2016/01/30 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区 大通り」にタマモさんが現れました。
■タマモ > 少女は色んな商品の並んだ露店を見て回るのが好きだ。
特に美味しい食べ物には目が無い。
そして、美味しい食べ物は見た目も大事である。
少女の手には、なにやら串に刺した蜥蜴っぽいような姿焼きが持たれていた。
安いから、美味しいから、そんな言葉に釣られてつい買ってしまった物だ。
「………確かに安かった、安かったが…これは、このまま齧り付くのかのぅ…?」
その露店からはすでに見えないくらいに離れている。
手に持った蜥蜴らしきものを何度も見ては、どうしようか首を捻って考えていた。
この世界では普通に食べれるのかもしれないが…はてさて、どうしたものか?
■タマモ > しかし、何だ。
いつまでもこうしてにらめっこをしている訳にもいかない。
これを、魚の丸焼きとして見ればいけるかもしれないか?
そう思えば、意を決して…
………うん、無理。
とはいえ、捨てる訳にもいかない。
食べるのは後にしよう。
一先ず、その姿焼きは手に持ったまま、露店巡りを再開始めた。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 大通り」にロレンスさんが現れました。
■ロレンス > いつもの様に夜の散歩へ繰り出し、転移して直ぐにたどり着いたのは、大通りの露店並びだった。
人間のようにものを食べずとも、偶に血を口にすれば満たされる体質上、普通の食事は趣向に寄ってしまう。
普段人間たちはどんなものを好むのやらと、今日見がてらに歩き始めると、ちょうど少女の向かいからやってくる事になる。
こんな場所に貴族らしい恰好で歩くのも目立つかもしれないが、彼の目を引いたのは彼女の手にしたもの。
蜥蜴にみえるそれの丸焼き。
どうみても美味とは見えないそれに、僅かに悪寒が交じるほどにギョッとしていき、顔に僅かに浮かぶ。
「…蜥蜴」
あんなものを小柄な少女が食すというのか?
恰好もこちらではあまりみないような姿だ。
陽光の下に生きるものは、生きることに精一杯なのか?とか思っていくと、何だか可哀想にも感じて…。
驚きの後に、少々哀れんだような視線を向けてしまった。
■タマモ > 食べず、捨てず、持ち歩いて誤魔化す。
それはすぐに難しいものなのだと思い知る。
それは、次に目に付いた美味しそうな果物の盛り合わせだった。
自然と足はそちらへと向かっていくだろう。
…と、その露店の前に辿り着く前に、その片手に持った物に気付く。
これを手にしたまま、あれを食べるのは難しいのは明らかだった。
なんという運命の悪戯か、やはり、これは食べねばならぬのか!?
そんな時、ふと目に付いた姿。…正確には、そこから感じる人間では無いという感覚だ。
貴族らしい格好、というのはいまいち理解していない。
この世界の存在な上、人間でないのならば、きっと大丈夫。
この者は、妾を救う為に寄こした存在なんだろう。
そうに違いない、きっとそうだ…そうだと、いいな。
そんな単純な考えが頭に浮かんだ。
不意にぐるりと少女の体が向かいを歩く相手へと向けられた。
そして、その歩みを留めるように目の前に止まる。
「お主、何も聞かずにこれを受け取るが良いのじゃ」
向けられた哀れみの視線に、気付いてない。
それだけを言うと、その手に持った蜥蜴の姿焼きをずいっと相手へ突き出した。
■ロレンス > 少々失礼かもしれない思考が読み取られたのか、彼女がこちらの歩みを遮るように、進路にとどまる。
なにかお叱りの言葉でも受けるのかと思いつつも、表情には笑みを貼り付けていた。
「こんばんわ、お嬢さん。何か御用でも…?」
さもありなんと、ありきたりなご挨拶をかければ、唐突に手に持っていた蜥蜴の串焼きを押し付けられそうになる。
食事が趣向にしか鳴らないとはいえ、流石に蜥蜴を食そうという気になるはずもなく、困った様に苦笑いを浮かべた
「お嬢さんのお願いとはいえ…それはちょっと」
やんわりとした物腰で断りを入れる。
そもそも、彼女はこれを食すつもりだったのではないか?
とはいえ…彼女の血を貰うのも良いかもしれないと思えば、再び笑顔に戻していく。
「そうだね…食べもしないそれを私が引き取ったら、お嬢さんは私に何の益をくれるかな?」
損を引き取ったことへの代価、少女にそれを問いかけながら、彼も足を止めて答えを待つ。
■タマモ > 「おっと、おばんじゃな。
…して、受け取るのじゃろう?受け取るんじゃよな?…いや、受け取るのじゃ」
おっと失礼、挨拶程度はせねばならなかったな、と挨拶をする。
押し付け…もとい、くれてやろうとした蜥蜴の丸焼きだが、なぜか断られてしまった。
てっきりこの者ならば喜んで食べてくれると思ったのに、なんと言う見当違いな反応であるものか。
そんな失礼な事を考えている少女だった。
「そんな馬鹿な…人間であるならばともかく、そうでないからお主にやろうとしておったのじゃが…
お主でもこれを食べれぬと言うのか…!?」
はふん、溜息をつきながら肩を落とした。
その後の言葉、引き取ったら何か寄こせとか言っているみたいか?
