2021/03/20 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区/市場」にフォティアさんが現れました。
フォティア > 少しずつ空気も温まりつつあるせい、か。
様々な露店も並ぶ市場通りは、活気ある賑わいに満ち溢れていた。
とはいえ、昼下がりと時間的に落ち着いたせいだろうか。
ヒトの通りは多くとも辛うじてぶつかりそうになる難儀はない。
肘に小さな買物用の籠をかけ、銀色の髪の娘が市場をそぞろ歩く。

「──── 野菜、も…新しいものが、出始めたみたい」

品ぞろえを眺めつつ、本日は貸本屋も看板を下ろしての休日。
買物だけではなく、ちょっとした買い食いや噂の拾い集めも目的だ。
「…ん」と小さく唸るような声を漏らすのは、足を向ける方向に悩むのか。
やがて、一つ頷くと。
冒険者、買い物客、貴族のお忍び、警邏兵──様々な客層の通りへと、足を向けた。
機嫌よく、人と人の間を、ついと小魚が流れをすり抜けるように歩き出す。
翠のショールが、ふわりとはためいた。

ご案内:「王都マグメール 平民地区/市場」にブレイドさんが現れました。
ブレイド > 様々な人が行き交う市場の目抜き通り。
人々の間を泳ぐようにすり抜ける少女の直ぐ側を
フードの付いた外套をまとった冒険者が歩く。
何事もなければ、このまますれ違うだけだっただろう。
だが、すれ違うまさにその時、風が吹いた。

「ぅおっと…」

風に煽られ外套が少女の道を塞ぐようにはためく。
少女のショールと同じように。
だが、生地の厚い外套は、そのまま無視してゆくのは
市井の者では困難かもしれず。

フォティア > 馴染みの露天商の品ぞろえを冷かし、軽い値段交渉。
それも、日常の物価変動を知るための情報収集であり、この街にて商売をするためには必要なこと。
市場の人々とコミュニケーションをはかりながら通りを歩き、戦利品であるキャンディを口の中へとひとつ放り込む。
にぎわいに耳を傾け、雑踏をすり抜け──それはいつもの光景のハズ、で。

「──── ぁ」

目の前で、ぶわりと膨らむ外套に視界を遮られ、足を止める。
ついでに、風邪に巻き上げられたであろう己の髪をそっと手で押さえた。
己のショールはいうほどに風を含むような造りではないものの、誰かに迷惑をかけていないかと、心に掛ける他山の石。

結局、風が収まり前を歩く人のフードが収まるまでは、足を止めることになる。
別に急ぐ買い物ではないし、先を急ぐわけではなしと、茫洋とした表情にて春の一番が過ぎ去るを待つ。

ブレイド > 突然の風は春の訪れを告げるものか。
木枯らしとは違う暖かさであったとしても強風に煽られれば思わず足を止める。
自分の横で同じように足を止めた少女に視線を向ければ
少しばかりきまりが悪そうな表情を浮かべて

「ぁー…わりぃ、邪魔したな」

尖った耳?
エルフほどではないが。
風に舞う銀髪の持ち主に声をかければ、少し慌ただしげにマントを抑える。
危うく尻尾が出てしまうところだったが、目の前の少女にはバレてはいないだろうか?
それはともかくとして、彼女の歩みを邪魔してしまったことには詫びを入れておくが。

フォティア > 春嵐、というほどでもない一迅。
それでも、露店の人々は天幕が掻き乱され暖簾が傾き、呼び込みの旗が倒れと被害はあったかもしれない。
そちらへと一瞬気を取られたせいだろう、視界を遮る外套の持ち主の謝罪を受けた瞬間、少し不思議そうな表情になった。
僅かに首を傾け、きょと、と目が丸くなる。

「………ぇ? ……ぁ。 ああ…」

何のことだろうと、一瞬間抜けな表情にもなってしまったかもしれない。
小さな会釈を返し、特に彼方に悪意が在ったでもなし、此方に被害に遭ったわけでもない一瞬、ゆえにすぐに気が紛れてしまった様子。
ゆるく首を左右に振り、僅かに唇を笑の形へとゆるめ。

