2021/12/26 のログ
■アーク > 「ふぇっくし」
小さなくしゃみを漏らしフルフルと小さく体を震わせつつも、
じわじわ、じわじわと強くなる飢餓感にため息一つ。
血が飲みたいなぁと思ううちに冷たい風に冷やされた頬は赤く色づき、口元からこぼれると息も熱を増し、白い煙となりながら風に乗り流されていく。
項や肩、腕にカプリとかみつき血をすする時を思い浮かべれば、小さな体は想像だけでつい震えてしまう。
ご案内:「王都マグメール 平民地区路地」からアークさんが去りました。
ご案内:「ヴァルケス武器防具店」にイーヴィアさんが現れました。
ご案内:「ヴァルケス武器防具店」にグレアスさんが現れました。
■イーヴィア > (この時間に閉店、と言うのは、珍しい事ではある
だが、全く無い訳では無いし、凡そそういう時は、事前に告知もされて居る
自営業の楽な部分は、そう言った融通が利かせやすい所にも有ろう
今回の場合は、ある程度人を払っておいた方が良いだろうと言う判断も有った
明確な問題が有った訳では無いが、念の為、だ。)
「………まぁ、少なからず恨みを買うもんだろうしな。」
(別段不思議な事は無い、何かを成し遂げる事で、何かに疎まれるのは侭或る話だ
だから、あくまでこれは、備えでしかない。 余計な邪魔が入らぬ為の。
店内は基本中立であり、荒事に対する対処はきっちりと行わせて貰う常は周知済みだが
其れでも、何かしら仕掛けてくる者は仕掛けてくる物だ
今宵は、此れより訪れる相手にとっても、大事な日になるだろうからこその)。
■グレアス >
今日は特別な日だ、だからこそ正装をしてやってきたわけだが
念の為護衛を二人遠くから付いてこさせている
閉店している表を見れば、目を細めここまででいいとハンドサインを送る。
師団長の席を奪い取ってから、根回しした先の約束を色々と反故に
しているため最近では狙われやすくもなった。
そうして、裏へと周り、疲れた顔を隠しては
今日受け取れるものに思いを馳せ、嬉しげな表情を浮かべ
裏口から勝手知ったると入っていき店主であるイーヴィアを探す。
「おらー!師団長様がきたぞー」
■イーヴィア > (放って置いても裏口辺りから入って来るのは分かって居る
物音が響き、凡そ予想通りの声が響けば、やれやれ、と微苦笑零した後
席から立ち上がり、声の方へと向けて、居場所示す様に、近くの壁をべちべち叩いた。
店の奥、裏口からは少し奥に入った、剣を振る為の広間
試し斬り用の木人形が、幾つか埋まっている其の場所の入り口に姿を見せながら。)
「よう、俺、手紙で何て言ったっけか?」
(読んだよなお前、と、開幕から先制攻撃。
相手が師団長となってから初めて会う。 入店の挨拶くらい、其れらしくしろ、と
イイ笑顔でやり直しを要求する――あくまで、鍛冶屋である。
とは言え、もし相手が確り挨拶出来たなら、其の後迄堅苦しくしろとまでは言わぬ
基本的には、労いと、祝福が本心では在るのだ。)
「まぁ、思ったよりはマシな顔か。 浮かれてる余裕も無かったってトコ何だろうが。
……兎も角、無事で何よりだ。」
(以前の様に、最前線に立たされ、生死の境で生き抜いて居た頃とはまた違う、危険
そんな物は容易に想像出来る故に、其の顔を見て、少しばかり安心しては
己が元へと、手招くだろう。 ――部屋の奥へ招く為に。
其処に、台座と共に置かれた、一振りの大剣を。 女へと、見せる為に)。
■グレアス >
イーヴィアを探していると、ペチペチと何かを叩く音が聞こえて
居場所がわかったのでそこに向かえば
少し奥に入った場所、試し斬り用の広間でイーヴィアを発見
コートをパタつかせながら近づいていった瞬間
聞こえてきた言葉に口元をヒクつかせて直ちに気をつけの姿勢。
「師団長、グレアス・レッガー 頼んだ品物を受け取りに参りました!
