2018/01/10 のログ
ブレイド > 「あー、そうだな
あと、人に運ばれてるときに胸はるのやめろ」

ささやかであれ、可憐な少女の胸なのだから。
少年としては触れるにしてもそれなりに刺激が強いものだ。
やや困惑と照れの混じった表情で。
なお、少女の言うことは聞き流す大人の対応。

「ん、う……そんなんよか、服!汚すなよ?
さすがに弁償できねーぞ」

結構高そうな服だ。汚してしまえば何を言われるかわからない。
まったく…色々と隙だらけの少女だ。
広い場所にたどり着けばようやく一息。そして、チョーカーに見える謎の文言

「何だこりゃ…?いたずらか?」

マリアージュ >  
「え?。何かいけませんの?」

見上げてきょとんとした表情を見せます。
個人の距離感がかなり近い様子で、動くたびにふわりと
甘い匂いが漂います。

「え、あっ!。危険なお料理ですわね・・・」

言われて、慌てて両手を前にと伸ばします。
並行に持っていないので、とろーりと美味しそうなスープが
地面に少しずつ垂れ
それをよける様に足を動かせば倒れそうですが、
両手で抱えられていますので、半分浮いている足なので転ぶこともありません。

止まられると、一緒に止まります。
一仕事を終えたような風情のマリアージュですが、声を掛けられて、
身体ごとブレイド様の方へ向きます。
そうしますと、首元のタグには王族命で書かれた同じ文字のほかにも、
「コンラート公爵家令嬢マリアージュ」という名前と。
その住所までもが書かれています。

「チョーカーですか?。わたくしが迷子にならないようにって頂きましたの。
 もうオトナですから、迷子なんてなりませんのに」

ちょっと幸せそうなはにかんだ笑顔を浮かべながらそういうのですが。
それよりも問題は、料理を両手を伸ばして持ったまま、ブレイド様の方へ振り返ったことかもしれません。
具体的には、赤色と黄色の液体が・・・。

ブレイド > 「いけねぇつーか…無防備だな!
もっと体に気を使えっての!」

甘い少女の香り、くらりとしそうなほどに。
容姿とあいまって、危険極まりない。
色んな意味で。

「こぼさないようにちゃんと持てよ、もったいねぇ
…ったくよ…危険なのはどっちだよ」

思ってたことがつい口をついて出てしまう。
警戒心のなさも
自身の魅力に気づいてなさそうなところも
その性格も、身のこなしも
まったくもって危険だと思う。
親だか保護者だかはそれこそ箱入りにしておくべきだろうと思う。

「迷子札…にしては少し悪趣味だな…
まぁ、オレばっかり名前知ってるってのもフェアじゃねぇか
オレはブレイ…ド…」

暗色の濃い服がそれなりにファンキーな色合いになった気がした。

マリアージュ >  
言われると、唇が小さく愛らしくとがります。

「わたくしは大丈夫ですわ。きちんと言われた特訓をしてますから」

実技訓練での与えられた練習のことだけど、怪我しそうなことはさせて貰えていないのは秘密です。
ぷんぷんっというような擬音がきこえてきそうな雰囲気ですが。
子猫が怒っているより迫力がないでしょう。

「こういうの、持ったことありませんから・・・なんでお皿とかお盆とか使いませんのかしら?」

礼儀がなってません、とのような言葉です。
危険なのは報告しませんと、と。
頭の中で地域安全実技演習報告書に書くつもりになったのです。

「あっ、わたくしは、ケイン・コンラー・・・」

タグに書かれたのと違う名前を言いかけまして、
料理の液体が飛んだのを見て、
顔色をゆっくり蒼くし始めます。

「ご、ごめんなさい。あの、ブレイ様・・・!」

泣きそうな顔になって、とんだ汚れを拭こうとしまして。
そして両手に料理があるのに気付きますと慌てます。
左右をみて、どうしましょう、どうしましょう、と。
そうしてから、ミニスカートがべったりと汚れるのもかまわず、裾を持ち上げて、
そこに料理を置きますと。
白いストッキングを吊るしたガーターベルト。
そこから見える白い太ももと、純白の清楚なレースの下着が見えるのも気にせず、
片方で裾を持ち上げたまま、もう片手でポケットからレースの縁取りをされたハンカチを取り出し始めます。

