2018/01/19 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区 水路」にマノとロノさんが現れました。
■マノとロノ > 冷たい夜風がぴゅうぴゅうと吹き抜ける、王都の水路のほとり。
住民が水汲みや洗濯をし易いように周囲より1mほど低まったそこは、街路や家々の灯りも届きにくく、薄暗い。
夜半も過ぎて寒さも極まっているが、さらさらと流れる水はかろうじて凍ってない、そんな折。
2人の銀髪の少年が水辺にいる。……全裸で。
闇の中に、白く細い肢体2つが寄る辺無く立っている。遠目には2人のシルエットに大きな差異はなく、まるで双子のよう。
股間には歳相応に小さく、皮の被ったおちんちんも付いている。しかし陰嚢は寒さにきゅっと縮みきっている。
「ロノ、周りを見ててね。あまり……こうしてるとこ、人に見られたくないから」
赤い目をした少年はそう小声でつぶやく。もう一人の青目の少年は特段の反応を見せないが、きょろきょろと周囲に視線を配る仕草をする。
彼らの傍らの地面には、白い貫頭衣が2枚、そして同じく白で薄手のロインクロス(ふんどし)も2枚落ちている。
赤目の少年はしゃがみ込み、貫頭衣の1枚を手に取ると、それを水路の冷水に躊躇なく浸した。
手に水流が振れてぱしゃりと水滴が散り、赤目の少年はぶるっと細い腕を震わせた。
しかし、冬の夜の冷え切った水にも堪える様子は見せず、慣れた手つきで布全体を濡らすと、ごしごしと生地を擦り始めた。
洗濯をしているのである。
秘密だが、2人はちょっとした《超能力》を使える。
血流を活性化し代謝を高めることで体温を上げ、ちょっとした寒さなら平気になれるのだ。
……いや、数十分程度なら凍えずに済む程度だけれど。寒さを感じることにはかわらない。
■マノとロノ > きらきらと月明かり輝く水面を乱し、一張羅を清めていく。
貫頭衣は裾が解れたり擦れて薄くなった部位も見れるものの、際立って汚れているわけでもない。
暗がりでも目立つ少年の白い肌もまた、所々にうっすら土埃が付いている程度で、どちらかといえば清潔。
扱っている着衣こそ粗末だが、浮浪者というわけでもないのかもしれない。
「「……………………」」
2人の全裸少年は互いに口を聞くこともなく、赤目のマノは黙々と洗濯をこなし、青目のロノは周囲に視線を巡らせている。
とはいえ、ロノの目はどこか眠たげに半分閉じ、お世辞にもきちんと警戒できているとは言えてない。
……まぁ、いつものことである。ロノは基本どんくさい。
注意力を要する仕事も、手を器用に使う仕事もマノの領分なのだが、洗濯中はこうしてロノに見張りを任せるしかない。
ごしごし、ごしごし。
石鹸のような贅沢品は使えないし、家なき子のマノたちでは持ち歩けない。その分、手で丹念に洗う。
十分に汚れが落ちたと見れば、小さな手でぎゅーっと絞って脱水。何度も、何度も。
水が抜けて軽くなった布地をロノに渡すと、しわの残る麻布を拡げてマントのように風に晒す。乾かしているのだ。
頭上で生成り色の一枚布がはためくのを横目に見つつ、マノはしゃがんだままでまた別の服を水に漬け始める。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 水路」にエウロペさんが現れました。
■エウロペ > 水路側の通りを歩く一人のふくよかな女性。
こんな夜遅くではあるが、今日は珍しく寝つきがわるかったこともあり、気分転換に夜の散歩としゃれこんでいた。
腕っ節に自身はあれど夜の一人歩きは危険なので、それほど遠くへは行かずこの水路まで歩いたらあとは家に戻るだけにしようと思っていた。
しかし、寝つきが悪いから散歩とはいえ、こんな寒い夜にやったら余計に目が冴えてしまったなぁと後悔しつつ苦笑いをしてしまう。
そうして水路の側を歩いていれば、遠くから聞こえる大通りの喧騒と、寒空の風の音に混じって聞こえてくる水音。
水路から聞こえてくるそれは自然な音ではないのが、エウロペにはわかった。
「誰か…いるのかしら?」
危険かもしれないとも微塵も思わず、彼女は水路にある低まったところへゆっくりと降りていく。
薄暗く光の届きにくい場所であるため、うっすらとしか周囲を見ることができないが、あまり警戒した様子はない。
水音に近づいていけばやはりそれは人為的な音であることがはっきりしてくる。
「そこに誰かいるの?」
彼らが気づく前か後か、エウロペは暗がりの先に声をかけてみることにする。
誰がいるかわからないものの、いきなり近づいて驚かせてはいけないだろうという考えから。
その声は少々不安交じりなものの、あまり警戒する必要のなさそうな柔和で母性的な女性の声だったかもしれない。
■マノとロノ > 大事な大事な一張羅を懸命に、黙々と洗い清めていくマノ。
伸ばした手の先に布地をつまんで風に晒しながら、ぼーっと立ち尽くしているロノ。
水路のほとりに女性が近づいてきたことにも気づく様子はなかった。声をかけられるまでは……。
「………んひっ!?」
水路に向かってしゃがみこんでいた赤目の少年は、突然背後から掛けられた声に、びくりと肩を震わせて反応する。
いかに優しげな女性の声とはいえど、びっくりはする。詰まった甲高い悲鳴を響かせる。
ぼーっと突っ立っていた青目の少年は驚いたような様子は見せない。
「……あ、え、えっとぉ……お、お洗濯、してて。ご、ごめん……なさい」
しゃがんでいた少年は機敏に立ち上がり、声の主の方を向く。そして、焦りゆえか寒さゆえか、震える声で応える。
その声色は第二次性徴以前の児童の声で、男子とも女子ともつかない。
青目の少年もまた、その指先に洗い終えた貫頭衣をつまんだまま、同様に視線を向ける。
暗がりの中でまだ距離もあるだろうが、赤と青の4つの瞳はその先にふくよかな女性のシルエットを捉えていた。
瞳孔が月の光を集めたように、不自然にぎらぎらと光る。まるで夜目の効く猫の瞳のよう。
「……あ、あの、は、裸でごめんなさい……その……いま洗ってる服しか、持ってる服なくて……」
赤目の少年は、しきりに言い訳めいた言葉を紡ぐ。
彼らなりに事情はあれど、夜の街中で全裸でいるのだ、不審人物である自覚はある。
女性にその姿を見られてしまったことに罪悪感も感じる。震える舌から、知らず知らず謝罪の台詞が漏れてしまうようだ。
2人の手には洗いたての衣服。すぐ汚すことを嫌ってか、それとも焦燥しすぎたのか、股間を隠す様子はない。
小さく縮こまり、皮を被ったおちんちん2本を惜しげもなく晒している。
「ぼ、僕たち、変態じゃない、から……」