2021/02/22 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区:冒険者ギルド」にハクさんが現れました。
ハク > 「それでは登録で。それがしは体を動かしておくにござる」

ギルドの受付で手続きを済ませ、ハクは奥の練兵場へ向かう。
一方受付を終えた受付嬢は裏手にあるリストからハクのページを取り出すと、それをギルドの誰もが閲覧できる掲示板に貼り出した。

これはいわゆる冒険者の人事板だ。受付をすることで冒険者の名前、技能、顔立ち等が記載された書類が貼り出され、
依頼同様にそのページを受付に持っていく事でその冒険者を一時的なパーティに勧誘したり、また護衛や用心棒として雇う事ができるシステムである。
人で賑わう王都の冒険者ギルドともなれば、その人事板にも何枚もの冒険者リストが貼り出されている。
その中でも下の方――恒常的なパーティ加入ではなく、一時的なもの。護衛等も可能であることを示すエリア――に貼られた紙には、ハクの顔立ちの絵の他に以下の記載がある。

・名前:ハク(ミレー亜種)
・技能:剣術初級。魔術中級。シーフ技能なし。レンジャー技能若干。
・契約可能期間:1~3ヶ月
・契約中の取り分:基本4~6。応相談。
・特記事項:戦妻契約可。詳細確認可。

顔立ちの絵の通り、獣耳をもつミレー族……に近い存在という記載もあり、戦闘もそこそこであれば行えそうだという記載もある。
鍵開け、罠探知等は不得手ではあるものの、野外活動技術は本職ほどではないがある、という記載も見てとれるだろう。
最長で3ヶ月の間パーティなり護衛なりを行う事ができ、契約中の冒険等で発生した収益に対して10のうち4から6を取る、というやや割高なものになっている。

その理由は特記事項のもの。冒険者になり長く活動しているか、そういう契約を結んだものであれば知っているだろう戦妻という暗語の意味は性処理担当可能、というもの。
もしそのページを持って受付で確認すると、裏に登録されている戦妻用の登録ページを閲覧することも可能になる。
ハクの場合は追記事項として「再生体質:処女膜再生済み」「一時的成長術所持」「避妊不要」「服従可能」という記載がある。
それらを見てなおハクを雇いたい、というのであれば裏の練兵場へと案内されることだろう。

ハク > 「はてさて。一先ずは体でもほぐすにござるか」

羽織を脱いで魔力皮膜のみの姿となり、練兵場の片隅で軽く運動を始める。
体をひねり、回し、跳ね、伸ばし。そのたびに揺れる尾はギルド広間から練兵場を覗けば見える事だろうか。
しばらくそうやって体を動かすと、少し体を撓め……

「ほっ!……うむ、問題ないにござるな」

しゅっ、とその場でバク宙をし、手を使わず再び着地してバランスを取る。
そうして体が揺れない事を感じて準備は十分と考えると、1辺が200mほどの練兵場の外周トラックを軽く走り始めるのだった。

ご案内:「王都マグメール 平民地区:冒険者ギルド」にロゴスさんが現れました。
ロゴス > 「君が、ハク?」

走り込みを始め、体が温まってきたであろう少女に話しかける声。
声の主は鎧とマントに身を包み、長大な剣を背負う少年だ。
その姿は正に冒険者と言った風体であり、同時に猫の耳と尻尾を持つ、典型的なミレー族でもあった。

「忙しかったら、ごめんね。募集を見てこっちに案内されたんだけど」

じ、と狐の少女を見る目は薄目。
観察しているというよりは、ぼんやりと見つめているようであって。

「雇うかどうか、君と直に話して決めたいと思ったんだ」

ハク > 「んむ?」

2週ほど走った所で声をかけられ、速度を落としながら少年の所に寄っていく。
声をかけてきたのは、黒髪に猫の様子を持つミレー族の少年であったために少し安心して尾を揺らしながら近づき。

「うむ、それがしがハクにござる。パーティの募集でござるな?」

にこりと笑みをうかべ、案内されてきた少年に自己紹介をして軽く頭を下げる。
2週ほど走っただけで少々汗ばみ、心音が高なっている様子を少年は気づくだろうか。
余りスタミナはないのだ。この姿では。

「ふむ?なるほど了解にござる。
 ……ふむふむ、そうでござるな。それがしはその刀を使った戦闘と、あとは術が主な戦い方にござる」

話をしたいと言われればうなずき、壁際においてあった羽織の横にある無骨な刀を指差し。
あとは術がメインだと、掲示板にはられていた通りの自己紹介をする。

ロゴス > 「……大丈夫? 少し休んでからでもいいけど」

何周ほど走り込みをしていたのか、少年には知る由もないが、顔が紅潮し、息を切らし、心臓が早鐘を打っている様子は見て取れた。
水でも飲む? 等と相手を気遣いながら。

「術……その薄い皮膜のような服も、何かの術式のように視えるね。僕も剣と魔法には覚えがあるんだ」

右目と左目で色の違う瞳が妖しく揺らめく。
何か力のある眼だと、或いは察知できるかもしれない。

「……。少し、刃を交えてみない? 剣は口ほどに物を言う……とは言わないけど。
 それでも、言葉よりも雄弁に、実力を語ってくれるとは思うから」

少年は、模擬戦を申し出てきた。
どうやら少女の実力を、直に確かめてみたい様子だ。

ハク > 「あー、いや、別にいいでござるよ。冒険中には休めずに活動せざるを得ない時もあるにござるし」

ふー、と呼吸を繰り返しながら少しずつ呼吸を落ち着けつつ、首を横にする。
ただ水については言われるとうなずき、指先に水を生み出してそれをそのまま自分の口に放りこんだ。