ブレイド > 「まじかよ…」

あんなに鈍臭そうなのに…訓練?
この国はほんとに大丈夫なのだろうか?
上流階級の人間はそれで大丈夫と思っているのだろうか?
少し不安になる。
唇尖らせてるのもまったく怒ってるようには見えないし。

「だろうな、知ってた」

もったことがあるならこんなふうに、ソースやらが飛び散るような動きはしない。
大きくため息を付きつつ、フードの上から頭をかく。

「えーっと、マリアージュ…じゃねぇのか?
迷子札もあてになんねぇな…。
あと、オレはブレイドだって、何やってんだよお前!?」

少女の行動には、さすがに驚きを禁じ得ない。
可愛らしいスカートは汚れて、わりとあられもない姿を晒してる。
自分のやったことに責任を感じてというなら、大したものだが…
さすがに自分の服と少女の服では価値が違いすぎる。

「おい、オレのはいいから…ってなにやってんだ…
あーあー…下着も見えてんじゃねぇか」

スカートの上の料理をあわてて退ける。
こちらで手に持って、一つはさっさと処理してしまおう。
口に咥える。

マリアージュ >  
「性奴隷」とされているようなすれた感じは全くなく。
無邪気や清楚、気品が似合う雰囲気。
男を知っているような雰囲気は到底ありません。
年齢的には未成年にしか見えないでしょう。

「本当です。わたくし、騎士なのですから」

えっへん。
腰にあるショートソードでさえきちんと持てるのか疑問な華奢さです。
また胸を反らせば、服を僅かに持ち上げて見えることでしょう。

「――え?。わたくしの名前、ご存じなのですか・・・?」

泣きそうな顔のまま、ハンカチでブレイド様にかかったものを拭おうとします。
そのハンカチ1つで、ブレイド様の服が全部買いかえれそうです。

「ご、ごめんなさい。ブレイド様・・・弁償を致します」

さきほどと変わり、しゅんっと落ち込んだ様子をみせます。
耳や尻尾があれば、さぞかしへにゃりと垂れてしまっていることでしょう。
涙が浮かびかけて揺れている菫の瞳は見下ろしていて、
その視界に手が伸びて、料理が1つ取られていきます。
それを追いかけて顔をあげていきますと。
口に料理を咥える様子に目を丸くさせます。

「えと、あの、下着、咥えて。その、凄いですわ・・・」

目を丸くしながら、ゆっくりと頬を桜色にしますと。
力が抜けて噴水の縁に座り込みます。
そして、お料理を持つと、赤と黄色に色がついたスカートを
股の間に挟んで、膝を綺麗にそろえて座り。
改めて、そっと汚れないように膝の上に料理を置きます。

「・・・こ、こうすれば汚れているのが見えませんわ」

下着を見せてしまったことをごまかすように。
顔を桜色にしたまま、視線を合わせられずに言います。

ブレイド > 「騎士…って、騎士団とかにでも入ってんのか?
騎士にもいじめとかあんのかね…」

どう見ても性奴隷などには見えない。
そしてチョーカーに書いてある文字を確認すれば
やはりそこにはその文言が。
複雑な表情で再び眉間に皺。
闇だらけのこの国ではあるが、やはり上流階級同士でもそういうのがあるのかと。

