2021/01/11 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にナータさんが現れました。
ナータ > 「んー……んっ……ふわぁぁぁ……」

深夜の安宿。
今日は仕事の「上がり」が早かったから、早めの夕食を取って
宿に引っ込んだ。
朝までぐっすり寝てしまおう。
と思ったのに。
目が覚めてしまった。

欠伸を噛み殺して上半身を起こす。
早めの夕食だからか、少し小腹も空いている。

小さなテーブルの上、ジャラリ、と小銭―――とはいえ全財産―――を掴むと何時もの質素な、若しくはみすぼらしい服装に着替え
路地に出る。

「さむぅいなぁ……」

白い息を吐きながら、ポツリ、呟いた。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」にマヌエラさんが現れました。
マヌエラ > 「――お姉さん?」

 闇夜の裏路地。
 白い息が月明りに映える中、掛けられたのは幼い声。

「寒い、の……?」

 小首を傾げるのは、声通りの小さな少女だった。
 こんな夜更けに似つかわしくはないが、同時にじゃらじゃらと下がった魔術具やぶかぶかのローブは、浮世離れしていて、こんな所に現れるに相応しい妖しさにも見えるだろうか。

ナータ > 「ふえ……?」

唐突の声に立ち止まり、其方に目を向ける。
方向としてはやや斜め下の方に、声の主はいた。

「え、えーと……こん、ばんは……?」

自分もまだ若い。
とは言え、自分よりも幼く見える少女がこんな時間に。
尤も、この街は、この世界は、それを余り諫める必要もないだろう。

少なくとも相手の少女は、見た目通りの存在ではないかもしれない。
みすぼらしい自分と違い、数多の装飾品を身に着けているのだから。

「うん、寒い、ねぇ……このところグゥっと寒くなったから……」

過度の警戒はしない。
少なくとも、命の危険はなさそうだったから。
この街に於いての治安など、そんなものかもしれない。

マヌエラ > 「こんばんは!」

 人形のような面立ちと、立ち姿の不穏さに反し、見た目年齢相応の溌剌とした挨拶。

「本当、とっても寒いのね、お姉さん……」

 季節と時間に対してあまりに薄着なナータに対し、声も、目線も、心配そうに告げ。
 少し考えてから、はっと顔を上げた。

「あのね、私、魔法が使えるの! 温めてあげる!」

 名案、と呟きながら、再びの笑顔で提案する。

ナータ > 「げ、元気だねぇ……」

子供は風の子。
そんな言葉が頭をよぎるが。
少なくとも冬の夜更けに浮かぶ言葉ではなかったはず。
思わず苦笑交じりに視線を合わせるように向けて。

「あ、あはは……そ、そうね。おねえさん、あまりお金なくて、ねぇ……」

少女の視線が自分の衣服に向かっていることに気付く。
苦笑は続き、頬を掻きつつ。

「魔法、すごいねぇ……あったかくなるの?火でも出すのかなぁ?」

子供の火魔法かぁ、と先ほど思ったことなど頭から消える。
それほどに子供らしい相手の様子だった。
何か暖を取れる、火事の危険がなく燃える物は、と辺りを窺ってみて

マヌエラ > 「火なんて出したら、燃えてしまうわ!
 それは、温かいんじゃなくて、熱いっていうのよ! 私、ちゃんと知っているもの!」

 おかしいわ、と付け足して、きゃらきゃらと笑う。
 そして――

「あのね、こうするの!」

 ぱん、と小さな掌を合わせた。
 瞬間、月明りによって浮かび上がっていたナータの影から――無数の、頭足類のそれを思わせる触手が生え。
 ナータの体に絡みつけば、ずぶずぶと共に影に沈んでいく。

