2023/03/19 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にシフォンさんが現れました。
■シフォン > 平民地区の大通り
屋台が軒を連ねるその通りは、食事時に訪れようものなら、身動きも儘ならないほど。
王国内はもちろん、近隣諸国から、様々な食材が、料理が集まる場所でもあり。
そんな通りの一角に、少女がひとり佇んでおり。
視線は左右の屋台を行ったり来たり。
握り締めた手のうちには、銀貨が数枚。
威勢の好い呼び声に、ふらふらと寄せられては、また別の声に誘われる。
特に先程から行ったり戻ったりしているのが、肉の串焼き。
甘辛いたれが焼ける匂いが香ばしく。今のところの最有力候補。
次点でフルーツたっぷりのふわふわクレープ。
甘い香りと色とりどりのそれに惹き付けられる。
どちらも買えればいいのだけれど、あいにくとお財布がそれを許してはくれず。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にヴァンさんが現れました。
■ヴァン > 病み上がりの男はふらふらと大通りを歩いていた。
体調不良の原因は解決したものの、まだ本調子ではない。
手近な屋台で買い求めたサンドイッチをぱくつきながら、周囲の喧騒に顔を顰めながら周囲を見渡す。
そのせいで、前方に注意を向けるのが遅かったようだ。
「っと、すまない……な」
ぶつかった拍子に、卵のサンドイッチを落としてしまった。
相手は男より頭一つ分は小柄な少女だった。少女の服にぶつかってから地面へと落ちた。
ほとんど食べ終わっていたのでパンが開いてしまい、具が服に触れてしまっている。
しまったな、という顔をしつつハンカチを取り出して差し出した。
「……申し訳ない。俺が前を見ていなかった。洗濯代はいくらくらい出せばいい?」
身なりからすると、少女は冒険者だろうか。非は全面的に男にあるので、少し離れてから丁寧な物言いをする。
■シフォン > こっちへ行ったり、こっちへ行ったり。
僅かな手持ちでどちらを買うかと悩んでいれば、ドンと誰かにぶつかってしまう。
「きゃっ…」
こちらも周囲に気を配れていなかった。
不意の衝撃に小柄な少女は尻餅をついてしまい。
痛みは大してなかったものの、視線を下へと向けると、べっとりと卵が付いてしまっていて。
「……こっちも、不注意だったから。」
鈴が鳴るような声で、小さく首を振って答える。
これが先ほど見ていた串焼きのタレだったら、悲惨だったけれど。
サンドイッチの具なら、被害はまだマシだろう。
差し出されたハンカチは遠慮なく使わせてもらうけれど、洗濯代まで貰おうという気にはなれず。
■ヴァン > 「……そうか?すまないな」
転ばせてしまったので一応手も差し出すが、一人で起き上がれるだろう。
少女も不注意だと言っていた。そんな意識が向くようなものが周囲にあっただろうか――と、串焼きが目に留まる。
あと一品ほど食べておきたいとと思っていたところだ。ちょうどいい。
立ち上がるのを待って、声をかける。
「じゃあ、あの串焼きをおごらせてくれ。洗濯代よりは安い」
言うやいなや、屋台へと向き直って2串を注文し、硬貨を店主へと渡す。焼きあがるまで少々かかるようだ。
その後、少女の身なりを再び確認した。軽戦士だろうか。魔術師や僧侶など、後衛職には見えない。
かといって前衛というには身体が小さいが――。
「今日はお休みかい?冒険者というと、日中は街の外に出ているイメージが強いが」
焼きあがるまで黙って待つのも気まずい。他愛もない話をきりだす。
男はジャケットにカーゴパンツ。身分を示すものは胸元の聖印のみ。普通ならば神殿関係者だとわかるだろう。
もっと詳しい者ならば、悪名高き神殿騎士団の所属とまで特定するかもしれない。
■シフォン > 「え? そんな、ことして貰わなくても……」
ハンカチを使わせてもらっただけで十分。
汚れてしまったそれを返そうとした手が行き場を失ってしまう。
というのも、相手がさっさと気になっていた屋台の方へと向かってしまったから。
慌ててその後を付いて行き、何だか知らないうちに焼き上がるまで並んで待つことに。
「えと……そう。いい依頼がなかった、から。」
正確に言えば、自分ひとりで出来るような、という枕詞が付くのだけれど。
問われた質問に素直に答えつつ、小首を傾げてみせる。
「なんで?」
短剣を腰に差してはいるものの、鎧などは身に着けておらず、服装は一般人のそれとそうは変わらないもの。
どうして冒険者だと判ったのかと。
ただ、あまりに言葉を省略しすぎたそれは、相手に正しく伝わるかどうか。