2015/12/22 のログ
チェシャ > はん、と命中した煮干しにことさらにやりと笑って機嫌をよくする。

「僕だって母親っていうのは知識や他のそういう立場の奴を見て
 学んだだけだよ。っていうか魔族って母親なしでも生まれるのか?

 ……仕方なく生きていた時はまぁあったよ。過去になっただけ」

溜息を吐いて呆れるヴァイルに居心地悪そうに肩をすくめる。
いつの間にかしっぽがだらんと垂れ下がっていた。

「悪いけどさぁ……僕、そういう好きとか受け取ったことないからわかんないんだよ。
 なんで殺しあった相手に好かれるのかもよくわかんない。
 お前が僕の何を好いているのかも全然わかんないし。

 正直、……どうしたらいいかわかんなくて困る」

もにゃもにゃと最後は呟くように言葉を濁して
誤魔化すかのように後ろ足で耳をかくと

「帰る、ごちそうさま」

煮干しをもう一匹咥えるとそのまま席をぴょいと降りて裏口のほうへと逃げる様にかけて行った。

ご案内:「王都マグメール 平民地区/黒猫のあくび亭」からチェシャさんが去りました。
ヴァイル > 「なぜ詫びる。
 存分に気色悪がってくれていいんだぜ……まったく」

困らせて苦しめるという思惑は外れた。
そそくさと退散していった夜色の猫を、
常のような得体のしれない薄ら笑いで見送った。
残された煮干しを再び瓶へと戻す。
そうして、黙々とパスタの皿の中身を減らしていく……

「きさまには何も期待していないよ、チェシャ……」

返ってくることなどないつぶやきを落とし、
勘定を済ませて席を立つ。

ご案内:「王都マグメール 平民地区/黒猫のあくび亭」からヴァイルさんが去りました。