「お気になさらず。よくあること、でしょう?
 旅の方の外套は野営に備えて長いものが基本ですし。
 …とはいえ、存外、軽いのですね 」

──風に巻き上がるほどに。
身を護る防塵&防刃などを備えたものは比較的重いという。
それも書物から得た知識の頭でっかちではある、が。
己が耳に視線が向いたことに気づくと、僅かに恥じ入るように、そっと耳に掛けた髪を下ろすように隠す仕草。
それは最早習性のようなもの、だ。

ブレイド > 強風をうけた市場はしばし騒然とする。
一部の店舗は露店の修繕におわれることだろう。
道を行く人々は、それらを遠巻きに眺めていたり、足早に無事な店舗へと向かったりと様々。
視界を遮ってしまった少女はといえば…
こちらの謝罪をうけてキョトンとしている。謝罪の意味がよくわかっていなかったようだ。
だが、少しの間のあとに笑みを向けてくる当たりさほど気にしてはいないのだろう。
こちらのマントの中身も見られずに済んだようだ。
2つの意味で安心したような笑みを銀髪の少女に返して。

「オレのは動きやすさ重視なんでな。
とにかく、強い風だったな。
なんか吹き飛ばされたりしてないか?」

このフード付きの外套は、防具と言うよりはどちらかといえばミレーであることの証である
獣の耳と尻尾を隠すためのものだ。とはいえ、それほど薄いものでもない。
だが、風を受ける角度が悪ければその分影響を受けやすくもある。

こちらを気にかけてくれた少女は視線に気づいたようで何やら耳を隠すような仕草。
なにかそうする理由があるようだが…自分が正体を隠しているのと同じく。

「まぁ、気をつけろよ?
ちょっと変わってるだけでいちゃもんつけてくるやつはいるからよ。
オレは別にいいとは思うけどな」

フォティア > 芸術的なバランス感覚で積み上げられていた果実が転がって、大わらわの果実商に、悪ガキたちが群がっておこぼれ奪っていくような一幕もあるあたり、一番被害を受けたのは安物の露店主かもしれない。
もっとも、それも場所代をケチったが故でもある。

「吹き飛ばされたのは、むしろ彼方がたのよう、ですけれど」

そういった一騒ぎ状態の市場を指さして、その光景に笑みを禁じ得ない不謹慎さを垣間見せ。
それも質の悪い冗句の一種だったのか、すぐに首を横にもう一度。

「こちらには、特に被害はない、です。
 お気遣い、ありがとう。
 ──そぅ、ですね。 この街では、いろんな理由で、弱みを見せるのは、厳禁」

己を詮索されたくないから、他者を詮索しない。
それは、線引きの一種。
もっともこの街で店を営む少女自身は、様々な種族の顧客を抱える。
ミレーのお客だって、珍しいというほどではない。
少しほろ苦く笑って、軽く肩をすくめた。

「どうぞ。お気遣いのお礼です。お買い物の戦利品ですので、ご遠慮なく」

そう言いながら、差し出したのは油紙に包まれたキャンディ数個。それを、己の店のチラシに包んで。
軽い宣伝とも言えない、宣伝。

フォティア > チラシに描かれたのは、平民地区の繁華街から一本外れた閑静な通りの貸本屋──
地図、風土記、物語、絵本問わずと品ぞろえた小さな店。

「機会あれば、どうぞ──」

そう、かける声が途切れたのは、半泣きになった馴染みの古本屋から書籍がバラバラになったヘルプの声が聞こえてきたからだ──
少し慌てて、踵を返し、旅人の少年へと小さく会釈と笑みを残し。
名乗ることも忘れたと、あとで気づくことになるのだろうけれど。
少女は、買い物客から急ぎ、助け手として駆け出していく──

ご案内:「王都マグメール 平民地区/市場」からフォティアさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区/市場」からブレイドさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にトーラスさんが現れました。
トーラス > 王都に幾つか存在する冒険者ギルドの支部の一つ。
とは言うものの、その実態は冒険者が客として集まる酒場兼宿屋であり、
申し訳ない程度に店内の掲示板に日銭を稼ぐための依頼文が貼られているに過ぎない。
それでも、1階の酒場では冒険者を始めとした荒くれ者や、彼らを相手に春を鬻ぐ娼婦、
その他にも飲食の為に訪れた一般客達にて相応の賑わいを見せていた。

