2016/12/28 のログ
アラン > 「はぁ…」

寒い夜風に吹かれながら平民地区の広場にあるベンチに座る男性。
疲れているのか、また憂いた出来事でもあったのかため息を溢しながら下を俯く。
すっかりと深夜の時間に差し掛かったここは季節の影響もあって少し寒い。

「ん~…結局…」

背筋を伸ばして、ベンチの背もたれに寄りかかる。
広場にはまだ数人だけ人々が佇んでおり、そのどれもがカップル。
この季節はカップルが多くなるらしいが結局今年も自分は一人かと渋い顔をする。

アラン > 渋い顔をしつつも、横目でチラッとカップルを一瞥する。
一組の男女が身を寄せ合い、顔を近づけて会話をしている。
これからホテルに行くんだろうなと軽い気持ちで考えつつ、息を吐く。

吐いた息は白い靄となり、空気へすぐさま溶け込む。
やはりこの季節は冷えると両手でそれぞれの上腕を擦り、寒さを誤魔化す。

(そういえば、去年もこんな感じで一人だったなぁ…)

糸目になりつつ去年の事を思い出す。
厳密にいえば、傭兵の仕事で去年は女性とではなく男性と過ごした時間の方が多い。
女運が無いのかと考えつつ、頭をかいて伸びをする。

ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にヘルミーナさんが現れました。
ヘルミーナ > 広場内に立ち入った女は、思わず「う……」と小さく声を漏らした。
近くの露店で買ったコーヒーを飲もうと、座れる場所を求めてここにやってきたのは、まあよかった。

問題は、恋仲同士が多い中、ひとりでここにやってきたこと。
誰も責めていないし、からかってもいないけど。
なんだか、落ち着かず。

「……あ」

助けを乞うように視線を走らすと、ひとりでベンチに座る男性を見つける。
ひょっとして彼にも恋人はいるかも知れない。でも、今は彼もひとりの模様。
相手がいるベンチを目指すことにする。――そして。

「すいません。……隣、いいですか?」

湯気が立ち上るコーヒーの入った紙コップを片手に。
相手に話しかける。

アラン > 「…ん?」

去年の苦い出来事を思い出していれば、此方に近づいて話しかけて来た一人の女性。
オットアイに紫の髪とここら辺では珍しい色素に少しばかり見入る。
ボーっと彼女の姿を観察していれば、ハッとなり相手の言葉に対する返答をする。

「あぁ、どうぞどうぞ」

断る理由もなく、彼女へ快くそう返す。
横へススッと移動して、彼女が座れるスペース確保する。
ぽんぽんと軽く隣を手で叩いて座るように促した。

ヘルミーナ > 少しばかり、相手から長い視線を感じる。
でも、初対面でいきなり話しかけてきたのは自分だし、異色双眸を珍しがられたこともあった。
極自然な反応だと判断して、彼女は特に気にしない。

彼から許可の言葉がもらえれば、ホッとしたように微笑んで見せ。

「ありがとうございます」

お礼の言葉を口にする。
ちょうど、彼の手が触れたあたりに腰掛ければ。ひと口、少しぬるくなったコーヒーを口につけて。

「……なんか。カップル、多いですよね」

広場内を軽く見回してから。苦笑混じりに世間話を試みる。

アラン > 「いやいや、良いんだよ~お兄さんも一人で寂しかったし」

彼女の礼の言葉にニッコリ微笑んでそう返す。
陽気で優し気な笑顔で相手に警戒心を出来るだけ与えないようにする。
とはいうものの、下衆な意図はないのだが

「う~ん、この季節は多くなるんだよね。
 お兄さんみたいな独り身は寂しい季節だよ。…君は彼氏とか居ないの?」

コーヒーを飲み、苦笑いを浮かべる彼女へそう返す。
笑顔を浮かべて自分には相手が居ないとサラッと告げれば、彼女にそう問いかける。
吹く夜風が少し冷たく、身を震わせつつ笑顔を保つ。

ヘルミーナ > 相手の物言いや雰囲気に、いつの間にか抱いていた、幾ばくかのぎこちなさ、緊張感がほどけていく。
「彼は社交的な人間なのだろう」と、安直な感想を内心抱きつつ。続く言葉には意外そうに、双眸をぱちぱちさせて。

「え。彼女いないんですか? ……かっこいいから。いそうなのに。
 ――わ、私ですか?」

突然の問い掛けに、手元のコーヒーを零しそうになった。
動揺を誤魔化すようにまた、紙コップに口をつける彼女。そして。

「……実は。いたこと、ないんです。
 で――でも、お兄さんはいたことあるんでしょう?」

話の観点を変えようと。取って付けたように、相手に振る。

アラン > 相手の緊張がほどけていく様子を見れば、少しばかり嬉しそうになる。
その後、相手の言葉を聞けば、笑顔が少し歪んで苦笑いへと変わる。

(美人局かな?)

