2021/01/20 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にエレイさんが現れました。
エレイ > 「~♪」

まだ日の高い時間帯。
ピーヒョロロとヘタクソな口笛を奏でながら、悠然と冒険者ギルドに足を踏み入れる金髪の男が一人。
賑やかな様子のロビーを軽く見渡せば、あちこちでパーティらしき数人の集団が話し合っている姿が見える。
そんな活気のある光景に目を細めて小さく笑みを浮かべながら、そのままのんびりと掲示板の方へと
向かってゆく。その掲示板には依頼書や、パーティ募集の要項などが雑多に貼り出されていて。

「──今日もいっぱい来てますなぁ。さて、なんか面白そうなのはあるかにゃ?」

親指と人差指で摘むように自らの顎をさすりながら、掲示板の前に一人突っ立って興味を引くものがないかと眺め回し。

エレイ > 「……んんむ、微妙すぐる。とりあえず……今日はこいつにしておくくぁ」

しかしこれと言ったものは見つからずに微妙そうな顔をして。
とりあえず一つ依頼書を手にすれば受付カウンターの方へと向かっていって──

ご案内:「王都マグメール 平民地区」からエレイさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 冒険者ギルド」にイディオさんが現れました。
イディオ > 「戻りましたー。」

(冒険者ギルド、国に所属をしていないアウトローや荒くれ者共が集まり、ギルドを通じて国民から依頼を受けて解決する為の集まり。
ギルド的には、様々な国を渡り歩き、未知を既知とする冒険者が集まる場所、とされているが、そういう真の意味での冒険者は、どれだけいるのだろう。
今戻ってきた冒険者、イディオは前者の―――アウトローなどの方に分類される。見知らぬ地域へ行って、新しい遺跡の発見や、英雄になる事を、目的にしていない男。
そして、そもそも、このマグメールの国の人間ですらない、此処で依頼を受けて、日銭を稼ぎ、生活している存在である。

蒼い髪の毛、死んだ魚の様な光の無い瞳、陰鬱な雰囲気を持つ、冒険者。
一応それなりの実力は有るとされている、長年所属していて、色々な依頼を受けて死んではいない程度には有能だ。
マジックアイテムもいくつか持っているのが、証拠、といって良いだろう―――たぶん。
今回も、其れなりに長期間の依頼を受けて戻って来た、ギルドの中に知り合いが居たり居なかったりもする。
今回はどうなのだろう、と男はギルドの中を眺めまわしつつ、其れよりも先に報酬か、と、視線を受付へ。
のそり、のそりと、歩く。)

イディオ > 「依頼主からの完了の手形を持ってきましたよ、と。」

(どろりと濁った目を持つ男は、其れなりに身長があり、上から見下ろす様に覗き込みつつ、依頼終了の手形を受付に出す。
すると、慣れていない様子の受付は、男の眼が怖いからだろう、人相が怖いからだろう、涙目になって居る。
すごんでないのだけれども、少しでもすごんだらぴぎゃーとか言って泣いて逃げてしまいそうな、そんな雰囲気にも見える。
可愛らしい女の子、だからだろう、周囲から視線が刺す様だ、屹度あれだ、俺達のアイドル泣かせたら承知しないぞ的な奴。
俺は何も悪くないんだがなぁ、と思いながらもそれを口にして思いとどまってくれるような人がどれだけいるのだろうか。
こういうむさい所だからこそ、可愛らしい子は全員で守るのが暗黙の了解と言うやつで。

せめて、せめて、泣きませんように、なんて男は、願うのである。
誰に?誰に。

願うべき相手は、特にいなかった、信仰している神もいないし。
そんな事を考えて視線を逸らすと。)

「―――――………。」

(やはり強面の数名が、この子は俺が護る、とかそんな雰囲気で近くに立っている。そりゃないだろうと言いたいけれど、言って聞いてくれるとは思えない。
諦めのため息を一つ、早く終わってくれないかな、と受付嬢の方を眺めると。
それに反応してビクンと大きく震えて、目に涙が溜まるのが見える。
まじかーと、内心泣きたいのは男の方だった。)

イディオ > (どきどきハラハラする、したくもない類のそれだ、なぜなら、彼女が泣けば周囲にいる冒険者男性共が恐らく全力で駆逐に走ってくる。
誰を?イディオを。
なので、此処は泣かずにお仕事……報酬を出してもらって、その報酬の受け取り書類にサインを書いて、そそくさと離れたい。
本当は、今すぐ報酬を貰わずに離れたい位だ。
しかし、それは生活に関わる。報酬を貰わないと生きていけない。
今すぐ死ぬとは言わないが、たくわえが豊富にあるという訳でもないし、依頼をこなして報酬をもらうまでは冒険者の義務だ。
それを受け取らないと言うのは、他の冒険者にも不都合が発生することになる。
と言うかなんだってそういう状況なのに、こういう新米が居るのだと、出かける前にはいなかったと思われる。

そして、その出かけている間になんでここまで男性冒険者の好感度を稼いでいるんだこの受付は。
そう考えると怖い所がある。)

「――――っ。」

(泣きそうだ、もう少しだけ、もう少しだけ我慢してくれと言う願いは、何とか届いたようだ。
涙目の中でも、何とか受付けは報酬と、書類を出してくれたので、ササっとサインをして、報酬をもらい。
そそくさと男は離れることにした。)

「助かった……。」

(離れながら、男は泣かずに受付を終えて、背筋が凍る思いをしていた状況の終了に安堵の息を吐き出した。
取り合えず、酒を飲んで、落ち着いて、依頼書でも見ようか、と酒場の方に歩くことにした。
今もまだちょっと、背筋に刺さる視線が、痛い。)

イディオ > (酒場に移動してから、男は酒と、摘まみを注文して、腰を下ろす。何も知りませんし、もう、受付には興味ありませんよ、と言わんばかりに酒を呷る。
そこまでして、ようやく酒場の空気が和らぐ気がする、と言うよりも、イディオへの興味が薄れたとも言える。
安堵のため息を再度零して見せて。
男は、もう何度か酒を軽く呷って、それから周囲を軽く眺める。
冒険者同士の情報交換が始まっているのが聞こえる。どこの貴族がどんなだ、とか、あそこの遺跡で、こんな魔道具が見つかった。
そういった話を聞き流しながら、男は、酒を呷る。
腹がくちくなったら、依頼を受けることにしようか、と。)

「―――しかし。」

(遺跡、という響き、場所は思い出せる、何処に何があるか、と言うのは恐らく記憶。封印されているわけではない。
恐らく、今でも自分の覚えている遺跡に行けば、手に入れられるものがあるはずだ。
ただ、それが使えるかどうかは判らない。
売るとしてもかなりの金額にもなろう、が、矢張り、行く気は起きない。
行くとしたら、本当に、本当に、危険な時か、必要になった時。
それを思い出そうとすると、頭が痛くなる。酒をもう一度飲んで。

代金を支払い、男は宿の二階へと上がるのだった。)

ご案内:「王都マグメール 平民地区 冒険者ギルド」からイディオさんが去りました。