2021/02/23 のログ
ロゴス > (1時間経過しても反応がないため、寝落ちと判断させて頂きます。申し訳御座いません)
ご案内:「王都マグメール 平民地区:冒険者ギルド」からロゴスさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区:冒険者ギルド」からハクさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にルフィナ・エニコフさんが現れました。
ルフィナ・エニコフ >  
忙しいごたごたから解放された日の午後。
お気に入りのカフェでテラス席に座り。
一人でゆったりと紅茶を飲みながら通りを歩く人混みを眺め。

「たまには、こういう日があっても悪くないわね」

軽く銀糸の髪を耳にかき上げながら小さく呟きつつ。
コートの内ポケットから小瓶を取り出し、そこに入っているオタマジャクシに似た生物を観察し。

「まぁ忙しい日々というのも悪くはないのだけれどね。」

小瓶を眺めながら一人呟くも、路上で見せびらかすようなものでもないしとすぐにポケットに戻し。
少し冷めてきた紅茶を一口すすり。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」にグランツさんが現れました。
グランツ > 晴れた昼下がりだというのに、不意に、貴女に大きな影が差す。

顔を上げれば銀の刺繍を施した外套に身を包まれた偉丈夫がそこに”そびえていて”

「こんにちわ。エニコフ卿。……よろしければ御同席願いたいのですが」

並の戦士、剣闘士を凌駕する体躯の”研究者”は貴女を見つめていて。

……おそらくは生物を、それを手に入れた経緯を理解してのことで。

彼の後に付き従っていた三人のメイド達は”主”の態度を察し、主を置いてその場を離れていくだろう。

ルフィナ・エニコフ >  
お代わりの紅茶を頼み。
それを飲みきったら帰ろうかと考えていた時。
唐突に影が体を覆えば顔を上げ。

「あら、豪宕ウィラクィス卿。
 久しぶりね……私は別に構わないわよ」

相手の顔を見れば研究職系の貴族として顔見知りである相手であり。
小さく肩を竦めてうなずき何用かと首を傾げ。

グランツ > 「ええ。同じ”探究者”として親交は深めておくべきかと思いましたので。」

何も知らぬ相手であれば威圧感さえ覚えるであろう巨壁が如き表情のまま、許しを得れば相席に腰を据え、ギシリと軋ませて。

「卿が目的通り”成果”を得た、と聞き及びましたので。
……並の”探究者”であれば踏み込めぬ領域に自ら身を投げ出す在り方、心底感服いたします」

そういうと巨躯がゆっくりと頭を下げる。

……その報を聞きつけた経緯を、おそらく倫理から外れた研究者である貴女なら知っているだろう。

その場を立ち去るメイド達。
一人は山神の生贄に捧げられた少女に寄生したエルダーファンガス。
一人は深き海の異形との逢瀬に溺れた末に異形と融合した漁村の娘。
一人は多くの獲物を知識ごと喰らった末に進化したスライムの擬態。

人知れず人外の快楽を欲する者と繋がる”彼女達”の人脈からだと。

「しかし。少々意外でした。貴女ほどの方と言えど”あれ”と接触して復帰までこれほどの期間を要するとは」

ルフィナ・エニコフ >  
「ありがとう……けど、その言葉は不要よ。
 私たちは知識と力を欲する者、そのためなら自分を含めて犠牲なんてやすいものなんだから」

頭を下げてもなお、圧迫感すら感じるほどの巨体を見ながら紅茶をすすり。

ゆったりと背もたれに体を預けながらどこから情報を手に入れたのかと逡巡する。
とはいえ、おおよそ話を自分に持ってきた貴族が彼の身内に話をいれたのだとかそのあたりだろうと考えるが。

「少し、遊び過ぎただけよ。
 実際、回復にかかった時間はずっとあれにとらわれていて体が萎えていたというのが理由だし」

と、相手の言葉に返しながら当時の快感を思い出してブルっと身を震えさせ。

「それでも、少し危なかったのは事実ね。
 魂を分けた弟がいる限り、死にはしないし、何があっても回復するとはいえ。
 もう少し長ければしばらくは廃人になっていたでしょうね」

