2021/08/28 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にエレイさんが現れました。
エレイ > 「──~♪」

雨がしとしとと降り注ぎ、普段に輪をかけて人気のない閑静な外れの住宅街の路地を、
下手くそな口笛を奏でながら、傘布の部分に赤いラインが入っている以外は全てが銀色の蛇の目傘という
奇妙な物体を担いでのんびり歩く、金髪の男が一人。
そんな奇っ怪な傘を差している代わり、普段羽織っているジャケットの姿はなく。

食事を終えた後、暇つぶしを求めてブラブラと大通り、路地裏と歩いてきたが、特に何か特筆するものと遭遇するでもなく、
気がつけばこの場所まで辿り着いていた。

先の二箇所に比べると、余計に事件性の少なさそうなロケーションではあるが──

「……まああ人生ドコでナニが起こるか判らんもんだからな」

なんて、眉下げて笑いながら独りごち。
適当に視線を彷徨わせて住宅街の景色を眺めがてら、なにか面白いモノでも発見できないか、などと
雑な期待をしながら、ぱしゃ、ぱしゃとマイペースに歩を進め続け。

エレイ > やがて、男の姿は遠ざかり──
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からエレイさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にティアフェルさんが現れました。
ティアフェル > 「――どー…しよう……」

 平民地区にある賑わう繁華街の外れたブロックは人気も少なく、これといった店もなく遠くの喧噪がじんわりと響くばかりで比較的落ち着いていた。店舗よりも家屋が多く、空き家もいくつか混ざっていて。
 そんな空き家の 屋 根 の 上 で茫然と呟く女と、その真下で吠えている野良犬――

 大の苦手とする犬に追い掛けられて、無我夢中で走り回り気が付いたら平屋建ての空き家の屋根にまで上っていた。
 一体どうやって上ったのか必死過ぎてまったく思い出せない。
 我に返るとそんなところに突っ立っていた。
 犬も到底上れやしないだろうが、まだしつこく真下でワンワン吠えていて。
 屋根の上、腰を屈めて蹲るような体勢でそれを見下ろしながら、顔を全力でしかめ。

「……ちょっとー……あんたどうしてくれるのよぅ……。
 降りられないじゃないよー……」

 吠えられるとちょっと怖くてびくびくするが、ここは絶対に奴の手の届かない距離。
 情けなく力ない声音でぼそぼそと文句を投げ落とした。

ティアフェル >  そのまましばらく、恐々屋根から見下ろす女とぎゃんぎゃんと聴いているだけで嫌になるような吠え声が響くばかりであったが、いつまで経っても降りてくる気配のない様子に、犬の方がさすがに根負けしたらしく、最後に忌々しそうに大きく吠えて背を向けて行った。

「~~はあぁ~~……やぁっと行った……」

 半時以上はそうしていたか。やれやれと肩を落として深々と息を吐き出し、これでようやく屋根から降りられる……と下を覗き込んだが。

「………あれ……? 一体これ、わたしどうやって昇ったの……?」

 屋根の上までどうやって昇っていたのかまったく記憶にない。よくよく見れば足場になりそうなものなどない。火事場の馬鹿力でも発揮してしまったのだろうか。
 そもそも基本的に昇るより降りる方が危険なものだ。

