2021/10/14 のログ
ご案内:「ヴァルケス武器防具店」にイーヴィアさんが現れました。
イーヴィア > 【待機中】
ご案内:「ヴァルケス武器防具店」にメイラ・ダンタリオさんが現れました。
イーヴィア > (――――――昨日送った手紙の返事は、早々に届いた。
筆からも、その速さからも、相手の気性からも。
随分とまぁ、気が逸って居る様だと、そう笑いながら。
既に閉店し、他の店員も帰った後の店内へと、今は一人
訪れる客人を迎える為に、のんびりと図面と睨めっこして居た

今眺めている図面は、別の仕事の物だ。 昨日受けた、奇特な輩からの注文。
今は、材質を如何した物かと考えている最中だが、一応の目星はついている
こうして、悩みに悩んでいる最中と言う物が、何よりも愉しいのは鍛冶屋の性だろうか。)

「――――――……有難いもんだ。」

(――此処最近は特に。 己を頼って、良い仕事をくれる客が増えた。
金払いが良い、と言う意味では無い。 己が腕を見込んで、挑ませてくれると言う意味だ。
今宵の待ち人も又、そう言った意味では、限りなく奇特な相手だが

――其れくらいで無ければ、挑み甲斐が無いと言う物だ)。

メイラ・ダンタリオ > 王都マグメール 平民地区 ヴァルケス武器防具店 裏口前

その日は涼しいという気質よりも少しばかり冷える日
平民地区は富裕地区のように巡回を常に行う兵もおらず、メイラは時折感じる視線が触れていることに気づく
膝まで伸びた長い黒髪が 赤い瞳が 黒い身なりが 何より腰に下げた一つの刀が

凡そ目利きが良い者が羽振りが好い者と見やるそれになる

もっとも、その視線は値踏みを終えた後で四散する
まるで疫病神にでも出会ったかのように、すぐにスッと消えていく 残り香すら残さないかのように。
それはメイラを知っているからだろうか それとも

―――その貌に浮かべる笑みが三日月を描くギザ歯と、紅い瞳が爛を描いているからか。

足音は力強い
静々としたものではなく、勇ましい足取りだった
逸る気持ちを抑えているというよりも、体の中に満ちているものが、足先にまで出ているのだ

カシャ、カシャ、とメイルで覆うブーツが ザスッザスッザスッ と歩を刻み笑みがそうもなれば
周りは牙を剥いた毛獣のように扱うかもしれない。

そして、メイラが今のところ唯一個人でフルオーダーメイドを頼む店の裏口へとやってきたなら
気配を隠すつもりもない 顔を隠しもしない お忍びではない
扉の前で黒鉄で覆われた拳の甲の角が、いつものようにノックする

                

                コンッコンッコンッ


そのノックの音で、すぐに大きな気配が近づいてきては、裏口の扉を開けてメイラを歓迎するのだ
店内の明かりで逆光ながらも、紅い髪と褐色体躯

メイラは静々と中に背中に背負っていた荷物をモノともせず、入り込めば扉の締まる音
そして向き直り、両手はロングスカートの端を持ちあげ、黒い爪先が一つ浮き、カツンッと床に触れた

「ごきげんよう イーヴィア 本日もお招きにあずかりますわ。」

丁寧な挨拶 王以外でこういった礼儀を向けるものは 武人か 友人か
どちらにしろメイラが認めている一人という印につながっているだろうか

ただの暴れ狂いとして認識している者らからすれば、一介の武器屋店主に などと思うのか
しかしそれは、すぐに あのダンタリオが礼儀を向けるほどの相手なのかとなるだろうか。

今宵も、この二人はこの剣と魔術で零落れた狂都にて、王道を往く