……これでいい? うぇへへ」
思わぬ先制攻撃を受け思わぬダメージに膝をつきそうになったが
堪えて確りとした挨拶をイーヴィアへ向ける。
浮かれて手紙の内容を今まで忘れていたとは言えないために少しばかり声を張った。
「あはは、まぁねー……色々と首を切ったり登用したりで目が回りそう
……うん、ありがとね」
イーヴィアからの優しい言葉で、瞳が少し潤む。
それを隠すように笑みを浮かべては手招きされる方へと向かう。
そうして、台座とともに置かれた一振りの無骨な大剣を目に入れ
それをじっと眺め、ゆっくりとその大剣へと近づいていく。
「これ、がアタシの剣?」
長年剣と関わってきたからわかる素晴らしい出来栄えに
好みに合ったその見た目、性能も素晴らしいのだろう
これが今から自分のものになるとは信じられなくて
触ろうとしては手を下げる。
■イーヴィア > (相手が確りと挨拶を、名乗りを上げれば、其れで良しと口元に弧を描いた
一介の騎士では無く、今や肩書を背負ったのだ、立場を得て、一つ
相手自身が何時か口にした望みに向けて、一歩、進んだ其の姿に
思う所が、無い筈はない
無論、これで終わりと言う訳では無く、寧ろ此れからが始まりだ
今までには無かった類の苦労や危険、積もる仕事が待って居るだろうが
其れは、乗り越えて貰わねば困る事だ。)
「―――――……師団長、だなんて言葉が聞ける日が来るとはな。
嗚呼、有難うな。 入店して、そう名乗ってくれるのが楽しみだったのさ。」
(鍛冶師として、見守り、応援して居た者として
矢張り、聞きたい言葉は有ったのだ。 其の言葉こそ、鍛冶師冥利に尽きる。
思うよりも早く状況が動き、相手の為の剣は、途中から師団長として帯びる為の剣へと変わった
其れでも、矢張り過剰な装飾は無い、あくまで実用性、実践を重視した、使う為の剣
相手の目の前に在るのは、紛う事なき、ヴァルケスの銘が刻まれたもの。)
「―――……嗚呼、そうだ。 御前の為に俺が鍛った剣だ。
――構えな。 重さも、形状も、刀身の長さも
全部、御前に合わせて設計してある。 今までの剣とは違う筈だ。」
(嘘ではない。 そう、告げる。
黒みがかった鋼の刀身が、主と為るべき使い手を、待って居る。
数歩、後ろへと下がる。 相手が、剣を振り易い様に。
其れ迄振るって居た剣とは、様々に感覚が異なるだろう
剣が変われば、例え其れがどんな名剣でも、自らの身体に馴染ませる必要がある
――故に。 言うのだ。 振るえ、と。 御前の剣にしろ、と)。
■グレアス >
騎士から師団長へなり、変わったことも多い
心労も増えた、それでも進んだ、だから胸を張って師団長へと
なったことを改めて宣言し。
「うん、ありがとイーヴィア……イーヴィアに出会ってなかったら心折れてた
だから、こっちこそありがとうイーヴィ」
とびっきりの笑顔を向け
潤んだ瞳から一筋涙が溢れる、愚痴って大泣きしたあの日とは違う
静かな涙だが、その一滴には大量の思いが詰まっている。
それでも、こんな日に涙は野暮だと思って目元を擦り。
「――うん、確り振るう……見ててな?」
過剰な装飾のないその剣は実に好みで、ゆっくりと柄へと手を伸ばし
確りと握る。自分のものであると、そう告げるように片手で持ち上げた後
剣をじっくりと眺め、目を閉じてゆっくりと息を吐く。
一介の騎士から師団長へ、慣れない仕事も増え、心労も多くなった
それでも一歩前進したことに変わりはない。
これで安心してはいけない、慢心してはいけないとこの剣が教えてくれるようだった。
両手で握り、今まで使っていた両手剣との違いを比較しながら
一度大きく振るう、今までより重い。
その分力を入れることになるが、この程度は鍛えている自分からすれば問題ではない。
数歩離れた位置で木人形へと向かい合い剣を横に構え
そうして、土が抉れるほどの一歩を踏み出し
「ヂェァァアアア!!」
一切を賭けた豪剣を、体のひねりをも使った横薙ぎを木人形へとぶち当てる。
そうすれば、木人形は首に相当する部分から上が切り飛ばされていき。
「……ふぅ」
刀身をみる、凹みや傷が一切ないそれにニマニマとした笑みが映し出され。
それから、剣舞のような、受け流しを想定した動きが開始され。
■イーヴィア > (まだ、其の夢は終わらない。
あくまで、今は道の途中でしかないだろう
其れでも、確かな、大きな一歩には違いあるまい
鍛冶屋として己に出来る事は、只剣を鍛つ事だけ
自らの作る其の剣が、使い手を助け、護る事を願って、魂を込める
ならば剣は、己が見通した使い手の姿に他ならない
武骨で、頑健で、決して折れる事の無い"芯"を持つ――不屈の、刃。)
「――――――……好きなだけ、納得するまで振るいな。
今夜は貸し切りだ。 ……好きなだけ、付き合って遣る。」
(――力が無ければ、両手で構えるのも難しいだろう剣が、軽々と振るわれる
風を切る音は鋭く、如何に相手が、数多の剣を振り込んで来たかが感じ取れる
