2022/08/17 のログ
■ヴァン > 「いや、予備は元々ダガーがあるので……っと、はい」
通り抜けられるよう身体を注意して壁際に寄せる。揺れる胸元に視線がちらりと行くのは男の性か。
店主の歩いた姿勢を追従するように足を運ぶ。
背丈や幅が違うので同じことをしてもぶつかる恐れはあるが、幸いにも無事にカウンターにたどり着けたようだ。
階上でどたばたしている音を聞きつつ、周囲の武器に目をやっている。
「あぁ、これは良い。翻訳されているのも助かる。予算は大丈夫です。両方買います。
そういやあいつ文字読めるのか……?」
後半はぽつりと呟くように。袋から硬貨を取り出しながら、思い出したかのように声をかける。目ざとく恋愛小説を見つけたらしい。
「お……その本、どうですか?世間での評判は結構いいですが。
前から思ってましたが、店主さんは結構本お好きですよね」
にこりと笑う。年頃の娘が恋愛小説を読むのは不思議ではないが、20代後半の男がこの手の本に興味を示すのは珍しいかもしれない。
タイトルだけで中身がわかる程度には本に親しんでいるようだ。
■レアルラ > 「くぅ……! 財布のガード硬いわね……!」
捨て台詞気味にそう告げて上へと向かうのだけど
壁際に体を寄せてもらったのできちんと感謝を伝えて上に。
して、戻ってきて値段を告げたら二つ返事で購入を受け入れてもらったので嬉しそうな笑みが浮かんでいた。
周囲の武器は、落ちずに済んだらしい。
「ふふふ、その調子でこの店にお金を落としてくれると助かるわ。
……あら、誰かにプレゼントかしら? この色男……あ、袋いるなら有料でつけるわよ?」
合計金額を告げた後
呟くような言葉をキャッチ、恋愛事に興味を持つ女はニマニマしながら尋ねた、後に
持って帰るのは大変であるだろうからと、カウンターの下から布製の袋を一枚取り出してみせた。金額は子供のお小遣い程度だ。
けれども、本のことになるとニマニマとしたいやらしい笑みは消え去り、目を輝かせ彼を見上げ
「あら、目ざといわね。世間の評判通りなかなか良いわよ?
特に、中盤の貴族の男性の決め台詞が……あら、ごめんなさい。先を言ってはダメよね」
こういう事を言うのはタブーであると知っているからして
もし、過激な人に先の展開を言ってしまえば袋にされかねない危険性をも孕む。
おっと、と口に手を当てて言葉を止めた後に口から手を離し。
「それにしても、貴方も本が好きなのね。こういうの、あんまり見ないように見えたから。
失礼だったらごめんなさい?」
■ヴァン > 「必要なものには使いますよ。地獄にまで持ってけませんから。
メンテナンスは自分用で、使い方は……なんというか。
剣術を教える子ができたんですが、その子用です。その前に自分も読みますし」
袋は要らないと答え、肩からさげていた鞄を開ける。
色男という言葉には乾いた笑いで、否定するようにひらひらと手を振った。
本の話となり目を輝かせる少女に一瞬気圧される。
「やっぱりいいんですね。帰りに本屋寄ってくかな……。
仕事柄、本を扱ってますので。発売時は街を離れてて買えなかったんです。
……若い人はやはり小説のような恋愛に憧れたりするものなんですかね?
今貴女が読まれているようなものもあれば三角関係とか禁断の恋とか、
行動描写が詳細なものもありますが、どういうのがお好みで?」
ほんの少し、からかうような口調。行動描写のくだりは婉曲的に艶事を示したか。多少は配慮したのだろう。
機嫌を損ねられて『お前に売る品はねぇ』等と言われたら堪らない。
30に近い外見の男は黙っていればそれなりに整った造形をしているが、
珍妙な模様のバンダナが若く、下手をすると子供っぽくすら見せている。
■レアルラ > 「あら、それはいい心がけね。でも、貴方は地獄には行かなそうに見えるわよ?