相手の言葉に内心そんな失礼なことを考えつつ、苦笑いを浮かべ続ける。
その手の詐欺でよく聞く言葉なだけに少しばかり警戒しつつ、口を開く。

「そっかぁ…可愛いから居そうなのに。
 いや、全然。恋人とか心に決めた相手は今まで一人も居ないよ」

相手の言葉を聞けば、先ほどの相手の発言を真似して彼女の容姿について話す。
その後は自分の恋愛事情に関して彼女に告白する。
経験がない訳ではないが、明確な恋人は出来たことないと彼女へ告げて、息を吐く。

ヘルミーナ > 相手の微妙な表情の変化に、「あ……」と声を漏らした。
一見、褒め言葉に類する言葉でも、相手の心情を損なうことだってあるのだ。
失念していたと、こちらも少し、顔を曇らせて。

「ごめんなさい。要らないこと、言ったかも知れません」

素直に謝罪する。コーヒーを自分の横に置いて、小さく頭を下げて。
別に彼に、咎められてはいなかったけれど。非を僅かに感じた手前。
彼女にとっては、反射的な動作と言葉。

「――あ、ありがとうございます。
 そうなんですか? ……じゃあ、誰かに言い寄られたことも?」

上手い返しが思いつかなくて。頬を少し赤らめると、なんとかお礼を言葉にして。
初対面なのに、少しつっこんだ質問だと思ったが、興味本位で続けて尋ねる。

アラン > 彼女が漏らした小さな声を聞き、その表情を見る。
自分の細かな表情の変化に気付くなんて気遣いが上手な子なんだろうと
顔を曇らせる彼女を見ながら笑顔を取り戻す。

「はは、良いんだよ。かっこいいって言われて嬉しかったし」

美人局かどうかの心配は後ですれば良いかと思いつつ、自分の気持ちを打ち明ける。
頭を下げる彼女に気にしてないと言った風に笑顔を見せる。

「う、うん…そうだね。言い寄られたこともないよ。
 お兄さん、こう見えてもモテないからね。」

頬を赤らめる様子を見て、笑顔も明るくなる。
その後、突っ込んだ質問をされれば、少し困惑しつつもそう返す。
自分の容姿は悪くない方と自覚はしているのものの、何かが足りないらしく、恋愛に発展しないことが多いと告げる。

ヘルミーナ > 彼の言葉に、表情を和らげる。

「……それなら、よかったです。
 遠目に見た時は、暗くてよくわからなかったんですけど。
 近くに寄ったら……そのう、はい。『かっこいいなあ』って。私、思って……」

言いながら、今度は違った意味で顔が強張っていく。
思っていることをそのまま口にしているうちに、気恥ずかしさが沸いてきたのだ。
また、改めて、相手を「異性」として意識したのも原因か。顔が、赤い。

「……そうよね」

彼の言葉に、静かに頷く。そのままで終われば、失礼だが、ちゃんと言葉には続きがある。

「あなたを好きな人がいたとしても、『告白』という行為に出るとは限らないし。
 モテないんじゃなくって、好意をダイレクトに示す人がいないだけじゃないかしら」

彼女は真顔だ。相手をフォローしようと、努めて言ったのではない。
素直にそう感じたことを言葉にしたのだ。

アラン > 「…そ、そうか。ありがとう」

彼女の言葉、そしてその表情を見て、そう告げる。
褒められる言葉は慣れておらず、素直に言われるとこちらも照れてしまう。
彼女ほどではないが、こちらも十分顔が赤い。

「…うーん…恋愛ってそういうもんなのかなぁ…?
 ………言われてみれば…そうかもしれないな」

顎に手を添えて、彼女の言葉を受け止めて考え込む。
今までの女性関係で自分に少なからず行為を示した相手は居たかもしれない。
しかし、告白せずに離れたのは自分の鈍感さに嫌気が刺したのだろうと考えつき、少し落ち込む。

「君、名前は?」

首を振り、どんよりとしたマイナスのイメージを振り払いながら真顔になった彼女を真っすぐと見て、名前を問う。
年下の女性にここまで真面目に恋愛についてレクチャーされたのは初めてで
その女性の名前を知っておきたいと考えたのだ。

ヘルミーナ > 「…………」

彼から視線を逸らして。うつむきがちで頬を紅潮させたまま。
互いに色の違う双眸を瞬かせるのみ。今、彼女はそれで精いっぱい。
だから、彼の顔も赤いことには気づいていない。

「私だったら、好きな人ができたら。
 ……勢いで告白しちゃいそうだけど。皆、そうとは限らないだろうし」

言い終えると、残りのコーヒーを片付ける。すっかり冷えてしまっていた。
事象に決まった意味は元来ないらしい。よって、彼の場合、彼女みたいに捉えてみてもいいかも知れない。
物事を都合よく解釈すると「楽観的」と揶揄されるかも知れないが、精神面では楽なのだ。

「あ。……ヘルミーナ。ヘルミーナ・クラルヴァインと言います」

若干、落ち込んだ様子の彼を気にかけていたら、不意に問われて。
隠すことでもなかったので、フルネームを名乗る。そして。

「あなたは?」

定番のように、こちらも笑顔で聞き返す。
彼の名前を。

アラン > 「うんうん、お兄さんもそんな感じに積極的な女性が好きだな。
 だって、『気持ちを察して!』とか『女心がわからないの!?』って言われてもわからないよ。
 お兄さん、女の子じゃないし…」

彼女の言葉を聞けば、腕を組んでうんうんと頷く。
そして、恐らく女性から言われたであろうセリフに対しての気持ちを彼女へ打ち明ける。
一見すると理不尽と思われる発言だろうが、彼にも少なからず非はある。彼自身もそれはそれで反省している。