「(臍も見せるつもりかよ、サービス精神旺盛だな…ったく)」

やや反応に困りつつも、意外そうな少女の声に首を傾げる。

「ご存知っつーか…迷子札にかいてあったぜ?
こっちの方も知ってるかどうかはわかんねーけど…」

コッチの方とは性奴隷のこと。
知っていればこんなに元気に歩き回れるはずもなさそうだが。

「べつにいーって。
むしろ弁償っつーならオレがお前のスカートとか弁償させられるんじゃねーの?」

さすがにそうなったら破産ではあるが。
少女に習って噴水の淵に腰掛け、料理をもぐもぐ。
紆余曲折あったが、なかなかに美味い。

「下着は咥えてねーよ。まぁ、そのなんだ…
あんま気にすんなって。
こうなっちまえばお互い様だしよ」

軽口で場を和ませようとしつつ、もぐもぐもしゃもしゃ。なかなかの勢いで食べていく。

マリアージュ >  
「わたくし、学院で騎士のクラスで、まだ見習ですけれど・・・
 いじめとか、わたくしが許しませんわ」

頬がまた柔らかく膨らみます。
表情がとてもころころ変わり、心がそのまま顔や目にでてきます。
迷子札の事を言われまして、あっ、と首元のタグに手を置きます。

「そういえば、そうですわ・・・。
 ブレイド様って、目がとてもいいのですわね。
 ――こっち?」

ちょっと尊敬するような目を向けてから、少し首を傾げさせるのです。
目をぱちぱちとさせて、まったく知らない様子を見せるのです。

弁償させられる、といわれて。
顔を向けますと、ちょっとはにかんで恥ずかしそうな表情。

「あの、わたくし。よく服が汚れますので・・・。
 寮の部屋に、いくつもこの制服を持ってますから。
 大丈夫ですわ?」

そういいながら、横に腰掛けて、口に入れて食べる様子を見上げます。
それを観察するにつれ、少しずつ身体を近づけてきます。
人に座られると少し横を開けるのに。
自分の場合は、ちょっとずつ近づいて。
身体の温度が感じられるほど近づいてくるのです。

「――あ、あの。下着なんて、ありません。
 そんなもの、なかったのです・・・」

また頬を桜色にさせます。
見せてしまったことはなかったことにしようと、ちょっと必死の様子。
それから、膝の上の料理を両手で持ちまして。
ブレイド様の様子と見比べましてから。
口元に近づけて小さく口をあけますが、口に入れず戸惑ったようすを見せます。
何度か、小さな桜色の唇をあけて、料理を近づけますが。
かぶりつくことが出来ないようすを見せます。
そんなことをしている間に、ちょっとお尻をもじもじとさせ始めるのです。

ブレイド > 「まぁ、そう言うだろうな…そんな感じだし
…そういうイタヅラでも流行ってんのか?
その学院ってやつでは。
あと、こういうもんは他人に見せるもんだし…別に目がいいわけじゃねぇよ」

正義感が強そうと言うのはなんとなく察知できた。
表情の変化。楽しげに笑ったりする表情を見ていると
首元の文言がいたたまれなく感じる。

「服汚すって、なかなかおてんばってやつなのかね?
まぁ、見ての通りのビンボーにんだから助かる…って、なんだ?」

なんかいつのまにやら距離が近い。
いや、近いとかそういうものでもない

「あー、そうだな…なかった、そうだな。
何も見なかった」

少女の気持ちを組んでそういうことにしておく。
少しドキドキする距離。
少女の香りも体温も届く。
食べる姿もすこし…艶かしく視えるような…。
そんな思考を振り払うも、ここまで近ければもじもじとしているのもわかってしまうわけで

「…どうした?急にもじもじしだしてよ」

当然、聞いてしまうわけで。

マリアージュ >  
「悪戯ですか?。
 はい、悪戯は・・・よくされたりします。
 男の子って、悪戯大好きですわね?」

クスクス、と軽く握った手で口元を隠し、しょうがいないですよね、と笑います。
服を汚すというのに、

「わたくしはオトナですから、そんなことありませんっ」

ちょっとぷいっと横を向いて。
横目で見てから、またクスクスと口元を隠して笑います。
無害なお転婆加減な感じに見えますでしょうか。
肩が触れそうで、ぎりぎり触れない距離。
そんな紙1枚の間。

両手で持っていた料理、まだ一口も食べれず、ゆっくりと下ろして。
頬を桜色にゆっくりとして顔をふせていきます。
それからとても恥ずかし気な小さな声を出すのです。

「その、なんか、痒くて・・・」

先ほどのスカート。
赤いソースと、そして黄色の辛みのある液体。
それがたっぷりと垂れたスカート。
それを隠すように太ももの間にぎゅっと挟んでいて、・・・。

ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からマリアージュさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からブレイドさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にカインさんが現れました。
カイン > 平民地区の歓楽街にある酒場。外の寒さに比例してか、
いつもよりも人の少ない割に真昼間から酒のみのせいで
騒々しい店内の中カウンターに腰掛けて、
自身も酒を煽っている男の姿があった。

「今日も今日とてこともなし、か。大口の仕事がある訳じゃないんだろ?
 こりゃまた用心棒家業を暫くやる事になるかねえ」

依頼の斡旋主の一人である酒場のマスターに視線を一瞥して聞いてみるも、
犬でも追い払うかのような仕草で邪険にされて肩を竦める。
自棄酒という程ではない物の飲まないとやってられない程度には世知辛い。

ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にトゥーラさんが現れました。
トゥーラ > すっかりと寒くなり厚着の人間が増えた中を過ごし易いとばかりにあまり厚着をせずに大きな籠を手に歩く。
人通りの少なく感じる繁華街で店を探すように歩き一軒の酒場に目を付ければ迷わずに足を踏み入れる。
外とは変わり騒々しい店内は人の熱気もあり熱く、眉を顰めながらカウンターへと真っすぐに向かい。

「店主、頼まれたものを持ってきたぞ。確認を頼む」

どこかで見たような男がマスターに邪険にされているのが見えたが全く気にせず。
カウンターに籠を置けば早く確認をとばかりに急かし見詰めて。

カイン > 「…おう?」

のんびりと酒を飲んでいる所に聞こえてきた聞き覚えのある声。
視線を向けてみれば知った顔の様子に、軽く手を上げて挨拶し。

「いよう、お疲れさん。何だ、こんな所まで配達か?」

グラスを掲げながら小首を傾けて問いかける。
そこらの酔っ払いとノリが大差ないと言われれば大差はない。

トゥーラ > 「そうだ、それでいいはずだぞ。早くサインだ」

籠の中身を確認するマスターを急かしサインを貰えば大事にしまい。
後は店で終わるまで暇を潰すだけと考えていたが。

「カインか?珍しい場所であったか。配達は場所を選ばないぞ。
ここはまだ近い方だな…」

まさかの見知った顔に驚きをするが直ぐに頷いて。
他にもいる酔っ払いのようにも見えるが自分には違う様に見え。
許可も取らずに隣の席に腰を下ろして。

「カインは今日は休みなのか?」

カイン > 「そいつはまた大変だ」

相手の様子を見て喉を慣らして笑いながら、
しかしながらも元気に頑張ってる様子は目を細めて眺め見る。
出会ってそれなりになるがなるほど、随分と印象が変わったものだと、
大変失礼な事を思いながらしげしげと相手を眺め。

「ああ、今日は特にいい仕事も無くてな。開店休業ってな所だ。
 何だったらこの後付き合ってでもくれるかい?」

クックと冗談めかして笑いながらグラスを持ち上げて左右に振って見せ。

トゥーラ > 「まだここは近い方だな。遠いと港まで運ばされるぞ?」

人目のない移動は本来の姿で飛べば直ぐだがそれでも遠いものは遠い。
なのでここならば近くて楽だと笑みを見せ。
最初は馴染むために始めたアルバイトであったが今ではすっかりと生活の一部に。
自分の仕事をやっていると誇らしげにしていれば男の視線に気が付き。

「仕事がないのか…それはそれで大変だな。
付き合うというのは酒か?構わんが薦めはなんだ?」

グラスを持ち上げ揺らす姿に臨むところだと応えて。

カイン > 「そりゃまたお疲れ様、だ。労いに何か奢ってやろう。何が飲みたい?
 ふむ、おススメと言われると色々と悩むところではあるが…」

相手の言葉に笑って応じながらも緩やかに目を細めて考え込む。
とりあえず、と自分の飲んでいるワインを相手に差し出しつつに顎に手を当て。

「ま、好みがわからないからとりあえず飲んでってのがいいかもな。
 …それとも別の事でも付き合ってくれるなら俺は大歓迎だけど?」

そう冗談めかして宣いながら相手の肩を抱き寄せてしまおうと手を伸ばし。

トゥーラ > 「移動は面倒だが楽しくもあるな。何かか……。
酒は飲まんからどれが美味いかよく判らんのだが」

もう何も知らなかった頃ではないぞ、そういう様に目を細める男に視線を向け。
奢ってくれるという言葉に嬉しそうにするが何が良いか判らず。
差し出されたグラスを受け取り一口飲んでみて」

「これはブドウの酒か?悪くはない味だが……。
私に酒ではなくミルクをご馳走したいのか?」

冗談めいた言葉に何を指すかはすぐにわかり。
抵抗せずに抱き寄せられて身を擦り寄せる。

カイン > 「ふむ。なるほど、じゃあまず色々と飲むところから始めないとな?
 とりあえず酒に弱いって訳じゃあ無さそうだが」

一口飲んだだけでは特に酔ったような様子を見せない相手。
それであれば問題はないだろうと進める酒の事を考えていた所、
聞こえた言葉に思わず声を上げて笑う。
最初に比べれば随分と俗っぽくなったものだと思う反面、
そこもまた好ましいと思えるのだから不思議な物である。