しかも、相手はこれを食べれないらしい。
さすがに、そこまでしてこれを押し付けるまでもないだろう。
渡せそうな相手は他にも回りにごろごろと居るのだ。
…まぁ、きっと反応は皆同じような感じだろうが、それはまだ知る由もない。
「あー…いや、そこまでのものでもないのじゃ。
食せれぬものを渡すほど、妾も鬼ではないからのぅ?」
手に持った蜥蜴の丸焼きをぷらぷらと揺らし、言葉を返す。
…そろそろ湯気も収まり、冷たくなってきていて更に食べ難くなっているかもしれない。
■ロレンス > 勢い任せに押し付けられそうになったが、どうにか引っ込められそうだ。
ただ、人間であるならばという物言いは、自分が魔族だと気づいたのだろうと察するに十分だろう。
少しだけ纏う雰囲気が変わっていき、僅かだが警戒がにじみ出る。
「――よく気づいたね? しかし人間でも…普通に爬虫類を食すとは思えない…。寧ろ、私からすれば、よく選んだというところなのだが」
人間でも手を付けることはないだろうと言葉を添えて、眉をひそめながら苦笑いをこぼす。
がっくりとした様子に、それが食されないと何か困るのだろうかと気づき始める。
思案顔で顎に手を当てて様子を見やり、一層食べづらくなっていく冷えた蜥蜴を眺めた。
「……要するに、それを何であれ、食べればいいのかな?」
改めて問いかける言葉。
一つだけ当てが浮かんだのが、あとは彼女の答え次第か。
緩やかに笑みに戻しながら、改めて少女を見つめる。
■タマモ > とりあえず、これを押し付けるのは諦めた。
そんな中、相手の気配に微妙な変化が感じられた。
これは…警戒だろうか?少し強めの意識が向けられている。
「ふふんっ、自慢ではないが妾の勘は何人たりとも掻い潜れぬぞ?
いや、そんな事は今はどうでも良いのじゃ。
………言うでない。妾とて、なぜこれを選んでしまったのか…後悔しておるのじゃからのぅ」
そういえば、前にも同じような輩が居った。
正体が知られるのがそんなに困る事なのか?堂々と己を晒す少女には、いまいちピンとこない考えだ。
なので、相手が人間でない事は自分にとって大した問題にもならないと、言葉の端に伝えておく。
続く言葉は、この手に持った物を選んだ事に関する指摘だ。
それについては…うん、まぁ、本当にどうして選んだのか分からないのだと正直に答えた。
「うむ、食する為にこうして失われた命じゃ。
食べずに捨てるなんぞ出来やしまい?
…見返りは求めるでないぞ?」
小さな命とて、意味も無く失われる事は好かない。
それが相手にとって良い事であろうと、悪い事であろうと。
…言い方を変えれば、呪詛として相手の命を使う事でさえ、良しとしている。
それが根本的な考え方の違いだろう。
ともあれ、相手にどうやらこれを始末する伝手があるらしい。
相手の言葉に肯定を表すように、頷き答える。
ただ、無理難題を与える訳でないので、求めていた見返りだけはきっぱりと断っておいた。
「ちなみに、何を求めるつもりだったのじゃ?」
とはいえ、この相手は多分、以前あった魔王の少女…一度手合わせした相手の方だが、と同じような感じがする。
そういった相手がこういう事をする時は、何を求めるのか。
それがちょっと気になって、問うてみた。
■ロレンス > 見抜き、わざわざといったのだから何か意味があるのだろう。
そう思っていた中での答えは大したことではなく、納得しつつも小さく溜息をこぼす。
「すごい自信だね、ただ…人前で人間以外というのは控えたほうがいい。魔族なら周囲に怖れられ、ミレーなら人々に虐げられる。ここに居るために伏せる事実も有るのだから」
彼女が気にしてないのはともかく、周りに聞こえないように抑えた声で囁きかける。
伏せるには意味があるのだと。
そして、手にして後悔した言葉にそうだろうねと呟きつつ、楽しげに微笑み返す。
「いい心掛けだが…それに労力を払ったことに対して、対価がなにもないのも、動いた者へ失礼になるだろう?」
何であれ、お願いし、引き受けるのであれば、それに似合った対価は欲しい。
この時点では引き受けるとも、引き受けないとも答えずに柔らかに微笑むばかりだ。
伏せられた代価、それを問われれば、一層に笑みを深める。
「そうだな…君みたいな可愛らしい娘と一時を過ごしたい、直接に言えばデートのお誘いかな? それと気づいての通り、私は人ではないが…美のある者の血が好物でね? 少し頂けると嬉しいと思っていたんだ」
彼女に対しての対価はそれほど大きくはないだろう。
一緒に少し付き合ってもらい、赦されるなら血を恵んで欲しい。
この街で、かつ人外が求めるには随分と優しいおねだりだろう。
どうかな? と軽く首を傾けながら、少女の答えを待った。