2023/06/20 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にタムリンさんが現れました。
タムリン > この辺りは治安が良いので、特に警戒心を持つこともなく、気軽な足取りで行く少年。

「えっ?」

と、視界に入る何か違和感を感じさせるモノ。
そちらに目をやると、3メートル近くある人影が。
ただ身長3メートルなら巨人族やら亜人族やら、数は少ないながらも可能性はあるが…
異様なのは、その腕に素っ裸で恍惚とした者を抱き抱えている、という点。

「どういう状況っすか、これは」

思わず呟いてしまう。
見る限りではお互い平和そうで、余人が口を挟む雰囲気ではないのだが──
それでも、何か強烈な違和感が拭えない。
ここが夜とはいえ街中という点も違和感の原因のひとつだろう。
あの抱き抱えられている人は、一体どういう心境なのだろうか?
助けを求めているようには見えないが、異常と言えば異常……
少なくともやたら背の高い女性が危険な振りまく相手にも見えないし、
とりあえず少し話でも……──
と、少年はそちらに近付いていくのだった。
さすがに、剣に手をかけたりはしない。

アスリーン > 貴方が近づく足音を潜めることがないのであれば、それに気づくだろう。
鮮やかな青空をそのまま写し込んだようなセルリアンブルーの瞳が、貴方を見る。
コレから見れば、半分くらいしか身長のない貴方はなんて小さくて可愛い存在だろう。

「あらあら、小さくて可愛らしい貴方、こんばんは」

腕の中に恍惚とイき果てる誰かを抱いたまま、微笑みかける。
鈴を転がしたような声音は、空気を振動させ、貴方の耳に届くだろうか。
その聴覚から脳へ伝える音は、貴方にとって異様なほど心地よい、幸せな音に聞こえてくる。
あまりにも違和感。耳を塞がねば侵蝕される。
貴方が状態異常に強いのであれば、それはただの声にしか聞こえないだろう。

腕の中にいた誰かを膝から下ろせば、地面から広がるように生えてくる白い羽根が無数に連なる繭が、その誰かを包んで転がる。
羽根で出来た繭は仄かな光を帯びて発光しているが、危険性があるものではない。
あるいは、近い未来、貴方がそれに包まれる時が来ると、予感させるかもしれない。

「さあ、いらっしゃい」

微笑んで招くそれの背に、半透明に薄っすらと広がりを見せる純白の六翼が現れる。
天使は悠然と笑みを浮かべ、貴方を手招いた。

タムリン > 自分も青い瞳をしているが、天使の青い瞳はなんというか、
きわめて清浄で透明度の高い泉のようで。
清浄すぎる水に魚は住めないわけだが。
少年が近付いて行くと、腕の中の誰かさんが立て続けに性的絶頂しているのが分かり。
少年の思考がますます混迷を深めていると、聴こえてくる声。

「は、はあ………こんばんは」

少年の耐性は、確かに人間よりは優れている。
しかし、まったく警戒していない精神影響効果をシャットアウトするほどには、優れていない。
少年自身が考えているより、三倍は時間をかけて挨拶を返す。
思考がにぶっている証拠だった。
なんていい声なんだろう、吟遊詩人かなにかかな? なんて考えてしまう。
凄く、考えてしまう。
その声について考えてしまう、ずっと。
良い声だなあ、聞いていたいなあ、なんでこんないい声なんだろう?
もう、その時点で穴に落ちたも同然。

「はい、っす……」

よく見れば異常なことが視界内で起きているのに、少年はそれについて深く思考できずにいる。
自分でも気付かないくらいぼーっとした様子で、翼を顕現させた天使に歩み寄り───

アスリーン > 瞳の中に天上の庭で見られる美しい光が瞬いているような、蒼。
その視線が、貴方のスカイブルーの双眸と交われば、貴方の視覚から脳を侵し始めるものがある。
それは聴覚と同じく、貴方にとって幸せをもたらすものを見た時と同じ心地。
ゆっくりと歩み寄ってくる貴方が天使の前に立ったなら、天使の掌は柔らかそうなその頬に触れる。
何せ巨躯を持つ女の手。傷一つない白く細長い指を持つ手ではあるが、やはり大きい。
その掌から伝わる温もりは、貴方の肌を、触感を侵すもの。
産まれ出ずる時に母に抱かれた温もりと同じく、貴方を愛し、貴方を慈しむ温かさ。

天使はそんな貴方に顔を寄せて、さらりと亜麻色の髪を撫でながら、不思議そうにする。

「あら……貴方、とても珍しい体をしているのね。
 人の魂を▮▮▮▮▮の器の中に入れるだなんて……ふふ、素敵ねぇ」

貴方には聞き取れない言語ではあるが、その意味を鈍っていく思考が考えられるかは定かではない。
華奢な体を抱き寄せて、天使の指先がするすると顎の下まで伸びて、くい、と上向かせる。
そこまで顔を寄せたなら、貴方の嗅覚は、貴方が好む匂いをかぎ取り、脳へ伝達するだろう。