一閃で、吹き飛んだ木人形の上半身は、壁に当たって床に落ちた
人形は、一般的な人間の硬さを再現してあるが故に
もしこれが実戦であったならば、敵が如何なって居たかは、言うまでもないだろう
――磨かれた、実戦剣。 生き残る為の、泥臭い傭兵の様な剣戟
されど、それは""綺麗な剣筋"が出来ないと言う意味では無いのだ
様々な剣術を身に着け、其の基礎を自らに叩き込んだ上で
必要な時に、其の剣筋すら「捨てる」事が出来る事が、何より女の強み
其の姿を、置かれた椅子へと腰を降ろし、特等席で眺めよう
もし、何か女の動きに不自由が在れば、其れも気に留める心算で)。
■グレアス >
「……ありがと」
イーヴィアの打った剣でどれほど助けられたか
どれほどの感謝を募らせているか、それを伝えるように
昔嫌というほど仕込まれた剣舞で応える。
受け流しに特化したその動きはいつもの動きではなく
戦場での剣ではなく魅せるための剣。
それを段々と実戦の動きへと寄せていき、激しくしていく。
その中でも片手で振るう段になっても滑らない滑り止めも素晴らしく
少々雑に剣を振るい人形へと剣を食い込ませても断ち切る切れ味。
「……シィッ」
頭、喉、心臓をめがけた三連撃の片手での突きを行っても
剣の重心が良いところにあるため体勢が崩れることもなく
正確に狙った場所を突ける。
文句などあるはずもなく、はしゃぐように数十分
そうして剣を振り回し、舞っていた。
木人形が全てなくなった頃、漸く一息つき
寒いと言うのに、かいてしまった額の汗を拭い。
「イーヴィア、これ最高。滑らないし重心のバランスも良い
少し雑に扱ってみたけど耐久性も凄い。硬いのに変形にも強い」
人形を斬ったせいで汚れてしまった刀身を袖で磨きながら
そう告げて、イーヴィアの元へと歩き。
「剣の名前、聞いてなかった」
これから一緒に歩む相棒、その名前を知らずにいるのは不味いだろう。
それに、聞きたい。
座っているイーヴィアへもじもじしながら言った後は。
「それと、お礼と、甘えさせて欲しいんだけど……良い?」
■イーヴィア > (耐久性に重点を置いた
女の置かれた状況を考えれば、一番恐るべきは剣が折れる事だ
折れさえしなければ、女は戦えるだろう
其れだけの技術も、体力も、根性も持ち合わせている
動き続けて、どれだけの時間が経つだろう
全力で動き続けて、息が切れていても不思議は無い
されど、相手の表情に浮かぶのは笑み、まるで子供の様に剣を振る
残酷さでは無く、無邪気さすら垣間見える其の姿は
騎士を目指す、見習いの姿を眺めて居る様にも見える
其の頃の心は未だに、忘れてはいないのだろう。)
「――――――……そうか、気に入って貰えたなら僥倖だ。
幾ら切れ味が良くても、簡単にひん曲がったりしたら話にならないからな
それに、御前の場合、元から扱いが雑なのは知ってるからよ?」
(其の辺りの事は当然ながら、ちゃんと考慮していると
自らの二の腕辺りを掌で叩き、腕が違うのさ、と、戯言めいて
そして、傍へと立てかけてあった、剣の鞘を掴んで相手へと差し出せば
其処に収める様にと、促すだろう。)
「……スカルモルド。 "剣の時"っつー意味合いだ。
一度抜いたら、事が終わる迄剣を振り続けてる御前さんにゃ、似合ってると思うがな。」
(――そして、其れは戦乙女の名を関する。
戦いに明け暮れる相手の、導き手とならん事を名に籠め
そして、相手の頬に、緩やかに片掌を添えたなら
目元を親指で撫ぜ、其の儘、緩やかに顔を寄せた後で。)
「………上に来な。 ……甘やかしてやるさ、騎士団長様?」
■グレアス >
この剣ならば、どんなに全力で戦っても折れることはないだろう
それだけの耐久性は、この数十分で分かった。
こんな一級品の剣は握ったことがなくて、ついついはしゃいで舞っていしまっていた。
剣を持って振るだけでこんなに楽しい気持ちになれるなんて何時ぶりだろうか。
そんな思考も過ぎらせながらゆっくりと息を吐けばそれは白くて。
「万が一折れてもずっと保管しとく!
うぐっ、戦場はともかく私生活ではちゃんとしてるし!」
戯言めいた言葉には、笑いながらも、この国一番の鍛冶師!
と何故か自慢げに話しただろう。
それから、立て掛けてあった鞘を手渡してもらったら受け取り
その鞘へと剣を収めて。大事そうに胸に抱き。
「……スカルモンド……んへへ、大事にする」
確かに、一度剣を抜けばすべてが終わるまで剣を振るっている。
それに、似合っていると言われれば嬉しそうに笑みを浮かべ
頬に添えられた掌からの熱に心地よさそうに頬を擦り寄せ。
「今日も、お願いします……」
顔を少し赤くして剣を胸に抱いたまま、中へと入って
足取り軽く上へと登っていく。
この後は、甘やかしてくれる時間をたっぷりと味わうことだろう。
ご案内:「ヴァルケス武器防具店」からグレアスさんが去りました。
ご案内:「ヴァルケス武器防具店」からイーヴィアさんが去りました。