2020/11/29 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にロイスさんが現れました。
■ロイス > いつもの酒場の喧騒の中、二人の男がトランプに興じている。
勿論、賭け事である。
手札のカードをそれぞれ開いて、勝ったのは――金髪の男の方。
男は、ふぅ、と息を吐くと、
「俺の勝ち。悪いね。……流石に、ゲームに熱くなりすぎだ。そろそろやめといた方が良いんじゃないかい?」
『くそっ。強すぎんだろ!やってられるか!』
そう言って、金貨をロイスに投げ渡して去っていった男を見送る。
やれやれ、と肩を竦め、マントに隠していた左手を表に晒す。
そこには、何枚かのカードが――絵札やジョーカーが握られていた。
男のものではなく、先程遊んでいた相手がテーブルの裏に貼り付けていたものだ。
「全く。賭け事は健全に遊べって張り紙でもするべきだよな。
何でこう、冒険者って言うのは一人じゃ大して仕事ができないくせに、アウトローなんだ」
まあ、それは俺が言えた義理じゃないけど、と言いつつ、トランプを丸めて握り潰して机の上に捨てる。
ギルドに通報してもいいが、そもそも酒場でのあれこれには、基本的に不関与の立場だ。
多少注意はするだろうが、それを聞くなら最初からこんな事しないだろう。
「遊ぶならいっそフィストファイトなり組み手の方が好きだけど――流石に好んで殴り合いたい人なんて、いないよなあ」
■ロイス > ――男はそのまま、酒を呑んでいた
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からロイスさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にジェイクさんが現れました。
■ジェイク > 王都マグメールの平民地区。
富裕層でも、貧民層でもない、文字通り、平民の多くが生活する街は、
王都の中でも最も面積も広く、人口も多い賑やかな場所である。
上下の身分、多種多様な種族が往来する街並みは貧民街に比べれば、
一見すれば治安が良く、住みやすさを感じさせる事だろう。
衛兵の詰め所が存在する平民地区では必然的に街中を警邏する兵士の数も多く、
行き交う人々に彼等が目を光らせている。
だが、それが必ずしも治安維持のために輝いているとは限らない訳で。
「――――其処のアンタ、少し良いか?」
なめし革の胸甲を身に纏い、腰に剣を佩いた警邏中の兵士風の男が
道を行き交う女の後ろ姿へと声を掛ける。
ちらりと覗いた横顔が彼好みであったのか、或いは、顔見知りだったのか。
口端に滲んだ嗤みは、この後、彼女に降り掛かる災厄を象徴しているようであった。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からジェイクさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にロイスさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にフリージアさんが現れました。
■ロイス > ギルドの隅っこのテーブル席で、少女と男が向き合っていた。
テーブルには、多くの料理が並んでいる――男の側は肉や魚中心で、少女の方は野菜や果物が中心のラインナップ。
男は、エールを波々注いだジョッキを、少女の方に掲げ――
「それじゃ、ゴブリン退治の仕事が終わった事を祝して――乾杯っ!」
凡そ二週間、王都の外の村でゴブリン退治を行っていた二人。
村の近くに作られた巣を捜すのに時間がかかり、これ程の時間が経ってしまっていた。
仕事中は、殆ど貧しい保存食だったので、そのストレスを晴らすのを兼ねて――といった所。
「今日はたくさん食べよう。お金には余裕がある。
お酒も――まあ多少自重した方が良いけど、それでも今日は多めに頼んじゃおう。俺も偶には高いの頼んじゃおっかなー……」
とうきうきとメニューを見て、高い酒を確認する男であった。
■フリージア > 普段のように依頼を終えてのギルドへの帰還。
何時もなら報酬を貰い帰宅をするのだが今日は隅っこの席での食事。
外食はあまりしないが今日だけはと多くの料理を頼みはしたが前に並ぶメニューは好みでわかれている。
「…お疲れ様……乾杯」
掲げられたエールの注がれたジョッキに果実酒の注がれたカップを軽く当てて口をつける。
ゴブリン退治と聞いて向かった先で巣を見つけるのに時間がかかり、戻って来るのも遅くなり。
予定よりも長い滞在は味気ない保存食を食べ続けていた2週間。
それもあり、依頼を終えた贅沢と今に至り。
「残さない程度に……勿体ないから。
それは良いけど……歩けないの。駄目だからね?」
食べるのも飲むのも止めるつもりは全くなく。
ただ残すのと酔い潰れるのは駄目と釘を刺し、果実酒を舐めるように飲みサラダを口に運んで。
■ロイス > 「勿論。何時もはセーブしてるけど、本当は結構食べるんだよ、俺。
お酒も、普通に強いしね」
その言葉は嘘ではない様で。
ぐいっ、とジョッキを干しても、顔に赤みは殆ど指してない。
相当にアルコールに強い体質なのだろう。
奮発して頼んだフィレステーキをナイフで切って口に運ぶ――ちょっと大きく切りすぎて、ソースが垂れてしまったのを腕で拭い。
「君こそ、お酒はあまり慣れていないだろう?
