2022/04/08 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にルーミスさんが現れました。
■ルーミス > 久々に平民地区に足を運んだは良いものの、仕事以外にさして用事があるわけでもない。
よってこの錬金術師は、空いた時間で適当に王都内をぶらついていた。
平民地区を彷徨いていると、ふと目に入った冒険者ギルドの一つ。
そういやこの一角はギルドが多い通りだったかと思い返し、少し立ち止まって考える。
最近、調合に使用する素材調達の依頼先の仕事の精度が悪くなってきていた。
そろそろギルド、すなわち依頼先を変えるべきかと思い立つが──今のところまだ行動は出来ていない。
「どうすっかな……」
ここで偶々行き着いたのも縁。
此処でめぼしい冒険者を探してみようかとも思うが、元来が慎重派なので中々決められず思考している。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にタピオカさんが現れました。
■タピオカ > 鮮やかな翡翠色の髪の錬金術師が立ち止まったその場所へと、褐色肌の小柄な人影が通りかかる。腰の得物は異国風ではあるが、出で立ちで冒険者だと知れる姿。
魔物退治の依頼をこなした、その帰り道。首尾は上々で、長旅でマントは土埃にまみれていても足取りは軽い。
「あとは、この尻尾をギルドに納品してー。
報酬もらったらどこかちょっとだけ良い宿を探して、ゆったりお風呂入りたいな!
――っと。あの人、どうしたのかな」
納品先のギルド前で、何やら物思い。チューブトップを纏い健康的な肌も眩しい、艶やかな長い髪の女の子。
その横顔に浮かぶ表情は、わけありに思える。
そっと横から近づいて。
「こんばんは!お姉さん。
……このギルドに何か用かな?入りにくい、とか。
僕で良かったら案内するよ?」
相手を驚かさない程度の声音で、ひょいと顔を覗き込み。
笑み混じりに、指差す入り口。
冒険者の背負っている背嚢からは、銀色の長い尾がはみ出しているのが相手に見える。
それは魔物化した狼の尾で、強靭な硬度を誇るもの。
そしてそれは同時に、錬金術の材料にもなりうるものだった。
■ルーミス > 思考に没頭すると、視野もついつい狭くなってしまう。
通りがかった少女が程良い声音で話しかけてくれば、一拍遅れて反応し俯きがちだった顔を上げた。
「ん? ───あぁ、そうだな……。ギルドに用といえば用なんだが」
入りにくいわけではないが、細かい点を一々訂正はしない。
指差された入り口の方を見遣り、せっかくなので案内してもらおうと頷きかけてふと、目線が背嚢に留まった。
そこに見える銀色の尾。
魔物と化した狼は体表が著しく硬化し、倒すことも決して容易ではない。
錬金術の材料ともなるそれを、目立って重い傷も負わずに調達できる。
相応な腕を持つ冒険者だと回転の速い頭で理解した。
「……まぁ、折角だし話しておくか。私、生業が錬金術師でな。
良い素材を調達してくれる腕の良い冒険者を探してたんだが……」
目的を伝えつつ、ギルドの案内もあわせてお願いする。
あわよくば彼女が興味を持ってくれるかもしれないし、という考え。
■タピオカ > 彼女の視線が自分の背中へ向かう。
材料としての価値もある、依頼達成のしるしだ。
独特の光沢を持つ尾に興味があるのかと、見やすいようにと背嚢を相手へと少し傾けてみせる。きらきら、ぎらり。街明かりに毛先が反射し。
その間、にこやかな表情で見上げている。
きれいな黒い澄んだ瞳だなあ、なんて思いながら。
「そうなんだ!色んなお薬つくれるなんてすごいや。
腕の良い冒険者……?
ふふー。それなら!
お姉さんの眼の前に!」
自分には出来ない事を出来る人。尊敬の眼差しで彼女を見つめ。
思わせぶりに悪戯っぽく一拍置いた後。
自分の胸に手を当てる。
――チンッ!
お姉さんの眼の前に!そう言い終えたかどうか。
曲刀の刃がきらめくと、路上には2つに割れたコインが転がる。
右手で懐の路銀袋から銅のコインを空中に弾き、
左手で曲刀を抜き打ち、一瞬で居合斬りをしたのだ。
すぐさま剣を仕舞い込み。
自分の実力を売り込みつつ、に、と白い歯を浮かせる。
「とりあえず、中に入ろうよ!
……僕は、タピオカ。錬金術師のお姉さんは?」
名前を求めつつ。
ギルドの中へ。ひとまず酒場も兼ねているその建物の、カウンターに座ろうと。