「う、う~ん……ジャンプで行ける、かな……? いや……厳しいか……」

 しかし、いつまでも一人で空き家の屋根の上にいればその内不審人物として認知されてしまいそうだ。この事態から速やかな脱却を図らねば……頭を悩ませながら足場を探し、

「よい……しょ、と……ととっ……」

 華麗に跳躍、なんて無謀な真似はできず、屋根の縁に手をかけて足を壁面にかけて降りようと試みるが。

「――っ、きゃ……!?」

 べき、と足を掛けた壁面が劣化していたのか容易く割れてしまい、ぶらーん、と屋根の縁に手をかけたまま宙ぶらりん状態。

「ぅぅわあぁ~……どーしよ……」

 這い上がるのも難しく、そのまま降りようにも下には割れた窓ガラスの破片が散っていたり、古釘の刺さった材木が散乱していたりと、どうにも状態が悪い。

 ぶらーん、ぶらーん、と時折左右に揺れるミノムシ状態で途方に暮れる哀しいひと時。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」にムメイさんが現れました。
ムメイ > (平民通りの人気のない方向を通りがかったのは、強いて言うなら偶々だ。
そういえば偶には知らないところを行ってみるか、程度の思い付きでしかない。
地理に不慣れ、と言う訳ではないが何かないかと適当に歩いていた、のだが)

……それはあれか、新手の健康法か何かかお前さん?

(物悲しく揺れる姿に、非常に遺憾ながら見覚えがある。
見覚えがある故、流石に放置しておくのは寝覚めが悪い。
と言うかこの子はなんで何時も割と大変な目に遭ってるんだ?
そう思いながら声をかけつつ、彼女に近づいて行って)

取りあえず、上りたいのか? それとも降りたいのか?
そこんとこはっきりしてくれると助かるね

(足元の硝子片や木片を軽く蹴っ飛ばしつつ、間近まで来ればそんな風に声をかけてみた)

ティアフェル >  このまま昇ったら元の木阿弥。さりとて下手に飛び降りたら皮膚がざっくりやられる。

「人生の二択って……大体どっちに転んでもいいことないのよね……」

 遠い目で呟きながら、己の行動を決めかねてぶらーん、とただ屋根の縁にぶら下がっていたが。

「! 三択目来たアァァァ―!!」

 よっしゃあ!と背後からかかる聞き覚えのある声に威勢のいい声が咄嗟に飛び出た。二択はどっちを選んでも災難だが三択目はナイスな結果に終わることもある。
 この場合はまさにそうで。ぶら下がったまま、近づく方向へ首だけぐり、と一生懸命回してそちらを見やり、やっぱり先日知り合った自称魔王の変わった御仁だ。

「先日はお世話になり大変ありがとうございましたあぁ!
 そして今回もお世話になりますね?!
 安全に降りることに助力をひとつお願いします!」

 つまり、怪我をせず降りたいので手伝ってください、とそういう事情を自然と見下ろす視座で向けて訴えた。

ムメイ > (三択目とかいきなり叫ぶ様子に、ああうんまたなんかあったんだなと悟り切った顔をしてしまうのは多分俺悪くない。
何というか必死で頼み込んでくるが、どうも降りたいらしいと言うのは判った。
わかったが、思わず彼女を見てから)

あれ、存外に余裕あるのか?
……いや、ほんと毎度毎度厄介な目に遭ってるなお前さん
一度教会かどっかで見てもらった方が良くないか?

(星の巡りが悪過ぎだろう、と心底思った顔で彼女へ声をかける。
彼女と出会ってから二回目だが、そんなに経ってなくてこれならばそう言いたくもなる。
なるが、まぁ困っている以上は手を貸す方向だ。

ぶらぶらしている彼女を見て、ふむと考えて)

取りあえず肩車と抱き留める方向、どっちがお望みだ?

(どっちでも取りあえずは問題ないなと思えば、そんな風に問いかけた。
幸いにして空き家だ、少し大きな音を立てるくらいなら問題は無いなと判断した)

ティアフェル >  振り返った顔がなんか、洒脱したような顔だった。魔王とか云ってる人にそういう顔をさせるのは一体何人くらいいるもんだろう、と素朴な疑問が過ったが、それよりもそろそろぶら下がってる両腕が痛い。

「や……そろそろ痺れてきたんで、火急的速やかに事態の収拾を図りたいと思っております……ッ。
 ………あんたがゆーか、それ……」

 何か厄でもついているのでは、と勘繰るような言葉に脱力気味のツッコミが零れる。
 どの立場で云うのだそれ。亡霊の王みたいな真似をしてたことはまだ記憶に新しい。
 それよりも、早く助けてほしい、腕が軋んできたし指先が白くなって震えてきた。脂汗を滲ませながら、

