しきれなかったのだ。今どうしているかは把握していないが、決着をつけたいと思う反面、相手にしたくないとも考えていた。
「ま、確かに品が悪かったらボクも渋っちゃうからね。そこんところはよろしく!」
まあ、実際それはそれだ。肩をつつかれて笑いつつ肩を竦める。
危険がどうこうとかはさておき、良質な品にこそ金を払うのはバウンティハンター関係なく人として当たり前の心理である。
目の前の相手は、そこも分かっているようだった。
■ノーチェ > 「そりゃそうだよ。
その代わり無料の時は馬車でも借りて運んできてやるよ。
無論、大量に球を詰め込んでな。」
お嬢ちゃんがどこまで本気かは分からないが、俺の方は本気でやるつもりだった。
当然その分のリターンも用意しよう。
持ちつ持たれつの関係を作りたい物だ。
「よく無事に帰ってこれたな。
ま、それでも戦闘ってのは格上が毎回勝つとは限らないからな。
準備さえしっかりできれば次はいけるんじゃないか?」
俺の方はあくまで楽観的に考えていた。
お嬢ちゃんがこれだけ入念に備えている以上、次は前よりも良い結果を出せる気がするし、最悪
逃げればいいと思っている。
「だろう? その辺しっかりしてるもんなあ。」
よろしくとまで言われるとそれに答えれるだけの品でなければとても買ってもらえないだろう。
俺は笑いながら屋台を牽いて。
「俺の方はそろそろ帰るわ。
用事があればここにでも連絡してくれ。」
宿の名前をお嬢ちゃんに伝えると、車輪の軋む音を通りに響かせつつ去っていく。
■マリー > 「おっけー、じゃあそれ試してみようか」
仕事が欲しい、と言うのは本気なのだろう。
なら、それなりに回すのもやぶさかではない。相手が潰れてはこっちも損があるからだ。
「ま、切り札切って逃げてきたんだよね。
……大物食いが出来ればそれが一番なんだけどね。死なないように準備しても死ぬ仕事だし、怖いもんだよ」
バウンティハンターと言うのは、当然命がけの仕事だ。
だからこそ、名うてのバウンティハンターほど『無理な仕事』は決してしない。
自分の実力で出来る事をするのがプロなのだ。
「そりゃあ、それなりにバウンティハンターで食ってるからね。
……っと、それじゃーまた。いい買い物させてもらったよ」
言いつつ、車輪をきしませて帰るノーチェを見送る。
実際、いい買い物が出来た。このルートを保つことが出来れば、『霹靂一声』は安定して使えるだろう。
収穫にホクホクになりながら、自分もその場を後にした。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からノーチェさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からマリーさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区・公園」にブレイドさんが現れました。
■ブレイド > 公園のベンチ、露天で買ったパンに肉とサラダを挟み込んだようなものを食べつつ本を読んでいる。
冒険者のような出で立ちの少年の姿は、憩いの場にはややそぐわないのだが、気にする様子もない。
今日は手頃な仕事がなかったので、ギルドからの帰りに食事がてら、息抜きがてらの勉強だ。
読んでる本は借り物なので、注意をはらいつつ。
行儀はよろしくないが、それを咎めるものもいない。そもそも育ちもよろしくないので本人もそんなことどこ吹く風である。
「ふー…」
ため息一つ。最近増えたような気がする。
なれぬ勉強が続いているからか、疲れでも溜まっているのだろうか?
