2016/08/20 のログ
リシェラ > 行動は常に日が沈んでから、大きな通り等では何事も無く散歩は出来る。
照らす灯りが街灯のみとは云え、疎らでも誰かは居るもの。
然し、其れが人気の無い路地となると話は別だ。
細い路地を通る前に、何人かの人影が其れを遮る。

こう云った状況では定番か、追い剝ぎか何かだろう。
確かに自分の身体は小柄でか弱く見えるか、狙うのは其れなりには納得はする。
尤も、今回は思い通りの結果を出せないのは、彼等には分かっていない。

「困った者達だ。だが、悪いが其方等に付き合うつもりは無いのだ」

何やら此方に向かい言葉を発している様では在るが、聞くつもりは毛頭ない。
彼等に対して言葉を返し、フードに手を掛けパサリと脱ぐ。
フワリと靡く金髪、彼等に向けられるは血の様に紅き瞳。
身丈に在った幼い少女の顔が彼等の前に晒される。

「さあ、予の瞳を真っ直ぐと見詰めるのだ…何、悪い事は起きない。寧ろ、其方等は至福の一時を味わうだろう」

掛ける言葉に、次いで仄かに輝く瞳。
其れは直ぐに失われ、緩やかな動作でフードを被り直す。
ゆっくりとした歩みを再開すれば、阻むと思われた彼等は身動ぎ一つせずに見逃した。
彼等に見せたのは、彼等が想う者との甘い一時だ。暫くは夢から覚めぬだろう。

リシェラ > 「甘き夢に魅し人間は、覚める迄の時間を楽しみ続ける。存分に楽しみに浸れ」

立ち尽くす彼等の横を通り過ぎ乍、彼等へとそう呟いた。
残った路地の散策を続け、頭に描く地図を完成に近付ける。其れが今日の目的だ。
まだまだ泊まる宿の周辺だけだが、焦って広げる必要も無い。

リシェラ > 其れからも、時間の許す限りは路地に並ぶ建物の位置を頭に入れていった。
夜が深け、日の昇りそうになる頃合迄。
又、頭の中の地図を広げる為の散策は、どの方角へと向けるものか。
其れを考え乍、取った宿の部屋へと戻って行くのであった。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」からリシェラさんが去りました。