グランツ > 「ふむ。なるほど」

貴女の言葉を、情報を耳にして、顎に手を当てる。
直後、通りがかった給仕にホットチョコレートを注文して。

「卿に的確な情報をもたらせなんだこちらの落ち度、というべきでしょうか。

かの遺跡で生き残った個体は数ある罠や競争相手との折り合いをつけた手管を有する個体ばかりでしたので。

私も未だ確定した情報を得ているわけではありませんが、かの遺跡に生息する個体は多くの腕利きの冒険者と”つがい”となり防衛手段としているらしく。

ルフィナ卿が帰還できたのは、貴殿達の”特性”とエフィム卿の尽力あってこそ。

故に、そうですね。あの生物を相手に研究するのであれば”共存”している村をいくつか融通いたしましょう。

……その代わり」

言葉を切って、貴女の瞳を見つめて

「……敬意を払うべき、偉大なる研究者である貴女へ一つだけ進言を。
 無名遺跡より更に北方、魔族の国との”国境”付近だけは避けていただければ。

魔族も近づかぬ”区域”にはあれ等の”マザー”が生息していると伺っておりますので」

ルフィナ・エニコフ >  
「なるほど……どおりで想定より高い数値が出たのか」

相手の言葉に後日、休養中に見せてもらったデータを思い出いながら顎に手を当てて視線を落とし。

続く相手の提案には顔を上げて小さく首を傾げ。

「あら、貴方からそういった提案がされるとは思ってなかったわね。
 別に何もあなたが悪いのではないのだから気に病む必要はないと思うけれど。
 まぁ、好意には甘えておくわ。
 その代わりに私が体を張って得たデータを提供してあげる」

相手の持っている場所であれば正義感のある連中にも目を付けられにくいだろうし。
両親や弟の研究にはもってこいだろうと小さくうなずく。

しかし、そのあとに紡がれた言葉には苦笑を浮かべ。

「ふふ、私のことを知ったうえで面白いことを言うわね。
 因みにそのマザーとやらに、貴方は近づいたことがあるのかしら」

グランツ > 「はい。」

端的な反応と共に大きく頷いて。

「あの種の真なる脅威は、トロールに比肩する膂力でも”母胎”を狂わせる特性でもありません。

警戒すべきは多様性。恐るべき進化、発達の速度ですので。

無数の同胞が駆逐される中、生き残った個体は確実に、我々が想定する速度をたやすく上回り”進化”するでしょう。

その結果を、エニコフ卿ご自身が証明した形となりました。

故に、私の”顧客”も昨日臨時の対策会議を開いたばかりです。」

どうぞ、と数枚の羊皮紙を貴女に差し出し。
……貴女ほどの研究者が餌食となりかけて尚、講ずるのは”対策”のみで駆逐とならぬこの国の闇が、数枚の皮に表されていて。


「私は一介の研究者。元は平民、多くの方の支援を受けて今の地位に至っているにすぎません。

……何より」

貴女の瞳を見据えて

「貴女は気高いお方だ。屋敷の奥に引きこもる凡百な”顧客”と違う。
自ら望み、挑み、接触し、紡いだ論文は全て貴女自身から紡がれた、紛うことなき貴女の功績。

であれば、貴女の道行に、一助を添えるが道理というものでしょう。」

貴女の倫理から外れた享楽を、淀みなく”気高さ”と
”敬意を表すべき振る舞い”と言ってのける。

豪宕。多くの貧民、民草から表向き慕われる男は、
結局は貴女とは別の方向性で倫理から外れた”同類”だと分かるだろう。

「かの”マザー”と接触には至っておりません。
その代わり、幾何かの”協力者”に”接触”を試みていただきました。」


注文したホットチョコレートを受け、それを一口堪能し。


「……現状女性の冒険者62名、英雄や勇者と評される特記戦力が7名。」


ソーサーにカップを置き、切った言葉を続けていく。


「いずれも、帰還に至らず、情報を得るに至っておりません。
おそらくは例外なく”母胎”となり”ワーカー”に組み込まれたかと」

遺跡の上位種達と”愛し合った”貴女であれば知識の先で理解できるだろう。

マザーの”犠牲”となった者達が例外なく”つがい”となり、
同時にこの国に属していた時より遥かに能力を向上させた”マザーを護る傀儡”になり果てたことを。

ルフィナ・エニコフ > 「ふ~ん……」

相手の話を聞きながら渡された羊皮紙を眺めながら小さく呟く。
あくまで対策のみにとどまり、個体の制限や管理に力を割こうとするのはそこに莫大な利益と既得権益があるからなのだろう。