あらあら、教え子なのね。良いと思うわ? 教え子との禁断の恋模様。
そうねぇ……教えるにはまず自分でマスターしなきゃよねぇ」
袋は要らないとの返答に、あら残念、と肩を竦めのそのそと袋をカウンター下に戻し
顔を上げてみれば乾いた笑いで手を振っていたのでまたもやニヤリとやらしい笑み。
どうにかそっちの方向の話を聞きたいらしい。迷惑な女だった。
とにかく、ほんの話題には食いついていく。
お腹をすかせた魚に餌をやるが如く。
「是非寄って買っていくといいわ。男性でも楽しめるもの。
あら、そうなの。本を扱っているなら納得ね。売ってなかったらまた来なさいな、貸してあげるわ。
……うーん、憧れると思うわよ? 私が最初読んだときなんて、衝撃が走ったわ。
こんな恋がしてみたい! てね? まぁ、やっぱり私の中では王道の王子様とお姫様の純愛が好きね。
身分差とか、禁断の恋も好きなのだけれど……ふふふ、そこはもうねっちょりと描写してくれたほうが嬉しいわ?」
誂うような口調に艷ごとのことだと気づき、乙女のように頬に手を当てて
ニンマリ、ととてもいやらしく口角を引き上げて対抗。
配慮しなくても問題はない、とその笑みで答え。
改めて目の前の彼を見上げてみると、整った容姿をしているので
これはモテるだろうなと感想を抱く。子供っぽく見せているバンダナも可愛らしいし
口角を引き上げたままにクスリと笑う。
「恋愛経験豊富そうね。よかったら恋のお話でもしてくださる?
貴方とてもモテるように見えるからそういう話は多いでしょう?」
■ヴァン > 「教え子といっても10歳程度なので……女の子ではあるけど。
我流でやってたけど、教える基本はしっかりしたものにしないとね」
話題の持っていき方に強い意思を感じるので、のることにする。
「純愛かあ……仕事柄、ここに来るのは冒険者とか兵士、騎士とか?
店主さん美人だから、口説かれたりするんじゃないの?
馴染にならないとこうやって話す機会も持ちづらいのかな」
少女の反応におや、と思う。恥ずかしがったりむきになったりするではない、外見よりも大人の対応。
男は少し考える。自分のことを話したものかどうか。
「今はさっぱりだが、昔は……まぁ、もてた方なのかな。若い頃は隣の国の街にいてね。この王都みたいな場所だった。
色んな子に声をかけてたよ。仕事ほっぽりだして昼も夜も、休みなしに。
恋の話というか、教訓というか。
恋人がいたんだが、行方不明になってね。必死になって探したんだ、2年くらいかな。元気でいてくれるといいが……
で、その間も……言って良いか。まぁ、ありていにいうと身体のつきあいがある娘たちと親交があった。
彼女達は俺に好意を示してくれていて、過去の恋人のことを忘れたらどうか、と言ったが俺は応えられなかった。
で、今に至る。恋人にも、彼女達にも悪いことをした。
教訓としては遊び過ぎはよくない、あるいは遊ぶんならまともな恋愛感情は持つな、ってとこかな。
地獄行きってのは……出会いにも色々あったし、不誠実に人の心を傷つけたからね」
過去を思い出したか、少し苦い顔。
出会いに色々というのは、夜で人気のない路地裏などでの出会いのことを示しているのだろう。
■レアルラ > 「成る程10歳……今から自分好みに育てるのもありよ?
我流を教えながら、自分好みにとか胸が踊るわね……私も弟子とか取ろうかしら
……ごめんなさい、ついつい妄想が過ぎてしまって」
乗ってきてくれたことを良いことに中々な発想にたどり着いた。
下世話すぎるので、素直に謝っておくのだ。
「そうねぇ、基本はその方たちね。まぁ、冷やかしが多いからテキトウにあしらっているけれど。
ふふ、馴染みになってくれるのなら話すわよ? 物も買ってくれたらもっと話しちゃう」
少女の外見をしているがそこはそれ、恋愛物を読みすぎた結果こなれたのだった。
びっちょりぐっちょり描写されていればしているほど嬉しい、とも語る。
して、彼の語る言葉にしばし耳を傾け、彼の恋の話に胸をキュンキュンさせながら
しばし口を閉じていたのだが、ゆるりとカウンター裏の椅子へと腰を下ろし。
「遊び人だったのね。外見が良いからそうじゃないかとは思ったわ。
とても、いっぱい恋をしてくれたのね……いい男の特権よ?
それに、しっかり反省もしているのなら良いじゃないの。次に活かしなさいな。
ま、偉そうに言ってるけど私は今のところ恋人がいた試しはないわ」
苦い顔をしている彼の心情を慮る。
きっと、いろんな後悔をしたのだろうから責めるような言葉は出て来ない。
責める立場にもないので、肩を竦め、自虐を少し。
生まれてこの方、浮いた話もないし経験もない。であるからして処女である。
「いい話を聞かせてもらったわ。ありがとうね?
