2017/01/22 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にシルヴィアさんが現れました。
■シルヴィア > ――迷い子は再びいつか通り過ぎた道へ
日常を蝕み犯す非日常の象徴であり、生きとし生けるもの天敵の筈である不死者の王と呼ばれる種族として「生きる」少年は今宵は唐突なる出没を見せ、誰の記憶からも失われる術を使わず、ヒョッコリと大通りから一歩路地へと入った道からその大通りへと顔を覗かせ、姿を見せる。
少年であり少女、無数の魂を内包し、一つの魂を主柱に人を止めた少年は理性が無い時代に喰らった犠牲者の魂が混在していてか、行動や言動は中々一致せず今宵のように戯れに人を装い姿を見せることすらある。
それゆえに無貌、見る者を魅了するように作られた相貌と見た者にレイスの犠牲となった者の縁者が居ればその怒りを煽るかの如くその犠牲者の顔を見せる異形の相貌を持つ。
本当の顔は本人もわからない、しかし、鬱陶しく見えるほどに相貌を隠すほどに長い銀色の髪だけはあの日から変わっていない……のかもしれないが、それも誰もわからない。
もしそれを記憶するものがいれば相貌はあの日のモノとなるだろうが、それは不死者の王に喰らわれる可能性があるだろう、少年はあの日、あの瞬間の恨みを片時も忘れていないのだから。
シルヴィア、銀という言葉を崩し名前を付けられた不死者の王は今宵は酷く上機嫌であった。
何時もながらの簡素すぎる服装にポケットはないか、右手には重たそうな財布を一つ、左手にはその財布で購入したと思わしきリンゴ飴を一つ。
「不幸と幸福の天秤は常に平行である。故に幸福なモノがいれば不幸なモノもいる。ああ可哀相に命は残っても財布は残らない。」
輝くような銀色の長い髪に隠された相貌、その中で唯一髪の合間から見える薄く小さな唇で弾むように歌い上げる言葉は今先程の出来事を歌い上げる鼻歌。
と、視線を大通りから出てきたばかりの路地へと向けると、裕福そうな装いの酔っ払いが寒そうに身体を丸めて寝ている姿が見える。
だから、人差し指を唇に重ね「しー」っと寝ている人影に向け、最後にはケラケラと無邪気に声に出して笑う。
財布がほしいだけ買い物がしたいだけ、だから生命力を吸い上げてはいない、それに眠る人影の知り合いみたいなのが集まってきている、ところまで確認するとリンゴ飴をシャクと齧り、大通りを一人行くあても彷徨い始める。
その身体には今宵は黒紫の陽炎もなく、足も地についている、生きている人に擬態した姿である。
■シルヴィア > 薄氷を踏み抜く感触を思い出させる飴を穿つ歯に伝わるパリと言う感触、その後は果実特有の硬さと甘さが舌に伝わり噛み砕いた飴がそれを増長させる……美味しい。
人から生命を吸い上げるのも非常に美味ではあるが、こうして人が築きあげた味覚を堪能するのもまた楽しくあるし、主軸となる魂は人を無闇に傷つけることを嫌悪している感があり、出来る事はせいぜい主軸がぶれるまで魂が潤いを渇望するまで、こうやって人の世を楽しむだけである。
――不死者の王が生を満喫する理由は混在した魂が少年少女とまだ何もかもが楽しい若く瑞々しい魂であった事もあるが、主軸が望み渇望し狂うまでに欲したモノであるのも非常に大きい
その小柄な身体に数多の魂と暗く濁った闇を抱えている、そんな素振りは見えない……かもしれない。
少年(少女)はただただ享楽にふけ、「楽しむ」為に大通りを一人孤独に散策を続ける。
「あ、アレも美味しそう……」
「これは可愛い!」
等を見た目相応の言葉をあの時と違い誰に憚れる事無く声に出し、時には手に取り、対価を支払い購入する等何もかもを喰らいつくす闇を抱え、それを表に出さず封じながら笑い、口元には常に柔らかく無邪気な笑みを宿し浮かべている。
■シルヴィア > 一通り味覚を堪能し知的好奇心を満たし終えたか、夜風の寒さも加わり、色々な昂ぶりもすっかりと醒めて、人である事を「止める」。
別に人を喰らう為ではないし、力を振るい存在を誇示する為でもない、ただ帰る為に人でなしになる。
足のつま先から手の指先まで満ちていく冷たい力を感じながら、その姿を霧散させ始める。
足元から黒紫の不可思議な輝きを放つ粉に変え、次第に腰に腹部に首に頭頂部にと変えていくと、ドサと最後に重たい音が響く。
それは先程お借りした財布、それだけが不死者のモノではなく、光になること叶わず、不死者がその場にいた事実を残す証となって……。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からシルヴィアさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にスヴェンさんが現れました。
■スヴェン > 酒場の戸をくぐると椅子はテーブルに上げられ主人が片付けを始めようとしている所であった
その主人と視線が合えば、出直そうかとも思ったが、にやり、と笑みを浮かべて
「…一杯だけ良いかな?邪魔はしないさ」
と首を傾げて見せた
店主も困ったような顔をしながらそれなら、カウンターの隅で…と言ってくれたものだから、
その言葉に甘えて示されたカウンターの隅の席に腰を下ろした
長居をするつもりもなく、酒を注文すれば酒瓶からグラスに酒を注ぐ手酌で1人、
良い香りのする琥珀色の酒をちびちびと飲み始める
当然、自分以外の客はなく静かに背後で店主が片付けをする気配を感じながらぼんやりと、
カウンター越しに並ぶ調理器具や酒瓶を眺めながらグラスを傾ける