「私のお家に案内するわ、お姉さん!」

 そして少女もまた、自分自身の影へと沈んでいく。
 魔族の“おうち”へと。

ナータ > 「ちゃ、ちゃんと燃えないように、薪の代わりに―――」

少し小ばかにされたような気がして顔を赤らめ。
言い訳のように言葉を向けようとして。
その先は続かなかった。

手を叩いた少女。
その次の瞬間、少女は背後から音もなく生えた「それら」によって
全身を絡め取られ。
背後―――自らの影の中に沈んでいく

「え?ひっ……!え、え……」

何が起きたか理解できぬまま、トプン、と沈むように闇に消えた少女。

その後には冷たい冬の風がピュウ、と吹いているだけだった。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」からマヌエラさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にマヌエラさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からマヌエラさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からナータさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にシェライラさんが現れました。
シェライラ > 「ふふん。良い目をしてるわね。やっぱりいい狩人はいい商人と巡り合うのね。
そうそう、この時期に毛皮は必要でしょう?そうよ、もっと褒めなさい♪」

私は、平民地区の露店が多く並ぶ通りで毛皮を見せびらかす。
冬は巣穴に潜る獣を誘い出し、一撃で仕留めた超上等な毛皮だ。
急所を確実に射止める私の腕が無ければ取れない美麗な毛皮。
そのまま縫って高級外套にも使えるものよ。

しかもそれが15枚!商人は私に土下座して感謝するべき品!

ただ、その価値をわからない愚かな奴が多いこと多いこと。
さっきの証人は、一枚1ゴルドとか言い出すものだから店を風と土の魔法で傾けてやったわ。
憲兵を呼ぶぞ!なんて言ってたけど、悪いのはあっちだから関係ないわね。

そんなこんなでいくつか店を潰した後、ようやくこの物の価値がよくわかる奴と会ったの。
見た瞬間に眼を輝かせて、一枚100ゴルドで買い取らせてくれ!って飛びついてきて今に至るわ。
富裕地区はなんだかお硬くて気に食わないから、ここで買い取り手が見つかって助かったわね。

「え?私が最高の狩人?わかってるわよそんなことぉ♪
でもそこまで言われて何もしないのもエルフの沽券にかかわるわね。このお金であなたにお酒でも買ってあげるわ。
咽び泣いて感謝しなさい。こんないい商品を仕入れた上に、私に奢ってもらえるんだから」

商人は本当に感謝して土下座していて、とても気分がいい。
るんるん気分になった私は、合計1500ゴルドにもなったお財布を抱えて市場を歩く
まあでも、下等な相手に上げるお酒なんてうっすーいのでいいわよね。

適当に歩きながら探しましょう

シェライラ > 「はぁー…それにしても、ニンゲンって変態しか居ないの…?」

さっきから歩く度に、やけに視線を感じる。
ま、女神すらも嫉妬で歯噛みする私の身体を見て眼を奪われない方が不敬よね♪

「あ、これ丁度いいわね。1本買うわ。え?こんな水の魔力が濁り切った酒で3ゴルド?
あなた目が腐ってるんじゃないの。こんなの1ゴルド払うのも惜しいわ。何?何か文句、ある?」

歩いている中で、見つけた酒があまりにもひどかったから前かがみになってその価値を教えてあげる。
いくつか露店を傾けたから、私が『いい客』だってことはわかってるはず。

すぐに値段を訂正して、1ゴルドでいかにもマズそうな酒を買ってあげたわ。
私から貰えるんだから、この程度でも咽び泣くべきよね。
更に視線が突き刺さってくるけど、何か文句でもあるのかしら。直接言いに来たらぶっ飛ばしてあげるのにね

「はい、これ。なんでそんな意外そうな顔してるのよ。
この程度であなたは十分でしょ?」

ふふん、と笑って歩き始める。
みんな見ているけど、きっと私があまりにも誠実で美しいからね♪

ご案内:「王都マグメール 平民地区」にエレイさんが現れました。
エレイ > 「──あー……もしもーし? そこのエルフのお嬢サン?」

通りを悠々と歩く彼女の後ろから、そんな少々遠慮したような声がかかる。
もし振り返ったなら、そこには風変わりな銀色と赤のジャケットを羽織った金髪の男が一人、
困ったように眉を下げた緩い笑みを浮かべながら立っているのが見えるだろう。