「ヘルミーナか。良い名前だ。…お兄さんの名前はアラン。アラン・アークライト、よろしく」

フルネームを答えられ、定番の名前を聞かれれば快くそう返す。
笑顔で手を差し出し、握手を求めながら自分もフルネームで答える。
大きくてこの季節にしては温かい掌。握手するならば温もりで彼女を包み込むだろう。

「…ヘルミーナの事を知りたいな。色々質問してもいい?」

自分の恋愛などのあれやこれについて答えたのだからと
そのお礼を求めるように彼女についてあれこれ質問しようとする。

ヘルミーナ > 「私も一応女性ですけど、同性だからと言って、他人の気持ちはわからないですね……。
 ――『他人』という時点で、相手の心の中は異界な気もするし」

どちらかと言えば。彼に同調する様子で自分の考えを口にする。
彼女も、よほどわかりやすいシチュエーションではない限り、「察して」と言われるのは困るほうだ。
他人に理解してもらうのを怠けている気もするし。

「ありがとうございます。……ええと。アランさん、かしら」

名前を褒められれば、素直にお礼を口にして。
一瞬、呼び方に迷うが、結局はさん付けを選んだ。
握手を求められると、数秒の間の後。……少し、恥ずかしそうに自分の手を彼に伸ばした。
触れる手と手。温もりの心地よさに、思わず吐息を漏らす。頬が赤い。

「え。……答えられる内容なら」

露骨に嫌がることはしない。むしろ、好感があった。
自分に質問があるということは、自分に関心があるということだろうから。
それは、素直にうれしいことだ。

「たとえば。なんでしょう?」

相手に促す。さっそく、何か聞いてみてと。

アラン > 「そうそう。気持ちなんてそれを持ち合わせる当人しか知らないんだし
 『自分の気持ちすらわからなくなる』生物だからね。人間は…いや、この話はここまでにしよう。
 お兄さん、哲学者じゃなくて魔術師だからね」

同調するように発言した彼女へそう返す。
人の気持ちなどその人でしか把握できないし、察することもそれなりの条件が必要だ。
ここら辺は哲学の話になるため切り上げようとする。彼は哲学者でなく魔術師であるためこの手の話は苦手なのだ。

「うん、アランさん。或いは呼び捨てでもいいさ。あーちゃんとか愛称で呼んでくれてもいいよ?」

呼び方を迷い、そしてさん付けを選んだ彼女へそう返す。
数秒間が開いて握手を拒まれるかと思ったが恥ずかしそうに手を伸ばされる。
頬を赤くしている彼女に反して、こちらはニッコリと笑って温かい掌で彼女の手を包みながら上下に振った。

「そうだなぁ…ヘルミーナのお仕事とか趣味とか…かな?」

顎に手を添えて、そう質問してみる。
相手の嫌がる事や答えづらい質問は出来るだけ避けつつも
素性を問うように色々と聞いてみる。

ヘルミーナ > 「――え。話、もっと続いてもよかったのに?
 私も魔術師ですけど、哲学的な話は好きですよ。……でも、意外です。
 あなた、魔術師なのね」

相手の服越しの体つきから察して、荒事を本業にしているのかと勝手に思い込んでいた。
魔術師でも、危険な仕事を請け負う者もあるだろうが、ともかく意外だった。
話が再開しないかと相手を待ってみるが、再び始まらないのなら、それ以上は求めず。

最後の呼び名候補には、作り笑顔を浮かべると、そのまま黙ってやり過す。無言の否定である。
しばらく、彼の手の温みを味わえば、やがて名残惜しそうに手を解いていく。
感触の余韻には、くすぐったいような、うれしいような。複雑だけど嫌ではない感情が沸いてきて。

「話の流れでさっき言っちゃったけど……私、魔術師なんです。
 普段は自宅でマジック・アイテムを創ってます。刺激を与えるだけで発火したり、水が湧き出したりする魔石とか。
 ……趣味は。なんだろう」

常識的な質問である分、答えるのに抵抗はなかった。
だが、とっさに答えが思いつかない質問には、思案顔になって。
好きなことはあるのだが、「趣味」と人に言えるのか曖昧で。

アラン > 「う、うん…哲学的な話はちょっと苦手でね。嫌いって訳じゃないんだけど…
 そう、魔術師。お金は傭兵のお仕事で稼いでるんだけどね。
 ふふーん、こう見えてもお兄さん。魔術師の中では凄い強い方なんだぞ~?」

胸を張って、自慢げに自分のことを告げる。
確かに高身長で筋肉質と魔術師のイメージとはかけ離れた肉体をしている。
服装もローブ等と言った魔術師が好んでするものでは無く、寧ろ盗賊や暗殺者がするようなものを着用している。

作り笑いを浮かべて、黙ってやり過ごす彼女を見れば、こちらは愉快そうに笑顔を浮かべる。
無言で拒否されたことをマイナスに捉えたのではなくむしろ予想通りの反応で少し楽しくなってくる。
彼女の次の発言には興味津々と言った具合で前のめりになる。

「マジック・アイテムかぁ…面白そう。
 良ければ今度見に行ってもいいかな?魔術師として、お兄さんそういうのには目が無いんだ。
 ………もしかして、エッチな趣味?」

彼女が創ってると言うマジック・アイテムの話を聞き、目をキラキラさせてそう聞く。
今度、機会があれば彼女の家へ行ってそれらを見てみたいと希望を述べる。
その後、趣味について悩んでいる彼女へ冗談交じりにそう問いかける。

