2020/11/26 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区 冒険者ギルド」にミシェルさんが現れました。
■ミシェル > 冒険者ギルドに用があるのは冒険者だけではない。
当然、彼らに金を払って何かをさせる依頼主が居なければならない。
多くの場合、それは国の役人だとか、あるいは裕福な貴族だとかだ。
国の為に魔導機械を研究する女男爵は、前者でもあり後者でもある。
「やぁ、元気にしていたかい?」
入るなり、真っ直ぐ受付に向かったミシェルは、
ギルドの受付嬢に気さくに挨拶を交わす。
そのまましばらく世間話をした後に、ようやく本題を切り出す。
自分の出した依頼を誰か受けてくれたかどうかだ。
「……うーん、まだ誰も受けてくれないの?そりゃ残念だ」
受付嬢の言葉にミシェルは残念そうに返す。
依頼したのは魔導機械発掘のための遺跡調査の手伝い。
前人未踏の遺跡を探索するわけだから当然高難易度だ。
なので、中々受けてくれる人もいない。
「どうしようか…報酬金増やすかな…?」
ミシェルは思案しながらギルド内を見渡す。
そこにたむろする冒険者たちに目をやる。
いっそ見込みのありそうなのに直接勧誘しようか…そんなことを考え始めていた。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 冒険者ギルド」にハクラ・シラガネさんが現れました。
■ハクラ・シラガネ > のんびりと冒険者ギルドでお茶をすするハクラ。
中堅程度の実力の彼女は、日課である薬草取りとトレーニングを終えてお茶をすすっていた。
最低限の収入は確保できているが、安定しているとはいいがたいぐらいの収入である。
とはいえ、あまり自信がない彼女は難易度の高い依頼には二の足を踏んでいた。
そのため伸び悩んでいるといえば伸び悩んでいる。
そんな彼女が一人ぼーっとしている。
依頼に誘われれば喜んでいついていきそうである。
そこに、何か別の意図があったとしても。
■ミシェル > 「……ふむ…」
まず目に入ったのは独り静かにお茶を飲んでいる銀髪の剣士。
それなりに依頼をこなしていそうな雰囲気がある。
よし、まずはあの子にしよう。
ミシェルはスタスタと歩み寄ると、彼女のテーブルの対面に椅子を持ってきてどかりと座った。
「やぁお嬢さん、ご機嫌いかがかな?」
早速馴れ馴れしく話しかける女男爵。
片手に持っていた依頼文をテーブルの上に置く。
「今冒険者を募集していてね。遺跡調査の手伝いをしてほしいんだ」
■ハクラ・シラガネ > 「あ、えっと、こんにちは!」
必死に元気に返事をするハクラ。
見たところ貴族のように見える。ハクラのような木っ端貴族とは違いそうな、実力ある人間に見えた。
「えっと、依頼ですか? お誘いいただけるなら喜んで! ボクはハクラ・シラガネっていいます。よろしくお願いします」
そのまま頭を深く下げる。
■ミシェル > 「おや、受けてくれるかい?それは良かった!」
女男爵はぐっと前に身を乗り出しながら、ハクラの手を握る。
キラキラと輝くような笑みを彼女に向ける。
「おっと、すまない。
何せなかなか依頼を受けてくれる冒険者が現れなくてね…」
ミシェルは自分の椅子に座りなおすと、
通りがかったギルド従業員に飲み物を注文する。
そして、改めてハクラの顔を見る。
「僕の名前はエタンダル家のミシェルだ。よろしく」
こちらも軽く頭を下げる。と、ふと何かに思い当ったようで。
「シラガネというとあの騎士の家の?
色々あったと風の噂で聞いたが…」
従業員が持ってきたミルクティーを優雅に受け取りながら、そんなことを言った。
■ハクラ・シラガネ > 「うちの家をご存じでしたか。といってもすでに名前だけですけどね」
苦笑するハクラ。
由来は東方の方らしいシラガネ家は、騎士として名をはせていたが、先代が戦死し、一族も彼女以外全く残っていなかったため没落した家だった。
そんな家を知っている彼女に好意を抱くハクラ。
「気にしなくても結構ですよ。剣にはそれなりに自信がありますから、その点だけは期待しても大丈夫です」
お金もそれなりに必要なのだ。
九頭竜の湯で騙され、孕まされ、子を産まされた。
体は不思議な薬で戻されたが、その子を育てる金が必要なのだ。
そういう意味では目の前の彼女はそれなりにお金払いは良さそうであった。
それこそ、不信なことがあっても渋々従ってしまうだろう。
■ミシェル > 「勿論、魔術を使う人間はだいたい頭に入れている」
実際、貴族階級であればほぼ全員、平民でも王城に顔を出すような魔術師はだいたい覚えている。
それだけ魔術に対する探究に熱心なのだ。
「名前が残っていれば大丈夫だよ、冒険で財を成して再興すればいい」
実際、困窮しすぎて名を売る貴族すらいるのだ。
名を持ち続けているだけ上々と言える。
「そうだね…今回の依頼で良い働きをしてくれたら、
次からも君に真っ先に頼むとしようか?
