2017/11/13 のログ
■アルビーナ > 「えぇー……?
ホントに……?ホントに置いてくるよ?」
そう言われると試したくなってしまうのが性というもの。
手に持っていた鏡を持ったまま、ちょっとだけ出てくると言うが早いか店を出た。
そのまま適当に歩き回り、程よく人通りも少なそうな路地の入り口にほど近い場所にあるゴミ箱の影へとその鏡を立てかける。
そして息を大きく吸い込むと、一般人には出し得ない速度で街中を駆け抜けて
「置いてきたよー?」
時間にして、10分もかかっていないだろうか。
何でもない顔で元いた席に戻り、わずかに残った料理を口の中へと運んでいく。
■クトゥワール > 少女の動きは早い。思い立ったらというタイプか。
鏡を手に取り、店を出て行く――己はその能力でもって鏡の位置やその鏡が映し出している光景も全て判る。
彼女が鏡を置いたのが、とある路地である事も。さてそれでは、その鏡を出口として彼女の元へ移動してみよう。少しは驚いてくれるだろうか――などと、椅子から腰を浮かせた瞬間。
「お……おぉ。」
「そうか……そうかそうなったか、よし。」
風のような速さで立ち去っていく少女の後ろ姿を鏡の向こう側から見送ることになった。
珍しく動揺めいた声を漏らし、椅子に座りなおす。
ただ目の前の店主だけが、一瞬挙動不審になった男にコイツ大丈夫かというような視線を送っていたが――流石というか、己が見たままの速度で少女はすぐに帰ってきた。
「お帰り。早かったな。」
平然を装い出迎える。
己が想定していたのとは違う形だが、手品を披露する事は出来るだろう。
「では当ててみせよう。君が鏡をおいてきたのは、ここから少し離れた路地のゴミ箱の影だな。」
「本当はもう少し見つかり難い場所が良いが、今のような要領で鏡を色々な場所に置いてきて欲しいわけだ。」
ゴミ箱の傍であればゴミの回収者か、或いはゴミを捨てに来る者も居ないではない。
人目に触れられれば持ち去られる可能性もある。まあ、それはそれで一つの結果ではあるが、概要は娘に伝わった事だろう。同時に己の言う手品とやらも。
■アルビーナ > 「え………うん、合ってる……」
なんで?どうして?
そんな様子を隠す気などさらさらない。
不思議そうに、やっぱり鏡に仕掛けがあるんじゃないのかともう一枚手にとって穴が空くほど眺める。
やはり何もそれらしいものはなく、釈然としない様子で鏡をカウンターに置き直した。
「まぁ…いいけど。
じゃあ、請けよっか?」
こんなことで小遣いが稼げるのなら、と。
ビッグになるには相応の装備も必要だ。
そして相応の装備には相応の金がかかるのだから。
■クトゥワール > 「兎も角、そういう訳だ。キチンとこなしてくれたまえ。」
「では約束通り、鏡一枚分の200ゴルドと店の支払いだ。」
もちろん不思議だろうが、不思議なりに受諾はして貰えたなら満足の頷きをひとつ。
報酬と店の支払い分、そして幾枚かの鏡を取り出し卓上に置く。
「君が仕事をすれば、支払いには此方が出向く。踏み倒したりはしないから安心したまえ。」
「ところで、名前を聞いても良いかね。私はクトゥワールと言うが、今更ながら呼び名を知らないとやりにくいな。」
何だかんだ、勢いで話を進めてしまった。名前も知らない相手だったが、仕事関係となれば流石に聞いておかねばなるまい。
ジョッキの中身も丁度飲み干した。彼女の名を聞いたなら、そろそろ店を後にする頃合いだろう。
■アルビーナ > 「あ、そういえば名前も言ってなかったんだった。
あたしはアルビーナ、よろしくねおじさん♪」
人の名前を覚えはするが、呼ぶことが滅多にないのがこの娘の特徴だとはそのうち知られるようになるのだろう。
当面のストックを受け取ると、割れては大変と慎重に布でくるんで荷物の中へと収めていって。
「じゃあ、特に待ち合わせの主な場所とかそういうすり合わせもなしでいいんだねー?」
言いながら立ち上がると、大きな欠伸を一つして見せて。
マスターに自分の財布から追加で金を出して、上の部屋を借りたいと申し出ていって。
「それじゃー…またねー?かな?」
ごちそーさま、とひらひらと手を振りながら。
2階の宿への階段へと消えていった。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2/酒場」からアルビーナさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2/酒場」からクトゥワールさんが去りました。