2022/11/18 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にイグナスさんが現れました。
■イグナス > 夕暮れ時の平民地区
「ん、ぐ、……ぐッ……。」
一軒の飯屋の前で呻いてる男がいた。
…もともと今日は、厄日である。食事処をまあ、探していたわけだが。
どこをどう歩いても今日は閉まってる店ばかり。
やっとこさ一軒、店を見つけることができたはいいものの。
「出入り禁止………だとう。」
そんなトラブルは起こしてない、起こしてないはずだが。
…いやそうでもないか、食べ過ぎて店の倉庫をからっけつにしたり、
絡んできたチンピラと大乱闘をした…とかはあったかもしれない。
どちらにしても希望が一つ絶たれたわけで。
大きな大きな大男が、店の前で肩を落として、がっくしとしていたのだった。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にヒメナさんが現れました。
■ヒメナ > 「わー!おっきいひとだー!」
項垂れているその巨人の足元から無邪気な可愛らしい声がかかる。
背丈としてはその男の腰より少し上かその程度の幼い少女の姿があった。
黒いヴェールで顔と頭を隠しており、シスター服のようなものを着ている。
しかし普通なら肌の露出を控えるはずの服はむしろ肌を露出させており、扇情的だ。
「どーしたの?なにかこまってるのー?」
そう見上げられれば、体中に入れ墨や縫い目があることがわかるだろう。
真っ赤で大きい目は宝石のように美しい。その服は両足が太腿まで見えており
小柄な少女の割にはなかなかにいい肉の付き方をしていた。
なぜ大男が困っているのかわからない様子で、自分の頬に手を当てて不思議そうに見上げている。
「あ!もしかしてー……つきあってるヒトにフられちゃったー?」
などと、的外れな言葉をほざき。
■イグナス > 「お?」
首をかしげる。おっきいひと、そう掲揚されるのは珍しいことではないが。
ここまで無邪気にかわいらしい…普通ならそれくらいの年代は、ビビって逃げる。
そういう声がかかったことで視線をそちらに向けた。
――ある意味想像通りの容姿、これくらいの年代に声をかけられたと。
「ン、あ、……なんだ、お前。」
ついそんな、ぶっきらぼうな声掛けになった。
年頃と、見た目、服装…それらがいまいち、合っていない、そんな印象の。
小柄なくせに、肉付きがいいのがそれを助長している。
やや戸惑い、けれど問われた内容に、少し現実に引き戻された。
「ンなわきゃねェおれが。
……いやある意味、ちかいか。
………めしやが、立ち入り禁止ってな。」
張り紙に書いてあった。イグナスなにがしは、立ち入り禁止である、と。
■ヒメナ > なんだお前、と名前を聞かれれば、まったく発達していない胸を「えっへん」と張って。
「なにをかくそーわたしのなまえはヒメナ!とってもいいこだよ!」
そうい誇らしげに宣言した後、貼り紙のほうを見る。
なんだか難しいこともかかれてるが、なんとか読んで。
立ち入り禁止っていうのはたぶん、はいっちゃダメ……ってことだよね?
そう考えてからもう一度大男を見上げて。
「ごはん、たべられなくなっちゃったんだ?」
そう小首をかしげながら聞いて。
でもなんでだろうと考えて……そのおっきな体が原因なのかな?と。
「もしかしていっぱいたべすぎちゃったの?
まーそんなにおっきなからだしてるもんね!おすもーさんとか?
あ、でもおすもーさんならもっとよこにおっきいかー」
うーんうーんと唸って。
しばらくしたあと。、パン!と両手を叩いて。
「じゃあわたしといっしょにおみせさがそーよ!