「ああ、そうさな。じゃあぜひそっちで相手をしてもらおうかね?」

上機嫌にそういい返して店主に合図を取れば、そのまま店の二階に向かって二人で連れ立って去ってゆくのだった。

ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からカインさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からトゥーラさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区大通り」にミコトさんが現れました。
ミコト > それはいつからあったのか……王都の様々な場所にいつの間にか作られている屋根があるだけの小さな小さな建造物を祠だと認識している者は少ない。
そして、それが持つ意味を知る者はもっと少ない。
30年程前に王国に併合された小さな国……そこに旅したことがある者ならば見たことがあるだろう。
それは民を守るための要石を祀る祠なのだ。

しゃん、しゃん、かぽ、かぽ……鈴と独特の足音を響かせ歩く少女の衣装はこの国ではあまり見ないものだった。
少し薄汚れながらもその顔立ちは人と呼ぶには整いすぎている。
そして、纏った衣装、そこから伸びる細い脚、毛先に鈴が踊るツインテール、そして、その瞳までも……何もかもが白い少女の姿はあまりにも異質だった。
神秘的な気配を纏うそれは人あらざる者……誰もがそう気づくだろう。
そして、彼女……いや、ソレは小さな祠の前へとたどり着くと、周りの目も気にせずその前へと座り込む。

ご案内:「王都マグメール 平民地区大通り」にアーラシュさんが現れました。
アーラシュ > かつて……人が4代は巡るほどの昔、かつて英雄と呼ばれた存在、そしてその後のほとんどの人生
さらに人としての生をはるかに超える時間腰を振り続けるだけの時を過ごした淫魔は、仮初の自由を手に入れ、人の姿で
町中を歩いていた。安い食事、壁の薄い宿。何もかもが懐かしくまた新鮮で、その日その日の茶碗一杯の酒ですら
降伏に思いかみしめながらマグメールでの生活を楽しんでいた。

今日もそれこそ一杯だけのご馳走を楽しみ、寝床であり職場でもある安宿を目指していたがふと、小さな宗教施設
が目に留まる。施設、というのは大げさか。人は入れそうにもない。
だが、やけに白い人影がその前にしゃがみ込むのに気づき、思わず視線をとどめたまま近づき、やがて足を止める。

「こんにちは」

そちらからすれば、こちらも人ではないことがわかるかもしれない。

ミコト > 祠の前に座った少女はじっと祠を見つめている。
否、その中に安置されている頭ほどの大きさの石を。
それが祈りであると気付く者は果たして存在するだろうか。

「……何用か、かつて人だったモノよ。」

背後からの挨拶に座ったまま真上を向くよう首を曲げ、女の顔を逆さまに見上げる。
抑揚のない声は感情が読みづらい。
投げ出した脚はどこまでも白く、さらりと流れる髪も白い。
そして、髪が流れ晒された額も白く、見上げる瞳はわずかに白銀。
しかし、その顔は薄汚れ、純白であるべきその身は画竜点睛を欠いていた。

アーラシュ > じっと祠を見つめる少女。この祠の関係者だろうか?粗末な、そして胸元を露骨にあらわにした女は、その
白い少女に普段と変わらぬ笑顔を浮かべて挨拶をした。そして返答にはやや驚くものの、このマグメールでの経験とその外見を
考慮して、彼女も人ではないのだろう、と結論を出す。

「いえ……あまり見たことのないものだったので……もしかして神様ですか?」

この世に久しぶりにはい出てきて、色々見て回っているんです、と素直に目の前の少女の存在を受け入れ応える。

どうせこちらより偉い存在には決まっているのだ。

お顔が汚れていますよ?と小首をかしげる。お風呂屋も安くあるだろうに。

ミコト > 「如何にも。」

女の問いかけに見上げたまま短く答える。
やはり感情の読み取れない白銀の瞳はじっと見透かすよう女の瞳を見つめ、ジト目気味の瞳が大きく丸く開く。

「と、言っても今や妾はモノ、よ。ヒトの気紛れに玩ばれるモノが果たして神と呼べるのか。娘よ、身体は大切にせよ、今日は寒かろう。」

再び祠へと視線を戻し、静かに語りかける。
投げ出した脚を胡座に組み、背中を丸め、両手で一度柏手を打つ。

「綺麗にしようが小さき鏡では変わりない。それにヒトの為に清めるのは癪に障る。」

それにどうせすぐに穢される、少女は小さくそう付け足した。