深みにはまり、落ちていく。
それから逃れることが出来なければ、天使の唇が優しく、貴方の唇を奪うように重なってくる。

タムリン > 普段なら、警戒心を抱くと同時に素早く臨戦態勢に入っていただろうけれど…
そもそも、そういう発想を持つことさえない。
何せ、少年にとっては、女性は──天使は安らぎを与えてくれる存在。
そんな相手に敵意など持つことができるだろうか?
ほんの一分前の自分と別人かというくらいぼんやりした表情の少年、
髪を梳くように撫でられれば、陶酔してしまう。

「……。…………?」

何か言葉が聞こえてくるが、言っている言葉の意味が頭の深いところに入ってこない。
わかるのは、その内容ではなく、言葉の響きがたまらなく心地いいということだけ。
身を抱き寄せられ、流れるように口付けされる。
辺りには、蜜を称えた花の匂いが満ちていて。
その匂いはどこで嗅いだか忘れてしまったが、ずっとそこで香りに包まれていたいという気分にさせる。
まるで神々の世界、天界にいるような気分の少年だが、その足元は実のところ蟻地獄に呑まれているようなもので。

アスリーン > 貴方の思考が、意識が、ゆるやかに幸福へと染め上げられていく。
ぼんやりとした双眸が陶酔していく様を愛し気に見つめ、口付けを受け入れる貴方の口腔へ、天使の唾液が垂らされる。
貴方の舌、その味覚を侵蝕する蜜の味。貴方が好み、幸福を覚える味。
聴覚視覚、触覚嗅覚、そして味覚。
五感によって浸食していくそれは、【幸福】という名の状態異常。

【幸福付与】────。
体力増強、精力増強、精神強化、生命力強化、心身負荷無効。
感度上昇、思考力の低下、性欲増強、リジェネ、苦痛軽減。

貴方の身に起こるそれらの事象は、貴方を強くするものでありながら、貴方の思考を阻害するもの。
全身に巡る熱、下半身から湧き上がる衝動的な興奮、原始的にして本能的な色欲を強制的に呼び起こす。
これから与えられる幸福という快楽、凌辱、一方的な性的な搾取に、耐えうるための下準備。

「さあ、わたくしを受け入れて」

天使は艶やかに微笑み、囁いて、貴方の脳を侵蝕していく────。

アスリーン > 【移動します】
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からアスリーンさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からタムリンさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にエリノアさんが現れました。
エリノア > 昼食時と夕食時の合間、店を閉じて買い物に出た帰り。
季節の果物が安かったからと、大量に買い込んだ柑橘を紙袋に詰め、
両腕で胸元に抱えながら、広場を横切ろうとしたときだ。

色褪せた掲示物ばかりで埋め尽くされた掲示板に、ひとつ、真新しい羊皮紙。
ふと気づいて足を止めてみれば、女の眉間に自然、深い皺が刻まれた。

“討伐隊隊員募集、行き先は北方辺境”

続いて記された地名に、いやというほど覚えがあった。
夫のかつての故郷、蹂躙され占拠され魔族のものとされた、
その村が存在していた辺りの地名だと記憶している。

夫が生きていたなら、きっと苦い顔をするだろう。
取るものも取り敢えず店を閉めて、駆けつけたいと言い出したかもしれない。
以前のように戦えなくなったからと、諦められるものでもないのだろうから。
―――――女にしてみても、もし、夫が生きていたならば。
止められぬのならばせめて、共に、と願ったに違いない。
今となっては考えるだけ無駄、想像するのも虚しいことではあったが。

エリノア > 「――――――――あ、」

物思いに耽るあまり、手許がお留守になっていたようだ。
物音に気が付けば、抱えていた紙袋が傾き、瑞々しい柑橘が二つ三つ、
ころころと転がり落ちていた。
地面に散らばるそれらを拾おうと身を屈めた拍子に、もうひとつ。
紙袋から零れ出した橙色の果実を、危うく空中でキャッチする。

「ふう、……あぶなかった……」

ぼんやりしている場合ではない、そろそろ日も傾いてきている。
早く店に戻って、仕込みを始めなければ―――――。

地面に点々と転がった果実を拾い、女は広場を横切って歩き出す。
向かう先は勿論、夫を亡くした女が、自らの命より大切にしている場所。
夫との思い出が詰まった、小さな料亭である―――――。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」からエリノアさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にテレサさんが現れました。
テレサ > 夜も更け始める時間帯の冒険者ギルド。
もう直ぐ業務が終わるという時間に討伐依頼の達成確認を持ち込む。
受付嬢には嫌そうな顔をされるが仕事は仕事なのできちんとこなしてくれ報酬を受け取り。
次の依頼は翌日でいいかと考えればギルドを後にして大通りと出る。

「今回はそれなり。でも……鍛錬にはならなかった」

数が多いというゴブリンの討伐を受け、確かに数はいたが物足りなかったというように小さく息を吐き。
報酬は多かったが次はもう少しと考えてはギルド前から歩き出して向かうのは酒場や宿屋の並ぶ通り。

このまま真っ直ぐ宿に帰るのが一番いいのだが途中で何かを食べるのも悪くはない。
宿で頼めば軽食ぐらいは出るだろうがそれは悪い気がして、途中に良い店があれば入るのもいいか。
そう考えては宿に向けて歩き出す。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」からテレサさんが去りました。