ヘルミーナ > 「そっかあ。……どうせなら、苦手意識のない話題がいいものね」

素直に同意して、その話題については切り上げることにする。
続く自慢げな言葉には、「ふふっ」と小さく笑って。

「いわゆる、『文武両道』という感じなのかしら。アランさんは
 魔法が使えて、身体能力も高いとすれば」

彼をからかうことはせず、普通に話を続ける。
「文武両道」という言葉が出てきたのは、魔法が使える時点で「知的」というイメージがあったからだ。
実際のところは、どうなのだろう。彼の返事を待つ。

「わ……」

不意に縮まった距離に、つい声が漏れる。そんなに面白いことを言った自覚はなかったのだ。
気を取り直すと、姿勢を正して。

「――え。……こ、工房は散らかっているし。あまり人を上げたことがな――んんっ……!?」

返事をしていたのだが。よどみある言葉が見事、途中で途切れた。
先ほどまで、世間一般的な話をしていたはずなのに、目立つ異物な質問が混じっていたから。
不本意ながら、そう問われて一瞬、自慰に耽っている自分を想い描いてしまった。

(……確かに、生理現象とは言え、最近頻度が……ああ、もう!!)

余計なことを考え始めて、首を横に振る。顔は真っ赤だ。
いじけたような顔付きで彼を見る。無言だ。
無言で圧力をかけたいわけじゃない。言葉が思いつかないのだ。

アラン > 苦手意識の無い話題がいいと言う言葉に笑顔で返す。
聞こえた小さな笑いに此方も笑顔で返す。

「文武両道…そうなのかもね。
 戦闘になった時は基本的に召喚した武器で戦うし…思ってみればそんな魔術使ってないかも?」

腕を組んで、戦闘になった際の事を思い出す。
剣と弓を使え、その上魔術を使えれば確かに文武両道という言葉が似合うのかもしれない。
自分の場合は魔術師と名乗っては居るものの、その実は召喚魔術で喚起した武器を使った戦闘が得意なのである。

「ふふん、お兄さんは男の子だよ?汚れたり穢かったり散らかってたりするのは気にしないさ」

よどみのある言葉が変な言葉で途切れた様子を聞けば、ニヤリと微笑む。
真っ赤になり、無言になった様子を見れば、図星かと考えつつその話題について掘り下げ始める。

「………溜まってるなら、お兄さんが相手しよっか?」

首を振る彼女に寄り添いながらそう耳元で囁く。
いじけたような顔つきで見られようとも、無言になろうとも臆しないのは彼もそれなりに女性経験があるからだ。
揶揄うつもりで彼女にそう問いかけ、反応を見守る。

ヘルミーナ > 「優秀なのね。――私、すぐれている人って好きですよ。
 単純に『魅力的』だと思うし、憧れの感情が沸くから」

目を軽く見開き、瞳をきらきらさせた様子で。
どこか熱っぽく、言葉を紡ぐ。彼を口説いているわけではない。
恋情だってまだない。ただ、彼女は興奮していた。

「魅力的」と感じる対象に――相手に。

「そ、そういう問題じゃ……! それに、男の人を家にあげるなんて、私……!」

また、微妙なところで言葉が途切れる。彼女は動揺している。
彼が自宅訪問したがる理由は、決してやましくない。
でも、異性慣れしていない彼女にとって、それでも抵抗があった。

「あ……」

過度に縮まる距離。「近い」と迷惑そうなひと言で、振り払う選択肢もあったのに。……体が動かない。
耳元がくすぐったい。甘い余韻が残る。――どこに? いろんなところに。
じんわり、奥まったところに熱が生じる。自分の唾を飲み込む音が、遠く聞こえた。

「……経験、ないし。――ほら、そういうのは『面倒』でしょう……?」

彼がどこまで本気か。わからない。
よって、探るような返事と問い掛けを返す。

アラン > 「優秀…うーん。他人からはそう言われるけど、自覚ないなぁ…
 でも魅力的って言われるのは嬉しいな。もっと褒めてもいいんだよ?」

目をキラキラさせて自分を見る彼女に胸を張ってそう告げる。
熱っぽく言葉を告げる彼女は本当に優秀な人が好きなのだろうと
興奮している様子を見て満足そうに、それでいて少し子供っぽくそう告げる。

そして、慌てた様子で動揺する彼女を見据える。
やましい気持ちで行くわけではないのに何かを想像している彼女。
余程、異性に慣れてないのだろうと考えれば揶揄いがいがあると考える。

「面倒?…そうかもしれないね。
 それに、初対面の相手とするようなことでもないもんね…やめておこっか?」

身体を硬直させ、熱を生じさせている彼女へそう告げる。
問い掛けに対して、初対面でするようなことではないと彼女へ返せば
もっと交流を重ねた後…と考えつつそう問いかける。

ヘルミーナ > 「自覚がないならないで、ヘンな力みがないだろうから。
 それはそれで、いいんじゃないかしら。……調子に乗ってません?」

楽しそうに笑いながら指摘する。
彼女は割合、正直な性分だが、相手もそうなのかも知れない。
大人から幼性を感じるのは、「素直な証拠」と彼女は捉えていた。

そして、落ち着きを無くし始めた彼女の視線は曖昧だ。
どこかを捉えているわけでもなく、でも、伏し目がちになっている。
やがて、堪え切れなくなったように目を閉じると、その状態で彼の言葉を聞いた。

