2021/09/29 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にロイスさんが現れました。
ロイス > 冒険者ギルドの四人席を使って、男が一人書き物をしている。
そのテーブルには、あまり質の良くない紙が山のように積まれており、その紙に何かを書いているのだ。
その中身は……計算問題であった。

「何で俺がこんな事をしないといけないんだ……?」

発端は、ロイスがミレー族の冒険者達の、名目上の主人となった事だった。
奴隷身分である彼らにとって、熟練の冒険者であるロイスという後ろ盾を持つ事は、我が身の安全を買う事につながる。
ロイスの側には、特にメリットのない話ではあるが――元より、ロイスはミレー族の境遇に、あまりいい顔はしていなかった身。

名義を貸す事で、彼らの助けになれるのもあるが。
身体能力に長けた彼らが積極的に活動してくれれば、ロイスが「割りに合わない」仕事をする回数も減る。
正に、win-win。誰も損をしない、理想的な奴隷契約――

――だが、この考えは甘かった!

「(そうだよなあ。お金の計算とか、読み書きとか、できない子もいるよなあ……)」

「今、どれだけ金を使えるか」という社会人として当然の計算すらできない。或いは、依頼書の確認さえ出来ない。
そういうミレー族も、当然大勢居る。
そして、彼らが起こしたトラブルは、当然その「主人」であるロイスに来るわけで。

そんな訳で、彼らに最低限の社会性を教育するために、『命令』という形で教師の真似事を始めたのである。
そして、今はそんな彼らの為の教材を作っているというわけで。

「(ギルドと交渉して、紙とインクは幾らでも使っていいとは言われたけど、全部手書きは流石に辛い……!)」

計算問題の他に、読み書きや簡単な社会制度の勉強なども面倒を見なければいけないわけで。
一体、どれだけペンを走らせれば良いのかと、男は遠い目になるのであった。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」からロイスさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にダリルさんが現れました。
ダリル > 冒険者ギルドに足を踏み入れる時、少年はたいていシスターの格好をしている。
仕事を探しに来ているのではない、カモを探しに来ているのだから、
出来るだけ、こちらがチョロそうに見えるのが大事なのだ、と、心の中で嘯きつつ、
何割か、もっと即物的な部分で、余禄を期待しているから、でもある。
なにしろ、男より女の子の方が、奢ってもらったりする確率も高いし。

ウィンブルを被った頭を俯かせ、心細げに辺りを見回しながら、
とりあえずは楽な仕事を探すふりで、片隅に設えられた掲示板へ。
壁に貼られた大小さまざまな紙片を見比べ、思案気に片手を頬へ宛がう、
―――――もちろんそれも、単なるポーズである。

羽振りの良さそうな、頭も財布のヒモもゆるそうなやつとか。
騙されやすそうで、動きも鈍そうな新米冒険者とか。
そんな人物を探すのが、本来の目的である。

ダリル > 「―――――あ」

ふ、と、目についたのは、やけに煌びやかな上着の裾。
翻るそれに視線を誘われて、そっと振り返った先。

カモだ、と声に出したりはしない。
けれども多分、いや、間違いなく――――――

今晩のターゲットを決めて、少年は行動を開始する。
まずは気付かれないよう、ゆっくりと、さりげなく近づくところから――――――――。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」からダリルさんが去りました。