ご案内:「王都マグメール 平民地区・公園」にトールさんが現れました。
■トール > 馴染みの店への配達の帰り道、通りかかった公園でふと少年をひとり見かける。
何やら本を読みつつ食事を行ったいる様子だが、どうにも元気がないように見えた。
「何か悩み事かね?」
しずしずとスカートの裾を翻さない優雅な足取りで近付くと膝に片手を置いて身をかがめ、少年の肩越しに声を掛けた。
振り返れば黒いドレスで谷間を強調した胸元と銀色の髪が視界に映るだろう。
前かがみのせいで余計その豊かさが強調されるそれは少女が少し息を吐くだけでいかにも柔らかそうに波打つ。
■ブレイド > 「うおっ!?」
いきなり声をかけられれば、頓狂な声を出す。
声をかけられた事自体はそう驚くようなことでもなかったが
意識の外からいきなり女性を思わせる箇所を強調したものが目に写れば、変な声も出るというものだ。
「っと、何だよ、びっくりしたじゃねぇか」
声質と口調と姿が一致しないが、おそらくはこの少女が声の主。
優雅な物腰、美しい髪質、衣装も自分とは比べるべくもない。
そんな女性が自分に声をかけてくることが少し不思議であったが、不意打ちからたちなおれば
少年らしくやや乱暴に返す。
■トール > 「おや、すまないね。」
少年の乱暴な返事に可笑しそうに笑みを浮かべ、少年の座っているベンチの背もたれに両肘を置く。
そのせいで豊かな膨らみはちょうど少年の顔の横あたり。
「いや、何。随分大きなため息を吐いていたのでね、
何か悩み事でもあるのかと思ったのだよ。」
少女の体臭か、それともシャンプーか香水の匂いか、ふわりと甘い香りを漂わせつつ少年へと微笑みかけながらちらりと開いている本へと視線を向けた。
■ブレイド > 余裕のある口調に態度。
見た目よりも高齢なのか?などと思ってしまうが、口には出さない。
「そ、そうか?悩み…ってわけでもねぇな。
気になったならすまねぇな」
香りにも、視覚的にもよろしくない状況ではあるが、あくまで平静を装う。
それがうまくできているかはどうか定かではないが。
視線を向けないでいる辺りなど、むしろあからさますぎる気もする。
もう少し落ち着きを取り戻せば普通に会話もできるだろうが…
■トール > 思春期の少年特有のぎこちない態度に内心可愛いなどと思ってしまうのは仕方ないだろう。
もっとも口に出せば反発を招くだろうが……。
「はは、そんなに気になるのならもっと見ても構わないのだよ?
その代わりに君のことを聞かせて貰ってもいいかね?
何故ため息を吐いていたのかとか、何の本を熱心に読んでいたのかとか。」
少年に落ち着く暇を与えないとばかりに肩に掛かる銀髪を掻き上げながら吐息が掛かるほど顔を寄せる。
長い睫毛が飾る紫の瞳でじっと少年の横顔を眺める。
■ブレイド > 「っ!?ちかっ……!近ぇよっ…!」
少女…いや、女性?が顔を寄せればおもわずビクリと肩を跳ねさせてしまう。
視線を向ければ紫の瞳。目付きの悪い少年も目を丸くしてしまうほどに美しい。
一瞬言葉を失うが、なんとか我に返り目をそらす。
かと言って胸元に視線を送るわけにもいかず…
「そういう意味じゃねぇって…ああ、くそ…からかうんじゃねぇよ。
別にため息に意味はねーっつーか、ちょっと疲れてんのかもしれねーな。
オレだって別に意識してるわけじゃねーよ。
あと本は…かりもんの薬草とか薬とかの本で、ちょっと勉強してんだよ」
少し染まった頬をごまかすように、本を振って。
■トール > 「ふむ、なるほど。」
少年の説明、そして、その初心な態度に自然と微笑みが漏れる。
必死に視線をそらそうとしているのが何とも可愛らしい。
「では、少し休憩がてらうちに来ないかね?