果実酒だからそんな酔い潰れはしないだろうけど、一応気を付けなよ?」
と、一応、という形で念を押しておく。
まあ、この少女に限って、体調管理をミスする様な真似はしないと信じてはいる。
■フリージア > 「本当に?後で嘘はなし…。
…それは知ってた」
時々飲んでいるのは知っていたのでお酒に強いのは知っていた。
しかしよく食べるというのは知らずに疑いの目を向けてしまう。
そんな視線の先で一気にジョッキを煽り、ステーキを口に運ぶ姿を見つめ。
垂れたソースを腕で拭えばナプキンでそれをぬぐって。
「ほとんど飲まないから、少しだけ。
これ……一杯で十分……」
彼の念を押す言葉にこれだけと答え。
むしろ一杯だけでも多いぐらいなのでサラダや果物を摘まむ合間に果実酒を口に運ぶ。
■ロイス > 「よく食べて、よく呑んで、よく働く。冒険者の大事な仕事さ」
そう言いつつ、早くもフィレステーキは残り半分。
途中、フリージアの側のサラダなども遠慮なく摘んでいくが、足りなければ追加すればいいの精神だ。
肉の脂を、苦味が少し強めのビールで流し込むのが、贅沢するときの男の常だった。
「あ、悪いね。久々に沢山食べるとなると、テンション上がっちゃって……」
ナプキンで自分が拭ったソースを拭われると、少し照れくさそうに。
普段あまり食べないのは、冒険者としての訓練の一環という部分がある。
つまり、定常的に飢えの状態でいる事で、長時間食べられない時に備えているという訳。
勿論、それだけでは普通に栄養失調になるため、定期的にこの様な日を設けている訳だが。
「そっか。一杯でそこまで酷く酔う事も無いだろうし。
料理が食べきれない事だけ心配すればいいかな」
と言いつつ、羊肉のソテーに手をのばす。
これなら、フリージアの方も心配する事はないだろうし、食事と会話に専念すればよかろうと。
「君の故郷も、早く探したいところなんだけどねえ……。
どうしても、生活基盤を整えるのが優先になっちゃってるし」
と、思案げに言う男。
勿論、あれから色々手を尽くしてはいるのだが、どうにもフリージアの語る故郷に合致する様な国を見つけることができない。
こうなると、学院の学者の手を借りるしかないが……流石にそっち方面のツテはあまりなく。
■フリージア > 「それはわかる…だけど、この分で…報酬の半分無くなるよ」
彼のいう事はよく判るがお財布によくないと一言。
既にステーキもいつの間にか半分となり食べるのが早いと驚き。
サラダに手を伸ばされると取りやすいようにお皿を押しなくなれば他を食べよう精神。
それと食が細いのもあり食べてくれるのは寧ろありがたく。
「大丈夫。だけど少し子供っぽいって…思った」
照れくさそうにする顔にくすりと笑い。
子供っぽいな、とそんな姿を見つめて。
そして勢いよく食べる姿にもっと食事を多くした方がいいのかと考え。
「多分大丈夫。酔ったらおぶって。
うん、それでいいと思う」
サラダの皿が空になれば羊肉のソテーに手を伸ばし。
食べるのも話すのもそこそこというように。
「私の故郷、探すのはいつでもいい。
先に生活、安定させよう」
彼は故郷をと言ってくれはするが見つかっても帰るのはまた大変なはず。
それならば優先は生活なので急がないと首を振り。
また果実酒に口をつけては顔に赤みがさしていく。
■ロイス > 「うっ……それは確かにちょっと不味いかな」
贅沢は半端にしてはいけない、というのはあるが、しかし贅沢するために仕事をしている訳ではない。
