2023/02/22 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にオデットさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からオデットさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にオデットさんが現れました。
オデット > (平民地区の外れ、貧民街の少し手前にある安い酒宿に女はいた。午前様というのに昼間から酒を飲んで――という風ではなく、どうやら店主に用があるようだった。長いドレスの裾を翻しカウンターまで進むと、目深くかぶっていたフードを脱ぐ。豪奢に靡く髪を恣に、馴染み客の男、つまりはこの店の主へうっすらと笑みを浮かべて巾着を卓上へ置いた。紐を解くと薄い乳白色の液体が並々と注がれた瓶が現れる。)

「 こんにちわ、シドニス。
 ねえ…、いくら飲んでも酔わないなんて――お酒の価値あるかしら。
 こんな薬を混ぜて客にふるうなんて、いけないヒトね。」

(要は客を酔い潰れさせず、底無しに酒を注文させたいのだろう。皮肉と一緒に甘く男を詰り、スツールに腰かける。いつものようお通しとばかりに出された安酒のカクテルを一瞥し、店主が対価の金を用意してくるのを待っていよう。時折口に含んでみるが、平生通り安酒だ。)

オデット > (その後受け取った安銭を懐にしまい、酒を飲みほしてすぐ女は去っていった。)
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からオデットさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区/歓楽街(色街)」にサマベルさんが現れました。
サマベル > (普段は買われる側、売る側なのでたまには
買う側、売られる側に回ろうと白いブラウスに紺色のスカート姿で
歓楽街のなかでも女性が女性の娼婦を買う色町をのんびりと娼婦達
を見ながら値踏み中)

「うふふ、偶にはこちらの立場でというのもいいと思ったのですけ
れど、自分で好きに選べるとなると逆に迷ってしまいますわね。
あら、元気でしたかしら?久しぶりですわね……ええ、今日はお
客さんとしてきましたの」

(色々なタイプの同業者が立っていたり、娼館の中から外に見える
ようになっている座敷で座っていたり。今日はどういう子と遊びま
しょうかしら、そう思いながら偶に見知った顔に出会いながら通り
を歩く)

サマベル > (ふらりふらり。
街の中を歩いて、娼婦同士、立ち話をしたり景気の話をしたりしな
がら時間を潰し、たまに見かけるいい感じの子に声を掛けてみたり
して。その中でこの子にしましょう、と言う子を見つけて声をかけ
てから、交渉をして娼館の中へと姿を消していった))

ご案内:「王都マグメール 平民地区/歓楽街(色街)」からサマベルさんが去りました。
ご案内:「平民地区・冒険者ギルド」に影時さんが現れました。
影時 > ――若いことはいいことだ。我武者羅になれるのであれば、もっといい。

それはきっと、前途と未来があることが約束されているからこそ謳歌できる生の賛歌である。
若き冒険者、それも駆け出したちを相手取った稽古をするときによくよく思う。
自分にはなかった、望めなかったものに、事柄に対してまぶしく思うことはなかっただろうか?
知らぬ土地に来て。知らぬものを見て。知りえなかったことを感じた時にこそ、よくよく思う。

「おぅ、お疲れさん。気を付けて帰れよー。寄り道と夜更かしはするなよ?明日に響くからなー」

――と。そんな声が響くのは平民地区の一角にある冒険者ギルドの建物、その屋内に設営された訓練場だ。
声の主たる男は集っていた少年少女、あるいは青年、または数人の中年と思しい者たちが三々五々と外に出ていく様を眺め遣り、息を零す。
肉体的な疲労、というよりは気疲れの方が濃い吐息だ。
この辺りでは珍しい装束から覗く手足には、革ベルトで砂と鉛が詰められた布袋を括りつけられていた。

錘である。身軽、身こなしが身上の腕利きが駆け出しの力量に合わせている、ということを見せるための記号だ。
初心者向けの戦闘訓練、演習の標的、教師として駆り出された際、装着を要請されたものである。
それでも当たりようがないものは避け、防ぐ方が適切と思われるものは受け、仕事自体は恙なく終わったが。