勿論働きに応じて報酬は増やそう」
彼女の家と違いエタンダル家は順風満帆。資金は大量にある。
そして、魔導機械はまだまだ大量に必要とされている。
しばらくは依頼には困らないようになるはずだ。
■ハクラ・シラガネ > 「魔術といっても、そういろいろできるわけじゃないですけどね」
生粋の魔術師のように大火力の魔法を使ったり、多彩な魔法を使うことはできない。
とはいえ生活に役立つ魔法やら、剣と組み合わせて効果的な魔法の熟練度はそれなりにあった。
「それじゃあ期待してますね。ボクは準備はできていますが、いつ頃出発しますか?」
お金について期待できそうなことを聞き、期待するハクラ。
数日分の野営含めて出発することは可能だ。
すぐ出てもいいし、何か準備があるならそれに合わせる。
ミシェルに合わせて行動しようと尋ねる。
■ミシェル > 「何でもできる魔術師より自分だけの魔術を持っている人のほうが、僕には興味深いよ?」
生粋の魔術師であり、教科書に載っているような魔術は大体使えるミシェルにとっては、
己に使えない魔術を持つ人間のほうが注目に値するのだ。
「おや、用意がいいね。
う~ん…こちらも色々準備しなきゃならないから、
出発は明日の昼かな」
まるで準備をしていなかったわけではないが、
さりとてすぐ行けるほどの準備はしておらず。
そもそも、今から出ても到着は夜になってしまう。
「それまでゆっくり休んでくれていいよ。
それとも…しばらく一緒に冒険することになるし、親睦でも深めるかい?」
■ハクラ・シラガネ > 「親睦? いいですよ」
安易に応じるハクラ。
その親睦の内容がいまいちわかっていない。
せいぜいご飯を一緒に食べるぐらい、としか認識していないだろう。
それがどういう運命を迎えるかは、まだ彼女はわからずにいた。
「親睦を深めるといってもどこで何をするんです?」
素直にそう聞くだろう。
■ミシェル > 「僕の屋敷で食事とかかな。君に何か希望があれば付き合うよ」
実のところ、ようやく来てくれた冒険者が不快になるようなことをする気はまるで無く、ミシェルも今のところは真っ当な親睦会を考えている。
あわよくばもっと親密になりたいとは思っているし、少しずつアプローチはかけるかもしれないが、そもそもがお金をちらつかせて無理やりなんて趣味もあまりない。
「せっかく貴族同士こうして縁が出来たんだ。もっと交友を深めたいと思ってね」
■ハクラ・シラガネ > 「では、お言葉に甘えてお世話になりますね」
そうしてハクラはミシェルの屋敷についていくだろう。
親交を深めるのを断るつもりもないのだから。
「ふふ、とても楽しみです。期待しちゃいますね」
そんなことを言って微笑みながら、ハクラはミシェルについていくだろう。
ゆっくりと親交を深めるのも悪くはない。
それでコロッと転がるかはまだわからないが……
■ミシェル > 「はは、僕の家のシェフは一流だし、君も気に入ると思うよ」
女男爵は優雅に立ち上がると、冒険者の少女の手を取る。
そして、ギルドを出て富裕地区にある自分の屋敷へ向かうだろう。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 冒険者ギルド」からミシェルさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 冒険者ギルド」からハクラ・シラガネさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区/冒険者ギルド」に影時さんが現れました。
■影時 > ――全く、報告するのも気が重い依頼は請けるものではない。
だが、是非もない。他に実行者もいない、二の足を踏むをものをどちらかと言えば選り好みしている。
そんな請け方ができるのは、その日暮らしになりかねない者達と違い、最低限の生活の安堵があるからだ。
雇われの身であり、弟子の教練や教授の一環として、冒険者の仕事を活用することもある。
故、請け手が少ない仕事であっても請けるのだ。そうすることで、ギルド側の信用を得る面もある。
「……戻ったぞ。案の定、だ。全員死んでいた。
そいつらから回収した認識票だ。報告は別途纏めといたから読んどいてくれ」
先日請けた依頼、それは無名遺跡に赴いた冒険者の一群が戻らないための探索、捜索依頼だった。
ギルドから発布される依頼ではあるが、面倒さなどから実行者が居ない仕事を引き受け、依頼を遂行した。
その報告として、属している平民地区に設置されたギルドの窓口に帰還後、赴いたのだった。
顔なじみの係員が、やはりという風情で顔を曇らせ、持ち帰った数枚の認識票と提出した書類を受け取る。
