2021/07/16 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にエレイさんが現れました。
エレイ > 「──くぁーああぁぁ……」

昼下がりの時間帯。
大欠伸を漏らしながらふらりと冒険者ギルドに足を踏み入れる、金髪の男が一人。
周囲を軽く見渡してみるが、ピークの時間は過ぎたか人影はまばら。
現れた男に幾つか視線が向くも、特にこちらに用向きがある者もいないのか、
程なく各々の用事に戻ってゆく。
そんな光景にフンス、と小さく鼻を鳴らしながら、とりあえず依頼の張り出されている掲示板の方へと足を向けた。

「さーて……なんかおもろそうな依頼とかはありますかいのぅ……時間的に、時既にめぼしいところは持ってかれてそうだが……」

顎に手を当てて独りごちながら、掲示板の前に突っ立って依頼やパーティー募集といった
数々の貼り紙を暇そうな顔をして眺めてゆく。

エレイ > しかし特にこれと言ったものは見つけられず。フンス、とつまらなさそうな鼻息を漏らしながら、
掲示板を離れ、ギルドを後にして──

ご案内:「王都マグメール 平民地区」からエレイさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 大通り」にエインセルさんが現れました。
エインセル > じんわりむしむし暑い夜。夏の始まりを告げる空気の中、少女は通りを歩いていた。
ぽてり、ぽてり。矮躯の足取りはゆっくりで、頭上の三角帽子はへなりとずり落ちそう。
くぅ、きゅるぅ~、と切なげに鳴る腹の虫を抱えつつ、悩みながらの道行きだ。
手元に握りしめるのは、今日の仕事で得た金が入った財布。金額にして100ゴルド程。
それなりな晩飯か、それとも素泊まりの寝床か。どちらかの見えられる金額である。

「……夏の野宿は、虫と暑さがなぁ」

他の季節ならば迷わず食事を選ぶ少女だが、夏だけは別。虫がうざったいのだ。
代表的なのは、耳障りな羽音で近づいてきて、ぷすっとさして血を持っていく憎いやつ。
他にも色々元気にうじゃうじゃ出てくる。黒光りするアレとか、出会いたくもない。

「これが二倍に増えればいいのに、むぅ」

ぽつり。呟くが勿論増えるわけもない。悶々。悩みながら、歩く、歩く。

ご案内:「王都マグメール 平民地区 大通り」にエデンさんが現れました。
エデン > 蒸し暑い夜の大通り。
こんな時間にも賑わいを見せるこの場所は好きだ。
時間問わず賑わいがあるという事は人が多く居て、人が多く居るという事はオトモダチになれる人も見付かり易いかもしれないから。
何か無いかな?と並ぶ店を眺め歩いていれば、その視界に入ったのは一人の少女。
何か財布を握り締めながら、悩んでいる様子で道を歩いている。
悩む理由は色々とあるだろうけれど、それが分かるのは本人のみ。
ちょっと考えた後、その少女へと歩み寄るのだが。
そこで聞こえたのが少女の呟き。
あ、なるほど、とポンッと手を打って納得するのだが。
その動作を行ったのは、当の本人の目の前だった。

相手からすれば、いきなり歩み寄って手を打つのだから、何事か?と思うかもしれず。

エインセル > 薄幸の星の下に生まれた少女は、悲しいことに大金が身につかない。
小金が入れば財布を落とす。春を売って稼げるのは、日頃の生活費だ。
それも、何故か運悪く装備が破れたり物が失せたりと不幸で溶けていく。
少女の手元にある財布の中身は、それらを乗り越えて余った分だ。
数枚の硬貨は、運命の女神が戯れに哀れんだ結果なのかもしれない。

日頃は気にしないようにしているが、それでも不運に悪態を吐きたくなることはある。
こう、夏の暑い中を一日中懸命に働いて、納品した品をミレーだからと値引かれたりとか。
或いは、少しだけ奮発して楽しみにしていた昼食のサンドイッチの肉だけ鳥に掠め取られたりとか。
いつの間にか懐が寂しくなっているよりも、もっと実態を伴った不運が重なったときだ。
久々にしょんぼり気味な少女は、とぼとぼぽてぽて、往来の中を俯き気味に歩く。
それが止まったのは、ぽん、という不思議な音が聞こえたからだった。

「……んぅ?」

なにかと思って顔を上げれば、そこには女性が立っていた。
手元を見れば、何やら得心がいったのだろう。原因はそれかと理解する。
とは言え、初対面である。何を話せば良いかもわからない。じんわりと静寂。
じぃ。見上げるのみ。何か用なら、語りかけてくるだろう。そんな仕草で答えた。

エデン > 財布を見て悩んでいたのは、お金がなくてどうしようかといった理由。
納得したは良いが、その瞬間だけ今の状況を忘れていた。
自分の打った手にこちらに気付いたのか、少女の見上げる眼と視線がかち合う。

「あぁ、ごめんなさい、びっくりしちゃったかしら?
なんだか、とても悩んでる様子だったから気になってしまって…
貴女も冒険者でしょう?同じ冒険者同士って事で、私に何か出来るなら相談に乗りましょうか?」

小柄な少女だ、服装から冒険者と思うが見た目から考えて駆け出しかもしれない。
何より、こんな状況で自分を怪しまない様子から、オトモダチになれるかもしれない。
そんな色んな考えを浮かべながら、そう話を切り出すのだった。