「……――もう少し、内容を練ってから仕事をくれねェかね、ったく」

それでも気も楽、というわけにはいかないのが人の世の中である。
一通り参加者を見送れば、広い訓練場も静かになる。時間としては、夕刻は過ぎたくらいだろうか?
窓から差し込む斜陽の気配を見やりつつ、訓練場の片隅に積まれたいくつかの木箱のほうへと歩む。
そこが荷物置き場であり、休憩場めいた扱いにされている。
腰に差した刀の鞘を柄を押して動かし、座り易いように位置を変えながら座せば、零れる息はまた長い。

影時 > そういえば、軽食として支給されていた食事に手を付けていなかった。
中身の入っていない箱たちの上には、布袋が一つ放置されている。
手足につけた錘を外しつつ、目を遣る。
拘束を外すだけで、ずるりと零れ落ちるように地に積もる錘の音はひたすらに重い。
ああ楽になった、とばかりに手枷足枷めいたものを外せば、首や肩を回して。

「中身はー……と。まァ、晩飯食うまでにゃ足りるか。水は……いや、水代わりかこりゃ」

取り出す中身は、薄い紙に包まれた肉と野菜を挟んだ黒パン、そして瓶入りの飲料であった。
瓶の中身はおそらく水ではない。色がついたガラス瓶の色を濃くしているのは、恐らくワインであろう。
出来上がりより時間が経ちすぎて、野菜が萎びていないだろうか。
そんな懸念に顔を顰めつつ、瓶の腹に指を添える。
気合を込めるでもなく、僅かに氣を瓶に注げば、中身が微かに泡立つ。
栓のコルクがゆっくりと押し出されるように抜け、足元に転がったのを確かめてから、瓶に口をつける。喉を湿らす。
味と質は、口に出すのも憚られるか。そんなことを考え、一旦瓶を傍に置く。残る包みに手を出せば、

「……ンー? どっから迷い込んだンだね、お前さん」

にぁ、と。微かに甘く小さな鳴き声が静かな空間に響く。
何処から迷い込んだのか。黒い毛並みの猫がちょうど、踏み鳴らされた地面を優雅な足取りで横切り、己の方へと寄ってくる。
抜け忍とはいえ、忍者と猫。奇妙ともいえる構図の取り合わせ。

影時 > 野良猫というには薄汚れが過ぎておらず、飼い猫である――と思えるくらいには人馴れしている。
そんな所作を足音もなく、じっーっと己を見つめる眼差しの小さな主より伺う。
貴族の邸宅から逃げた猫など、猫探し依頼が出ていることもあるが、そのターゲットの個体ではあるまいか?
足を組みつつ、包みを開きながら思う。
どちらかといえば、犬よりも猫の方が好みである。前職の関係上、特に番犬の類は厄介と思うことがある。
包みの中身の状態は、思っていた以上に悪くなっていない。

「…………お前さん。まさか、俺に中身をせびろうってハラじゃないだろうなぁ?」

中身はどうやら茹でた鶏肉と新鮮さがまだ残っている野菜だ。
この手のつくりは、食べやすくてありがたい。気を付けておけば鞄に詰め込んでおける類である。
己の足元まで寄ってきた猫の視線が、この手の方に向いているのは、ああ、成程。気のせいではないだろう。
餌付けでもされているような個体なのだろうか。それとも、か。

「ったく」

香辛料がかかっていない箇所がないだろうか。いったん包みを開き、ぐるっと見回しながら見聞する。
聞くところによると、強い味や塩味が利きすぎたものは、猫のみならず動物には毒であると云う。
茹でた肉に香辛料や酢を混ぜた油でさっと味付けしているなら、与えてもよさそうな個所はあるだろう。
この辺りは、どうだろうか? よさげな個所を見つければ、それを軽くつまんで千切る。

摘まんだ一切れを、ほれ、と上体を屈め、差し出しながら猫の挙措を見守ろうか。