2021/01/15 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にロイスさんが現れました。
■ロイス > 何でこうなってしまったのだろうと、男は首を捻る。
周りには、体格のいい冒険者達が、何人もいる。
とはいえ、別に絡まれたりしてる訳ではない。
目の前の"対戦相手"は、机に肘をついて手をこちらに差し出し、
『よし。それじゃあ、前と同じく一回勝負。
机に拳が着いた方が敗けだ。それで良いな?』
「あ、うん……。
良いけど、その、正直俺はもう良いかなって……」
『うるせえ!俺を前の連中と一緒にするなよォ!』
そう威勢良く叫ぶ男は、いいからと催促するように手を振る。
しょうがないなとその手を握ると、机の脇にいた別の男が、握った手を所定の位置に移動させて、
『レディ――ゴー!』
●
最初のきっかけはわからないが、気づけばアームレスリング大会会場になっていたこの酒場。
今の所のチャンプは、緑色のマントで身体を覆ったこの男。
現に机の脇には大量の金貨が積まれているが……。
「う、うおおおおおお!」
『ぐ、ぐぬぬぬぬ……こ、こんちくしょ――!』
ロイスの腕が、目の前の筋骨隆々の男の腕を何とかねじ伏せ、また一勝を積み重ねている。
周囲では、既に賭け屋が賭けを取り仕切っていて、審判役まで出てくる始末である。
こうなると、何だかんだ流されがちなロイスでは、この場を収める事などできない。
かといって、わざと敗けるのも、それはそれで周囲をしらけさせる事になるだろう……それはそれで良心が咎める。
「(金貨とかどうでもいいから、とにかくこの場をどうにかしてくれ……)」