行先で遭遇した魔物を掃討、魔物の出現口と思しい魔法陣を破壊した旨も含めて口頭で述べた後、その足で併設された食堂に向かう。
ギルドに立ち寄る前、拠点にしている宿屋で身体を清めた上で出かけたが、腹が減った。
■影時 > 「……仕事だったからなァ。真面目振ンのも、面倒だ」
カミソリを使うのが面倒臭いからか、無精髭が生えた顎を摩って苦笑交じりに嘯く。
死んだ者はしょうがない。原因はどうあれ、死んだ者は帰らないのだ。
発見した遺体は遺跡の探索、掃討を終えた後に運び出して、弔った。
身元保証人の類の登録でもあれば、あとは然るのちに連絡が行くだろう。悼むのは遺された者達が、遣るべきだ。
そんな割り切りと共に簡単な食事を頼み、窓際に見かけた空席へと運んでもらう。
刻んだベーコンが浮かんだ豆と野菜のスープと黒パン、そして最近メニューに見かけた緑茶に似た薬草茶。
どちらかといえば質素な食事を付くテーブルの上に並べ、手を合わせて匙を取る。
弔いの酒でもとも思うが、その気にはなれなかった。見ず知らずの者に弔われても、死んだ者達は困るだろう、と。
「急ぎの仕事でもありゃ、イイんだが。ないならないで……どうするかねェ」
報告前、ちらと見かけたギルドの掲示板を思いだす。
朝方の張り出しのピークタイムを過ぎた後だ。請け易く、稼ぎ易いものは粗方捌けていた。
■影時 > 「ふぅ。喰った喰った」
元々そう多くは注文していなかった。故に並べた品物は直ぐに食べ終わり、茶で一息つく。
急ぎの用がないとなれば、弟子の教練に時間を多く裂くべきだろう。
ある種自主性に任せている面はあるとはいえ、よくよく見ておかねば粗が出かねない。
その意味では、教師役というのは欠かせない。教えられるものがこの辺りでは珍しい、希少な位だ。
「……ン? おう、分かった。茶ァ呑んだらすぐに行く」
そう思考を巡らせていれば、ギルドのカウンターの方から呼び声がする。
先程提出した依頼完了報告を受けての報酬の清算、あとはいくつかの確認事項があるらしい。
声を上げて返せば、茶を呑み干し、食器類を片してから向かうとしよう。
ご案内:「王都マグメール 平民地区/冒険者ギルド」から影時さんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にラミラさんが現れました。
■ラミラ > 平民地区にある酒場の一つ。
面積はそれなりに広めで、2階には宿泊用の部屋もある。
その酒場のステージで小柄な体が躍動している。
しゃん、しゃん、という音をブレスレットからリズム良く鳴らしながら、
熱情的に。または扇情的に。見る者を楽しませる踊りを舞っている。
ただ、小柄な肢体に詰め込まれたような豊かな身体は主に男性が喜んでいるようだが…。
鼻の下を伸ばした男性や、気を取られた女性などにぱっちりした瞳が時折目配せをする。
その小さな踊り子は目の合った人々にニタリという笑みを浮かべるが…。
しゃん、という音が鳴り響き、止まる事なくその舞は続く。
至って普通の酒場の光景。しかし、踊りを見ている内の数人が魂を抜かれたように惚けた表情をしているだろう。
もしそれに気づいた人がいるなら…。
「あれぇ? ふふふぅ、気づいちゃいましたぁ…?」
という囁き声がその人だけに聞こえてくるだろう。
目配せは、その少女の魔力の引き金である。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にエゼルさんが現れました。
■エゼル > 本日の仕事が一区切り付いて、一日の疲れを落としにやってきた酒場──
そこは、普段、通りかかることはあっても、入店まではしたことが無かった。
入店を決めたのは内部からの喧噪ではなく、二階に宿があるからだ。
どれだけ深酒をしても、すぐ寝てしまえる、というのは精神的に随分と気楽だ……
さて、そんな単純な動機で入店した店だったが、それなりの面積もあって、
くつろいで過ごすことが出来た。
専属なのか雇われなのかわからないが、踊り子のショーも眼を楽しませてくれる。
「…………ん、ん?」
ふ、と違和感を覚えたのは、偶然だったのだろうか。
周囲でショーを観ている客たちの何人かの様子が、明らかにおかしい。
少し病気を疑うほど……食い入るように舞を見詰めている。いや、本当に見ているのか……
しかし、害があるわけでもなく、気の所為かも知れないと思えば、どうしたものかと小さく唸り──
と、そこで聞こえて来る囁き声。思わずかぶりを振ると、踊り子の少女と目が合った。
気がした。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からエゼルさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からラミラさんが去りました。