その賑わいの中心、客達がそれぞれの卓にて同席の身内や仲間と思い思いの
時間や食事を愉しんでいる中で、独り、周囲の卓の客にちょっかいを掛ける中年男の影が一つ。
本来であれば、嫌われそうな行為であるが、誰も文句を言わず、また、店主も黙認する理由は至極単純で。

「いやぁ、運が良かったぜぇ。捕獲したマイコニドが希少種でよぉ。
 貴族の美食家が何でも干してスープの出汁を取るとかで高値で買ってくれたぜ。
 お、グラスが空じゃないか? お姉ちゃん、こっちの人に俺の奢りで同じのもう一杯。ほら、乾~杯~♪」

等と、傍迷惑ながらも、明快にて、周囲の客達に見境なくも奢りを振る舞う故。
奢られた方は多少困惑するも、ただで酒が飲めるとあって強く文句を口にする事もできず、
店主も彼のお陰で儲かる上に支払い許容額も抑えている為に、この行為を見て見ぬ振りをする始末。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」にリリー・ドーレスさんが現れました。
リリー・ドーレス > この国についたのが数日前。
何とか宿は確保したものの、手持ちの資金は心もとなく。

そんな中紹介された冒険者が集うという酒場の戸を開けて中に入り。
慣れない人の賑わいにやや圧倒されるものの、表情にはそんな雰囲気を出さずに小さく息を吐き出し。

何やら上機嫌に酒をふるまう男の横を通ってカウンター席に向かえばひとまず軽い食べ物を注文し。

「今日は何か、お祝い事ですか?」

にぎわう店の中心人物をちらっと見た後。
スープを持ってきてくれたウエイターに尋ねれば冒険で一山当てたらしいことを耳にして。

「なるほど……」

小さく言葉をこぼせばやはりこの辺りであれば何とか仕事にありつけるかもしれないと。
考えつつスープをスプーンですくって啜り。

トーラス > 傍迷惑な酔っ払いに奢られた客は、流石に無碍にも出来ず、
愛想笑いを浮かべながら乾杯に応じるも、見も知らぬ相手に即座に打ち解けられる程の図太い性格ではなかったらしい。
酒杯を呷って中身を空にするとそそくさと勘定を支払って店から出て行ってしまう。
他の客達も同様に彼から距離を取り始めれば、いつしか、賑やかなテーブルの周囲は空席が目立ち始め、
手持無沙汰になった中年男は店の中を見廻せば、不運にも独りでカウンターにて食事をする女に目を付けて。

「よぉ、お姉さん。ここいらじゃあんまり見ない顔だな?
 マスター、彼女にも一杯、出してやってくれ」

などと上機嫌に彼女の隣りのカウンター席を陣取るように腰を掛けると、
呆れ顔の店主がカウンター越しに彼と彼女の前に眉尻を下げながら陶器のグラスを置く。
すまなさそうな一瞥を新たな被害者に送る店主が差し出したのはクリーミーな泡を湛える麦酒。
そんな店主の表情も察しない男はグラスの取っ手を掴むと女に向き直り。

「そら、乾杯、乾杯。お近付きの印に俺の奢りだ。遠慮せずに呑んでくれ」

彼女の前に差し出された陶器のグラスに己の手許の杯を合わせると強引に乾杯しようとして。

リリー・ドーレス >  
「……僕に?」

暫くスープの温かさを感じていれば背後での盛り上がりも落ち着いてきたのを感じ取り。
少しして彼暇になったのだろうか、上機嫌な男が横に近づいてくればそのままの勢いで酒を頼まれ。
何か言う間もなく目の前にグラスを置かれれば困惑したように小さく首を傾げ。

「……か、乾杯」

困惑したまま差し出されるがままに相手の杯と重ねて音を立て。
かつて主だった相手の晩酌に付き合ったこともあるためある程度の知識はあり。
とりあえず出された麦酒に口をつけて一口喉を鳴らして呑み込み。

