2023/03/04 のログ
■ランバルディア > くい、と袖を引かれた。
転がりかけた菓子は袋の中に転がる方向を変え、事なきを得る。
「わかったわかった、こいつ届けたらな」
肩を竦め、笑いかけ。袖引く相手を引き連れ地区の外れへ消えていく――。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 とある通り」からランバルディアさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にミンティさんが現れました。
■ミンティ > 平民地区の中でも静かなところ。専門店などが多く集まる地区の片隅にある、昼間でも薄暗い貸本屋の店内。
図書館ほど蔵書が豊富ではないものの、その分、なかなかお目にかかれないような掘り出し物を探せる事が多い品揃えの中、目当てのものがないかと背表紙を眺め、狭い通路を歩いている。
鑑定を生業とする以上、知識は常に溜め込んでいないといけない。秘めている魔眼でどれだけ正確に情報が読み解けても、自分がそれを理解できないと仕方がないのだから。
「……ぁ…った」
古い紙の匂いにも慣れてくるころ、ようやく目当てのものを一冊見つける事ができた。ぎゅうぎゅうに詰まった本棚の中からそっと引き抜いて、内容を確認。今請け負っている仕事の役に立ちそうだとわかると、その本を小脇に抱えて。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にカジャさんが現れました。
■カジャ > 獲物に飢えた呪詛の塊は影さえ潜めれば何処にでも現れる。
それに呪詛はひとつではない、生まれ、産み落とされ、分かち増えた呪詛の一つは今は此処に薄暗い貸し本屋の片隅に姿を見せた。
それは何かの予感めいたものを本能が嗅ぎ取ったのか、或いは影の濃い場所を貸本と言う数多有る本の中で呪詛が好む魔力を含んだ本があったのか、理由は呪詛の塊にもわからない、が、何かに誘われ、確かに此処に姿を見せた。
先客、本を小脇に抱えた人影の背後に一際濃い影の中より、こぽり、と水面に気泡が生まれ、はじける小さな音を奏でた後に、呪詛の塊は何時や喰らった若い人間の姿を真似て影より這いずり出でると、その姿を周囲に覚られぬように、ローブを全身で包むように、ローブに似たものまでも再現して見せる。
ずちゃ、ずちゃ、ずちゃ、ずちゃ、と室内に大よそ似つかわしくない重たい音を立たせながら、フードの奥に輝かせる赤い眼に映る人影に歩み寄ると、背後から本を小脇に抱えた人影の服の袖を引っ張ろう。
くい、くい、くい、とこっちを向いてといわんばかりに。
もし、もしも振り向いてしまうなら、少女よりも少し小柄な人影が袖を引く姿が見えようか、ただその人影は全身を真黒なローブに身を包み、フードをかぶり、その奥から片方の眼だけを爛々煌々と輝かせた明らかに異様な姿であるが。
もし敵対心を抱いているかまで察しようとすれば人影は友好的な雰囲気をしているだろう、何故なら希少な獲物を傷つけるつもりは呪詛の塊にはないのだから。
■ミンティ > 本探しに夢中になっていたせいか、何者かの接近には、袖を引かれるまで気がつかなかった。だから急に衣服を掴まれた感触に、びくっと竦み上がり。
おそるおそる振り向いたあと、自分よりも小柄な姿に、きょと、と目を丸くする。
それからどうしたのか、薄暗く入り組んだ店内でなにが起こったのかは、当人同士のみが知る事かもしれず…。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からミンティさんが去りました。