少し胸が寂しくなっちゃったけど、ね。恋人が元気であることを祈っているわ」
そうして、いい話をしてもらったお礼に、とカウンターの下から小さな木の札を取り出す。
割引券である。それを渡そうか。
■ヴァン > 少女はそれなりに話せる女性らしい。
自分好み、という表現には笑って流す。
「遊び人だったねぇ。今は真面目……じゃあないが、落ち着いてる。多分。
当時は優柔不断というか、中途半端というか、流されやすいというか。
若い男が読む小説であるだろう?たいした能力がないが優しくて女の子が寄ってくる、みたいなハーレム物。
あれを実践した感じか。中途半端な優しさはかえって傷つける。
次……次はないな。一途さを持たないようにと思った途端、もてなくなった。
一途って何を言ってるんだと思うだろうが、身体は遊んでたけど心は恋人のものだった。うまく言えないが。
つきあったことがないのか……じゃあ、悪い男の見分け方や手口を教えられるかも。理論と実践、両面で」
オチがついたとばかり、冗談めかして笑う。最後のくだりも冗談のようだ。
ちょっとからかうだけのつもりが、慣れぬ昔話をしてしまった。やれやれとかぶりをふる。
「変な、まとまりのない話をしてしまったな。オッサンの戯言だと思って聞き流してくれ。
さて、そんなことより。お店がお休みの時にぜひ神殿図書館にきてほしい。
利用は無料、お堅い本ばかりでなく、恋愛小説や冒険小説もしっかり揃えてる。描写が多いものも。
いい男は……60近い、細身の枯れ木のような館長くらいしかいないけど」
差し出された木札を受け取った。目を細めて、確認する。
■レアルラ > 「ふふふ、そこは多分なのね。
あー……その手の本はまだ読んでないわね。今度探してみるわ。
……まるで心を無くしたみたい。少し悲しいわ。
大丈夫よ、しっかり私のハートには伝わっているから。
んー……ふふ、そういう冗談を言えるくらいに私もなりたいものね?」
最後の方の冗談で笑ってしまって、口元へと手を当て相好を崩す。
昔の、一度だけした片思いを思い出してしまうくらいには、彼の話は胸に響くものだった。
「いいえ、先達の言葉はしっかりと聞くものでして。
あら、図書館のお人だったのね。それは、本に詳しいのも納得ね。
それに、いっぱいそんな本があるなんて素晴らしいわ?
ぜひ今度足を運ばせてもらうわね」
木札には、一割引! と書かれているだろうか。
しょっぱいお礼であるが、女としては最高の贈り物をしたと満足げ。
「それは誰かにあげてもいいし、自分で使ってもいいわ。使い所は任せるわ」
さて、と軽く伸びをする。
そろそろお昼の時間なのだろう、ゆっくりと腰を上げ尻についたホコリをパンパンと払い。
「そろそろお昼だから一旦閉めるわね。また来て頂戴な。
今度もお話聞かせて頂戴? 武具を買ってくれるのも歓迎だけれど」
■ヴァン > 冗談で笑ってもらったのが嬉しかったのか、男も微笑む。
「……個人的には、忘れてくれると嬉しいんだが。
わかった。武器を新調したい友人がいたら渡すことにするよ。
次に会うのは図書館かな。それでは、また」
支払いを済ませ、商品を鞄に入れると一礼をする。
鞄を手に持ったままで、また注意深く武器に触れないように通路を歩き、やがて店外へ。
■レアルラ > 微笑む彼の顔が綺麗で、見惚れてしまったけれど顔を左右に振り。
「忘れませんわよ。あんな素敵なお話。
ええ、お願い致しますわよ?」
カバンに入れる彼の背中へと一礼を。
買ってもらったお礼と、いい話を聞かせてもらったお礼を兼ねて。
彼の背が見えなくなったら、頭を上げ、昼食の準備に移る。
昔の片思いを思い出しながら――
ご案内:「レアルラ武具店」からヴァンさんが去りました。
ご案内:「レアルラ武具店」からレアルラさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」に種喰らいの獣さんが現れました。
■種喰らいの獣 > 近頃はめっきり『食べ歩き』というのが減っていた。
淫魔から頂いた力によって、取り込む価値ある雌に催淫の匂いを届けやすくなったからだ。
絶倫の雄がここにいる。
一子孕めば繁栄を掴める強大な雄の種がここにある。
おまけに種付けには人外快楽がついてくる。
さあ、こい、こい。
何てこと無い公園の木陰に寝そべる犬から、そんなモノが今も垂れ流されている。
すん、すん。
時折鼻を鳴らして。
自ら探るのはやっぱり、若く、瑞々しい雌の匂い。