ここいがいにもおいしいところいっぱいあるでしょー?」
名案だ。などと考えているのがありありと見える笑顔でそう言い切って。
■イグナス > 「ヒメナ、ん、あ。おれはイグナスと云う。」
果たして、よろしく、でいいんだろうか。
まあ良い。恐れずに会話してくれる人間は、それなりに貴重だ。
大男はいったん思考を放棄して、代わりに扉のほうへ。
「そう、食べられなくなっちまった、…なァ。
…んぐっ」
あまりにもあっさりと核心を突かれた。こんなこどもに。
少女のほうを一瞥して、バツが悪そうに視線をまた逸らした。
どこかごまかすみたく腕を組んで。
「ハーフジャイアントってな、半分巨人なんだよ、見たことあるか、巨人。
まァ、そういうわけでガタイ分は食ってンだが、――何?」
急な提案に思わず目を丸めた。このデカブツ相手に、正気か、この少女は。
こちらの心配?はどこへやら、天真爛漫というふうだ。
「………、まァ。いいか。よし、付き合えお嬢ちゃん…ヒメナだったか。
いいとこありゃァ、メシくらい奢ってやる。」
これはこれでよかろうと、歩を進め始めた。
だいぶ、一足が大きい。
■ヒメナ > 「イグナスくんね!よろしくー!」
ニコニコと嬉しそうに少女は笑って見せて。
大男についていくように扉の方へと同じく歩いていく。
「みたことなーい!だいたいのおとなのひと、わたしよりおっきーもん!
だけど、そんなひとたちよりもおっきーひとはじめてみたかも!」
そう楽しそうにいいながら、大男の腰や太腿に無遠慮に手を伸ばして触る。
丸太のように太い脚や腕に興味津々のようで、楽しそうにしていた。
「ん!いいよー!いこいこー!
イグナスくん!わたしをおいていっちゃだめだぞー!」
そう言いながら、歩幅が大きい彼に対して、少女はほぼほぼ走る形になるだろうか。
しかしそれを気にする風でもなく、そして苦にするわけでもなくずっと走ってついていく。
「ちなみになにたべたいのー?」
■イグナス > そりゃあそうだ。この小柄な少女よりは、たいてい大きい。
なんだか当たり前のことに気づいて、ククと軽く喉を鳴らした。
「そりゃあそうだ。さっきも言ったろ、半巨人。
でけェンだから、お前も置いてかれねえようについて来いよ。」
腕を触られるのはまあ、よい。一応歩調も緩めてみよう。
なんとか追随させる形をとりながら。
…妙に体力はあるなあ、と横目。
「ンあ?…あー、そりゃ、あれだ。にく。肉くいてえ。
お前は。」
口に入ればなんでもいいが、動物性がいい。
羊豚牛鳥、なんでもこいである。
一応少女にも食べさせる心積もりゆえに、歩きながら首を傾け声をかけて。
■ヒメナ > どうしても喋る時、顔を見ようと頭を思い切り上に挙げる必要があって。
見る人が見れば事案にしか見えないような光景を繰り広げつつ街を走る。
「うん!だいじょーぶ!わたし、これでもあしははやいもん!」
笑顔を崩すことなくずっと走って。
歩調が少し緩く成れば、走る速度を同様に少し緩めて、小走り程度になるだろうか。
それでも、息を切らせる様子は全くないが。
「おにく!いいね!わたし、ママがつくったシチューにはいってるおにくがだいすき!
……ん-、わたしはそーだなぁ。ミルクとシチューがいっぱいたべたいな!
できればやさいもおにくもいっぱいはいってるシチュー!あとカリカリのパンもほしー!」
想像して、少しだれ口の端から出たのを拭う。
「やっぱりイグナスくんはほねつきニクみたいなのがいいの?」
■イグナス > 足が速いというか、なかなかスタミナがあるというか。
やっぱり見た目通りでないのか、この町に生きているワケであるし。
普通ではないことも、普通ではないだけと納得できてしまうのが、なんとも。
――ともあれついてこれているならばそれでよい、歩行速度はそのままに。
「あー、いいなァ、シチュー食いてェなあ。
……んー、そういうとこがありゃ、いいが。」
彼女のご希望に添える店…で、自分が入れるとこ、あるだろうか。
「そらそうだ。骨付きのラム肉なんかいいなァ。
机の上にたっぷり並べて………んむ。ぐ。」
ぐるぐぉお。なんだか獣みたいな空腹の腹の音が鳴った。
むむとちょっとしかめっ面。--だいぶ歩いたが、なかなかお店は見当たらない。