2021/11/15 のログ
ソラム > 「ふっふっふっふ〜ん……」

 中央広場、文字通り平民地区の中心にあるその場所で、一人の女性が木陰で至福…というかはわからないがそんな一時を過ごしていた。
 紺色の外套を羽織り、外套が穏やかな風にその裾をはためかせると、その下から純白と金色で彩られたトップスと白一色のゴシックがチラリと顔を出しては外套の下へと消えているのが通行人からはよく見えている。
 だが肝心の顔は、紺色の外套についているのであろうフードによって目元から外界の視線を遮っていてよく見えないが、白銀の毛先と口元がフードからはみ出ているのが確認できるようだ。

 女性は一人噴水が見える木陰の下に腰を下ろし、いつも肌身離さず持っている黒のファイルを取り出すと、これまでの情報を整理するために記録したページの数々を捲っては眺めていた。

エリア > しばらく目の前を過ぎ行く人々を眺め、時折声をかけようかと逡巡……しているうちに目当ての人物はさっさと通り過ぎてしまい。
一人小さく嘆息した。

「皆様お忙しそうですわね……昼日中からふらふらしているのはわたくしくらいのものなのでしょうか……」

多忙な相手を捕まえたところでご迷惑をおかけしてしまうだけだということは重々理解して悩まし気な表情で広場にぽつんと佇んでいた。

それならば、とベンチで休憩している人物などに視線を向けてみるが……これもまた手頃な方はいらっしゃらないようだ。

真昼から座ってぼんやりしている者などおじいちゃんくらいのもので。
さすがにあれは……とナンパ相手からは除外。
木陰で何かを開いて眺めている少女ももちろんお忙しい人、に見えるのでお声をかけられない相手と見做していた。

ソラム > 「……こんなところ、かな。ふぁ〜ぁ…やっと終わったぁ〜」

 暫くして、女性が手元で開いていたファイルを閉じると横の地面へ退かすと、大きく腕を伸ばして身体の筋肉をほぐし始める。

 粗方情報の整理と検閲は終了したため暇を持て余し、何処かで飯を食べるべきなのか、そんな事を思いつつ気まぐれに周囲へ視線を走らせる。
 露店で良い店がないかと探しつつ、ふとこの場に対しては珍しい人物__少女を広場で見つける。

 ドレスを着ている、と言うことは貴族の人物のようだ。一人でいるところを見ると、さしずめおてんばな少女なのだろうと思いつつ、木陰の中で立ち上がると足を軽く動かし上半身と同じく座り続けて凝り固まってるであろう下半身の筋肉を簡単にだがほぐして。

エリア > まだまだナンパ道は厳しい……そんな事を真面目に考えながら、ちょうど体を解し始めた人物に背を向けた姿勢で諦観染みた表情を浮かべた。

「そうそう都合よくは参りませんわね。
仕方ありませんわ、今日は少し寂しいですが一人で散策いたしましょう」

そう結論して気を取り直したようにぼうっと佇んでいた足はゆっくりと歩を刻み始めた。

「まずは―――自分の鼻を頼りに」

などと貴族の娘とは思えない様な発言を零し乍ら美味しそうな匂いをまず探し始めやがてどこかの料理屋に行き着いたのだとか。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」からエリアさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からソラムさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区//露店通り」にリヴェラさんが現れました。
リヴェラ > 夕刻の露店通り。
食料品から日用品、冒険者用の武器や道具、あるいは少し怪しい道具まで。
数多くの露店が並ぶこの場所。
夕刻に差し掛かり、客足も減って来たとはいえまだまだ賑わっている。
そんな中を、女は歩いている。
何か目的があるという風ではなく、目的を探すような足取りだ。
細い手にあるのは陶製のワイングラス。露店で買ったホットワインだ。
ふわり、と白い湯気のあがるそれは、けれども唇をつけられた痕がない。

「ああ、温かいですね。」

けれど、それを喜ぶような言葉が唇を割って零れた。
ほんの微かだけ、微笑の形を作る唇。
やっぱり、けれども、飲み物には口を付けない侭。
ただ、視線だけが赤い液体と、そして街行く人々を映す。
喩えるなら、ただの散歩をする貴族の令嬢。無防備にあるく娘。
そう見えるだろうか。

リヴェラ > そうやって、湯気のたった飲み物が外気と同じ温度になるまで散策は続いて――。
ご案内:「王都マグメール 平民地区//露店通り」からリヴェラさんが去りました。