2021/01/26 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にエレイさんが現れました。
■エレイ > ──夜。
この時間帯でも人通りの絶えない表通りを、悠然と大股で歩く金髪の男が一人。
片手に赤いりんごを一つ携え、しゃり、とそれを一口齧ってはモシャモシャと咀嚼しつつ。
やがて中央広場までたどり着けば、適当に周囲を見渡した後片隅のベンチにどっこいせ、とか
言いながら腰を下ろし、脚を組みつつ背もたれにぐでりと身を預け。
「──ふーぅ……さて、と……今夜の宿どうしょうかねぇ」
中空を眺めながら、眉を下げた表情でぽつりとそんな事を呟く。
普段利用している宿が今夜は満室ということで、男は現在宿無しの状態だった。
■エレイ > やがて立ち上がると、また何処かへと去っていって──
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からエレイさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 酒場」にアミスタさんが現れました。
■アミスタ > 冒険者ギルドに併設された酒場である。
酒と喧騒、大雑把な味付けだが量は多い食事。そして法螺とも真実ともつかぬ武勇伝を楽しめる場所だ。
ある者には、生活の糧を得る場所でも。
またある者には、夢を見る為の場所でもある。
この娘の場合は後者だった。
「……うーん」
壁の一面を埋める依頼書の列を睨み、その娘は難しげな顔をしていた。
アスピダの方で一悶着が起こってから、しばらく状況は膠着している。その為に、ある程度の腕がある者ならば、人手は幾ら有っても余る事は無い状況だ。
一端の冒険者を気取るなら、紙を壁から剥がして現地へ向かいでもすればいいのだが──
「……旅費は出せる、として……問題はその他……か……」
懐の財布──皮袋を握りしめる。中身はなんとも頼りない。
現地集合現地解散、報酬はその分だけ多目。そういう依頼であった。
乗合馬車やら道中の宿やらに、食料品やら、傷を負った際の治療薬やら、何やら。冒険者家業は見入りも多ければ出ていくものも多い。
そしてこの少女の場合、あまり腕が良い方ではないので、見入りの方もそう多くは無いのであった。
「……稼ぎに行くために……稼がないとな……」
本末転倒、なのかもしれない。
■アミスタ > かくてこの日は金策と、後は当日の宿をどこにするか悩むことで終わった。
ギルドの建物を出ればすぐに宿がある。
が、さほど壁の厚くないそこは、この酒場の喧騒がベッドにまで聞こえてくるような有様だ。
かと言って、あまり遠くの宿まで歩くというのも──この冬の寒さでは、堪えるというものだ。
「……しかたがない、か」
悩みに悩んだ末、結局は近場の寝床を借りることと決めた。
騒がしさは酒に酔えば忘れられるが、酔いは夜風を止めてはくれない。
少しだけふわついた足取りで、少女は酒場を去っていく。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 酒場」からアミスタさんが去りました。