2016/03/24 のログ
ヴァイル > 亡霊とは言っても、この墓場からは離れられないうえに
ほとんど害を為すこともできない弱いものだ。
散らすことは簡単だった。

「おまえの親の魂は向かうべき場所にいないのか」

冷たく見下ろしたまま問う。

「魔族の仕業か」

相手が頷いた。
おおよその事情をヴァイルは知った。
亡霊の白い頭にそっと手を乗せる。

「わかった。わたしがいずれ仇を取ろう」

平坦な声。
その言葉に満足したのか、亡霊は霧散して消えた。

「けして嘘をついたわけではないが、
 ……やれやれ、随分と簡単に納得してくれたものだ」

嘆息。

ヴァイル > 「明日は樫の枝でも集めるか」

そろそろ眠らせた墓守も起きだしてくることだろう。
残念ながら収穫は得られなかった。
独りごちると、《夜歩く者》は墓地の暗闇へと溶けるようにして消えた。

ご案内:「王都マグメール 平民地区/共同墓地」からヴァイルさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区/骨董品店」にティネさんが現れました。
ティネ > 平民街のメインストリートからは少し距離を置いた場所にある、骨董品店。
時間の流れる速度が平常の三分の一ぐらいしかなさそうな老店主が番をしている他に、客や店員の気配はない。
が、品物の間を飛び回る淡く光る何かはあった。

「なんか面白げなものはないかな~」

小妖精もどきのティネがふらふらと飛び回っていた。
どうやら冷やかしらしい。

ティネ > ティネならすっぽり入ってしまう古びた壺やら杯をぺたぺたと触ったり
中に潜りこんだりして遊んだりしている。
いかにも魔法の逸品といった風情のものもあるが、特に魔力の類を感じることはできない。
本当にただのアンティークしかないのかもしれない。

「こう……すごいワクワクするようなマジックアイテムとかないのかな~。
 例えば身体がぐーんと大きくなるやつとかさぁ」

飽き始めたのか、不満そうに独りごちる。

ティネ > 「あっ」

古い杯で遊んでいたらぐらりと傾いた。
いくらティネが軽量でも好き勝手遊んでいればそういうこともある。
床に落ちてグワラグワラと音を立てた。

「……逃げよっと……」

くらくらする頭でどうにか骨董品店を後にした。

ご案内:「王都マグメール 平民地区/骨董品店」からティネさんが去りました。