「つかぬことを訊くのだが……あそこらへんの店のいくつかひっくり返したエルフの女が
いるって話をついさっき聞いたんだがそれはキミ、ということでいいんですかねぇ……?」

そして、今しがた彼女が通ってきた方角を親指で指差しながら、困り笑いのまま
首を傾げつつ問いかけてみて。

シェライラ > 「ん?」

何かしら。
下手なナンパなら無視してどこかに行くんだけどね。

振り返ってみたら、優男というか、悪くない顔をした男がいた。
ただ、文句を付けに来たのかな?

「ええ。値段が間違ってたのを認めなかったからひっくり返しただけよ?それが何か?」

そう、これは正当防衛ともいえるものなの。
だって、あんないい毛皮が1ゴルドで買いたたかれるなんて犯罪だもの。

「何?お前は憲兵?それなら何か言うべきはあっちよ、あっち。私の最上級の毛皮を安く買いたたこうとしてたんだからね」

私は悪い事なんてしてない。
振りむいて、むん、と胸を張って断固抗議だ。
一応会話はしてあげるけど、ぐだぐだ言うのならこの男もふっとばしてやろう。

エレイ > 「俺は憲兵ではないし通りすがりの旅人で冒険者のエレイという者だが呼ぶときは気軽にさん付けで良いぞ」

憲兵かと言われれば否定しつつ、何故かドヤ顔で聞かれてもないのに一息で自己紹介を繰り出して。

「──で、まあそれぞれの店に一応話を聞いてみたが俺が判断するにキミの言い分は『確かにな』と認めてはいる。
あの毛皮も検分させてもらったが最後に買い取った店の値段が適正価格なのでそこに関して文句はにいし
ボッタクられそうになったら俺だって引っ叩きたくなる」

まるっきり『自分は悪くない』と言わんばかりの態度に苦笑しつつ、片手をひらひら振りながら
買い叩こうとした商人側の非は認め、彼女の気持ちも解るとウンウンと頷いてみせ。

「だがまあ店をぶっ飛ばすのはやりすぎだ、と言いたいのだよ。どうやら
キミはどっかの里から出てきたばかりのお上りさんのようなのでまだ人間社会の
常識というものが解ってないようだから仕方のない部分もあるが……文句はしっかり
つけてOKだが実力行使は極力控えるべきだろうな。でないと目をつけられて結構危険」

それからぴ、と人差し指を向けつつそんな言葉を投げかける。
男としてはちょっとしたアドバイスを兼ねたお叱りのつもりだが、果たして彼女はどう受け取るだろうか。

シェライラ > 「エレイ?、さんなんていらないわ
なんで私があなたみたいな、赤ん坊にさん、なんてつけなきゃいけないわけ?」

顔は良いから一応名前は覚えてあげるけど、私からしてみれば赤ん坊同然の相手を呼び捨て以外で呼ぶ選択肢はないわ
でも、話はわかるみたいね。
そう、私は悪くないの。普通のことをしてるだけなんだか、ら?

「…って、この私に説教?
言ってわからない奴は懲らしめないといつまでも繰り返すのよ。
森の暴れ猪だってそうなんだから。あいつらも痛い目を見てしっかりわかったでしょう」

「それとも――」

ちょっとこの相手は私を嘗めすぎだ。
こんな、セコイ悪党しかいない町で私が危険に晒される?
何を冗談言ってるのかしら。
魔法の森と共に生き、魔力の扱いが魂にまで染みついてる私が凡人に負けるわけないでしょう?