「……はぁ、はあ……は、ぁ……」

何か答えなくてはと。うっすら目を開けるも、彼女の唇からこぼれるのは、湿り気を帯びた熱い吐息。
欲求と衝動に対する葛藤で、がんじがらめになっている心。……それに、体。
いつの間にか、すっかり人気がなくなっていることに気づけば、遠慮がちに、彼に体を預けようとする。

アラン > 「はは、調子になんか乗ってないよぅ」

指摘されつつもまたも子供っぽくそう返す。
基本的には嘘は付かず、人徳もそれなりに積んでいるために正直に生きている。
子供っぽい言動は素直であると共に警戒を解いているという証だ。

「…いい子いい子」

落ち着きをなくし始めた彼女の視線。
湿り気と熱を帯びた吐息と彼女の瞳を見て、遠慮がちにもこちらに寄りかかってくる。
人気がなくなった広場のベンチで自身に体を預ける彼女の頭を撫でる。

「…まだ初対面だから…また、今度にしよ?
 その代わり、これで我慢してくれると嬉しい。」

彼女の頬に手を添えて、こちらを向かせれば顔を近づける。
それぞれ綺麗な色に輝く瞳を見つめて、熱く湿る彼女の唇へ自分の唇を近づけ…
その柔らかい唇に口づけを交わす。

ヘルミーナ > わざとらしく聞こえる言葉の響きに、こちらは笑って返すだけ。
お互いにだいぶ、打ち解けてきた気がする。

「あ。……気持ち、いぃ……」

形容しがたい感覚に包まれて、つい、彼に体重を預けてしまった。
予期せぬ頭部の感触に小さく声を漏らす。続いて、溶けて消えていくような言葉。
彼女は、心地良さそうに、猫のように目を細めた。

「今度。……次が、あるの? ……ん……」

――「今度」。今の自分には、信じがたいような、信じたいような。そんな言葉だ。
彼の仕草に、何が起きるか予測はできていたけれど。彼女は、されるがまま。
唇が触れたとたん、奥まった場所がなおいっそう、熱く潤ったのを感じた。

アラン > 頭を撫でて、下から聞こえて来た彼女の声。
体重を預けられる行為を受け止め、なお頭を撫で続ける。
心地よさそうに目を細め、甘える彼女に嫌な気分はせず、寧ろもっとと彼女を癒し始めた。

「うん、今日は…もう遅いし…
 今度、ヘルミーナの家に訪問した時に目一杯癒してあげるから…今日はもう家に帰ろ?」

甘く蕩けるような彼女の唇を堪能し、キスを終えればそう告げる。
夜も更け、人々はもう寝静まった時間帯。明日にも差し支えるだろうと彼女に告げる。
今度、マジック・アイテムを見に行く時に…その時にと思い、体重を預けている彼女の背に腕を伸ばし、半ば抱いたまま立ち上がる。

「家まで案内してくれる?送っていくからさ」

彼女を抱き寄せ、見下してその顔を見ながらそう告げる。
優しい笑顔を向け、たくましい腕で彼女を支える。
触れ合うことで寒い夜風すらも寄せ付けない熱を帯び、そのまま彼女の案内で歩いていく。

数分後、彼女の家へ着けば、別れを告げて歩き出す。
去年とは違って今年は女性と過ごし、年を越せるだろう―――

ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からアランさんが去りました。
ヘルミーナ > 彼の腕の中。……甘くかすれた声で答える。

「そう……ね。あと少ししたら、明るくなってきちゃうし……」

素直に同意する。彼の動作に意図を理解すれば、相手と触れ合ったまま、ベンチから腰を上げて。
そして、彼の胸元に顔を埋めるようにしながら、確かに頭を縦に振った。

道中、彼とは大した話もできずに、帰路に達した気がする。
きっと、一度にいろいろ起き過ぎて、感情の整理がついていなかったのだろう。
彼を見送ると、自室のベッドに仰向けになる。――しばらく、寝付けそうにない。

ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からヘルミーナさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にノーガルトさんが現れました。
ノーガルト > 「今回もはずれか………。」
『仕方があるまい、そんなに簡単に見つかるとは思えん。』

(3日間、しばし遠征に出かけていた。
理由は一つ、九頭竜山脈の麓に依頼で出かけていた。
その次いで、というには少しばかり語弊があるかもしれないが、ダインの兄弟を捜していた。

確かに、魔剣と呼ばれているものはあることにはあった。
しかし、それにも結局意思が宿っているわけでもなく、魔力を帯びている剣というだけだった。
またしても外れの魔剣に、ノーガルトはがっくりと肩を落としながら、帰って来たのだ。)

「…確かに九頭竜山脈のどこかにあるはずなんだが……。」
『焦るな、ノル。…しかし、もしかしたら既に他の人間と契約している可能性もあるな。』

(5つの影の剣の一つ、覇剣ハバキリ。
シェンヤンの英雄が、九頭竜を斃す際に使ったといわれている剣。
その後、剣の行方はわからないが同じ名前の三脚が関係していると思われる。
ゆえに、ここのところノーガルトは九頭竜山脈周辺の村の依頼を、重点的にこなしていた。)

ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にシンシアさんが現れました。
シンシア > 家へと帰り道、片手には果物とかお酒の入った紙袋を抱えて
自分より少し先をあるく大きな背格好の人