「肩車は若干恥ずいッ!
 プリンス張りの華麗な姫抱きをご披露願うので、よろしくぅ~!!もう、おち、落ちる~~!!」

 そんなやりとりの内に全体体重を重力に逆らって支えていた両手は限界を迎えて、ずる、と滲んだ汗で滑り、否応もなくそのまま垂直に自由落下していく――

ムメイ > (統治は全くしないが、一応魔王ではある。 まぁ、多分こんな顔した事は数える程度しかあるまい。 何せ前にこんな顔になったの何時だったか思い出せないのだし)

逆だ逆、俺だから言うんだよ。
マジで何か憑いてんじゃねぇか……?

(縁起を担ぐにもそういうのは割と大事だぞ、と声をかけるも
どうやら本当に限界だったらしい。
希望ははいはいと受け流しつつも、落下地点へすぐに移動。

問題は真直ぐ落ちてきた訳だが、これも何とかなる。
膝裏に来た所で腕を入れて、逆の手で背中を抱いて自分の膝をクッションの様に折り曲げて衝撃を逃がす。

そのまま彼女の足が地面に着く前に抱き留めてから、ほい、と降ろして)

ほい、お疲れさん

(大した苦ではないと一言声をかけると、そのまま地面へ降ろして立たせた。
生憎と一緒に転ぶ程にヤワな鍛え方はしていない為、こうなってしまうのだ)

ティアフェル > 「……だったら魔王なんでしょ?
 見て分かんないの? 幽霊は見えるんでしょ幽霊は」

 魔王ってものが実際一体なんなのかさっぱり分からないが……大体この人みたいなもんなんだったら、世の中平和な訳が分かる。
 今どっかで争い合ってる連中の方がよほど邪悪だ。
 
 そんな呑気なやりとりをしている間もなく、限界を迎えて捕まっていた屋根の縁から手が離れたが――下で魔王が待っているのに安心して落ちた。
 もう、魔王返上してくれてもいいと思える信頼の両腕はきちんとキャッチしてくれて、見事にノーダメージ。

「ナーイスキャーチ!」

 ばしっと受け止めてもらって下ろしてもらい、すた、と着地すると、ぐっと晴れやかに笑いながら親指を立てて賛辞し。

「いやー、どうもどうも、前回に重ねてありがとうね! やー、危うく球のお肌に傷がつくところだったわあ。
 ――そろそろお礼に一杯奢るよ兄さん!」

 きちんと腰を曲げてお辞儀してがし、と右手を捕まえるように握手しておこう。そして、至って気安くそんな申し出。
 大袈裟なお礼は遠慮されそうだがそのくらいならいいのでは、と思うのとまたなんかあったら手を貸してもらう為の布石として云っておく。

ムメイ > ああ、見える事は見える
ただ、人に憑いてるものは見え辛いんだよ
……元々魔法の類はからきしだからな、それもあるかも知れんが

(得意なものと苦手なものがはっきりしているのがよく判る言葉。
ある意味何というか見た目通りともいえる訳だが、降ろしてから頭を掻いて)

俺は偶々通りがかった
流石に知った顔が困ってんのに見放したら寝覚めが悪い、ってだけだよ
……そうだな、次に見かけた時に礼を考えておくわ

(右手を捕まえられればはいはい、と困ったように笑って見せた。
気安い申し出にそんな風に返しつつ、逆の手で頭をぽんぽんと撫でてやり)

取りあえずお転婆なのはよく判ったから、大人しく今日は帰っとけ。
変な男に絡まれたら大変だぞ?
俺もちっとこの辺歩いたら帰るからよ。

(やっている事が完全に子供に対する扱いである。
どうせまた困ってるところに出くわすんだろうなぁ、と思う。
……偶にいるのだ、憑かれている訳でも無くそういう星の元に生まれてくる奴が)