2022/05/31 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にジーゴさんが現れました。
ジーゴ > 「うーーーーん」
貧民街と平民街の間。程々の治安の悪さのエリア。
さまざまな店舗が立ち並ぶ一角に帽子をかぶった少年がいた。
店のショーウインドウにかぶりつくようにして店内を見つめている。
行き交う人の邪魔そうな視線や、見られている店舗の店員の嫌そうな視線は無視して、
ただひたすらに店内の商品を眺めている。
店内に入らないのは、勇気が出ないのか、はたまたお金がないのか。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」にヴェルソートさんが現れました。
ヴェルソート > 「ふぁ…あぁ……ねむ…ん?」
くぁ…と大口を開けて欠伸をしながらぷらぷらと、平民地区の繁華街の方から歩いてくる隻腕の男。
漏れた欠伸を噛み殺しつつも…視界に不意に入った身内が、なにやらかぶりつきでショーウィンドウに張り付いてるのを見れば…。

「……何してんだアイツ…。」
忍び足とは行かないが、彼の後ろからそっと、同じように中を覗き込んで、一体何を見てるのか確認してやろうと……そちらに足を向けた。

ジーゴ > 少年が覗き込んでいるのは立地のわりに、扱う品の質がよいと有名な服屋だ。
もちろん同時に価格も高めだけれど、一般的な庶民が少し背伸びをすれば買える価格帯だ。

「うーーーーん、なんゴルドだろう…」
彼が見ているのはショーウインドに飾られている服ではなく、その奥。
普通に陳列されている棚にある帽子だ。
ここからでは、遠くて値札までは見えない。
一人で店に入る勇気もなく、それでいてなんとか値札を見ようと張り付いているのだが。

「あ…!」
慣れた気配を背中越しに感じて、振り返った。
案の定、ご主人様が背後に立っていて。びっくりしてピンと立った獣の耳の先っぽが帽子の布を下から押して、帽子が二箇所不自然に小さく膨らんでいる。
「なにしてるの?」
それは完全に相手のセリフだろうけれど、思わず問いかけた。

ヴェルソート > どうやら、見ていたのは洋服店の様子。
彼の視線を後ろから追ってみれば…眼の前の服ではなく、どうやらその奥の棚に並んでいる帽子のようで。

「さぁて、入って見た方が早いんじゃねぇか?……よ、ジーゴ。」
彼のつぶやきに返事でもするように言葉を返しながら一緒に覗き込んでいれば、気付いた彼が振り返る。
こちらに気付いた彼に片方しか無い手をひらひらと振って挨拶代わり、そのまま不自然に膨らんだ帽子の上から頭をぽふんと軽く撫でて。

「ん~?散歩。…ほれ、そこから見ててもわかんねぇだろ。中に入ろうぜ?」
ほれほれと…問いかけられれば軽く流しながらも…彼の背中をつつくようにして中に入るよう促して。
店員も、べったりショーウィンドウに張り付いていた少年が、保護者らしき大人と連れ立って入ってくれば、少しばかり安堵するだろうか。

ジーゴ > 「あー、帽子触ったら、耳みえちゃうでしょ!」
帽子の上から撫でられると文句を言って。
撫でられる前から耳のシルエットが帽子の上から見えていたけれども本人は気がついていない。

「え…だってたかそうじゃん…」
一人で店に入る勇気は出なかったが、ご主人様が一緒ならば話は変わってくる。
促されると店の中に入って、目的の帽子のところに一目散で向かう。
綺麗に服が並べられた棚の端に置かれている帽子を触ることは躊躇われて。
小さな値札だけを器用にひっくり返す。

「うーーーん?」
綺麗な飾り文字で書かれた値札が読めずに、ショーウインドウの前で漏らしていた声と同じような声を漏らした。
この店の雰囲気からして高いのだろうけれど。

「よめる?」
小声でご主人様に尋ねようとして。

ヴェルソート > 「はいはい、悪かったよ。」
と、文句を言う彼に肩を竦めて苦笑いしながら、耳で膨らんでいたのはまぁ、黙っておこう。
わざわざ指摘しても詮無いことである。

「んー?値札見て高かったら無理でしたで帰れば良いんだよ。
 別に盗みに来たわけじゃあるまいし。もうちょい堂々としても良いんだぜ?」
彼の場合、前科があるのでなんとも言い難いが…まぁ、やましいところがないなら堂々としていればいいだろう。
彼が値札をひっくり返して確認しているのを後ろで眺めていれば…小声でひっそりと確認する彼にそっと後ろから見る。

「……1000ゴルトだってよ、まぁ買えない値段じゃねぇんじゃねぇか?」
一般家庭の5日分の生活費程度…少なくとも自分は払えない額ではないが…小遣いをちょこちょこ渡している少年には…さて、現在の所持金はいかほどだろうか。