「そんなに大したものじゃないわ。
 私は、頭で考える前に身体が動くだけよ。
 
 それも、弟という魂のバックアップがあるからこそできることだし。
 私一人では論文もかけやしないのよ。笑えるでしょ?」

自分のことを必要以上に持ち上げてくれる相手にはくすぐったさを感じつつ。
少し冷めてきた紅茶でのどを潤し。

彼が送ったという”協力者”の話を聞けば背もたれに身体を預けながら路地に顔を向け。
暫く目をつむって何かを考えるように沈黙し。

やがてゆっくりと瞳を開きながらその口元にはうっすらと、好奇心を隠せないような笑みを浮かべていて。

「どうやら、私の休暇はお預けになりそうね」

グランツ > 「個の性質に囚われず、何より姉弟が仲違いすることなく協力し合い呼吸を合わせられる。
それはこの国にあってはなまなかな”絆”を上回る財産では?」

元より、貴族というものは跡目争い、継承権を以て些細な諍いの上に殺し合うもの。
腐敗したこの国ではより顕著であろう。

その中で”兄弟が協力し合って研究に邁進する”在り方は
彼にとって敬意を払うべきものであり。


「……犠牲者になるおつもりで?」


結論を導いた貴女の言葉、前人未到の領域に赴く見解に、岩石が如き男の表情が初めて、険しいものを、常人であれば委縮するほどの圧力を帯びて。


「……一つだけ、進言させていただきます。
貴女は、この国になくてはならない方です。

有能な者を、讃えられるべき者を、この国に利益をもたらす下層の者を、
いたずらに食いつぶす歪んだ国にあって、貴女とエフィム卿は生き残るべき、次代に繋げるべき光です」


言葉を違えようものなら圧し潰す。それほどの圧力を帯びて、
音に聞く”オーガの群れでさえ無手で肉塊に帰す”研究者は貴女を見据える。


「それでも尚、人が照らせぬ領域に、自ら赴くと?」

ルフィナ・エニコフ >  
「なら、逆に聞くわ」

相手の険しい表情に対し怯んだ様子も見せず。
真逆に浮かべる表情は、まるで遊びを前にした子供のようで。

「これでおびえていつか上がってくる研究結果とやらを待ってる私をあなたは気高い探究者と呼べるのかしら?」

相手の目をまっすぐと見返しながら。
優雅に、それでいてしっかりとした意思の強さを見せつけ。

「それに、ただ犠牲者になるつもりはないわ。
 リスクは大きいでしょうが、私は何度も言うように魂の作りが人間とは異なるのだし。
 
 新しい力と知見を得れるのなら、その程度で好奇心は止められないでしょう?」

グランツ > 長い沈黙。

貴女の問いかけに、しばしの間俯き、大きく呼吸を吐く。


目を逸らす。その行動の意味が、ただの人の間ではなんら意味のなさない行為が、


自然界で、獣の間で”明確に上下関係を分かつ”決定的な行為だと、
同じ研究者であれば理解できるだろう。

それを理解した上で、目の前の偉丈夫が、同胞が”貴方を仰ぐように視線を逸らした”ことも。


「……好奇心は猫を殺す。我々の間では絶対の不文律でしょうに。

本当に、恐ろしいお方だ。貴女と言う人は」


静かに、手を差し出す。貴女をねぎらうように。讃えるように。


「貴女の仰ることは……、我等”研究者”の間では揺るぎなき”正論”であり”真理”です。
ですが、不測の事態に及んだ時は、何があっても貴女を連れ戻します。

その際には、一切の反論抗議非難を受け付けないものであると、ご理解いただきたい」

ルフィナ・エニコフ >  
「ふふ、そうね……。
 こと戦いという意味ではまだまだ弟では実力不足だろうし。

 それに不測の事態の時は反論なんてできないだろうから、貴方に救出してもらえるのを期待しているわ」

相手の言葉に小さくうなずけば。
差し出された大きな手をそっと握り返し。

残っていた紅茶をすべて飲み干せば椅子から立ち上がり。

「さて、そうと決まればじっとしてられないわ。
 早速準備しないと、貴方は吉報を待っていなさい」

前日よりもさらに凶悪な異形に挑むというのに。
その表情に恐怖はなく、むしろワクワクを止められないといったような楽し気な笑みで相手を見下ろし。

颯爽と会計は相手に任せてその場を立ち去っていくのだった。