軽く脅してあげましょう。
風と土の魔力を使い、それぞれ龍を造り出す。
風龍は空中で見えるほど濃く魔力を入れて、凶悪な見た目に。
土龍も同じく、市場の地面を抉って造り出す。
私に使ってもらえるんだから、この場所の地面も幸せでしょうね。

「これでも何か文句ある?危険なんて、私には無いのよ。
アナタ、あーえーっとエレイ?の、ニンゲンにしては良い顔に免じて一度目は許してあげるわ
ただ、トレントみたいなじじ臭い説教するなら、あなたもあの露店みたいになるけど?」

うん。まあ確かにいい顔だ。
身なりも綺麗ではあるし、下等な人間なら惚れる相手もいるのでしょうね。
けれど残念、私はエルフ。あなたとは違うの。身の程を知りなさい?

エレイ > 彼女の反応を、男はある程度予想はしていた。
気位の高いエルフという種族のこと、『人間如き』に説教などされて癪に障らぬわけがない。
とはいえ、エルフの全てが全てそういう者ばかりではなく、話の解る者だって
いるにはいるので彼女にもそれを期待していたのだが──残念ながら駄目だったらしい。

「……人の話を全く聞いていなかったようだったな」

彼女が魔力で作り上げた2頭の龍を困り顔で見上げながら、片手で頭を抱えつつ盛大なため息とともに言葉を吐く。
男にちっとも驚いた様子はなく、ただただ『参ったな』と言わんばかり。

周囲は──突如地面がえぐられたり龍が湧いたりで市井の人々はいつの間にやら避難していて、
誰もいない。まあ、その方が都合がいい。

男の左目に、ジジ、と音を立てて小さな山吹色の焔が灯り──

────次の瞬間、風龍も土龍も、顔面を何かに大きく抉りとられて吹き飛び、構成していた魔力も強制的に霧散させられた。

男は変わらずそこに立っている。変化があったのは、右の拳をやる気なさそうに構えていることだけだ。
すなわち、その拳で2頭の龍を吹き飛ばした、ということだが……もしそれを説明したとしても、
凡そ彼女には……というか誰にも理解はできないだろう。

「……キミの魔力が凄いのはわかったがこんなトコでそんなモノを出すなと言っているだよ。
とりあえずココじゃあアレだから、これ以上の話は別のところでしようか」

男はそう言ってズカズカと彼女に歩み寄ると、その手首をガシッとつかもうと手を伸ばし。

シェライラ > ふふん。
軽く魔力を練っただけで慌てだすんだから、やっぱり人間は下等ね。
冒険者だとか言ってたから、こういうのも倒してるんでしょうけど流石に軽率に歯向かう気には…

「…っ、お前、何を…っ!」

私の魔法が消えた?
何の魔法も見えなかったし、こいつは動いてないのに?
こいつ、一体…!

「ちょ、ちょっと、離せ!!はーなーしーなさい!!
あんたが触れていい体じゃ…っ!!」

そう思っている間にいつの間にか手首を掴まれてる。どこかに連れていかれる…!?

そんなのは認められずに、小さな石くずや風の刃を連続で投射する。
龍を出しても霧散させられるなら、連続魔法で少しでも傷を負わせて怯ませてやる!

(ぅ……)

ただ、あまり力は入らない。
私とは違う、逞しい手、体温…
昔に、たまたま見た行為を思い出してしまう。
男に組み敷かれ、小鳥よりも自由に鳴く女の姿――

「ど、どこにつれていくのよ…っ!」

そんな、少し震えた声を出すことしか…どうしてか、できない――

エレイ > 彼女の細い手首を掴みながら、乱雑に投射される石礫も風の刃も、男は片手で
難なくペシペシと払い除けてゆく。
石はともかく、風の刃まで払いのけるとはどういうことなのか。
払うたびに男の手元から、左目に灯っている焔と同じ山吹色の光が弾けているが、
彼女にそこに目を向ける余裕はあるだろうか。

「どこってどこだろうなあ……まああその辺だよその辺。というわけで1名様ごあんなーい」

抵抗にどこか力が入っていないのが、掴んだ手首から伝わって少し不思議に思いつつも
弱々しい問いかけには雑な答えを返し。
そのままぐいっと腰にも手を回し、彼女を強引に連れてその場を共に後にして──

ご案内:「王都マグメール 平民地区」からエレイさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からシェライラさんが去りました。