儂は魔法具を扱う店をやっていてね、お茶くらいは出せるし、君の質問や疑問にも答えられると思うのだよ。」
そっと身体を寄せると柔らかな膨らみが少し少年の肩へと触れる。
休憩……とは言っているが、果たして身体を休めることが出来るかどうかは……。
■ブレイド > 「は?いや…ありがてぇけど」
突然の提案に少しあっけにとられた様子。
確かに休憩するならばこんな寒空の下よりは屋根のある場所がいいだろうし
魔法具の店というのも、知っておけばなかなか有用そうではある。
そして、勉強を教えてもらえるのであればはかどりもするだろう。
「っ…ぅぅ、だ、だからからかうなって!」
触れた膨らみの柔らかさを感じれば、身体を固くしてしまう。
ややぎこちなく立ち上がり本を袋にしまう。
「まぁ、この辺の店にも疎いし、寄らせてもらえんなら言葉に甘えるけどよ…」
■トール > 「では、決まりだね。
着いて来給え。」
少年に誘いを受けてもらうと満面の笑顔を浮かべてみせる。
途端にその顔が幼く見える。
そして、身体を起こし立ち上がると少年へと背中を向けてさっさと歩き出す。
フリルがたっぷりとあしらわれたスカート越しにもその丸いお尻の形は見て取れるだろう。
それがしずしずと歩を進めると誘うように揺れた。
ご案内:「王都マグメール 平民地区・公園」からトールさんが去りました。
■ブレイド > 「お、おう…」
今までの態度と打って変わった笑みに、少しばかり困惑しながらも
少女の後ろにつくように歩きだす。
小さい体だというのに…目のやり場に困りつつも。
ご案内:「王都マグメール 平民地区・公園」からブレイドさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2/酒場」にカインさんが現れました。
■カイン > 平民地区の歓楽街にある酒場。外の寒さに比例してか、
いつもよりも人の少ない割に真昼間から酒のみのせいで
騒々しい店内の中カウンターに腰掛けて、
自身も酒を煽っている男の姿があった。
「今日も今日とてこともなし、か。大口の仕事がある訳じゃないんだろ?
こりゃまた用心棒家業を暫くやる事になるかねえ」
依頼の斡旋主の一人である酒場のマスターに視線を一瞥して聞いてみるも、
犬でも追い払うかのような仕草で邪険にされて肩を竦める。
自棄酒という程ではない物の飲まないとやってられない程度には世知辛い。
■カイン > 「やれやれ、暫く用心棒家業継続かね。
それか冒険者の真似事でもして遺跡にでも潜ってみるか?」
一山当てれば大きいのが遺跡というものである。
心得がまったくないわけではないだけにいけないことはないが、
ハズレも多いだけに暇を潰すにも微妙な自分の考えに肩を竦め、
酒を一口煽って息を吐く。大人しくしていたほうが良いかと苦笑い。
「仕方ない、明日はいい仕事がでてることを祈って寝るとするか。
マスター。勘定頼む」
店主に向かって言いながら立ち上がり、支払いを終えればそのまま踵を返して店内から去ってゆくのだった。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2/酒場」からカインさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にイグナスさんが現れました。
■イグナス > ぷは、と口腔より紫煙を吐き出した。わっかがぷかぷかと中空に上がって、消える。
もう一度、ぷはあ。
冷え込む夜、酒場の暖炉の傍で男は、ぷかりとたばこの煙を吐き出した。
が、表情はちょっと渋く、なんだか考えるように。
「んんん、………まずい。」
一言。ぐしゃりと片手に持っていた葉巻を灰皿に。
たまにと思って吸い込んでみたがやっぱり、あんまり好むものじゃあないようだ。
酒とか、メシとか女の方が良い。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にゾエさんが現れました。
■ゾエ > すん、と鼻を鳴らす。普段自分は吸わないから嗅ぎ慣れない匂いだ。
酒場に娼婦がうろつくのは、別段珍しいことじゃない。みずぼらしい恰好の娼婦はあまり見ないかもしれないが。
さておき、誰が吸っているんだろう、と少女は視線を巡らせ、その先に見知った顔を見つければ。
何となく辺りを見回してから、そろりそろりと男の背後へと忍び寄って。
「………えっと。ま、不味いのに吸ってた、んですか…?」
大きなその体の隙間からひょこりと顔を覗かせるようにして、男を見上げ窺う少女。
遅れてから、こんばんは、と控えめな笑みで夜のご挨拶。
■イグナス > 「まァ、話のタネだよなあ。」
って、彼女の方を見ないままに、まるで会話を続けていたかのように話した。
ぎしり、椅子を揺らして彼女の方に視線を。にんまりと笑み浮かべて。
「こんばんは、…よう、ゾエ。」
ひらと緩く片手を振った。そのまま手を伸ばして、頭を、くしゃり。
くしくし、と緩く髪を撫ぜて。
もうぐしゃぐしゃになってる葉巻をあいている片手でぽんぽんと触れれば
「もらいモンでな、どうかと思ったンだが、…まあ、合わんもんは、合わねエってとこだ。」