生活費を――引いてはフリージアを故郷に返すためのお金を作るための仕事なのだ。
「いや、まあ、確かに子供っぽいと自分でも思うけど笑うことないだろー……」
と、ちょっとむすっと眉を寄せる。
基本的に、クソ真面目と呼ばれる男だが、しかしこういうリラックス出来る時は以外と稚気に富んだ仕草をする。
「まあ、おぶるぐらいは大丈夫だけど……明日に響かないようにね」
彼女がお酒を飲む事自体あまりない。
流石に、一杯だけで二日酔いなどはないだろうが……しかし、逆に一杯飲むだけでおぶってと言われれば、多少は心配にはなる。
そして、話が彼女の故郷のことに移れば、うーんと頭を掻いて、
「まあ、そりゃ正論だけどさ。
実際、いつまでも俺の部屋で暮らすって訳にも行かないだろ」
彼女が邪魔という訳ではない。
ただ、最近は彼女と一緒に部屋に帰る所を見られており、様々な――主に恋愛関係の――噂の的になっている。
男は、別に気にしないが……しかし、彼女は違うだろうと男は思う。
「かといって、君の部屋を別で借りるのはお金が足りないしさ。
故郷を捜す目処だけでもつけとかないと、何時までもずるずる此処に留まる事になっちゃうよ?」
■フリージア > 「今日は贅沢して、明日は家で食べれば大丈夫…多分だけど」
それなりに貯蓄は出来てきているので困る事はない。
しかし彼の生活費は大丈夫かなという心配はあり。
子供っぽいといれば眉を寄せるしぐさに笑みをこぼし。
仕事中とそれ以外のこのギャップが不思議と可愛く見えていて。
「明日は…お昼まで寝るから……大丈夫」
今日は大きな仕事を終えて戻りお酒を飲んだ、なら明日はしっかりと寝ると明言。
おそらく歩いて帰れるとは思うが念のためとの言葉。
「私はそれでもいいけど……ロイスは迷惑?」
最初こそ異性と暮らすはほんの少しだけ恥ずかしいというのはあった。
しかし彼が何もしてこないと判れば今ではリラックスできる数少ない空間。
寧ろ一人暮らしよりもいいかもと閑雅ている節もあり。
「今から一人暮らしも困る…。
そうだけど…お金がないと結局はとどまるから…一緒」
彼の言葉にそういうと、くっと果実酒を一気に飲んでしまい。
顔の赤みが一気に増してゆらゆらと揺れ出して。
■ロイス > 「まあ、それなら……一応、俺の方もお金は溜めてあるから、何か不都合あったら言ってね?」
男の場合、普段から贅沢していないのが効いている。
請けてる仕事自体は割りに合わないが、何事もチリも積もれば山。
その気になれば一年ぐらい仕事しないで生きていられる程度の蓄えはあるのだ。やらないが。
「まあ、それなら良いけど……それぐらいなら生活リズムも崩れないだろうし」
男も、そういう事は良くある。
だから、昼夜逆転の様な生活が連続しない限りは、世間の生活リズムからかけ離れた生活も全く問題ない。
「迷惑ってわけじゃ……ないけど。
あっちにも友達とか、家族とか居るでしょ。
それに、最近は……」
言いかけて、少し口ごもる。
今日、依頼完了の手続きをしている最中に聞こえたのだ。
『あの女の子、ずっとあのオジサンと一緒にいるけど身体とか売ってるのかな……』
勿論、それは事実無根。男の積み上げた信用を揺らがすものではない。
しかし、フリージアにとっては違うはず。
ただ、それを真っ直ぐ言うのもまた、憚られて。
「……流石に、旅費ぐらいならこっちが出すよ。一応保護者って立ち位置だし。お金のことを気にしてるなら……フリージア?」
ジョッキの中身を一気に煽った少女の顔が、ゆらゆらと揺れていて。
嫌な予感がして、彼女の顔を見て――