思い当たるのは1人しかいなくて
いたずらを思いついたように笑えば…こそっと足音を潜めて

背後から抱きつこうにもダインがいるので怒られそう…
だから
少し斜め後ろ彼の左腕側から自分の右腕を絡めて組むように

「ノルは遠くからでも見つけやすいね」

左腕に紙袋をもちかえて
右腕を組んでニコニコとして

ノーガルト > 「契約しているとなると、探すのは少し骨が折れそうだな…。」
『…そうだな、一度剣を展示している博物館も見ておこう。…デートの場所にも最適だぞ。』
「……!ダイン、お前なぁ……!」

(いつものように、茶化してくる相棒の魔剣。
ここのところ、別の場所に引っ越してからというもの、ほぼ毎日になっていた。
彼なりに祝福してくれているのは知っている、だが毎回のように茶化されるのはさすがに恥ずかしい。
誰にも聞こえないからこそ、ダインも遠慮なんかしてくれないのだ。)

「……っと!?」

(いきなり、左腕に重いものが絡みつく。
完全に意識を外に向けていたので、完全に隙だらけだった。
絡みついてきた相手、チラッと見ただけでその金髪はすぐにわかった。
何しろ、もう見慣れている姿なのだから。)

「……シンシアだったか、驚かせるな…。」

(腕を組む女性、シンシア。
今、ノーガルトにとってもっとも大事な人物の一人。
肩を竦め、苦笑しながらでもその腕を振りほどくことなど、するつもりはなかった。
笑顔の彼女を見るのはしばらくぶりになる。)

シンシア > 「驚いてくれた?…よかったぁ
 ダインが教えてないかドキドキだった」

後ろから近づいても、ダインに気づかれてたら
バレてると思って
視覚がどこにあるかわからないけど
口元に人差し指をたてて、シーの仕草で近づいてたことダインに伝わってたのなら
いたずら成功で

「お腹すいた?…何か簡単なのでよければ食べる?」

久々に目にする彼に楽しげに返して、ちょうど買い物の帰りと
お酒と果物の詰まった紙袋を見せるようにして

ノーガルト > 『……すまんな、ノル。たまには彼女に協力しておこうと思ってな。』
「お前ら……。」

(ダインは、実は背後のシンシアの気配に気づいていた。
シンシアの仕草に、会えてノーガルトには伝えていなかった。
ダインも、相棒たるノーガルトの大事な人であるシンシアのことはそれほど嫌っているわけではない。
ゆえに――ノーガルトには、決して自分には触れさせないようにと釘を刺していた)

「…そうだな、何か簡単なものでいいが…腹に入れたいな。後、酒も頼む。3日も禁酒だったんだ……。」

(それが、最も辛かった。
村の中で生活していたが、いつ何に襲われるかわからない。
山賊に狙われている村だったので、うかつに酒を入れて動けなくなるわけには行かなかった。
だから、ずっと飲んでなかった…。)

「……頼む、酒を飲ませてくれ。」

シンシア > 「わかった…じゃあノル、これ持ってかえって?
 わたし先に用意しておくから」

片手に持ってた紙袋、お酒の瓶と果物がつまったものを預けようと
彼が自分の荷物を持ってくれたら

走り出して、一緒に帰るのではなく
出迎える用意をしておきたくて


「ダインのこと怒らないでね?」

内緒の仕草でいたこと、黙ってて2人(?)が喧嘩しないように
一度振り返り笑って離れていく

ノーガルト > 「わかった、頼むぞ。」

(シンシアの作る料理の味は、どれも絶品だった。
一緒に住むようになり、味わいながら食べるようなことも増え。
シンシアに手渡された紙袋の中身、果物となにかのお酒が入っているそれを受け取る。
先に走って行く彼女の後姿を見送りながら。)

「…………怒らないで、だとさ。」
『そんなことでいちいち怒るようなお前か?』

(相棒だからこそ、気を許している彼女だからこそ。
気難しいノーガルトもこうして、苦笑しながら肩を竦めるだけなのだ。
だが、その後のダインの一個は、さすがに言い返したい。)

『だが、常に周囲に気を向けておけ。…今のがシンシアでなければ…。』
「…共謀しておいて……。」

シンシア > 家に入れば、暖炉に火をつけて…
服も部屋着へと着替えて楽なワンピースとストールを巻きブローチで止める

キッチンに入れば…少し考えて
簡単な串焼きとローストビーフの残りや残り野菜を軽く炒めてを挟んだサンドイッチ
果物やお酒は、彼が持ってきてくれるとして

先に少し時間のかかりそうなものだけ手早く支度
料理に時間はかけないけど、今の時期は部屋を暖めるほうに時間がとられるから

ちょうど彼が家に着くころには部屋も温まってるころで

ノーガルト > (シンシアが気を使わないように、なるべくゆっくりと歩いた。
ダインといくつかの会話をし、次はどのあたりを探しに行こうかと考えていた。
今、一番見つかりやすい剣は間違いなくハバキリ、トリシューラは伝承こそあれど、姿は見えなかった。
一振りで3つの大陸を破壊する、神が持つ三椏の武具…と、言う話らしいが。)

「以前から気になっていたが…お前たちは他の剣の記憶はないのか?」
『長い間眠っていた所為だろうな。…ほとんど記憶にない。』

(だが、ダインの話ではトリシューラは2本一組であるらしい。
その話さえ聞ければ、手がかりは探しやすくなる。
形状さえわかれば、もしかしたらという事も考えられる。
以前、シンシアも噂程度は集めてくれるといっていたことだし、買えってゆっくりしてから聞いてみよう。)