「ありがとうございます…」

作られた己の身体ではアルコールで酔うことはできないものの。
ひとまずおごってくれたことには礼を述べ。

この辺りでも珍しい紫髪と光を吸い込むようなハイライトのない瞳。
その特徴はともすれば過去に相手が討伐した吸血鬼の特徴に似ているかもしれない。
酔った相手が気づくかどうかは不明だが。

トーラス > 「あぁ、今日の出会いに乾杯だ。」

杯と杯を、ともすれば陶器を砕きかねない勢いで重ね合わせ。
勢い余って溢れる麦酒が指を濡らすのも構わずに、杯を口に運んで傾ける。
咽喉を隆起させて嚥下の音をごくごくと響かせながら、一息に半分程を飲み干して。

「ぷはぁっ、この一杯の為に生きているって気がするなぁ。
 俺は冒険者のトーラスって言うんだが、アンタの名前は何て言うんだ、お姉さん?」

告げられる礼に構わないと笑いながら遮ると問い掛けながら隣りの女の貌をまじまじと見詰める。
根元からグラデーションの掛かる珍しい色彩の紫髪に光を吸い込むような闇のような瞳。
明らかに人目を惹く容貌に三白眼の双眸を細めながらグラスを傾けて中身を嚥下する。
見るからに酔っ払っていると思しき言動の彼ではあるが、その実、思考は冴え渡っていた。

20年以上、冒険者としての生業を続ける秘訣は、危険察知の能力が高い事に他ならない。
常に命のやり取りをする職業で、過去に屠った敵と同じ特徴を持つ存在に気付けぬ程に愚鈍ではなく。
酔っ払いの言動を装い続けながら、隣りの相手の一挙手一投足に注視して。

リリー・ドーレス >  
「僕はリリー。
 リリー・ドーレスです」

わざわざ奢ってくれて、杯を重ねた相手からの質問に答えないのも失礼かと考えて相手の質問に答える。
主人を打たれてから住処を失い。

魔族領域から旅をしてきたとはいえ。
主人のないホモンクルスに別段目的意識もなく。

それゆえに相手のような警戒心や緊張感は皆無であり。
ゆえに己の名前を、かつて実験のために幾人もの人間をさらって消費してきたヴァンパイアの家系の名前を隠すこともなく言い切ってしまい。

トーラス > 「リリー、か。好い名前だな。」

彼女の名乗りに口端を歪めると短く名前を誉める。
名前に次いで隠す事もなく告げられたのは聞き覚えのある討伐対象であった吸血鬼の氏名。
多くの人間が犠牲にしてきた人類の怨敵の氏を受け継ぐ女が目の前に現れれば、
外には出さぬように控えるも、内心に緊張が走り、乾いた唇と咽喉を湿らせる為に、
グラスを傾けると一息に中身を全て飲み干し切って。

「なぁ、リリー。お互いの事を良く知る為にも、場所を変えてじっくりを話さないか?
 今晩の俺のベッドはまだ空きがあるんでな」

他の客の多いこの場所では何か遭った時の被害が大きく成り過ぎるだろう、
との懸念からそんな露骨な誘いを女に仕掛けながら相手の腰へと片手を伸ばす。
店主のまた始まったという貌にだらしない笑みを返しながら、相手の反応を窺い、
彼女が応じて腰を上げるようならば、二階の宿部屋へと河岸を変えようと階段へと進み。

リリー・ドーレス >  
「ベッドへ……ですか……」

食べていたスープの皿が空になればチビチビと相手に貰った飲み物を飲みながら相手の言葉を反芻し。
本来の作られた目的がそうであったがために、そういうことに対する知識はそれなりに持っていて。
相変わらず感情の変わらない目で相手を見ながらグラスをカウンターに置き。

「僕でよければ、いいですよ」

小さくうなづけば椅子から下りて。
相手ともに誘い込まれるがままに二階の部屋へと向かうだろう。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」からトーラスさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からリリー・ドーレスさんが去りました。