「んむ、ぷはぁ。
 ん?そうでござるな、これは魔力で作った衣類、でござる。それがしの特性にあった装備にござるよ」

ちらりと体を見られながらうなずき、薄い胸元を手で撫でる。
魔力で構成されたその被膜は、体のサイズが変わっても破れることなく体を覆うのだ。

「刃、でござるか。うぅむ、いいでござるよ。
 うーん……であれば、本気、のほうがいいでござるか」

そして続き刃を交わすと言われれば、む、と頷きながら少し悩む。
この体では剣を振るう事もできなくはないが、体力が足りない。数合うちあうだけでバテてしまうことは目に見えている。
であれば大人姿になるほうがいいか、と考えながら一応少年に視線を向ける。

ロゴス > 「ん……そうだね。休めない時もあれば、満足に食事もできない時もある」

相手の言葉にゆっくり頷いて、水を飲むのを待つ。
指先で水を創造する様を、眠たげな薄目がじっと見つめる。

「特性……簡単には破れない、とか?
 『戦妻』の項目に『急成長』が可能ってあったから、君は一時的に身体を成長させて戦うスタイル……なのかな?」

相手は見たところ少年であるが、しっかりとそういった知識は持ち合わせている様子だ。
だが、今はまだ戦妻としての契約に興味があるかどうかはわからない。

「うん。でも、一時的な成長にはそれなりに負担もあるんじゃないかな。
 だから、一撃でいいから本気で僕の剣に打ち込んできて。それで、大体の実力はわかるから」

ハクの性質と闘法を推察し、更に慮りながらそのような提案を。

ハク > 水を飲んでから、ふ、と息を吐く。それで呼吸を整えおえると首を軽く回し。

「む、っと。戦妻の項目も見たんでござるか。
 であれば、うむ。この姿のほうがいわゆる省エネで、筋力と体力に劣る代わりに魔力が高いにござる。
 大人姿になることで近接戦闘が可能、というわけでござるよ」

今まで意図的に成長姿については説明していなかったが、相手から戦妻の話を持ち出されれば素直に頷き告白する。
ちらりと見れば広間のほうからこちらに向けられている視線も感じながら、うむ、と頷いて。

「負担はさほどでも。ただ使っている間は魔術行使が下手になる、というだけにござる。
 故に――」

ふ、と気合を込めると体内にめぐる魔力が性質を変え、気となり体を巡っていく。
そうすると骨格が変化するように肉体が一気に成長していき、18歳のような肉体に成長を終えて。

「まぁ、この姿で打ち込むにござるよ」

うむ、とうなずいて壁側に置いてある刃を潰した重さが愛刀に似ている剣をとると少し素振りをする。
そして体を軽く沈め――
地面を蹴り、先程までの動きに比べて数段早い速度で一気に少年を袈裟懸けに切り裂かんと剣を振り下ろす。

ロゴス > 「省エネ……は、よくわからないけど。スタンスを切り替えられる闘法は、汎用性がありそうだね」

恐らく、大人の姿は魔力を消費してなるものなのだろうと、話から推察する。
負担はそれ程でもないという言葉を聞いて、首を縦に振った。

「ん……わかった。それ程の変化を経て負担が少ないのは驚いたけど……とにかく」

少年も剣に手をかける。
そして剣を振り子のように揺らし、遠心力を利用して鞘から抜き放つ。

「つかまつる」

少年の気配が、鋭敏になった。
まるで少年の力という力が全て、剣という一点に集中するかのように。
そして、少年は幅広の剣で、ハクの全霊の一撃を受け止めた。

「…………!」

先程までとは比べ物にならない速度、膂力、そして気迫。
それを少年は地面に砂埃を立たせ、後退りしながら受け止めて。

「……重い。見た目よりもずっと。ずっと重い。これは……年月の重み。意思の重み。決意の重み」

先程まで薄目だった少年の目は、丸く見開かれている。

「ハク。君は見た目よりもずっと長く、そして過酷な人生を送ってきたんだね」

ハク > 「む、この地方の言葉になかったにござるか?前に別の冒険者に教えてもらった言葉なのでござるが」

省エネ、という単語が通じなかった事に少しだけ驚く。
まぁもっとも言葉は意味さえ通じてしまえばどんなものでも構わない。意味が通じたならば問題ないと考えて。
大人変化については驚きを見せつつ、剣をぬいて構えをとるのを見守った。
そして構えた剣に向けて剣を振り下ろしたもののしっかりと受け止められた事に少しだけ驚いて。

「……いや、割りと真面目に本気で、おぬしも技量があるように見えるので最悪骨折程度で済むと全力で振り下ろしたにござるが。
 ここまでしっかり受け止められるとは思わなんだでござる」

おお、と剣を受け止めきられた事を褒めつつ剣を引くのだった。

ロゴス > 「んー。僕、あまり語彙には自信がないんだ。子供っぽいって、良く言われる」

猫耳をくるくる回しながら、そんなことを。
他の冒険者、という言葉を聞けば、パーティを組むのは今回が初めてではなさそうと悟る。

「うん、いい打ち込みだったよ。ある意味、僕を信頼した一撃だった。僕なら防げるって」

少年はそう告げて。剣を真上に放り投げた。
そのまま鞘を持ち、前に翳すと回転した剣が大道芸のように鞘に収まり。

「気に入ったよ。僕は君を雇いたい……君にはそれに値する実力がある。
 できればもう少し、魔術の方も確かめたかったけどね」