「……シンシア、ただいま。」

(言い慣れていないので、まだ少し片言になってしまう。
扉を開け、中を潜ると寒かった外とは打って変わってとても暖かかった。
ダインに一言告げて、シンシアが作ってくれた剣掛けにダインとディンを立てかけると、紙袋をキッチンに持っていく。
食糧貯蔵庫の場所を聞き、其処へと戻していこう。…酒以外を。)

シンシア > ちょうど、いくつかの料理を作り終えたとこに
声が聞こえて顔をあげる

持ってきてくれた果物を受け取り
残りを片付けてもらって…お酒の瓶は彼の腕にわたして

「ほとんど、あるものでだけだけど、ノルが食べる分くらいはあった」

グラスを持ってテーブルに戻りながら
お酒だけでなく、軽く食べれそうなものを数品と
先ほどの果物、りんごとオレンジを切って出てくる

「お酒、そんなので足りる?」

向き合うカタチで椅子に座りながら

ノーガルト > (この言葉はやはりなかなか言いなれない。
ずっと言ってこなかった言葉だからというのもあるが、なぜか妙に恥ずかしい。
馴れれば、そんなことはなくなるのだろうか。)

「む、ありがたいな…。昼飯を抜いたから、実は腹がな…。」

(馬車での移動、なのはよかった。
しかし、朝に村を出たので昼飯を用意することが出来なかったのだ。
出来合いとはいえ、彼女の作ってくれたサンドイッチはロースとビーフに野菜と、ボリュームもありそうだ。
わりと大食いであるノーガルトにとって、やはりボリュームというのは多少大事だ。)

「ああ、大丈夫だ。…足りなかったら、遠慮なく言わせて貰うさ。」

(グラスを持って出てくる彼女、切り分けられた果物を見つつ。
お酒がこれだけで足りるのか…いや、全然足りない。
グラスで小分けに飲むにしても、おそらく一瓶程度では足りないだろう。
だが…せっかく持ってきてもらって、往復させるのは忍びない。
足りなかったら、後で自分で持ってくるにしよう。)

シンシア > 「はい、おかえりなさい、ご苦労様」

自分は済ませてあるから
紅茶にした、切った果物でいいくらい

グラスに注ぎながら先ほどは言い忘れた言葉をむけ
お酒に弱い自分は、飲むことはないから来客用や自分以外の人用
空腹という彼にニコニコして眺め

食事を取る姿を眺めていくけど、途中思い出したように

「ぁ…アンセルが話したいことあるみたいに言ってた
 今日は遠くまでいってるみたいだけど」

ノーガルト > (グラスに注いで貰った酒、まずは逸れに手をつけた。
まずは一口、三日ぶりのそれを口に含むと、喉越しを確かめるように通す。
ぴりりとする辛さ、そしてアルコールの匂いが鼻に抜け、適度な苦味。
まさに、3日ぶりの至福の一杯だった。)

「……もう一杯、頼めるか?」

(喉越しを確かめた後は、一気に飲み干した。
空になったグラスをシンシアに掲げると、もう一度酒をついでもらおう。
彼女が通ってくれたサンドイッチ、それを一つ手に取れば頬張り、噛み砕いていく。
ロースとビーフ、以前ノーガルトがリクエストした料理が挟んであるパンに舌鼓をうち。)

「……アンセルが?」

(サンドイッチの二つ目に手を伸ばした手が止まる。
以前、此処に帰りたかがっていた狼のアンセル。
ノーガルトが、此処に住むようになっていまだに顔を合わせていないが…。
その狼が、自分に何のようなのだろうかと首をかしげる。)

シンシア > 「はい、どうぞ」

グラスが傾けば、晩酌と注いでいく
いつでも食べっぷり、飲みっぷりがいいのは見てて楽しくなる
そんなに飲めないし食べれないから余計
自分はりんごをシャクシャク食べながら

「うん、なんか会いたがってたノル懐かれてるのかな」

思い出せば、彼に対してすごく信頼を寄せてるようで
タイミングがあわずなかかな顔を合わせられてないけど

ノーガルト > (サンドイッチ程度ならば、いくらでも腹に入る。
特にここの所、村で食事を出されていたが、どうにも魚主体の飯は口に合わない。
保存食として、干し肉を齧っていた所為なのか。はたまた最初から魚が苦手なのか。
これは、シスターに怒られる案件だなと、弧のとしになってもどうしても恩師の顔が目にうかぶ。
そして、こういうときは大抵苦笑してしまうのだ。)

「ん、すまないな。……懐かれている、か。」

(そんなに大したことをしたイメージはなかった。
ただ、帰りたがっていたからそれの背中を少しだけ押してやった、程度。
ノーガルトは極々当たり前のように、ただ帰りたがっているからという理由だったのだが。

シンシアの時も、そうだった。
寂しがっていたから、好きだったからそばにいただけ。
それなのに…それが随分と喜ばれている。
そして今では、目の前の女性と一緒に暮らすまでに。)

「……じゃあ、しばらくはこの街に留まるか…。しかし、まさかあいつここを離れるつもりじゃないだろうな…。」

(また、近いうちに九頭竜山脈に行く予定だった。
しかし、アンセルが何か話があるならばそれを聞いてからにするとしよう。
だが、どうにも不安が残る。)

