2016/03/23 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区/共同墓地」にヴァイルさんが現れました。
ヴァイル > 夜の共同墓地を、ブーツの踵を鳴らして歩く少女の姿がある。
特に目的もなく巡回するその様子は墓守か何かにも見えるが、そうではない。
本物の墓守は少しばかり深い眠りに落ちていた。

「……あまり期待してはいないけれども」

ヴァイルは下僕の材料を探していた。
ネクロマンシーはヴァイルの専門ではないが、
従僕の材料にするなら怨念の篭ったものはそれに向いている。
手軽に集められる場所といえばやはり墓地であろう。

ヴァイル > ぐるりと一回り。
墓の周囲を検分して回るが、眼鏡に叶うものは見当たらない。
正規の手続きを踏んで埋葬されて尚、未練や怨みが残るのであれば
強い配下として扱うこともできるだろうが、そう容易くは見当たらない。

出直すか、と墓地を去りかけて。
ドレスの裾を誰かに掴まれていた。
振り向く。見知らぬ女児が立っていた。年の頃は十かそこらだろうか。
一見して、墓地に迷い込んでしまった無垢な子供である。

「亡霊か」

つまらなさそうに口にする。それが彼女の正体であった。
ヴァイルのほうもおよそ顔色に生気というものが欠けていて、
亡霊が二人並んでいるようにも見える。

「おまえでは弱そうだ。使い物にならない。
 両親のもとに行け」

裾を掴む手を払って、冷然と言い放つ。
言われた娘はそれでも離れようとはしなかった。