2022/07/12 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にフォイアルディアさんが現れました。
フォイアルディア > 「――ひくっ。うん、らいじょうぶ、らいじょうぶ。まだ飲める……。ん、ぇ? 酔いが?……まぁ、うん、らいじょうぶよー。」

――少女は、酔っていた。
きっかけはそう。冒険者仲間から差し入れられたお酒。
それをマイボトル的な感じで持参し、酒場で氷で割ってもらい、飲んでみたのだ。

それがドラゴンでさえへべれけになると言われている、かなりの魔力と度数を含んだ酒とは知らずに。
結果、並大抵の酒では酔う事の無い、外見だけは少女が――完全にだれている。
カウンターに身体を預け、顎を机に乗せ、お皿からはみ出すフライドポテトを1本ずつちまちまと齧り……。

「――いい酒、なんらけどなぁ。相席、拒否られたから、らぁ。」

ぶつぶつと、小言を。――こんな飲み方をしてるのは、仲間に酒を飲ませようとして、拒否られたから。
獲物を探すように、ギラついた目を酒場に向ける……そう、酒を飲ませられそうな存在を。

フォイアルディア > 「――んー。」

普段から伏し目がちな瞳が更に細められる。
そう、現在深夜2時前。飲んでいる客は疎ら。というよりも、自分と同じように泥酔している冒険者か、話が長くて終わらない感じの団体ぐらいである。
少なくとも、自分と同じようにソロ飲み――かつ、話しかけやすそうな存在は、見当たらない。
表情に少しだけ陰り。と言っても、いい感じの犠牲者(と書いてエモノと読む。)がいないからつまらない。という――普段と比べれば、ずいぶんと子供っぽい感情なのだけど。

「しょーが、ない。いい酒はひとりじめ、するかぁっ!――ああ、マスター? 次はオレンジと割ってよ。ひひ。」

なら、自分ひとりで味わうことにする。
――結果、明日の朝が大変なことになるかもしれないけど、それはそれ。
未来の自分に任せた。ということで……。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」からフォイアルディアさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にヴァンさんが現れました。
ヴァン > ぐったりとした感じの男が一人。
「あー……飲み過ぎた。若い奴等にはついていけん」

愚痴めいてエールをちびちびと飲む中年が一人。
突き出しを少しづつ口に含みながら、体を揺らす。客観的に見て酔いつぶれる二歩手前。
飲み会からの帰りだろうか。男は一人だが、どこか楽しそうだった。

「若い奴等が育ってくれる、ってのは寂しい反面、嬉しくもあるよな。
あーあ。いずれこの街にも、俺の居場所はなくなるのか……」

訂正。ネガティブな悪酔い。俗に言う絡み酒、しかも、性質の悪い。

ヴァン > 「聴いてくださいよ、マスター。
また若いのが結婚するんですよ。いや、いいですけどね?」

酒場の親父は面倒くさそうな視線を常連である男に向ける。

「はぁ。こちとら、出会いもないまま四捨五入したら40っすわ……。
や、結婚したい、て訳ではないですよ?背中が煤けてますから。そんな覚悟もないし」

どうやら、だいぶ性質が悪い状態のようだ。未婚女性が言えば多少は様になるかもしれない台詞も、オジサンがいえばただ滑稽なだけ。

「はぁ……ヤルダバオートのくそったれ(God damn it)」

およそ神職が口にしてはいけない言葉を平然と吐き出し、エールを飲み干す。無言でゴルドを握り、ジョッキを突き出し、次を要求する。

ヴァン > 「出会い……はは、ないっすねぇ。」

くだを巻きだした男。探そうともせず、機会があったとしても逃げ出してきたなれの果て。

「二十年くらい前はさぁ。なんとかなると思ってたんだよねぇ。気付いたらこの歳さ。
女性は俺くらいの歳になるとだいたい身ぃ固めてるからねぇ。種族が違うと、大変だし。
ほら、旦那が人間で奥さんがエルフ、って聞いたことない?あれはあれで大変だよな。
若い子?若い子はいるだろうが……若い子は若い子同士でくっつくもんだろ?」

臆病者(チキン)。
酒場の親父はこの酔いどれをどう扱ったものか、考え出した。そのまま寝床にダイブしてくれるのが助かるのだが、永久機関のようにエールを注文する男から逃れるのは、もう少し先のことになりそうだった。
こんな日は、いっそ同じ境遇の男同士で語り合うのも悪くないのだろうか。

ヴァン > 「……ダメだ。これ以上飲むと酷いことになる。この店が」

捨て台詞も忘れない。胡乱な目つきで店をじろりと見渡すと、は、と鼻で笑った。全方位に喧嘩を売るような真似だが、理性のある人間は知っている。この手合いに関わるべきではないと。
数秒後、何も釣れないことを確認すると心底つまらなそうに階段を上がっていく。不機嫌な足音は、扉を叩きつけるような音と共に消えた。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」からヴァンさんが去りました。