シンシア > 「いいと思うけど?すごく謝ってたけど、すごく感謝もしてたよ」

まだ顔を合わせてない同士
間で狼の様子と伝える
思い出しながら目の前で食べてくれる様子も楽しく
微笑んだまま

「ご飯おわったら……はぐぅする。あ、お酒もってくるね」

半分もなくなった瓶に気づき席を立つ
照れたのを隠すようにお酒をとりにキッチンへと

ノーガルト > 「…まあ、あいつがそう思っているなら、俺は其れで構わんがな。」

(感謝されるようなことを、した覚えは本当にない。
しかし、あのときの別れ際の顔を見ると、感謝されているのは非常に分かりやすかった。
だからこそ、もしも別れなんか切り出そうものならば紐でもつけて引き止めるつもりだ。
アンセルの場所はここ、それを後から来た自分が奪うなど、そんなことはあってはならない。

新しいお酒を持ってくると言い残す前、彼女がいった言葉。
はぐぅ……ああ、ハグかと思い至るのに、しばらく考えることにはなったのは秘密だ。)

「ああ、すまないな。…せっかくだ、シンシアも少し飲まないか?」

(彼女も、少しだけなら飲めるのを知っている。
だから、彼女と少しだけでも飲むことが出来るならば、きっと酒ももっと美味くなる。
美味い酒は、じっくり味わうに限るのだ。)

シンシア > アンセルが何を話したいのか、なにをしたいのかまでは知らされていないけど

照れ隠しに新しいお酒を持ってきて
自分もと…勧められる

自分のグラスも並べて

「じゃあ少しだけね?…そういえばノルって酔うとどうなるの?」

お酒に強いのは、わかってきたけど
どのくらいまで飲めるのか、酔うとどうなるのかは知らない

自分のグラスにハチミツをスプーンに1杯入れて、注ぎ
彼のグラスにも注いでいく

ノーガルト > 「ああ、少しだけだ。」

(彼女に、隣に九曜に促しながら注がれていく酒を見つめる。
すでにビンの半分を飲みつくしたが、まだまだ飲める。
久しぶりの酒だ、こんなに早く参ったして溜まるかというような気分だった。
…とはいえ、家系の金額で大半を酒が占めるなどいう事だけは、避けておこう。
一緒に住んでいるとはいえここの家主はシンシア、ノーガルトは居候という形。
迷惑を掛けるわけには行かない。)

「………え、俺が酔っ払うと…か?」

(飲める量は人よりも多い。
だが、酔っ払うとどうなるかというのは、初めて聞かれた。
以前、冒険者と一緒のパーティになったときに、打ち上げと称して酒盛りをした。
その際にどうやら、ノーガルトが酔いつぶれてしまったらしく……。)

「………………。」

(甘え上戸になるらしい。小声で、そう答えた。)

シンシア > 自分のほうにはハチミツとワインを混ぜて甘くつくるもの
いつもは温めてるけど、今日は少し冷えてるものを

彼のグラスに軽く触れて音を立てれば口をつける
甘くしたから、ちょうど飲みやすくて

「うん……?ふーん、そっかぁ」

小さな言葉に、にこーっと満足そうに笑が深まり
これはたくさん飲ませたくなる
どうなるか見てみたいという興味本位で

「まだお酒はあるからね、ゆっくりどうぞ?」

ノーガルト > 「(あ、シンシアのやつ……今悪巧みしたな?)」

(冒険者として、そして旅人として。
何人もの人間と関係を持ってきたノーガルトは解る。シンシアが今、悪巧みをしたと。
あの笑みはどこか、悪戯を憶えた子供のようなものに見えた。
もっとも、さっきの話の流れで大体何をたくらんだのかは解る。
――――とはいえ、ここは羽目を外すのもいいか、とノーガルトは思った。
ここは彼女のいえ、そして周りにはシンシア以外には誰もいない。
それが、ノーガルトがいつも張り詰めている気を緩ませている証拠だった。)

「…よし、じゃあもう一瓶持ってきてくれるか?」

(酒の限界。ノーガルトの場合、それは二瓶。
既に一本開けて、もう一本のむと確実に潰れる可能性がある。
だが、シンシアの悪巧みに乗っかり、そして気を許している結果。
たまには酔いつぶれるのも悪くはない、とノーガルトは考えていた。)

シンシア > 「ん、わかったまってて」

楽しそうに席をたてばキッチンの奥からもう1瓶持ってくる
先ほどのより少し大きめだから量も多い。
ニコニコとしてドンとテーブルに重たそうに置いて

「もう少し口にできるものあったほうがいいかな?」

外ではみたことない彼の表情も最近種類が増えたように思えて
前回失敗したから今夜こそはと、イタズラを考えるほうも楽しげに笑って

ノーガルト > 「(…………あ。)」

(テーブルに置かれた酒、それを見てノーガルトは核心に至った。
完全に酔わせる気だ、と。…テーブルに置かれた酒の量を見て、確実にこれは酔いつぶれると確信した。
だが、まあたまにはいいかと思い、苦笑を何とか飲み込んだ。)

「い、いや……大丈夫だ。腹は膨れたしな。」

(気合を入れて、酒を呑む日が来るとは思わなかった。
こんな平和な日常を味わえるのも、きっとシンシアのおかげなのだろう。
そんなことを思いながら、今宵シンシアと共に酒盛を愉しむ事にした――。)

ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からシンシアさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からノーガルトさんが去りました。